【IWJブックレビュー】 グローバリゼーションの波に飲み込まれる農業。地域伝統農業復活の道はあるのか。 大野和興著『日本の農業を考える』(岩波ジュニア新書)

 日刊ベリタ編集長で農業ジャーナリストの大野和興さんご本人から『日本の農業を考える』をご恵贈いただきました。

 農業ジャーナリスト大野和興氏が、40年間取材を続けてきた日本の農業に関して、現状の解説から、現在に至った背景・過去の検証、そしてそれらを受けて未来に続く「もうひとつの農業」を提案します。

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 日本の農業の今は、労働力・土地・土の3つの生産基盤ともにおとろえています。そのため、食料自給率は40%までに下がり、品質の観点からも残留農薬、遺伝子組み換えなど安全性に疑問が残り、食への不安は高まっています。

このような今に至る原因はどこにあるのか、著者は農業の歴史を振り返ります。戦後、農業は農地改革で輝きを放ちます。しかし、日米安保を基軸とする対米関係と経済成長優先の政策のもとでゆがんでいきます。さらに、とどめを刺すかのように農業のグローバル化が進み、今や世界を席巻するのは地球規模の市場競争に勝ち抜いた極度に合理化され、画一化された農業です。

 危機的状況にある農業ですが、著者はこれを乗り越える道を示します。そのひとつとして、自治体を軸に政策をつくり地域内で制度を仕組んでいくことを提案しています。グローバル化で骨抜きにされている国の政策はあてにできないからです。住民参加で土地を地域で管理し、地域の風土を生かした農業づくりを支援し、生産された農産物は地域で消費します。地域内で食料自給を確立していく必要性を説いています。

 本書は、日本の農業がなぜだめになっていったのか、どうすればよくなるのかを具体的に提示してくれています。そして、日本の農業の話題から、その背景にある地球規模での経済構造までが垣間見えます。タイトルは『農業を考える』ですが、『農』だけでなく、誰にも身近な『食』について考えさせられる内容です。

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