【第436-442号】岩上安身のIWJ特報!元朝日新聞記者・植村隆氏へ誹謗中傷した櫻井よしこ氏らを訴えた名誉毀損裁判一審の「悪夢のような判決」!岩上安身による原告 植村隆氏、小野寺信勝弁護士インタビュー 2019.10.31

記事公開日:2019.10.31 テキスト独自
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特集 IWJが追ったヘイトスピーチ問題

 2018年11月9日、札幌地裁において、元朝日新聞記者の植村隆氏(※1)を「捏造記者」だと誹謗中傷した「自称ジャーナリスト」櫻井よしこ氏(※2)その他出版社に対しての名誉棄損裁判判決が下された(※3)。三年半以上の日々を費やし、櫻井氏の「植村捏造説」の論拠が確実に崩されてきたにもかかわらず、裁判所は原告の植村氏の請求を棄却した。

 「悪夢のような判決」という感想を漏らした植村氏の胸中はどのようなものだったろうか。

 植村隆氏は、朝日新聞記者時代の1991年、第二次世界大戦時の慰安婦問題について記事を執筆した(※4)。韓国人元慰安婦が同国の韓国挺身隊問題対策協議会に慰安婦として初めて証言した録音テープを元にしたもので、第一報を8月、本人に直接取材した記事と第一報の誤りの訂正記事を12月に発表している。

 記事が出た当初から、現代朝鮮問題の研究家である西岡力(つとむ)氏(※5)から「事実誤認」との批判を受けていたが、西岡氏が2014年の『週刊文春』の取材に答えて「捏造記事と言っても過言ではない」と発言し、本人のみならず家族や職場にまで及ぶバッシングが激化するに至って、植村氏は名誉棄損の訴訟を起こした。

 さらに同年、櫻井よしこ氏は『週刊新潮』に植村氏の記事は「韓国女子挺身隊と慰安婦を結びつけ日本が強制連行したと報じた。挺身隊と慰安婦は無関係」「妻が韓国人でありその母親が慰安婦問題で日本に訴訟を起こした遺族会の幹部である。植村氏の記事は意図的な虚偽報道」などと主張、植村氏への批判を強めたため、植村氏は札幌地裁にやはり名誉棄損の訴えを起こした。

 バッシングの根拠は荒唐無稽で不当なものだった。にもかかわらず、植村氏はこのバッシングによって職を失い家族を傷つけられた。意を決して植村氏は訴訟を起こしたが、しかし敗訴という結果に。

 そもそもなぜ20年以上前の1991年の記事が誹謗中傷の俎上に上がったのか。植村氏が朝日新聞記者であったこと、韓国人の家族がいること、90年代の終わりから巻き起こった「河野談話」に反発するかのような歴史認識見直しの運動。それらはこのバッシングと無関係と言えるだろうか。

 またこの結果は、司法が正常に機能しているかどうか、疑問を抱かせるものではなかったか。

 きな臭さが漂う中の意図的な誹謗中傷、不可解な判決。「私は捏造記者ではない!」と叫ぶ植村氏の闘いは続く。不当判決を受けた直後の植村氏の無念と消えない闘志を岩上安身が聞くインタビュー第1弾!

▲元朝日新聞記者・植村隆氏(IWJ撮影)


※1)元朝日新聞記者の植村隆氏:
 植村隆氏は朝日新聞記者だった1991年8月、韓国人元「慰安婦」金学順(キム・ハクスン)さんの告発を報じる記事を書いた。2014年以降、この植村氏が書いた記事を「捏造」と決めつけるバッシングが横行し始める。同年3月、植村氏は朝日新聞を退職。2018年9月には『週刊金曜日』発行人兼代表取締役社長に就任した。
 なお、IWJ代表・岩上安身は、2015年に2回にわたって植村氏にインタビューを行っている。
参照:
・植村隆発行人、「憲法を守る!『週刊金曜日』を守る!」『週刊金曜日』2018年9月28日【URL】https://bit.ly/2Mle5rL
・【IWJ】「捏造記者」という捏造 「不当なバッシングには屈しない 」~ 岩上安身による元朝日新聞記者・植村隆氏インタビュー 2015.1.10【URL】https://bit.ly/2MqRb2i
・【IWJ】「櫻井よしこさんは、私の記事を読んでいないのでは? 間違った事実を元に『捏造』と言われても困る」──元朝日新聞記者・植村隆氏に岩上安身が2度目のインタビュー 2015.2.20【URL】https://bit.ly/2YxBfBB

