「ツイートとリツイートは同一視できるのか」~橋下徹氏に不当なスラップ提訴された岩上安身が梓澤和幸弁護士らとともに会見――「削除済みリツイート行為に対する名誉毀損損害賠償請求事件」についての記者会見 2018.1.22

記事公開日:2018.1.22取材地: 動画
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(IWJ編集部)

 2018年1月22日(月)午後、IWJ代表でジャーナリストの岩上安身による「削除済みリツイート行為に対する名誉毀損損害賠償請求事件」に関する記者会見が、司法記者クラブと自由報道協会、二つの会場で相次いでおこなわれた。13時からは東京都千代田区の東京・霞が関 司法記者クラブで実施され、岩上安身の訴訟代理人である梓澤(あずさわ)和幸弁護士と坂仁根(ひとね)弁護士が同席した。

 ことの発端は昨年12月15日、元大阪府知事の橋下徹氏が岩上安身を被告として、名誉毀損を理由に110万円の損害賠償請求を大阪簡易裁判所に提起したこと。10月末に岩上安身がリツイートし、提訴前には削除されていたたったひとつの投稿に対して1か月以上が経過した後、何の前触れもなく大阪簡裁から訴状が届いた。この事件に関して、岩上安身が会見を開くのはこれが初めて。

 会見に先立ち、梓澤弁護士が「被告である岩上さんには、応訴の準備やそのための体力、弁護士費用、そして大阪に行くことによる交通費の支出」など巨大な負担がかかることから、当事者間の公平をはかるために、大阪簡裁に係属しているこの事件を東京簡裁または東京地裁に移送してもらいたいとの申立書を、大阪簡裁に提出したことを報告した(2月5日申し立て却下)。

 橋下氏は非常に名の知れた言論人であり、TVタレントであり、文化人であり、著書もあり、雑誌へ記事を書くこともあり、自分の名前が冠せられた番組まで放送されていた。またネット上でも、自分と意見を異にする人がいれば、果敢に論戦を挑むことは皆さん、ご存知の通り。その橋下氏がこの件に関しては一切の沈黙を守り、対抗言論の展開も、抗議メールのひとつもなく、さらには通常、提訴に至る前におこなわれる内容証明すら送られることなく、いきなり訴状を突き付けてきた。これは大変遺憾であると言わざるを得ない。

 こうした橋下氏の要求に対しては「争わず、金を払って終わらせる」という選択肢もある。「橋下氏など相手にしない方が良い」という言い方で、応訴しないことを進める人々も、ツイッターのタイムライン上には散見される。それが「大人の対応」だ、と言いたいのだろう。しかし、岩上安身は「SNSという空間の中で、不当な要求を容易にさせるような悪しき前例を作ってはならない。この件を広く皆さんにお伝えし、公論の場で議論をすべきであると考える」と応訴することを決心し、事のあらましを明らかにした。このリツイートに対するスラップ訴訟問題は、誰の身にも起こり得ることであり、SNSという公共性の高い言論空間と、そこにおける言論の自由を守るために、卒然として立ち上がることを決めた。

▲司法記者クラブでの記者会見の様子

<会員向け動画 特別公開中>

■ハイライト

■全編動画

  • 会見者 岩上安身氏(ジャーナリスト)、梓澤和幸氏(弁護士)、坂仁根氏(弁護士)
  • 日時 2018年1月22日(月) 13:00~
  • 場所 東京・霞が関 司法記者クラブ(東京都千代田区)

この裁判には表現の自由という大命題があり、これをめぐる論争がおこなわれる原告と被告それぞれの当事者間の公平をはかる必要がある

坂「それでは、記者会見を始めます。今回は、元大阪府知事の橋下徹氏が原告となり、被告であるジャーナリストの岩上安身氏に対して、名誉棄損を理由とする損害賠償請求をした事件です。

 まず、登壇者の紹介をします。中央が被告の岩上安身、それから、向かって右側が岩上氏の訴訟代理人である梓澤(あずさわ)和幸弁護士、それから同じく、私が訴訟代理人の坂仁根(ひとね)です。

