「これは訴権の乱用だ」〜橋下徹・元大阪府知事がたった1本の、しかも削除済みの「リツイート」でIWJ代表・岩上安身を不当なスラップ提訴!「言論の自由に対する挑戦であることは間違いない」自由報道協会主催記者会見 2018.1.22

記事公開日:2018.1.22取材地: テキスト動画
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 2018年1月22日(月)13時からの司法記者クラブの会見に引き続き、16時からは東京都渋谷区の寿パークビル会見場に会場を移して、IWJ代表でジャーナリストの岩上安身が「リツイート行為に対する名誉毀損損害賠償請求事件」についての記者会見をおこなった。会見には、弁護士の坂仁根(ひとね)氏が同席した。主催は、公益社団法人自由報道協会。

▲自由報道協会での記者会見の様子

 会見の冒頭、坂弁護士がこの裁判の三つの論点を整理した。一つは「リツイートで名誉棄損が成立するのか」、二つ目は「原告の社会的信用を低下させていないので、名誉棄損は成立しないのではないか」、そして三つ目は「当該リツイートが名誉棄損に当たるとしても、判例から相当性が認められれば、表現の自由重視の観点から免責される」ことだという。

 岩上安身は中小企業を経営する友人の「僕だったら、金を払いますね」という言葉を受け、見えないところで同じようなことがおこなわれていたら、あるいはこれからおこなわれるとしたら大問題だと主張する。応訴しなければ、「リツイートしたら100万円」という悪しき前例を残してしまうことにもなる。

 一方で、応訴した途端に饒舌になった橋下氏が言うように、リツイートをツイートと同一視することは絶対にできないと、岩上安身は二つの理由を挙げている。一つは、それは意見の表明とは限らず、同意とは限らないということ。もう一つは、故意性のない事故性というものがリツイートには必ずつきまとうということ。

 名誉毀損裁判は本来当事者間の利害対立の問題であり、第三者にとっては必ずしも関係があるとは限らない。しかし、今回のケースは日常的にツイッターなどSNSを使っている人であれば、誰の身にも降りかかり得る話であり、そういう意味では公益性の高い裁判になるものと見られる。それにしても、なぜこれほど異様な提訴をしたのか、岩上安身はぜひ橋下氏にたずねてみたいとも語った。

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■ハイライト

■全編動画

  • 会見者 岩上安身氏(ジャーナリスト)、坂仁根氏(弁護士)
  • 日時 2018年1月22日(月) 16:00~
  • 場所 寿パークビル会見場(東京都渋谷区)
  • 主催 公益社団法人自由報道協会

ツイートとリツイートは、全く別のものである。今回の裁判はその違いについて考えるものになる。だからこそ、公益性の高い裁判になるだろう。

山口「本日は(大雪で)足元が大変悪い中、公益社団法人自由報道協会主催の記者会見にお集まりいただきまして、ありがとうございました。

 本日はジャーナリストの岩上安身さんと弁護士の坂先生、お二人の記者会見です。事前にお知らせしておきましたように、岩上さんが昨年、元大阪府知事の橋下徹さんからツイッター上の表現活動について、名誉棄損による損害賠償請求の訴訟を提起されたことに対して、岩上さん側のご主張をおうかがいしようということでございます。

 これは民事上の争いですので、今日は一方の当事者である被告の岩上さん側の会見ということで、当協会の定めにより公平を期するために、原告側の橋下さん側にも本日この時間に岩上さんが会見をおこなうということを通告し、さらに橋下さん側にも会見の要請を出しております。

 週末ということもあると思いますが、岩上さんの会見が始まる現時点まで、橋下さんサイドからの返事はいただいておりません。もし何らかのアクションがあれば、協会のホームページおよびニュースサイトで、再度告知させていただきたいと思います。

 それでは岩上さん、坂さんよりまず概要をお話しいただき、そのあとで質疑応答とさせていただきたいと思います。それでは、岩上さんよろしくお願いいたします」

岩上「はい、よろしくお願いします」

坂「では、まず弁護士の坂の方から事件の概要、今どういうことが起きているのか、それを説明したいと思います。

▲坂仁根 弁護士

 昨年12月15日に、元大阪府知事の橋下徹氏がここにいらっしゃる岩上さんを被告として、名誉棄損を理由に110万円の損害賠償請求を大阪簡易裁判所に提起しました。内訳は100万円が名誉棄損に対する慰謝料、10万円が弁護士費用です。

 それで、被告である岩上さんがなぜ大阪まで行かなければならないのかというと、実は不法行為の案件ですので、その場合訴えた者勝ちなのです。被告は原則として、訴えられた裁判所に行かないといけないのです。そこで岩上さんの訴訟代理人となった梓澤(あずさわ)および私(坂仁根)から、大阪簡裁に移送申立書を提出しました。これは民事訴訟法に規定により、当事者間の公平を失するものとして、東京簡裁あるいは東京地裁への移送を求めているというのが現状です。では、どういう風に公平性を失するか。それがこの裁判の論点となり、三つあります。

 まず一つ目は、リツイートで名誉棄損がそもそも成立するのか。ご存知のようにリツイートはワンクリックでできてしまう行為ですので、そうした他人の意見あるいはツイートを紹介する行為が、名誉棄損行為に当たるのか。これがひとつ。

 二つ目。リツイートした内容はすでに多くの人に知られていることであって、これは本人の社会的信用を低下させることにはならないので、名誉棄損はそもそも成立しないのではないかということです。

 裁判上、原告側はそのリツイートの内容が名誉棄損に当たると言っていますので、その内容を今ここでつまびらかにすることは、また名誉棄損に当たると言ってくる可能性がありますので公にできないのは残念ですけれども、期日になれば、それは法廷の場で明らかになります。

 それから、三つ目。百歩譲って、そのリツイートが名誉棄損に当たるとしても、判例により公共性、公益性および真実性、あるいは真実であると信じたことについて相当性が認められれば、表現の自由重視の観点から、これは免責されます。ですから、それも今後法廷で争うことになると思います。以上が訴訟の概要です。

