川崎児童殺傷事件に「自分一人で死ね」、元農水事務次官が引きこもりの息子を刺殺した事件には「同じ選択をしたかもしれない」とコメントした維新の創設者の橋下徹氏は、自著で「危険性のある子ども」は親が「抹殺せよ!」と主張していた!! 2019.6.7

記事公開日:2019.6.7 テキスト
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(文:IWJ編集部)

 5月28日に川崎市多摩区で起きた、児童ら20人が無差別殺傷された事件について、事件当日から「一人で死ね」という大合唱が起きていた。

 事件当日のTBSの情報番組「ひるおび!」で、落語家の立川志らく氏が、「死にたいなら一人で死んでくれよ」とコメント。フジテレビの情報番組「直撃LIVE グッディ!」では、安藤優子キャスターが「自分1人で自分の命を絶てばすむことじゃないですか」と発言し、それを受けてコメンテーターの北村晴男弁護士が「言ってはいけないことかもしれないけど、死にたいなら1人で死ねよ、と言いたくなりますよね」と答えている。

 元大阪維新の会代表であり元大阪府知事・元大阪市長で、現在は自称「私人」の橋下徹弁護士も6月2日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」で、「他人を犠牲にするなんて絶対あってはならない。死ぬのなら自分一人で死ねってことはしっかり教育すべきだと思います」と同様にコメントした。

▲橋下徹氏(2015年5月28日、IWJ撮影)

 こういった発言に対し、NPO「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典氏は「様々な理由から自暴自棄になり、ごく一部の凶行に及んだ人の更生にも長年かかわってきた。人は自分が大事にされなければ人を大事にすることは出来ない。本人の問題だけではなく、生育歴や社会環境の問題が必ずある。『勝手に死ね』ではいつまでも凶行は止まない」とツイートし、同じ趣旨の記事を「Yahooニュース・個人」に掲載している。

「本当に熊沢氏の息子に他人様の子供を殺める危険性があったのであれば、刑に服するのは当然としても、僕は熊沢氏を責められない」!? 橋下氏が練馬で息子を刺殺した元農水事務次官を擁護!

 6月1日には、東京都練馬区で44歳の息子を父親が自宅で包丁で刺殺し、逮捕されるという痛ましい事件が起きた。息子を刺殺したのは元農林水産省事務次官の熊沢英昭容疑者で、5月28日に川崎市で起きた事件に影響を受けて「(引きこもりの)長男が子供たちに危害を加えてはいけないと思った」と動機を供述していることが報じられ波紋を広げている。

 これに対して橋下徹氏は、ツイッターに次のように連投している。

 「川崎殺傷事件の犯人に生きるための支援が必要だったと主張する者が多いが、それよりももっと支援が必要なのはこの親御さんのような人だ」「このような親のサポート体制は皆無」という橋下氏の主張の真意は何か。社会とうまく折り合いをつけられない子供へ生きるための支援をすることは、その面倒を見る親御さんを支援することに直結するはずである。なぜ、それを子供と親とで分けるのか。

 橋下氏のツイートを読み返すと、サポートすべき対象なのは「子どもを殺してしまった親」の事を指しているとも読める。

橋下氏は2006年、著書に「危険性のある子どもに対しては、そいつの親が責任を持って事前に世の中から抹殺せよ!」と書いていた!

 実は橋下徹氏は2006年に小学館から出した著書『まっとう勝負!』の中でこう書いている。

▲橋下徹氏の著書『まっとう勝負!』(2006年 小学館)

 「国が事前に危険な奴を隔離できないなら、親が責任を持って危険な我が子を社会から隔離すればいいんだ。他人様の子どもの命を奪うほどの危険性がある奴に対しては、そいつの親が責任を持って、事前に世のなかから抹殺せよ!