 それでは、まず事件の概要について、梓澤より説明します」

梓澤「では、代理人の梓澤からご説明します。

▲梓澤和幸 弁護士

 2017年──すなわち昨年暮れの12月15日、橋下徹さんは、岩上安身さんのツイッターにおけるリツイートが橋下さんの名誉を棄損するということで、100万円の損害賠償請求訴訟を大阪簡易裁判所に起こしました。リツイートの対象となった元のツイートは、橋下さんの府知事時代の府政における人事管理、職場環境管理について批判する意見表明のツイートでした。事件番号は、『大阪簡易裁判所平成29年(ハ)34687号損害賠償請求事件』であり、同裁判所の民事7係に係属しております。

 なぜ、この東京地方裁判所の司法記者クラブで会見を開かせていただいたかというと、これから述べる理由で、この簡易裁判所に係属している事件を東京簡易裁判所または東京地方裁判所に移送してもらいたいという申し立てを、大阪簡易裁判所にしました。したがって、その意味で東京に関連が出てくるということでございます。

 橋下さんは名誉棄損による不法行為を理由として、不法行為の場合、持参債務ということで義務履行地である、原告の住所地を管轄する大阪簡易裁判所に訴訟を提起したものです。その点で法律上確かに管轄がありますが、大阪にこの訴訟が係属したことにより発生する問題を移送申立書の中で紹介してありますので、その点に触れたいと思います。

 この裁判提起は、被告である岩上さんに応訴の準備、応訴の準備のための実際上の体力、加えて弁護士費用、それから大阪に行くことによる交通費──被告一人、弁護士二人行くだけで、一回9万円の交通費がかかりますが──の支出を余儀なくされます。被告本人のみならず、橋下氏や橋下氏が影響力を持っている大阪維新に対して批判的なジャーナリスト、それから言論人の言論の萎縮、取材報道の萎縮が起きかねないというところを指摘したいということを移送申立書で書いております。

 名誉棄損の定義はご案内の通り、公然と事実を指摘してひとの社会的評価を低下させるということでありますけれども、橋下さんが名誉棄損であると言っている元々のリツイート内容はすでに世上広範に流布された社会的事象に関する意見表明でありました。この点、事実適示なのか意見表明なのかは訴訟で争われることでありますけれども、私どもはこれは意見表明であるということを主張してまいりたいというふうに考えております。

 さらに加えて、被告の言い分として『リツイートというのを全部、元のツイートと同じように事実適示なり、意見表明そのものととらえるのか』という問題がありまして、その点については後で岩上氏からツイッターというSNSの特性、特徴について言及したいところであります。

 ここで、元ツイートの『意見表明』と考えておりますけれども、岩上さんのリツイートが仮に法律的な問題になるとしても、これは意見表明のリツイートですから、意見表明というのは広く『フェアコメントの法理』と言いまして、憲法21条の表現の自由が保障されております。そうすると意見ですからお互いにやり合って、相手の社会的評価が下がることもあると。

 しかしながら、その時に意見の根拠となっている(『意見根拠事実』と言いますけれども)意見が公共の利害にそもそも関わり、かつその意見表明がもっぱら公益をはかることにあった場合には、意見または論評の基礎となっている事実が真実である、または真実相当性があれば、不法行為責任を負うことはないという最高裁判例が確立しております。

 平成9年9月9日の最高裁判例(※1)というのは非常に有名な判例でございますけれども、したがって、この点でそもそも事実適示なのか意見表明なのか、それから意見表明だとすれば、意見表明の根拠事実が真実なのか、真実相当性があるかという点が訴訟の争点となるというように考えております。

 しかしながら、ここで移送申立に関係して来るのですが、こうした大阪で起こった事実関係について調査をし、主張の準備をし、立証活動をするということは、被告である岩上さん側に非常に大きな負担を余儀なくされます。

 特に、被告側として主張したいのは現に政治家である人、または橋下さんのように最近まで政治家であった人が、ジャーナリストや市民の批判、特にツイッターのような短い字数のインターネットメディアでは本来は言論、ツイッターという空間の中で打ち返すべきところ、いきなり狙い撃ちのように訴訟提起を、しかも遠隔地でおこなうということは、前にも言いましたように、体力や弁護費用や交通費などの負担を余儀なくさせ、結果として『これは面倒だなぁ』っていうことで批判や取材報道を萎縮するようになる。それは岩上さんのみならず、政治に関心を持って取材をするという人達の、一般の政治家に対する批判や意見表明を、特にこの人に対する取材や意見表明を、差し控えることになりはしないかと。ということであれば、そういう負担を避けるという公平をはかること、表現の自由という大きな命題があり、表現の自由をめぐる論争がおこなわれる原告と被告──当事者間の公平をはかる必要があります。