 では、岩上さんからお願いします」

岩上「はい、岩上です。皆さん、よろしくお願いいたします。

 お騒がせしておりますけれども、今回の名誉棄損の裁判ではいくつか合点がいかないと言いますか、大変問題を孕んでいると思っております。名誉棄損裁判というのは誰かライターなり、ジャーナリストなりが何かうかつな表現を書き、それで名誉棄損だと言って争われる。当事者間の問題であって、他の皆さんにとっては野次馬で済む話なのです。

 しかし、今回に限って言えば、そうではない。誰の身にも降りかかり得る話であり、そういう意味ではここにいらっしゃる、数は少ないですけれども、私とは違う客観的な立場でものを書ける、あるいは表現し得るライター、ジャーナリスト、メディアの皆さんに、しっかり第三者の目から見て問題点を指摘し、広くこの裁判のおかしさや問題点、あるいは提起した新たな問題性というものを、考えてもらいたいと思います。

▲岩上安身

 まずは、リツイートとツイートというものは、全く同質のものであるのかという問題です。リツイートはツイートと同じだというようなことを、橋下さんは突然書き出しました。

 まず第一に、橋下さんはこの件に関してうんともすんともずっと言ってこなかったのです。私がリツイートしたのは10月なのですが、当初は全然何も返ってこなかったんですが、後になっていろいろお書きになっています。『すごく大きな責任を有するのだ』『リツイートひとつでも十分名誉棄損に値するのだ』『判例もあるのだ』と。『判例もある』と言っても地裁のものであり、最高裁で確定しているわけではありません。これを錦の御旗に、これで確定だというようなことを言われても困るわけです。

 このツイートとリツイートの違いについて、今回は考える裁判になるのではないか。多くの人は、たくさんリツイートをしています。そのリツイートが、どのような影響を持ち得るのかということを考える上でも、大切ではないか。そういう意味で、これは公益性がある裁判になるのではないかと思います。

 ツイートと、単なるリツイートと、コメント付きの引用リツイートというのがあります。私がいわゆるリプライをするとか、引用した上でコメントを添えていたら、それだけで、それは私の主観を表明しているわけです。そこは短い言葉であれ、私が故意に自分の意志で文章を書いたのと同じで、これはツイートしたのと同じだと思います。つまり、私の意見表明であったということになることは間違いありません。

 純然たるリツイートとはどういうものかと考えますと、例えば、最近はマスコミの方々、特に朝日新聞の方々などは自由にツイートをおやりになられていて、そこでは『朝日新聞記者の××です』『これは会社の意見を代表するものではありません』、そして『リツイートは私の完全な同意を意味するものではありません』と書かれています。

 ツイッターというのは大変便利なツールで、相互の情報を瞬時にいろいろなところから収集し、検証し、あるいは必要があれば『これはこう言われているが、違うのではないか?』と新たな情報をつけ加えたり、こうしたやり取りを通じて真実に近づいていくこと、コミュニケーションを通じて真実に近づいていくことが可能なメディアです。それがSNSの素晴らしさであり、それが今日地球上を覆っているわけです。

 このリツイートというのは全面的な同意にもとづく、私の意見表明そのものではありません。これが、一般的な解釈だろうと思います。人によっては備忘録的な――私も備忘録として用います――あるいは単純に驚いたことについて後で調べてみようと思い、メモしておく。私のお気に入りやリツイートには、私の意見とは全く違うものをたくさん残しています。特にお気に入りなどはひどいものです。私に対する批判などもいっぱい残しています。

 しかし、拡散するという行為になりますから、ある程度拡散することにより反応が得られて、その反応によって「岩上さん、それは間違っています」という場合もあります。あるいは私のほうが見て、『××さん、間違っています』『そこは、少し事実と違うのではありませんか?』などとやり取りし合うわけです。そこでお互いに修正していき、真実にたどり着く。デマツイートが流れたり、悪意はなくとも誤解やデマや間違いが流れても、ミスが流れても、いろいろな人が次々に修正をかけていくことにより真実に近づいていく「集合知」として、そうしたコミュニケーション行為が行われる場──それがSNSの言論の公共空間だと思います。

 したがって、何かツイートがあれば、そこに間違いがあり、問題があれば、お互いに意見交換をする。当事者性があれば、その当事者が、『それは少し言い過ぎではありませんか?』っていうことも含め、もっと厳しい言葉で言ってもいいとしても、まずはそこでやり取りをするものだろうと思います。これが、一点。

 それともう一つ、コメントを書くという行為。純然たるコメントを書くことと、コメント付きの引用リツイートを書くことと、ツイートと完全に違う点が一点あります。それは誤作動とか誤操作、これが明らかに起き得ます。

 私は今iPhoneを持っていますが、近年(カバーを)蓋付きものにするようにしました。それ以前はそのまま裸で持ったり、あるいは(カバーに)蓋のないもの持ったりしていました。そのままポケットに入れていると、ツイッターなど開きっ放しだったりするせいもあるでしょう、ロックさえしていなかった時期もありました。すると、ツイッターで『れれれれれ』とか『ゆゆゆゆ』とか『あれあれあれ』みたいな誤作動を、ポケットの中で起こしてしまい、それを発信してしまうということが過去何回かありました。そのような、全くのミスというのがあるわけです。それでしばらく、皆さん、和むわけです。『岩上さん、何を書いているのですか?』って言われながら、『ああ、どうも失礼いたしました』というふうに。

 ツイート機能だけではなく、リツイートだって同様のことが起こり得ます。自分が、『あれ? これリツイートしたのかな?』と思うようなものをリツイートしていたり、誤作動、誤操作、ミス、そういうことが起こり得ます。過失が起こり得ます。これは文字を書いて、書いた文字に過失が起こり得るかって言ったら、起こり得ないですね。

 わざわざここにタイピングして書いたものについても、起こり得ないと思います。ですので、リツイートではそのような過失が起こる。本当に単純ミスも起こり得るものです。そして、そういう単純ミスも含め、あるいは自分が少し引っ掛かると思って、備忘録のために――これは一般論です――メモだと考えてリツイートしても、後でよくよく考えると、ツイッターというのは常に誰かしらの色がついていますから、意見表明されていますから、皆リツイートしたものと同じ意見ではないわけです。

 皆、多様なわけです。この多様性が素晴らしいわけで、ですからもともと全く同じ意見であるはずがないのです。そのような多様な意見であっても、これは備忘録のつもりでも結果的に拡散することになってしまうなら、拡散するのはやめておこうかと取り消すこともあり得るでしょう。一般論として。ここはすべて一般論として申し上げております。今回の件がこうだとは言っていません。