※2)「自称ジャーナリスト」櫻井よしこ氏:
 「ジャーナリスト」を自称する櫻井よしこ氏は、植村氏が報じた元慰安婦に関する記事を「捏造」と繰り返し誹謗中傷した。櫻井氏は、こうした慰安婦報道の否定などから、「歴史修正主義者」として知られている。
 櫻井氏は、「草の根改憲運動」を進める日本会議の会長である田久保忠衛(ただえ)氏や前会長の三好達(とおる)氏と共に「美しい日本の憲法を作る国民の会」共同代表をつとめており、憲法改正推進の旗振り役でもある。2016年5月3日(憲法記念日)開催の日本会議系の集会で登壇した際は、2011年3月11日の東日本大震災で「助けることのできる命が助からなかった」元凶は現行憲法にあるなどと述べ、憲法に緊急事態条項を盛り込むことが必要だと訴えた。
 緊急事態条項の危険性に警鐘を鳴らし続けてきた永井幸寿弁護士は、IWJの取材に応じ、こうした櫻井氏の無根拠な主張を手厳しく批判している。
参照:
・【IWJ】櫻井よしこ氏は、なぜ司法に「特別扱い」されたか? 改憲運動を草の根で推進する「日本会議の広告塔」だからではないか!? 11.9 植村隆氏裁判札幌地裁判決後の報告集会でIWJ代表・岩上安身が緊急事態条項の加憲に警鐘を鳴らす! 2018.11.9【URL】https://bit.ly/312qhS7
・【IWJ】「私は歴史修正主義者ではないし日本会議とは何の関係もない」!? 植村隆氏による名誉毀損裁判の判決を受け、櫻井よしこ氏が日本外国特派員協会での記者会見で弁明連発!墓穴掘りまくり!! 2018.11.16【URL】https://bit.ly/2OqcALv
・【IWJ】「3.11では助けることのできる命が助からなかった」――自称「ジャーナリスト」の櫻井よしこ氏が事実無根のデタラメで改憲による「緊急事態条項創設」を煽動! 日本会議系集会で~根拠なきプロパガンダに永井幸寿弁護士が徹底反論!(前編) 2016.5.3【URL】https://bit.ly/2NHXUCr

※3)櫻井よしこ氏その他出版社に対しての名誉棄損裁判判決が下された:
 植村隆氏が朝日新聞記者時代の1991年8月に執筆した元従軍慰安婦に関する記事をめぐり、櫻井よしこ氏によって「捏造」と決めつけられ名誉を毀損されたとして、植村氏が櫻井氏、新潮社、ワック、ダイヤモンド社に損害賠償などを求めた訴訟で、不当にも、札幌地裁(岡山忠広裁判長)は2018年11月9日、植村氏の請求をすべて棄却した。
 植村氏は判決後の報告記者会見で、以下のように訴えた。
 「悪夢のような判決。言論で勝って、法廷で負けてしまった。櫻井さんは本人尋問で間違いを認め、訂正を出した。この法廷と今日の判決がどうつながるのか?
 北海道新聞のOB記者でソウル特派員だった喜多義憲さんは、私が書いた記事の3日後に金学順(キム・ハクスン)さんに直接取材されて、キムさんが『挺身隊だった』と言っていることも確認して記事を書かれている。当時私は喜多さんと全く面識なく、喜多さんも私の記事を見てなかった。
 当時を知っている他社の記者が、『捏造であるとか虚偽であるとか、そのものが理解を超えた、言いがかりのように感じました』と証言した。利害関係のない人物の証言が判決に一切評価されていない。ジャーナリストの皆さん、これは悪夢ではないですか。正義が法廷で実現されていないんです。
 そして、判決要旨に『ハンギョレ新聞以外の報道にも養父または義父が営利目的で金学順氏を慰安婦にしたことを示唆するものがある』とあるが、裁判長、ふざけるな。ハンギョレ新聞を読んだのか? ハンギョレ新聞には、『養父または義父が営利目的で金学順氏を慰安婦にしたことを示唆するもの』など、出ていません。
 こんな判決を許したら明日は他のジャーナリストが同じ犠牲を受けるんですよ。それは、皆さんかもしれません。歴史の事実に向き合おうとするジャーナリストに対する不当な攻撃なんです。私は徹底的に戦います。ありがとうございました」
参照:
・【IWJ】【速報】櫻井よしこ氏のずさんな取材を司法が追認!? 植村隆氏の名誉を毀損したが「捏造」と信じたのは仕方なかった!? 「言論で勝って裁判で負けた、悪夢のような判決」! 2018.11.9【URL】https://bit.ly/2AWJHOk