 こうして当事者間の公平をはかる時に、わざわざ民事訴訟法17条にこれは必要だという時は移送が認められることがあるわけで、東京にももちろん被告がいるという意味で普通裁判籍があるわけですから、東京簡易裁判所または東京地方裁判所に移送をしていただきたいと。これが結論であり、この点をご理解いただきたいということでございます」

坂「では続けて、岩上氏よりお願いします」

(※1)平成9年9月9日の最高裁判例:
<事件番号>
平成6(オ)978
<判示事項>
 一 特定の事実を基礎とする意見ないし論評の表明による名誉毀損において行為者が右事実を真実と信ずるにつき相当の理由がある場合の不法行為の成否
二 名誉毀損の成否が問題となっている新聞記事における事実の摘示と意見ないし論評の表明との区別
三 特定の者について新聞報道等により犯罪の嫌疑の存在が広く知れ渡っていたこととその者が当該犯罪を行ったと公表した者において右のように信ずるについての相当の理由
<裁判要旨>
 一 特定の事実を基礎とする意見ないし論評の表明による名誉毀損について、その行為が公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあって、表明に係る内容が人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない場合に、行為者において右意見等の前提としている事実の重要な部分を真実と信ずるにつき相当の理由があるときは、その故意又は過失は否定される。
二 名誉毀損の成否が問題となっている新聞記事が、意見ないし論評の表明に当たるかのような語を用いている場合にも、一般の読者の普通の注意と読み方とを基準に、前後の文脈や記事の公表当時に読者が有していた知識ないし経験等を考慮すると、証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を主張するものと理解されるときは、右記事は、右事項についての事実の摘示を含むものというべきである。
三 特定の者が犯罪を犯したとの嫌疑が新聞等により繰り返し報道されていたため社会的に広く知れ渡っていたとしても、このことから、直ちに、右嫌疑に係る犯罪の事実が実際に存在したと公表した者において、右事実を真実であると信ずるにつき相当の理由があったということはできない。
判決全文:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/550/052550_hanrei.pdf

リツイートには2種類ある──単なるリツイートと、コメントを付したリツイート。前者は完全な同意ではないし、誤作動も不作為もあり得る

岩上「はい。訴状が届いたのが、昨年の暮れでした。予兆のようなものは、全くありませんでした。

▲岩上安身

 通常であれば、例えば同時期に、日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事が米山隆一新潟県知事を名誉棄損で訴え、裁判沙汰になっております。しかし、これにはそれぞれのツイートで文言を交わし、直接的な議論や絡み合いもあり、その上で名誉棄損に至ったということが多くの人の目にふれております。当事者も、わかっております。

 そうした言論のやり取りがあり、しかしそれでは埒が明かない。『それならば、名誉棄損を提起します』と、内容証明を送る。そして、内容証明送って『それでは、提訴します』となり、最終的には応訴する。大筋、言論の世界において名誉棄損ということになるのであれば、こうしたプロセスを経るのが通常ではないかなと思います。

 まして、言論の手段や場を持っていない、巧みな弁舌で対抗言論ができない『言論弱者』(『弱者』という言葉が相応しいかどうかわかりませんけれども)で、他方は圧倒的な影響力を持つ言論人あるいはマスコミ人である場合は抗議なしに、いきなり弁護士とお話になって、名誉棄損を提起するということはあり得るかもしれません。

 しかし、橋下さんは言論人です。非常に名の知れた言論人であり、TVタレントであり、文化人であり、著書もあり、雑誌へ記事を書くこともあり、連載を持っていたこともあり、自分の名前が冠せられた番組(※2)まで持っていた。さらにネット空間でも活発な言論活動をおこなっていることは、皆さんご承知の通りです。そして、その日々の言論活動の中では、少しでも自分と意見が違う人があれば、果敢に論戦を挑むという姿勢が非常に顕著な方であり、時にはヒートアップすることもあるでしょうけれども、議論ということを常にされている──そういう方であったはずです。