 したがって、リツイートが非常に由々しき問題だとして、誰かを傷つけ得るとして、誰か傷つけられた人がいたとして、あるべき順番としては、リツイートして拡散している人がいたら、『ちょっとやめて下さい』『これは大元に、拡散の問題を含んでいますよ』と、私は言われたことがあります。例えば『これは、岩上さん、誤りを含んだ内容ですよ』と指摘され、『どういうことですか?』と回答して、やり取りをして、その上で『なるほど了解いたしました』ということでリツイートをやめ、『ご指摘ありがとうございました』あるいは『お騒がせしました』というようなケースもありました。それは間違って押したものであれ、そうしたこともありますし、自分で『これは、おかしい』と思って取り消していくってこともあります。

 したがって、自ずから過ちや単純な誤作動まで含んでいるわけです。ツイートおよび、コメント付きツイートには誤作動というのはないですね。よほどのことがなければないと思います。こうしたことを、橋下徹さんは確認したのでしょうか?

 橋下徹さんはですね、『報道ならば、電話をかければ済むことだ』と言っていますが、私は報道としてツイッターをやっていません。正式の報道としてやっているわけではありませんから、ツイッターで自分がクリップしたと、今回そうだったかに関してはノーコメントですが、もしかしたら誤作動だったかもしれませんが、ノーコメントにします。徹底してノーコメントを貫きますが、それを報道だと決めつけて、非常に強い悪意を持って、私がおこなったかのように言っているわけで、『あなた、間違っていませんか』と一度でも言ったでしょうか? 一度も言っていません。

 確認行為もなければ、訂正を求めるという言葉もない。ツイッター上でのやり取りもDMも、あるいは個人としてメールを送るとか、それから手紙を貰うとか、これだけ通信手段がある、これだけツイッター上でやり取りができる、そして、あれだけツイッター上でありとあらゆる人に噛みつき、ありとあらゆる人に気にくわなければ厳しい言葉を投げかけて論戦を挑む橋下さんが、一切の沈黙のもと、通常であれば様々なかたちで訂正を求める、議論をする、『ああ、それは失礼しました。それでは、取り消しておきます。申し訳ありません』というようなやり取りが生じ得たかもしれないものを一切割愛し、かつ元はともかく、そのリツイートが気にくわないわけです。私は何のコメントもしてないわけですから。そのリツイートを消してもいる。リツイート効果というものがなくなっている。その状態から、内容証明というものすら送ってこないで、いきなり訴状を突き付ける。これは、常軌を逸しているとしか言いようがないと思います。これが、要するに沈黙の中でおこなわれたわけです。私はこれが、もし判決で確定するようなことがあったら、大変な社会的影響があるのではないかと思います。

圧倒的な影響力を持つ橋下氏は、弁護士として自分一人で訴えを起こす力も備えた特権者。そういう人は力の行使に関して慎み深くあるべきだ

 というのは、この訴状を受け取った直後、私は親しい友人と食事している時に、訴状の話をしました。彼は早稲田の後輩で、間接的に人をたどると橋下さんの友人もいます。ですから、そういう人間関係もある。そのとき、彼がいきなり『僕は、争いは嫌だ』と言うのです。彼は中小企業の経営者ですが、こうした何かおかしなことでも賠償を請求してくる人間はいる。けれども、相手が非常に権力を持っている場合、大変ややこしいことになる、とても怖いと。『僕だったら金を払いますね』と、彼はいきなり言ったのです。これには、本当に仰天しました。その後、彼と30分ぐらい議論しました。『僕だったら自分で間違っていないと思っても、先輩の言うことはわかるけれども、もうはっきり言って金を払います』と言い、『「リツイートした」と指摘され、それで「迷惑だった」と言われたら、争うのは怖いです。相手があれだけの有名人だから』と。それでは、私のケースでそれが通っていいんでしょうか?

 勘違いしないでいただきたいのは、橋下さんは言論空間でいつも仰々しく、にぎにぎしく、賑やかに、いろいろな人とバトルをしているじゃないですか。今回は、その果てに起こったことではありません。ひっそりと黙ったまま、突然訴状が届いたということです。誰も知らないのです。誰も知らないのだったら、これでお金を払っておけば済むのか。彼はああいう場に引きずり出されて、いじめられたら怖いと、こういうわけなのです。

▲岩上安身

 これを聞いて、世の中にはこんな考え方をする人間もいるのだと。こんな風にツイッターという言論の場に引きずり出されて、引きずり回すように叩かれる。『アホ』や『バカ』とまで言われるのはたまったものではないから、それだったら観念すると。自分が正しいと思っても、観念すると言うのです。

 このケース、見えないところで同様の行為がおこなわれていたら、あるいはこれからおこなわれるとしたら、ものすごく問題になるのではありませんか? それは、『リツイートしたら100万円』という、悪しき前例を残してしまうことになりはしませんか? これは、ものすごく重大な問題です。

 ですので、これが私のコメントでもなく、そこにコメントを添えもせず、本当にリツイートしただけで、しかも消してあるものをもって100万円を払えという行為は、尋常でない訴権の乱用です。

 彼は大変強者の立場にあるわけです。元政治家であり、大言論人であり、TVタレントであり、圧倒的な影響力を持っていて、かつ弁護士として、法律家として、自分一人で訴えを起こす力を持つ特権者です。そういう人は力の行使に関して、慎む、改める、あるいは控える。で、一定程度の手続きをとって、脅かすのではなく、『これはおかしいのではありませんか?』という連絡を入れる。その上でいかんともし難く、裁判にならざるを得ないのであれば、裁判に及ぶというのが、当たり前だろうと思うのです。一般人でも当たり前。まして弁護士であれば、訴権を持っているのですから、その訴権の乱用を慎むべきであろうと思います。

 そういう点からしても、私に何らひと言もなかったこと、沈黙の中で訴えを起こしたこと。それで、彼は私が沈黙を破ると、急にこんなに饒舌になり出した。だから、沈黙の中でやり取りをして、私が仮に気が弱くて、金を払ってしまうということもあり得るわけです。応訴しないで金を支払うと、彼はこういうことをしなかったのだろうと思うのです。私が応訴すると言うまで、彼は全くもって自分の正当性を表明するという言論行為をしなかったことが、彼の目的のいかがわしさというものを表しているのではないかと思います。

