橋下知事時代の大阪府職員自殺と箝口令! 「自殺に追い込んだ」という表現は、当時広く流布されていた! 第二回口頭弁論で、西晃弁護士がおこなった弁論要旨 2018.10.25

記事公開日:2018.10.25 テキスト
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 2018年6月21日午前11時より、大阪地裁第1010号法廷にて、橋下徹氏によるIWJ岩上安身へのスラップ訴訟「平成30年(ワ)1593号 損害賠償請求事件」の、第二回口頭弁論がおこなわれた。6月15日に弁護団が提出した被告準備書面にもとづいて西晃弁護士がおこなった弁論の要旨を、以下に掲載する。

「自殺に追い込んだ」という表現内容それ自体は、広く流布されていた

 今回の平成30年6月15日付被告準備書面は、原告主張(名誉棄損に基づく損害賠償)に関する被告の反論を内容とする。まず前提として、本件訴訟における原告主張の骨子を確認しておく。

第1 原告主張の中核は以下の部分にある

 「橋下徹(原告)が30代で大阪府知事になったとき、20歳以上年上の大阪府の幹部たちに随分と生意気な口をきき、自殺にまで追い込んだ」との内容は、「原告が大阪府知事という権力的立場で大阪府の職員を威圧し、よって職員の何者かを自殺にまで追い込んだ」という事実を指摘するものであり、かかる事実は、「原告が自身の立場を利用して、他者を自殺に追い込むまでのパワーハラスメントを行う人物である」との印象を与えるものである。したがって、一般閲覧者の注意と読み方を基礎とする限り、原告の社会的信用を低下させることは疑いようがない(訴状3頁、第3の1)。

第2 被告反論の概要

1. ツイート内容の新規性に関して(原告への名誉棄損を構成しない)

 本件元ツイートで表現・論評された「自殺に追い込む」という表現内容それ自体は、平成23年(2011年)当時、週刊誌や新聞広告等により、誰もが閲覧できる状態において広く流布されていたものである。そして、その状態は基本的に今日まで継続している。以下、時系列的に説明する。

 平成23年(2011年)4月21日号の週刊文春においては、見出しに「大阪府庁で『7人の自殺者』」と掲げた記事中で、原告が台湾出張からの帰国後に「リスク管理がなっていない」と担当部局を名指しでなじり、その翌月に商工労働部参事の水死体が発見されたこと、その自殺に関しては箝口令が敷かれていたことが報道されている(乙56号証)。

 次いで、平成23年(2011年)10月28日号の「週刊フライデー」では、「大阪府幹部が爆弾証言『同僚が橋下知事に追い込まれて自殺した』」と表紙や見出しに書かれている(乙52号証)。

 ここでの記事内容は、その直前に出された『「仮面の騎士」橋下徹 独裁支配の野望と罠』(大阪の地方自治を考える会編、講談社平成23年10月17日発行)において、大阪府知事であった原告が台湾出張を巡り部下を激しく叱責したこと、さらに(その下の)部下が自殺するに至った経緯を記述していることを受けたものであり、「週刊フライデー」において用いられている表現は、同年10月14日付読売新聞の新聞広告においても、そのまま使用されている。

 さらに、同趣旨の表現は、平成23年(2011年)12月号の新潮45の記事でも、「自殺に追い込まれた府庁職員」という内容で使用されている(乙54号証)。

 本件での元ツイート主は、これらの既に公になっている表現を踏襲したに過ぎないものであり、名誉棄損を新たに構成するものではない。

2. ツイート内容の公益性・公共性に関しては、疑いなく高い公益性・公共性がある。

大阪府商工労働部経済交流促進課参事の自殺と、その後の府庁内での箝口令

3. ツイート内容の真実性・真実相当性に関して

(一) 原告が府知事時代における府職員への対応と職員の反応について

 原告は大阪府知事時代、常々自己が民意により選出された府民の代表者であり、その立場から府職員は民意を体現する自己(原告)に従うのは当然のことと考え、その旨公言し、行動して来た。

 大阪府職員とりわけ幹部職員に関しては、時に己自身を「独裁者」とまで表現した上で、自己の意向を忠実に行動に移すこと、結果に対し自ら責任を取ることを積極的に要求して来た。原告の府職員に対する要求は、時には夜間・深夜のメールや、激烈な言動や叱責、極めて強い感情的表現を伴うこともあった。

 他方原告は、自らのやり方に異を唱える職員に対しては、「私のやり方があなたの意に沿わなければ、職を変えてくださって結構です」との言動まで使用していた。

(二) 平成22年度における職員自殺案件について

 原告が知事に就任後の、平成22年(2010年)度の大阪府職員(知事部局)における自殺者の数は7名に上り、この数はそれ以前の10年間の中では、かつてない数に上っていた。また自殺者以外にも、必要な治療を受ける機会喪失により在職死亡した職員の存在や、心身を病む職員の急増という事実を受け、大阪府においても対策を要する事態に至っていた。

 そのような状況の中、平成22年(2010年)10月、大阪府商工労働部経済交流促進課参事(課長級)職員(当時51歳)が、10月4日から行方不明になり、13日に淀川で水死体となって発見されるという痛ましい事件が発生した。

 この府職員は自殺であり、職務机の中に遺書を残しており、原告の台湾出張に関連する知事の、指示内容に由来する業務上の負荷によるものと推定された。

 この案件は大阪府庁内で厳しい箝口令が敷かれており、事実が公になるのは、かなり時間が経過してからであった。

橋下徹氏本人も「ご遺族の方には本当に申し訳ない」と陳謝の意を表していた

(三) 自殺と橋下氏を巡る橋下氏の発言、及び報道等の事実関係に関して

 上記(二)での案件に関し、原告は、平成22年(2010年)12月14日の記者会見において、「ご遺族の方には本当に申し訳ない」「(日程変更の)判断は間違ったとは思わないが、細やかな配慮に欠けていたことは否めない。現場に過度な負担がかからないように指示すべきだった」と明確に述べ、任命権者としての陳謝の意を表している。

 大阪府議会においても、この問題は重要視された。議会内で調査が行われ、大阪府総務部人事局が平成23年にまとめた、「商工労働部商工振興室交流促進課国際ビジネス交流グループ参事の現職死亡に関する調査報告書」が存在する。

 以上に指摘した事実関係は、いずれも客観的事実であり、被告はこの訴訟を通じて今後徹底的に、本書面での主張事実を証明していく意向である。元ツイート主のツイート内容は、その主要な前提事実という側面において、まさに真実であり、何ら名誉棄損を構成はしない。

第3 結語

 原告の請求は直ちに棄却されるべきものである。

以上

 なお、この日(6月21日)の口頭弁論後に、大阪弁護士会館でおこなわれた報告集会については、下記の記事をご覧いただきたい。

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