 この件に限らないのですけれども、見落としがあるかもしれませんが、私は嵐のような橋下さんの議論に巻き込まれるという経験が一度もありません。私自身はジャーナリストとして、維新の政治活動のあり方や橋下さんの言動行動のあり方、公人としてのあり方について問題にして、ツイートしたことはもちろんあります。維新について報じて来たこともあります。そうしたことについて、まだ一度も反論などはありませんでした。そうした言論での反論が一切ない。もしかしたら一部、私の見落としがあるかもしれませんが、目立った反論はない。総体としてない上に、今回のこの件は私が自分の名前で故意にしっかりと自分の意志を持って批判をしたという話ではなく、リツイートです。そのリツイート一つをもって、いきなり訴える。

 これについても、例えばツイッター上で『こうしたリツイートをされたけれども、どういうおつもりなのか』とツイートすればよい。

 リツイートには2種類あることは、皆さん、よくご存じだと思います。一つはただ単に、相手の言っていることをそのままリツイートするということです。それからもう一つは引用リツイート。自分がコメントを付けるわけです。コメントを付けた文は、間違いなく私の発信になるわけです。その私のコメントの付いたリツイート、引用リツイートを指して、『これはおかしいんではないか』というようなことを言ってきたわけではないのです。いわゆる『リツイート』。他人が言ったことをそのまま紹介していくという機能です。これはネット社会において初めて開花し、SNSにおいて特徴的に現れてきた言論ツールだろうと思います。

 それでもリツイートはリツイートですから、もしかしたら、それが私の間接的な意見表明である場合もあるかもしれません。そうであれば、『岩上さん、これはいかがなものですか』と言ってくるのが普通ではないかと思うのです。しかし、そうしたことはありませんでした。『これはおかしいですよ』ということはありませんでした。今までこの件に関して、一切問題にするツイートを彼が書くということはありませんでした。そして、直接的な公共の言論の場で、私のことを問題にするということもありませんでした。

 その次の段階として、メールアドレスを公開しておりますので、メールあるいは手紙などで抗議文が送られてくる。『こういうことは、やめてほしい』『これは、誤解にもとづいている』『訂正してほしい』、そうしたこともありませんでした。そして、『これはもう、本当に我慢がならない』『言論上ではとても回復できない』『もう、訴訟もやむなし』というのであっても、通常であれば、内容証明を送るはずです。内容証明を送り、抗議が届き、これは自分のほうに非があるとして訴訟にまで行かない、話し合いで終わるということもあるはずです。ところが、いきなり訴状の送付です。これは、極めて遺憾ではないかと思います。

 これは「訴権の乱用」ということではないでしょうか? 要するに、我々通常の市民ではなかなかできない、名誉棄損の訴状というものを彼はやすやすと書けるわけです。そういう力を持っているわけです。資格を持っているわけです。そういう人が力を行使する時には、慎重であらねばならないはずです。いくつかの段階を踏むべきです。ましてや、彼は極めて著名な弁護士であり、言論人であり、そして言論活動を今も現役でやっている人であり、元政治家、そして現在も政治に影響力を及ぼしている重要な人物です。そうした人が、そうした言論上のぶつかり合いや議論、あるいはコミュニケーションといったものを一切避けて、話し合うということを全くせずに、あいさつ抜きで訴状を送りつけて来た。これは大変遺憾であると言わざるを得ません。

 もう一点私が申し上げておきたいのは、『元のツイートは一体何だったのですか?』と皆さん、お訊きになりたいところだと思うのですが、元ツイートを具体的に挙げてしまうと、こうした公の場で挙げてしまうと、それは二重にツイートを晒したということ、そもそも『ツイート晒した』と『何らかのかたちで他人に伝えたということが、名誉棄損に当たる』と言われているものですから、弁護士の方からそのツイートが具体的には何であるかということはこの場では言わないようにと言われております(※3)。皆さん、隔靴掻痒ではあると思いますけれども、このツイートに対してツイートをすることとリツイートをするということは同じ行為だと、このようなことも言われているわけです。