※4)第二次世界大戦時の慰安婦問題について記事を執筆した:
 1991年8月11日付朝日新聞(大阪本社版)に掲載された植村隆氏の記事のリード文は、次の通りである。
 「【ソウル10日=植村隆】日中戦争や第二次世界大戦の際、『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』のうち、一人がソウル市内に生存していることがわかり、『韓国挺身隊問題対策協議会』が聞き取り調査を始めた。(中略)体験をひた隠しにしてきた彼女らの思い口が、戦後半世紀近くたって、やっと開き始めた」
参照:
・植村隆『真実――私は「捏造記者」ではない』岩波書店、2016年【URL】https://amzn.to/2KeEX9X

※5)西岡力(つとむ)氏:1956年生まれ。国際基督教大学卒。筑波大学大学院修士課程修了。2000年より東京基督教大学教授。『現代コリア』(現代コリア研究所発行)編集長。「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)」会長。
 西岡氏は植村隆氏による元慰安婦に関する記事に対して、1992年より書籍や雑誌で批判を繰り返し、1998年以降は、記事を「悪質な捏造」といって執拗に攻撃した。『週刊文春』2014年2月6日号では、植村氏の記事を「名乗り出た女性は親に身売りされて慰安婦になったと訴状に書き、韓国紙の取材にもそう答えている。捏造(ねつぞう)記事と言っても過言ではありません」などとコメントした。
 他方、植村氏は2015年1月、名誉を傷つけられたとして、西岡氏と文藝春秋社に損害賠償を求め東京地裁に提訴した。この裁判で西岡氏は、『週刊文春』に掲載されたコメントの重要部分に「記憶違い」や「間違い」があることを認めた。植村氏の記事を「捏造」呼ばわりしていた西岡氏の方こそ、事実を「捏造」していたことが明らかになった。
 にもかかわらず、東京地裁(原克也裁判長)は2019年6月26日、植村氏の請求を棄却した。
参照:
・言論テレビ【URL】http://bit.ly/2WtjMpt
・週刊金曜日「『朝日』元記者・植村隆裁判で西岡力氏が自らの「捏造」認める」2018年9月26日【URL】https://bit.ly/2xCoIyi
・朝日新聞「文春などへの賠償請求棄却 元朝日記者の慰安婦報道訴訟」2019年6月26日【URL】https://bit.ly/2X1k0Up