世間が知らないところで、訴状が突然届くということは決してあってはならない。だから世に広く知らしめて、問いかけたいと思う。

 リツイートはツイートと同じだと、同一視することは絶対にできないということ。その理由は二点、ひとつは、それは意見の表明とは限らない、同意とは限らないということ。もう一点は、そのツイート並びにコメントは、確実にその人が意思を持って書きますけれども、故意性のない事故性というものがリツイートには必ず付きまといます。ですので、それをもってして確認もすることなく、おっちょこちょいにも裁判に及ぶということ、まして取り消し後に及ぶということ。これは、非常識甚だしいやり方ではないかと思います。

 もし私の故意性というのを明らかにするのであれば――私はこのノーコメント貫きますが――彼には私の故意性を明確に立証していただかなければなりません。私を調べていただければわかりますが、私はこのテーマを延々と、例えば他のところで書いたりなどして来たわけではありません。しつこくくり返し、何度も、何度も、彼が嫌がっているテーマについて論及がおこなわれていたというのであれば、私に故意性があることになるでしょうが、他に一切ないわけです。それをもって、私が執拗な攻撃を加えたと言うことは難しいでしょう。

 また、『私は許せないことがあるんだ』と言って三つ並べているのですが、三つの中で、『出自に関する差別的な応答』というのがあります。これは誰にとっても許されざることです。大変な問題がありました。ある週刊誌がある作家を起用して、橋下氏の出自に関わることを書こうとした。それが連載中止になったという事件がありました。私はこういう問題に関して書く側のほう、出自を暴き立てる側のほうのむしろ批判者であり、橋下さんがそのことをオープンにするのは、橋下さんの自由かもしれないけれども、外部が書き方を誤って、その出自を少しでも揶揄するような書き方をすることには、大いに反対です。これは絶対的なタブーと言ってもいいと思います。その絶対的なタブーと三つ並べて書くわけです。私があたかもこの一番目のタブーと同等のタブーを破る、大変けしからん言論行為をおこなって、どうあっても許されないと。

 『政治家になってから今に至るまで、無数の誹謗中傷を受けて来た。それは普通の人なら立ち直れないほどのものだった。それでも基本は我慢してきた。どうしてもこれは許せないというものだけ、いくつか訴訟を起こした』と言っています。それは、私に該当するのですか? 私のこのリツイート行為というものを、『リツイートした事実』と言っていいでしょう、私がうっかりボタンを押したかもしれないことも含めて、そしてそれに気づいて消したかもしれないという可能性も含めて、あなたは確認した上で、これを、『どうしても許せない』と。そして、それが出自に関する差別的な報道と並べて言うほどのことなのですか? ここには明らかな、強い印象操作を感じます。ここは、非常に残念なやり方だなと言わざるを得ません。同じような目に遭ったら、同じように飛躍される人がたくさんいるでしょう。そういうことも含め、こうした書き方をするのも非常に問題であると思います。

 彼は、私が故意にリツイートしたかどうかということを膨らましているわけですが、その膨らましたことの推認は何の確認も取っていないものです。そして、それについて客観的な裏づけもできるものではありません。

 逆に、その問題はたくさんの人々が報じています。府議会で問題になり、答弁もご本人がされています。なぜそれだけの膨大な情報のある出来事について、私のワンリツイートについて100万円なのか。これは不当ではないかと言わざるを得ないと思います。

 私も過ちを犯さない人間とは言いませんから、何かしら過ちを犯したときに抗議を受ければ、それは訂正し、謝りますし、ネット上での私どもの報道発言にも過ちがあった場合、直ちに改め削除訂正、そして、謝罪するということはスピーディーにしています。ご指摘いただいた方々にも感謝を申し上げております。

 しかし、今回のケースはそれらとは全く質を異にするものです。そして、私自身だけではなく、これがまかり通れば、誰に対してでもまかり通る。目に見えないところで訴状が突然届くという、世間で知られていないことは起こり得ることだと思いますが、決してあってはならないこと。だから世に広く知らしめて、これは問いかけたいと思っております。以上です」

▲自由報道協会での会見の様子

山口「はい、岩上さんどうもありがとうございます。坂先生ありがとうございました。

 それではですね、せっかくですので質疑、その他ですね、質問がある方は、挙手をしていただき、名乗った上で、質問をしていただければなと思います」

大阪府知事時代、大手メディアが黙殺した橋下氏の「関空受け入れ発言」を岩上安身が報じた。当時は関西テレビですれ違えば、あいさつを交わす程度

記者1「『オリーブニュース』と言いますが、お世話になっております」

岩上「『オリーブニュース』さん。お世話になります」

記者「1「2点完結に。まず一つは今回の件について、なぜここに来て取材しようと思ったかと言うと、SNSの萎縮ということもあるんですが、表現の自由の問題のかなりセンシティブなところがここに入っていると思っていまして、それで駆け付けて来たと。これが来た理由です。

 それから、次に法律的に言いますと、まず、これは弁護士の方でもいいのですが、お答え願いたいのですけれども、今回の事件の行為についての評価。事実も含めて――言えない部分もおありのようですので、そこは言わなくてもいいですけども――この行為の評価、つまり行為としての事実、リツイートしたことなども含めてその内容、これは実際どこが問題なのかということをお訊きしたい。

 もうひとつは、今度は結果の評価。これは結果の評価というのは、いわゆる名誉棄損ですので、社会的評価を下げないといけないのです。社会的評価がどう下がったのかということに対する、行為と結果の間の因果関係。これが、私どもにはよくわからない。ツイートは、中身はわからないんですが、どうも岩上さんがリツイートをしたようだと。何についてしたかは今の時点で、消されてしまった。今の時点では、まだ中身は結構ですので、はい」

岩上「大阪府知事時代に大阪府における職場形成、環境形成に関わることという程度の曖昧さであればいいだろうというふうに一応、弁護士との間では合意しています。そうしたことです」