 橋下氏はこれまで一切沈黙を保って、いきなり訴状を突き付けてきました。しかし、私がこれに対して応訴いたしますということを、ネット上などで表明すると、橋下氏から反論の9連続のツイート。そこで、彼はどういう思いだったか、どういう論理があるか、『「たった一回のリツイートで名誉棄損になぜなるんだ」と岩上は言っているが、回数など関係ないんだ』『表現行為にどれだけ責任もつか』だというようなことをおっしゃっていますが、非常に軽率であると。私が一行でも二行でも、一言でも二言でもコメントを付けてリツイートをしていれば、それは間違いなく私のコメントです。そこに私の故意性や作為、考えが入ります。しかし、リツイートというのは他者の意見表明であり、それをリツイートする者は必ずしもその意見に全面的に同意しているということを表すものではありません。

 ここには新聞各社がいらっしゃると思いますけど、新聞記者の方はしばしば(自分のツイッターに)書かれています。『当社の考えとは別で、個人の意見です』と。それに『なお、リツイートに関しては、完全な同意を意味するものではありません』と判で押したように皆さん、書かれています。朝日はやっているけれども、共同出身の坂さんは『共同では使われていなかった』とおっしゃっている。しかし、いずれどの社でも使っていくことになるでしょう。ですが、常識的に『リツイート=全てそれに共鳴する』ということは原理的に言ってもあり得ないわけです。なぜならば、ツイッターというのは事実を伝えると同時に、そこにそれなりのその人の色と意見が混ざっているわけです。だから多様な意見があるわけで、その多様な意見に自分は全部賛同してはいないけれども、このような意見もあるということで紹介したり、広めたり、その反応にまた応答したりする。そういう部分があるわけです。完全な同意ではない。

 これはそれでも、私が故意にこれを問題化していこうとした時に起こった場合です。そうではなく、ミスタッチで起こることがあります。ツイートでは、ミスタッチで起こるということはまずあり得ません。ツイートとリツイートは同一視できるものだという意見には、ここは大きな過ちがあります。

 私はほとんどiPhoneでツイッターをしているのですが、こういった蓋つきのカバーにする前は、普通に裸で持っていたり、あるいは蓋のないカバーのiPhoneをそのままポケットに入れていたりしました。そうしますと、ツイッターを使っていることが非常に多いものですから、ツイッターのページが開かれたままだったりする。すると、ポケットの中で誤作動して、『れれれれれ』『ゆゆゆゆ』とか書いてしまったり、あるいはわけのわからない文字列を書いてしまい、それが発信されることもあるわけです。

発信されると、皆さんが大騒ぎして、『岩上さん、どうしたのですか? 何かこれ、面白い遊びですか?』とか、あるいは『岩上さん、大丈夫ですか?』とか言って来る。そうした誤操作が起きることがある。今は蓋をしているので、そういうことが少なくなりましたけど、リツイートに関しても同様に、リツイートを自分がしようとしたのと関わりなく、リツイートしてしまうこともあります。あるいは、手元で操作している時に、自分は確信的にこれをリツイートしようと思っていたのではなく、手元のタッチでそのままリツイートしてしまうということ、そうした誤作動とか誤操作という可能性は当然あるわけです。その誤作動とか誤操作を含めて見た時に、リツイートがその人の意見を代弁するものなのですか?という視点が必要です。

(※2)自分の名前が冠せられた番組:「橋下×羽鳥の番組」。テレビ朝日系で2016年4月11日から2017年9月25日まで放送されていたバラエティ番組。
番組ホームページ:http://www.tv-asahi.co.jp/hashimoto-hatori/
(※3)橋下氏はその後、こういう内容だったと、自分のメルマガで正確に晒している。

法廷での議論も必要だが、公の場でツイッターをはじめとしたSNSのありようというものを、広く皆さんと議論していく必要があると思う

 私が自分のリツイートを維持しようと、これは私の意見の代弁であると思い、書いていたとしたら、取り消すということはまずあり得ないです。しかし、この件では取り消しています。私がどのような思いでこれについてリツイートし、どのような思いで取り消したかに関しては、リツイートした事実だけをもって、本日ここではお話いたしません。内面でどの程度共感を持ったのかとか、あるいは持たなかったのかとかということ、それは内面の自由だと思いますので。訴訟前に問われていたら、橋下さんから『どういうつもりなのですか?』と訊ねられたら、私は素直に話したでしょうけれども、今ここで訴状を突きつけられてから、どんな思いだったかということについて答える筋合いではないだろうと思います。

