【岩上安身のツイ録】橋下徹氏のスラップ訴訟は、「万人の言論の自由」の制約につながる暴挙! 思想の左右も関係なく、すべてのネット市民を萎縮に追い込む危険性を世界へ向けて問題提起! 2018.2.3

記事公開日:2018.2.3 テキスト
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(岩上安身)

 2018年2月2日の外国人特派員協会での英語の通訳を交えての会見、ネットでライブストリーミングしたら、遠くドイツで視聴したアンドレアスさんというジャーナリストが、的確にまとめて英語でツイート。

“Another strange chapter in Japan’s declining press freedom. Hashimoto Toru, former governor of Osaka, filed a lawsuit against @iwakamiyasumi for a simple retweet of Hashimoto’s tweet! See press conference at FCCJ: : https://www.youtube.com/watch?v=pwkPtZroHzU

 「日本の報道の自由の衰退の奇妙で新たな一章だ。橋下徹・前大阪府知事が、@iwakamiyasumiが橋下氏のツイート(※IWJ註:正確には、橋下氏についてのツイート)をたった一つ、リツイートしたというだけで、訴訟を起こした! FCCJでの記者会見を参照→ https://www.youtube.com/watch?v=pwkPtZroHzU
※翻訳:IWJ

 一つの、しかも削除済みのリツイートに粘着して、1万ドルを要求する橋下徹元大阪府知事のスラップ訴訟は、国境を超えて、ネットの言論の自由を脅かす、重大な問題としてとらえられていくだろう。極めて公共性の高い、世界的なテーマである。

 英語のテキスト資料を充実させて、英語のテキスト記事発表するし、2月2日の会見の、日本語と英語まじりの通常版だけでなく、英語圏へダイレクトに届ける英語バージョンも初めての試みとして作成しようと思う。

 原発の再稼働に慎重姿勢を見せ、国とも対峙することを厭わない姿勢を見せた新潟県の米山知事が、維新の松井知事にスラップされ、僕が維新の創設者であり、今も絶対な影響力を及ぼす事実上の「闇将軍」(昔の田中角栄を思い出すが)である橋下元府知事に訴えられたが、弁護士は両方とも橋下氏のイソ弁。

 米山知事の仕事は、瞠目すべきものがあり、原発再稼働への慎重姿勢や新潟県の独自調査の功績もある。その問題とともに松井府知事からのスラップ問題についてもお聞きするインタビューを取るべく日程を調整中。

 スラップ問題は、僕もこれまで迂闊にも詳しく調べる余裕がなく、薄っぺらい理解しかなかった。かつて、自分の書いた記事を名誉毀損で訴えられて、事実上の勝訴に持っていった経験はあるが(ひどい手抜き弁護士で、一審敗北、二審で自力で全部やってドローへもちこみ事実上勝った)。

 スラップ問題については、日本では研究者が、法学者、弁護士、ジャーナリスト含めて、極めて少ない。稀有な研究者がフリージャーナリストの烏賀陽弘道氏。氏の書いた『スラップ訴訟とは何か』は、ネット市民だけでなく、多くの人に読まれるべき好著である。

 烏賀陽氏にも、インタビューをする予定。直近ですぐにやろうか、という話にもなっていたが、これは相当に広範で、根深く、重要過ぎるほど重要な課題を含んでいるので、リサーチにパワポ作成など、十全の準備をしてからやることになった。

 僕は、政党としての維新とそのリーダーとしての橋下氏に、あくまで政治家として関心を寄せ、その問題性などは指摘したり批判してきたが、それ以上、突っ込んで彼や彼の子分らの口汚い罵倒や脅し、ハレンチな行状、数々の事件簿などまで、取材の手を回すことができずにいた。

 だが、維新は改憲勢力として自民を補完し、この国を危うくする危険な政治勢力となっている。橋下氏は、とても真に受けられない「政界引退」宣言後、都合よく「民間人」「私人」を強調しているが、維新の丸山穂高議員や足立康史議員をボロクソになじり、ねじ伏せている。政治的影響力がないはずがない。

 国会の非常識極まりない暴言王の足立康史議員は、日頃の短気、暴言、威勢などどこへやら、橋下氏に極めて乱暴な言葉で罵られるとすっかり猿山の猿のごとくマウンティングされて、キャンと降参。

 あげく、僕が橋下氏のスラップに立ち向かうことに関連して僕を揶揄、呆れることに、「橋下氏に怒られたら僕は5秒で謝罪する」と情けない犬っぷりを「自慢」さえしている。足立康史氏の見掛け倒しの情けなさはともかく、そこまで「政界引退」したはずの橋下氏が、権勢を振るうのが維新の実態である。