記者1「そういうことですか。それが内容ですね。そのような内容のことについて、リツイートをしたと」

岩上「そうですね」

記者1「まずは行為のリツイートに、実際に不法性があるのかどうかについての弁護士のご見解は? もう一つは、それによって起きる結果、社会的な評価。これは名誉を棄損しなければいけないので、実際に何を棄損したんだろうか?私どもは実はIT業者ですので、一般の法学者とは違って、何を見るかというと広く、例えば、そのリツイートをした時の前後を見て、特にその後、例えば橋下さんのフォロワーが大きく減ったとか、それから、そのリツイートをしたことによって更なる大きなリツイートの拡散が発生したとか、それにもとづいてその内容がより広く、どれだけ拡散されたかという事実。これは我々は、『どよめき』とか『ざわめき』とか言うのですけれども、実はIT業者はこれを実際に測定ができるのです」

岩上「へぇ、じゃあ、炎上商法の場合はどうするのですか?」

記者1「炎上と言いますと?」

岩上「炎上することによって、フォロワーが増えてしまうような場合は、つまり、けなし合い、『けなされたぞ』と、それで『反論するぞ』と言って」

記者1「炎上の話はまた別の問題で、そうではなくて、ある言葉──ツイートとか『いいね!』とか、動画だったりとか、写真報道もありますから普通の画像など、そういうものが投げ込まれた時に、それがどういうふうにして波及されたかという事実が、インターネットはデジタルなので追うことができるのです」

岩上「なるほど」

記者1「ヤフーなんかはやっているわけですけれども、私どもIT業者ですので、例えば岩上さんが何か言った、リツイートの数くらいわかりますよね?」

岩上「面白いですね」

記者1「リツイートの数くらいわかるでしょうけども、それから更に、それが、どの程度拡散していったか。

 更には、どの程度リツイートの向こう側にリスナーがいたか。それは言ってみれば、SNSの親玉は皆知っているわけです。それはある程度客観的に、それはサーバーの中でしかわからないのだけれども、客観的に実は検索を使って調査をすると、こうした増減のグラフができるわけです。

 そうすると、岩上さんがここで何か言って、その結果…『結果』というのは社会的評価が下がらなければいけないので、何かすごくその言葉に対して、そのリツイートに対して因果関係として、例えば、橋下さんのフォロワーが激減したとか、大量のコメントのリプライがあって迷惑をしたとか、そういうようなこと。

 それからさらにもうちょっと大きな言葉で言えば、そのリツイートというのは、グーグルの検索で全部持ってきますので、それが山なりになるわけです。非常にたくさんそれが拡散したかどうか。事実は、ある程度専門の業者であれば調べられるのですけれども、調べるとそのコストのほうがかかるだろうから」

岩上「すいません。今おっしゃったようなことが事実として訴状に書かれているかというご質問ですか?」

記者1「それはさきほど言いましたように、社会的評価を下げたかということで…」

岩上「今、お答えします」

坂「やはり、橋下氏のフォロワーが減ったとか、あるいは岩上氏のリツイートが頻繁に再びリツイートされたとか、そういうことがあれば、やはり名誉棄損を前提に成立したとして、損害が大きくなる要素ではあります。ただし、そのような我々ユーザーレベルでそういう事実は確認しておりません。今後、もう少しデータを詳細に確認していくことになると思いますが、ユーザーレベルでは今のとこありません」

記者1「そうですね。私ども、直感的なのですけど。他の方もいいですか?」

岩上「今ちょっとお聞きして、『オリーブニュース』って聞いたことがあったのですが、『オリーブニュース』がIT業者とは知らなかったです。ネットメディアかと思っていたんですが」

記者1「ネットメディアですが、私もIT業者なので」

岩上「調べられるのでしたら、調べていただきたいなと思います」

記者1「リツイートが消えてしまっていますので…」

岩上「やり取りがちょっとあまり長くなると…簡潔に。調べてもらえるのでしたら、調べてもらいたいと思います。ただし、その具体的な事実について、今はっきり言えないという隔靴掻痒なところはお許し願うとして、しかしこのことは大阪府知事時代に非常に大きく話題になり、取り沙汰され、問題視され、報道になり、府議会で問題になり、答弁もしている、そういう出来事なのです。

 つまり、例えばネットでググれば、山ほど、具体的な、それについての情報を得ることができるわけです。そして、その具体的な情報を得ることができる状態の中、過去にこういうこともあったというツイート──そういうツイートにリツイートしたことが、本来報じていることです。こちら側に本丸が数多くあるわけです。ここにツイートしたツイート主、本来これが気にくわないっていうのだったら、この人に行くべきでしょう。それをリツイートした私に、なぜ来るのですか? これがまず理解しがたいところです。だから、気にくわない人物なんだと思うのです。気にくわない人物が何かでリツイートした、しめた!ということで叩くことができる。

 橋下氏は反論の中でいろいろと言っていますけれども、例えば『岩上氏は僕の訴訟を言論弾圧のスラップだと批判する』と、『それなら光市母子殺害事件弁護団に関する僕のTV発言について、僕を訴えて来た弁護団や、その発言をもって僕を業務停止2ヵ月にした弁護士会を批判したのか』と言っているのですけれど、これはなんのことですかと。何の関係があるのですかと。

 彼がこの訴状において問題にしているのは、このワンリツイートのはずです。しかし、何ら関係のないことまで含め、お前はこれをやったのかというふうに範囲を広げ、そこでの私の言論活動全般に何かしらの不満があったことを、その一点に集中しておこなう。これはやはり、乱訴ではないかと言わざるを得ない。

 そして、それはあってはならないことですし、私にとって迷惑だというだけでなく、誰にも起こり得ることで、大変問題ではないかなと。そういう意味で、これは確定で判例があるかのように書いていますけど、最高裁の判例でもあるまいし、冗談じゃないというふうに思っております」

山口「はい、じゃあ、他に質問はありませんか?」

坂「ちょっと細かい点ですが、訂正させていただきます。府議会で問題になった事実であるのは間違いないです。ただ委員会でしたので、橋下氏はそれに対して答弁はしていなくて、記者会見でいろいろ発言した。答弁ではなかったのです」