 苦渋の決断で我が子を殺した親に対しては、世のなかは拍手を送ってもいいだろ。国に代わって、世のなかに代わって、異常・危険分子を排除したんだからね」(P95)。

▲『まっとう勝負!』P95

 「危険性のある子どもに対しては、そいつの親が責任を持って事前に世の中から抹殺せよ!」というのが、橋下氏の持論なのである。

 さらに「苦渋の決断で我が子を殺した親に対しては、世のなかは拍手を送ってもいいだろ。国に代わって、世のなかに代わって、異常・危険分子を排除したんだからね」とまで書く。

 「抹殺せよ!」とは命令形であり、強い言葉だ。

 熊沢容疑者がかねてより、橋下氏の著書を読んでいて、影響を受けたかどうかは不明だが、結果的には橋下氏の「持論」の通りに行動してしまった人物であることは間違いない。橋下氏の「持論」は、「一人で死ね」から一歩も二歩も踏み込んで、「親が抹殺しろ」というものだ。だからこそ橋下氏は、「刑に服するのは当然」としながらも、「僕は熊沢氏を責められない」と、我が子を手にかけた熊沢容疑者の行為を肯定しているかのようなツイートをしているのだろう。

「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典氏は「この人物は死ぬべきだ、などと勝手に解釈することは危険。これ以上広がらないでほしい。誰も一人で死ねべきでも、殺すべきでもない」と主張!

 これに対し、藤田氏は、練馬の事件とその影響に関連して、誰であれ「殺害することは絶対に許されない」と、断固としたツイートを連投している。

 また、藤田氏は4日、「Yahooニュース・個人」に「殺してもよい命は何一つない」、「社会とは助け合うもの」との記事を掲載した。

 藤田氏の懸念は、「ひきこもり」が問題を起こすのではなく、社会の中で人を孤立させることこそが、孤立した人を暴発へと追い詰めるのではないかということだ。

引きこもりは犯罪予備軍ではない! 社会的孤立が人を犯罪へと追い詰めている!

 さらに藤田氏は、「ましてや、ひきこもりが犯罪予備軍、危険な状態だということも誤りなので差別や偏見は持たないでいただきたい」と書いている。

 これについては、不登校、ひきこもり、発達障がい、セクシュアル・マイノリティの当事者・経験者らが作る「一般社団法人ひきこもりUX会議」が、5月31日、サイト上に「川崎殺傷事件の報道について(声明文)」を発表し、次のように懸念を示している。

 「ひきこもっていたことと殺傷事件を起こしたことを憶測や先入観で関連付ける報道がなされていることに強い危惧を感じています。

 『ひきこもるような人間だから事件を起こした』とも受け取れるような報道は、無関係のひきこもり当事者を深く傷つけ、誤解と偏見を助長するものだからです」

 東京新聞は6月6日付朝刊で、独自にデータを集計した結果、「殺人、殺人未遂事件の容疑者や被告で、引きこもりだったと報じられたケース」は、「1999年から2019年までの過去20年間で、43件」で、「年平均2件」。これに対して警察庁のまとめによれば「殺人の認知件数は1999年で1265件で2003年ごろに1400件を超え」「過去5年間では900件前後」だとして、「『年2件』は全体の0.002%でしかない」と報じている。

 家族のうちの誰かが心を病む、ひきこもりになる、などということは、誰の身においてもふりかかる可能性がある。他人事ではすまない。「親が責任を持って、事前に世の中から抹殺せよ」と主張する橋下徹氏と、「殺してもよい命は何一つない」と主張する藤田孝典氏と、あなたはどちらを支持するだろうか?

 被差別部落への差別助長発言で日本維新の会の参院選公認候補を取り消される見通しとなった長谷川豊氏は、2016年9月19日に「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」と題するブログを書いて「殺人煽動」し、大炎上した。

 丸山穂高衆議院議員は、北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後(くなしり)島を訪問し、北方領土を取り返すには「戦争しないとどうしようもなくないですか」と「戦争煽動」発言を口にして、元国後島民で訪問団長の大塚小彌太(こやた)さんに詰め寄り、維新を除名された。

 そして維新の会の創設者の「抹殺せよ!」という「殺人煽動」である。

 「殺人煽動」に「戦争煽動」。日本維新の会・大阪維新の会とは、このような人権感覚の創設者の元に同じような考えの人間が自ずと集まった、似た者同士の集団ということではないだろうか。

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  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    こういう短絡的な思想は今も維新に脈々と生き続けている。

    元農水事務次官が引きこもりの息子を刺殺した事件には「同じ選択をしたかもしれない」とコメントした橋下徹氏は、自著で「危険性のある子ども」は親が「抹殺せよ!」と主張していた!! https://iwj.co.jp/wj/open/archives/450148 … @iwakamiyasumi
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1136914402106519553

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