 「岩上くんみたいな輩が橋下徹と喧嘩しようと言う時点で、私はアホです、と言っているようなものです」

 「橋下徹にケンカしかける岩上くんとか、河野外相にイチャモンつける小西くんとか、勝ち目がない、って何故分からないかな。僕なんか、橋下さんとケンカになりそうな時は5秒後には謝ってたけどね。そこ、勝負所と違うし」

 日本を亡国に導きかねない「最も危険な政治家」は、もちろん安倍晋三その人に他ならず、その安倍政治の本質とは米国従属にある。国内外で、とてつもなく巨大な問題群が爆発的に広がっている今のこの時代に、正直、橋下氏程度の人物に関わっている時間や労力は惜しい、というのが本音ではある。

 しかし、彼が「闇将軍」として影響を与える維新が、2018年最大の重大事である憲法の改悪に、狡猾な翼賛勢力として動いていくであろうことが予想される今、彼らを「つまづきの小石」程度に考えるのは、大きな勘違いのもととなる。

 近代において確立された、「言論の自由こそ民主主義の基盤」という、ほとんど「公理」ともいえるこの理念と法制度は、しかし、実際には中央集権的な権力と結びついた巨大なマスメディアが「言論の担い手」となり、圧倒的多数の一般市民は「受け手」にされて、情報操作の対象にされてしまっていた。

 それを覆し、真の意味で万人が自由な言論の担い手となり、庶民が情報の「受け手」にとどまらず、誰もが情報の「送り手」となりえるようになり、さらにそこにインタラクティブ(相互性、対話可能性)な、画期的なコミュニケーション可能な言論空間を開いたことは、間違いなく革命的な事態だった。

 ネットにおける「万人の言論の自由」という、どんな政治的・社会的・経済的弱者であっても、「真の民主主義の土台となる言論の自由」の現実的ツールを持ち得る時代の到来を、中央集権のモダンと比較して、ポストモダンと呼ぼうと、それはどうでもよいことだが、これが切実なツールであることは間違いない。

 この、平等な公共言論空間で、闊達な議論や情報の提供や検証と健全な批判、さまざまな開かれた対話、コミュニケーションの過程を通じて、集合知や解が求められうる、という期待が、数年前には確実にあったし、悪意と憎悪の荒らしコメントなどが猛威を振るうようになった今でもその希望は残っている。

 であるからこそ、一切の対話も批判も抗議も、つまりは言葉によるあらゆるコミュニケーション行為自体をすべて割愛して、いきなりスラップ訴訟に持ち込む橋下元大阪府知事の手口は、人類がこのわずか20年足らずで獲得した「万人の言論の自由」の破壊につながる暴挙であって許すわけにはいかない。

 このスラップ訴訟については、真剣に世界に訴え、問いかけていこうと思う。なぜならば言論の自由とそのルールとメディア論、反スラップ法などの未整備な法制度問題などの諸問題、そして当然ながら主権者である国民が、一部の特権的な政治権力へのプロテストの権利をどう守るかという問いへとつながるからである。

 結局のところ、今回のケースは、僕の削除済みリツイートひとつをめぐる裁判なのではなく、こうして広くネット市民へ萎縮を広げていくことが目的のスラップ訴訟なのだとの確信が、日々、深まる。何度も言うが、思想の左右も関係なく、すべてのネット市民を萎縮に追い込む政治的スラップである。

 あらゆるご協力を、志ある方にはお願いしたいと思う。法学者やメディア論の知識人だけでなく、橋下氏や維新の行状に対して、対抗言論でもって抗してきた尊敬すべき方々、さまざまな情報を持つ方々、世界に伝えるために英語のできる方、そのリサーチや僕のアシストをしてくれる方、ぜひともお力を!

※2018年2月3日付けのツイートを並べて加筆し、掲載しています。

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“【岩上安身のツイ録】橋下徹氏のスラップ訴訟は、「万人の言論の自由」の制約につながる暴挙! 思想の左右も関係なく、すべてのネット市民を萎縮に追い込む危険性を世界へ向けて問題提起!” への 1 件のフィードバック

  1. 佐野達司 より:

    イチャモン大王-橋下徹の岩上安身IWJ代表に対する名誉棄損提訴は当たり屋のごとき犯罪行為であり、これも維新の会のジリ貧や大阪都構想頓挫への橋下の焦りの表れであろう。小池百合子と同様に橋下もマスメディアを活用して虚勢を張る能力には長けていたが行政手腕等において無能であることが国民にバレてしまったようである。この度のイチャモンを落ち目ではあるが安倍と共謀して日本乗っ取りを企む橋下にIWJの存在を認めさせた勲章と受け取って岩上代表には言論の自由のために橋下を打ちのめして頂きたい。

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