岩上「発言があったということですね。私が答弁という言葉を訂正します」

山口「はい、じゃ、そちらの方」

吉岡「お話しありがとうございました。リテラの吉岡と申します。お世話になっています。

 ちょっと先ほどの方とも質問が重なる部分があると思うのですが、少し岩上さんにお話をうかがいたいのですが、お話しの中で、今回の訴えられた内容というもの、個別具体的なものと一般論と今回明確に分けてお話しされていたという印象なのですが、例えばお話しの中で、今回の訴訟でもし岩上さんが負けることになると悪しき前例になるのではないか、あるいはこの問題は誰にでも起こり得るのではないか、あるいは気にくわない人物を、訴権を乱用してそういったかたちで提訴する──いわゆるスラップ訴訟であったりとか、そういったものが起こり得るのではないかと、そういった事を一般論として懸念されているということは事実…」

岩上「そうですね」

吉岡「なるほど。つまり、その時の一般論というのは、要するにツイッターのユーザーが引用など論評しないかたちである意見表明であったり、記事とかをリツイートした『だけ』と言っていいのかわかりませんが、リツイートした『こと』それに対して、…」

岩上「莫大な責任が生じて、100万円の要求を、しかも消去後に100万円請求されるということがあっていいのですか? …という話です」

吉岡「なるほど、わかりました。ありがとうございます。

 では、それとは別に、今、一般論としてそういった懸念をしている、こういった悪しき前例になるんではないかと懸念しているのとは別に、今回の訴訟には個人的に威圧的であり、スラップ訴訟であるという風にお考えにはなっていると」

岩上「威圧的と言いますか、ちょっと言葉が足りませんでした。私も言論人だろうと思っています。そして私もちっぽけな存在ですけれども、それでは全くの私人で全くの一般人かというと、なかなかそうではないだろうと。顔を出して、名前を出して仕事をして来たわけですから、一定性の公人的な要素を帯びているだろうと思います。橋下氏は明らかに公人ですよね。そして言論人です。文化人であります。

 ここ一点はですね、坂弁護士と意見が食い違うところで、坂弁護士は『文化人』という言葉は死語であると言って、これは一体いつの年代の言葉を使っているのかと、私が書いた文章から赤字でカットしたのですが、私は『文化人』という言葉は生きていると思っているのですが。

 言論人であり、文化人であり、TVタレントであり、大変な発言力、影響力、そして現実に今、政界は引退したと言っていますけれども、彼の発言は政治家に影響をあたえています。総理と面会をしたり、あるいは自分はもう離れていると言っているのに維新の現役議員に向かって激しい言葉で叱責して──叱責というか罵倒ですね、そしてその議員がもう本当に憔悴すると言いますか、平伏すると言いますか、というような状態になる。それだけの影響力を与えているような存在です。

 で、彼はあらゆることをツイッター上で発表し、同時にいろいろな人に噛みつきもし、いろいろな人からもそれこそ噛みつかれ、批判を受け、それを丁々発止議論して来た人じゃないですか。そういう人がこの問題に関しては、やはり私がおかしいと思うのであれば、それは言論上でやるべきじゃないかと。

 出自云々というのは、言論上でやりづらい話です。だから、例えば誰か言っていることがあったならば、それは公開の囃し立てられるような場ではなくて、直にメールを送って『あなたが書いたことは、私を非常に傷つける言葉であって、やめてもらいたいと思う』と言うことは、物事のコミュニケーション上の筋なんじゃないですか?ということなのです」

ヨシオカ「それは全く同意するんですが、つまり今、スラップ訴訟という表現を使われたので、念のため確認させていただきたいんですが、そこは先ほどおっしゃったように、政治的な影響力が未だにやはり彼は持っているという風に…」

岩上「わかりました。『スラップ訴訟』という言葉が、何を意味しているのかどうしてもわかりませんけれども、『訴権の乱用』です」

ヨシオカ「『訴権の乱用』で。それは本当に私も全く同意するところなので、確認させていただきました。ありがとうございます」

タカハシ「タカハシと言います。フリーの記者ですが、一応『月刊タイムズ』という雑誌の名義で来ています。弁護士さんに質問したいのですが、これは『(ハ)第34687号、損害賠償請求事件』、別に閲覧制限はかかっていないのですね。橋下さんの訴状の方にはリツイートの内容だとか、元の投稿者の内容とか書いてある」

坂「全て書いてあります。閲覧制限もかかっていません」

タカハシ「では、見ることは可能ということですね」

坂「まだ第一回期日前ですので、期日後になるのではないかと」

タカハシ「わかりました。もう一つ質問させていただきます。訴状の中に判例は出ているのですか、何か?」

坂「訴状には判例は引用していません」

タカハシ「引用してない。とすると、リツイートが原因で名誉棄損が成立した訴訟っていうのは、過去にあるんでしょうか? 私、無学なのでちょっとわからなかったものですから」

坂「橋下氏の主張によれば、我々もまだ調査が追いついていないのですが、地裁判例があると言っています。最高裁判例はありません」

タカハシ「どこの地裁か、書いてありますか?」

岩上「あります。東京地裁 平成26年12月24日判決、それだけです」

坂「地裁判例というのはあくまで参考例ということですので、最高裁判例は事実上拘束力を持ちますけれども、地裁判例は他の裁判に対して拘束力を持ちません。あくまでも参考判例ということです」

タカハシ「それではどちらが勝つにしろ、最高裁まで争えば、それが判例になる可能性もあるということですね」

坂「あります。はい」

タカハシ「最後に弁護士さんから見て橋下さんは、公人の立場になるのかどうか、それはどういう判断をされていらっしゃるのでしょうか?」

坂「そこら辺も争って来るとは思いますが、こちらは当たるという判断です。ですから公共性、公益性の要件を満たすというのがこちらの主張です」

タカハシ「それから、不勉強で申し訳ないです。これ(ハ)って書いてますね、事件番号の前に。民事訴訟で大体東京だと、(ワ)が普通なんですけど、(ハ)っていうのはどういう意味です? 関西だからですか?」

坂「一覧表があるんですけど、私もそれを見ないとわかりません。関西の仮名もとの一覧表があるんです。それを見ないと私も大阪の事はちょっとわかりかねます」

タカハシ「わかりました。どうもありがとうございます。すいません、失礼しました」

男性「じゃ、ヤマダさん、はい」

ヤマダ「すいません、今の質問と重なったのですけども、その東京地裁の平成26年12月の判決というのが、私はわからなかったものですから、どんなような知見でどういう…」