記事目次

  • 20年以上も前の植村氏の従軍慰安婦問題の記事をネタに、『捏造記者だ』と激しいバッシングを繰り広げた西岡力氏と櫻井よしこ氏を名誉棄損で提訴。不当判決を受けて植村氏の今の心境は?
  • 早い時期から事実を掘り起し、「植村氏は捏造記者ではない」と報じてくれた『週刊金曜日』に恩義を感じた植村氏は、リスクを覚悟で同誌の発行人兼社長に!
  • 植村氏が記事を捏造したことが事実であれば、被告はその事実を証明するか信じてもやむを得なかったということを証明しなければいけない。その表現が論評だというのなら記事の重要な部分が真実だと証明する必要がある。それらがことごとくできなかったのに、免責となった櫻井よしこ氏は、結局「ジャーナリストではない」という認定を受けたことと同じ!
  • 日本会議の広告塔・櫻井よしこ氏が有罪を免れ、改憲プロパガンダは無傷! 政府は改憲4項目で短期決戦に出る!? 一方で、IWJのツイッターアカウントが謎の凍結! 「植村」「櫻井」をキーワードとするSNSへの妨害工作か!?
  • 慰安婦にされ、戦後も口を閉ざしていた女性たちが沈黙を破って性被害を語り始めた。その第一報を伝えた朝日の植村記事に「事実誤認」とバッシングした『週刊文春』。やがて、それは「捏造」という刺激的な言葉に変化していく!
  • 2014年、『週刊文春』によるバッシングで植村氏は職を失い、家族にまで脅迫が及ぶ! 1991年のバッシングとの大きな違いはネット社会の拡散力! 「事実のねじ曲げはない」と朝日新聞が正式発表をしても、ネットに溢れる中傷は止まらない!
  • 孤立無援の植村氏に全国、海外から届く支援の声。脅迫されても共に闘った北星学園大学。「自分の周辺にまで及ぶバッシングは辛かったが、この試練は『人々との出会い』という恵みも与えてくれた。それは大きなことだった」
  • 1993年の河野談話で慰安婦問題に真摯に取り組む機運が高まるが、その反動で1990年代後半にバッククラッシュが! 大きな社会的ムーブメントの中で、植村氏は「任意にチョイスされた生け贄」になった!
  • 西岡力氏の3つの作為。引用元「ハンギョレ新聞」の記事を改竄! 都合の悪い部分は無視! 強制連行を人身売買にすり替えるため、「親に身売りされて慰安婦に」というデマの流布!
  • 「植村バッシングを見過ごせない!」東京で170名、札幌では107名の多種多様な弁護士が手弁当で応援に! 2015年2月、ついに櫻井よしこ氏らを名誉棄損で札幌地裁に提訴!
  • 「捏造」の根拠が存在しないことを指摘された櫻井氏。「私、ジャーナリストですから改めます」とうそぶきつつ、約2年も植村氏への攻撃を継続!
  • 「植村バッシングの現場は札幌の北星学園大学。ならば、審議は札幌ですべき!」 一度は決まった裁判の東京移送が、短期間に集まった反対署名で覆る!
  • 「人身売買」にこだわる櫻井氏。「戦場の性暴力被害」については完全スルー! 朝日新聞記者で韓国人配偶者を持つ植村氏を「レイシズムを掻き立てる標的」にして狙い撃ち!
  • 櫻井よしこ氏はブラック・インフルエンサー!? 根拠のない中傷記事に触発された人々から、植村氏や家族、職場に抗議や脅迫が殺到!
  • 北海道新聞の元ソウル特派員、喜多義憲氏が裁判で証言! 「同じ時期に同じように慰安婦の記事を書いて、植村氏は『捏造』、私は不問。言いがかりだと感じる」
  • 本人尋問で櫻井よしこ氏が自身のウソを認める! だが、新聞と雑誌記事の訂正は約束したものの、影響力の大きいテレビでの発言はいまだに訂正されず!
  • 「14歳で売られた」という記事を人身売買説の根拠とした櫻井氏。なぜか同記事の「17歳の時、日本人将校に銃剣で脅されて慰安婦に」の証言は無視している!
  • 別の時間、別の場所、別の相手の話をつなげて人身売買の根拠にした櫻井氏。こんなアクロバティックな解釈を「信じるに足る」とした札幌地裁の判決は理解に苦しむ!
  • 櫻井氏が植村氏の公正さを疑った原因は「妻が韓国人」だから!? 親族関係のみを「捏造」の根拠とした札幌地裁の認定は、記者の職業倫理を非常に軽視している!
  • 強制連行か挺身隊かという問題ではなく、大勢の女性が意思に反して拘束され、恐ろしい暴力を受けた。この残忍な行為について櫻井氏は何も言及しない!
  • 顔写真をネットで晒され「殺す」と脅迫された植村氏の17歳の娘。「でも、私を責めなかった。娘が心折れなかったことで、僕自身も闘い続けられた」
  • 植村氏に一度も取材していない『週刊文春』の記事によって神戸松蔭女子学院大学と北星学園大学に非難が殺到。脅迫メールやハガキは段ボール2箱分、大学の警備費用負担は5000万円にも!
  • 『週刊文春』元記者の竹中明洋氏は「デスクの指示に従って書いただけ」と逃げ腰に! 同氏は『週刊新潮』で「辺野古に抗議する市民に地元住民はほとんどいない」という沖縄ヘイトも展開していた!
  • 「身売りされて慰安婦に」という嘘を勝手に追加していた西岡力氏! その虚構をノーチェックで使い回した『週刊文春』『週刊新潮』ほか右派メディアの「フェイクニュース」を繰り返したれ流してきた大罪が口頭弁論で明らかに!
  • 産経新聞は自社の過去記事も調べない!? 1990年代に金学順さんを取材して「強制連行」と書きながら、2018年には「金学順さんは強制連行の被害者ではない」と断言する矛盾!
  • 産経新聞「慰安婦」報道の中心、阿比留記者は「日本軍に強制的に連行され」と書かれた1991年の産経の記事を「初めて見た」と苦しい言い訳。 だが、謝罪はなし!
  • 「朝日新聞は自浄能力がない」という読売新聞の批判は、自身に突き刺さる壮大なブーメラン! 「読売も同様の記事を書いている」と植村氏に証拠を見せられ、読売新聞は黙ってバッシングから手を引いた! 自浄能力がないのはどっちだ!?
  • 「裁判を通して『植村氏は捏造記者ではない』ことが浸透していった。弁護団の士気も高い。今回の不当判決を乗り越えて世の中の空気を変えたい」と意気込む小野寺弁護士
  • 「植村バッシング」は日本ジャーナリズム史上に残るフェイクニュースのオンパレード! 体制側に都合のいい記事ばかり量産される昨今、事実がなおざりにされないよう、リベラルなメディアを育て守る必要がある!

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