岩上「私もわかりません。これから調べてみます」

坂「それを知ったのは12時間前なものですから、まだ調査が追いついてません」

ヤマダ「それから、岩上さん、いきなり沈黙の中からボンとナイフが突きつけられたというような話だと思うのですけれど、これまで橋下さんと何かやり合ったり、緊張感があったり、論議したりとかっていう、そういう身に覚えというか、そのようなものは何かありますか。なぜ橋下さんがいきなり岩上さんを狙うのか、僕たちもちょっとわからないのですけれども、その心当たりはありますか?」

岩上「一切ありません。心当たりじゃなくて、実際問題として、生で橋下さんに会ったことはあります。彼も書いているように、彼も印象深かったのでしょう、彼の府知事時代の記者会見に私は出席して、東京から大阪まで行って、当時はルーズで認められたのです。それで会見場に入って、質問をした。それは関空を使うという、あのアイディアについて。東京のメディアが全部抑え込んでいて、書かなかったのですよ。つまり、記者クラブは知っているのに、全部抑え込んでいたのです。ですので、私はわざわざ行って、『あなたは言っていますよね』って言ったら『そうですよ』って言って、そこで水を向けたら、自分でペラペラお喋りになった。

 私は前夜に『さくらや』で買ったカメラを持ちながら、それを撮って、そうしたら、そこの記者クラブはパニックになりまして、大騒ぎですっ飛んで、これがとうとう流れちゃったかと。何か協定があって、抑えていたのかどうか知りませんけど、水も漏れたという感じで。朝日の女性記者が寄ってきて『これは東京で大騒ぎになってるのですか?』と訊ね、『全然』『私は情報を聞いたのだけれど、なぜこれが出て来ないのか、当事者から確かめたかっただけです』というような、そういうやり取りがありました。そのことをどうやら彼は覚えていて、こういうやり取りをしましたということを書いていて、だから印象深かったんでしょう」

ヤマダ「それは何年前ぐらいの話ですか? 大分前の?」

岩上「多分、2009年ぐらいじゃないですか?」

ヤマダ「その一回きりですか? こう、やり合ったのは」

岩上「IWJとして、やり合うっていうわけじゃないのです。普通に質問…」

ヤマダ「橋下さんとしては、言いたいことを言った」

岩上「そう。やり合ったわけではないです。質問をして、彼が待ってましたとばかりに回答したということです」

ヤマダ「恨みを買うような話じゃないですよね?」

岩上「買ってないです。関西テレビで、私は週に一回『ニュースアンカー』という番組に出ていましたので、その前の番組に彼はいつも出ていたのかな。前後していたのですよ。それでメイク室でいつもすれ違う。その時に素っ気ないと言えば素っ気ないのですが、必ずお互いに挨拶して『どうもお疲れ様です』と言ってすれ違う。だから熱したような言い合いをしたとか、ぶつかり合ったとか、逆に親しくコミュニケーションしたとか、そういう機会はありませんでした。記者として当たり前のように質問をしたこと、それから同じテレビの出演者として、すれ違った時に『おはようございます』『お疲れ様でした』という挨拶をしたという以外には、生での接点ありません。

 ネット上では、彼が維新の指導者として、政治家として、あるいは府知事や市長として言っていることに関して疑義を感じることは多々あるわけですから、私はそれに対しては非常に厳しく批判することが多かったと思います。私個人だけではなく、IWJというメディアを立ち上げてからは、このIWJが選挙の取材に行って維新の候補者の皆さんの街宣を撮り、その時に質問し、そういった接点はそれぞれあったでしょう。私は全て把握していないですけれども。

 足立康史さんとは、何でもかんでも『バカ』とか『クズ』とか言う人ですから、我々に向かってもそういう暴言も吐かれたりしたこともあるので、その暴言に対して『おかしいんじゃないか』と、我々は書いたりしたことはあります。

 そういう言論上と実際の接点のところでは、先ほど言った二点ですね、

 橋下さんも、よく覚えてらっしゃるようですね。そういうふうなことです。何かそれ以外で、特段の接点はないと。

 橋下さんが他の言論人やジャーナリスト、例えば内田樹さんなんかにも噛みついていたこともあります。だから文化人の本当に有識者の方とも、激しくぶつかったりしていた。それらを見ていて、全く異質なやり方だったので、これは非常に驚きました。それで、こういうやり方が初めてのことなのか、知りたいですね。これが初めてのことなのか、それともこういう表では誰にも言わないだけど、こういうかたちでテーブルの下で『100万円』というやり方を、彼は今までにして来たことがあるかどうか。僕は知りませんが、教えてほしいと思います。で、その時どうだったのかということを、皆さん、お聞きになっていただけたらいいなあと思っております。表に出ている彼の振る舞いとは異質なやり方だなということ、そして、なぜ私に対してそのような異質なやり方をしたのかということ。私が『はい』と言って、黙って100万円を渡す人間に見えたのかもしれません。わかりませんが…そこは推測です」

山口「ごめんなさい、そろそろ雪で電車が遅れているという。最後の一人でよろしいですか?」

横田「フリーの横田一です。すいません、雪で遅れて。今の質問に関連するのですけれども、非常に異質なやり方で、これは何か背後に特定の政治的意図があるのじゃないかと推測せざるを得ないのですが、質問重なってしまうのですが…」

岩上「それはできれば横田節で、どんどん取材をしていっていただいて。例えば、今回は私だけではなくて、松井さんがらみで米山さんが訴えられています。で、米山さんを訴えているのと私を訴えているのは同じ弁護士なのです。担当が同じ方なのです。それからあと有田さんも訴えられたと。有田さんの弁護士は違う方のようです。ということで、何かキャンペーン期間中なのかなと(笑)いう気がいたしますけれども、それは私に聞かれても、訴えられてる側ですから。ぜひとも維新の会に行ってですね、『これは何らかの政治的な意図ですか?』『どういうキャンペーンなんですか?』『なぜこの三人なんですか?』など、得意のあの噛みついたら離さないスッポンのような質問力で、お聞きになって来ていただければなと思います。

 私のほうはわかりません。私が一体…本当に藪から棒です。本当に正直、びっくりしたというのがもう一番の、想像もできない。もちろんこの商売をやっていれば、内容証明を送られるとかありますよね。抗議文を受けるとかありますよね。あるいはもっと、『あなたおかしいじゃないですか』と言われ、『ごめんなさい。確かに私、間違えていました』、あります。そんなことは多々ありますし、名誉棄損の裁判をしたこともありますけれど、何のやり取りもなく、いきなり訴状が届くというのは私が知る限り前代未聞、仰天ですよ。そこで、何か激しい言われようがあったわけでもない。ぜひとも、これはどういうことなのか、彼に聞いてもらいたいと思います」

横田「米山知事を訴えたケースは、まだ松井知事とのやり取りが事前にあったので、まだわかるのですけども。そもそもおかしな話だと思うのですが、全く予兆がないまま訴えるというのは、確かに前代未聞なので」

岩上「そうですね。しかも私が彼を批判している文章を訴えたと、それに対して『何だこの批判は』と言って来て、やり取りがあって訴えるというのだったらわかりますよね。で、私はツイートもしているわけです。私がコメントしたツイートで、彼を厳しく批判しているものもあるんです。なぜそれをスルーして、リツイートなのかと。これはものすごく謎ですし、このリツイートというもので、100万円を取れるという話がまかり通っていくような世の中になってしまったら、それは恐ろしいことになるような気がします。だからこれは、何でこんなことをしたのですか?というのは、私は彼に聞きたいですね。で、皆さんも聞きたいと」

横田「どうもありがとうございました」

記者1「簡潔に、先ほどの続きで。まず弁護士の方に。法的な不法行為性については、僕は他のところの内容を読んではいないのですけれども、実はリツイートについては小さいか、またはない。それから社会的評価の低下についてはないのではないかと。これはどこを見ても、何か影響があったようには見えないと。これは一応、今のところの僕の見解ですね。で、先生はどのようにお考えか」

坂「我々の主張もそうです」

記者1「同じですか?」

坂「まずリツイートは名誉棄損行為にそもそも当たるのか。こちらは当たらないという主張です。それから、仮に当たるとしても、内容は名誉を棄損していない。社会的評価の低下をもたらしていない。これが二つ目です。という主張です」

記者1「そうですね。私はここに来るまでに若干調べたんですけれど、どこが具体的に評価が下がったのかと」

岩上「実害があって、はじめて損害賠償なのであって、それでは、何の実害があったんですかと。『それほど素晴らしい社会的信用を持ってたんですか?』とか、『傷のない名声があったのですか?』とか」

記者1「そこまでは、さすがに言えない(笑)」

岩上「いやいや、お示しいただいた上で、それが私のリツイートによって著しく傷ついたって言うのであれば、何かそういうことに関する最終的な根拠となるのだろうと思いますけれど、そうしたことは訴状には書かれていないですから、我々にはわかりようがありません」

記者1「最後に実際ツイートなどを拝見しますと、岩上さん、かなり憤っておられるというように思のですね。それで、それについて今後の戦い方について、対メディア的になさるのか、裁判でやられるのか、それについて最後お答えください」

岩上「これは裁判でやりたいかというのは、主体は自分が訴える側が言うことなのであって、もう降りかかっているのです。降りかかっているので、応訴しなければ、それはもう決着してしまいますから、100万円支払えという命令が下るだけですよね?」

坂「はい」

岩上「だから、そんなものに応訴するのは当たり前じゃないですか。受けて立ちます。何度でも言いますけど、こんなものは不当な『訴権の乱用』(笑)です──ということを貫きたいと思います」

山口「自由報道協会理事の山口と申します。私のほうからは二点あって、一点はさきほどのヤマダさんと同じで…身に覚えがあったかというのを聞きたかったのですけども、お答えいただきました。

 もう一点は、中身は言わなくて結構ですので、府知事時代の職場環境についてのツイートに対するリツイートという話だったのですけども、そのツイートの真実性というか、真実相当性についての評価というか、判断についてコメントしてくれますか?」

岩上「今それを言うということは、結局そこに何が書いてあったかっていうこと…」

山口「それ言わなくていいから」

岩上「言わなくていい」

坂「被告の主張としては、真実性があると考えます。それから、真実が証明できなくても、真実と信じたことについて相当性があると考えています。それが被告の主張です」

岩上「例えば、そのツイートしてきた元ツイートの人がいます。その元ツイートした人の意見表明というか、表現の仕方や方法、色というものはありますね。その色というものが人によっては過激に思ったりとか、受け止めようによっては攻撃的だなと感じるものがあったりとか、いろいろあり得るかもしれません。しかし、元ツイートについては元ツイートの方の話であり、私はそれをリツイート──何度も言うけど、リツイートにはいろいろな意味があるし、どんなかたちでしたのかを今、真実妥当性とか真実相当性があったと思ってリツイートしましたという話に繋げられては困るので、そのような判断の下でしたかどうかということに関しては、ノーコメントです」

山口「それは橋下さん側がそのツイートの中で、要するに事実無根という、なかったこととおっしゃったので」

岩上「だとすると、これを蒸し返して、そのこと全体を含めて事実性を延々争うようなことをやるのですか?という話なのです。それで、そのことが知られたくなかったというのが趣旨だったのではないのですか? そのことが沈静化している時に、何かものを言われたことが嫌だったというのが趣旨ではなく、これの事実性を延々争うのですか?という話になって来るし、それは複数のものすごい数の発言者や表現者がいるわけじゃないですか。報道もあれば、議員の発言もあれば、たくさんある。一体何をもって、そしてしかもそれをどう僕に責任を負わせてやるのですか? 単純に言って、常識で考えて、無理筋だと思いませんか?」

山口「常識で思います。はい。

 ということで、もう2時間近く経ち、今日は電車も遅れているということなので、岩上さん、坂さんの会見をこれにて終了させていただきたいと思います。それでは、会見のお二人に敬意を表して、皆さん、拍手をお願いしたいと思います」

(拍手)

岩上「どうもありがとうございました」

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  1. 佐伯 広宣 より:

     橋下徹という口から出まかせの嫌なやつ、しかも上から目線で知ったかぶりで傲慢、気持ち悪くて大嫌いです。正義の男の中の男、岩上さん。皆、良識ある人は皆みんな味方です。応援していますから頑張ってください。

  2. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

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    すべてのSNSユーザーが「当事者」となり得る言論統制。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/955750458127138816

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