 リツイートした事実とリツイートを取り消した事実があり、その取り消した事実がある上で、橋下さんは『あなたは、どういうおつもりでこれをしたのですか?』と一言も私に訊くことなく、訴状を送っているということを強調して申し上げておきたい。

彼が昨日ツイートした時には、『これは虚偽事実なんだ』『ジャーナリストのくせに連絡をして来なかった』『取材をしていなかった』と書き込んでいる。しかし、私のツイート行為が全てジャーナリストとして、報道に係る行為であるという風に見なすほうがおかしい。どうかしている。情報の収集や備忘録、あるいは議論がおこなわれているのだったら、それをチェックしておき、後で調べる。そういうこともあります。いろいろあり得るでしょう。何度も言います。誤作動も不作為もあります。

 今ツイートとリツイートの違いを言いましたが、これは私一人の問題ではないと思っています。このようなかたちで、例えば不作為や過失で、何者かのツイートをリツイートしてしまった時に、取り消しても『もう許せない、100万円だ』というようなことが今後起こるようであれば、これはSNS社会を恐慌に陥らせると言いますか、大変公益性を損なう事態になるだとうと思います。誰の身にも起こり得ることではないかと思います。

 ネット上で、非常に活発にやり取りをしている橋下さんがいて、それとは別にそっとこう要求してくる橋下さんがいて、この橋下さんの要求に『もう大ごとにしたくないから、言われた通りに払おう』というふうに考える人も、『怖いから、争わないで払ってしまおう』という方も出るかもしれません。実は私はこの問題が生じた時に私の知人と話をしていたんですが──彼は、会社の経営者です──内容を詳しくわかっていたわけではありませんが、何かしら不当と思われる要求があっても『金で済むのだったら、私は払います』と、そう言う人もいました。

 SNSという空間の中で、言わば不当な要求を容易にさせるような悪しき前例を作ってはならないと思っております。そうしたことも含め、私はこれに応訴し、そして広く皆さんにもお伝えし、公論の場で議論をすべきであると考えます。法廷での議論も必要ですが、公共の言論の場でツイッターのありようというもの、あるいはそれに対して抗議をする時の手順、そうしたことについても広く皆さんと議論していく必要があるのではないかと思っております。私のほうからは、以上です」

記者1「ありがとうございます」

【質疑応答】橋下氏が根拠もなく推論を重ねていくのであれば、それを証明してもらわなければならないし、そうでなければ彼のほうが名誉毀損に当たる

記者1「幹事社から一問、出させていただこうと思うのですが、こちらにいただいた資料の1ページにある1月19日付で移行申立書を提出されたという、これはすでに受理されているという認識でよろしいでしょうか?」

岩上「はい」

記者1「承知しました。移送決定っていうのはやっぱりちょっと時間かかってから下される」

「そうですね」

記者1「はい、わかりました。各社さん、お願いします」

記者2「元々のツイート内容は明らかにできないのですか?」

岩上「明らかにできないというか、私は明らかにしたいのですが、それは明らかにしないほうがいいということです」

記者2「そのリツイートを削除されたのは、どういうおつもりだったかっていうのは…」

岩上「それはノーコメントです」

記者2「さきほど操作ミスというお話もありましたが、操作ミスだったわけではない?」

岩上「それもノーコメントです。だから、そういうこともあり得ますということも含め、私は何もそのことについて、橋下さんから訴訟の前に言われていないわけですから。だから、言い訳はしない。私が一つリツイートしたこと、そのリツイートを取り消したという事実があるということだけです。

 ただし、そこに橋下さんの多くの推認が積み重なって、非常に許しがたいことが次第に膨らんでいっているのです。もしそういうことであれば、私は極めて大きな悪意を持って、彼の信用を失墜させようとしたという言いがかりになりますので、もし彼がこういう言論をオーバーヒートさせて行くようであれば、私が果たしてそうであったかどうかを証明してもらわなければいけないし、証明できないのであれば、橋下さんのほうが名誉棄損になるのではないですかと思います。彼の想像の中で非常に膨らんでいる事態ですから。彼は何の確認もしていませんし、私の故意性を証明できるでしょうか?ということです」

記者3「事実関係についておうかがいしたいんですけれども、リツイートはすぐに削除というふうに表現されていますけれども…」

岩上「私は『すぐに削除』というような表現をしていないはずなのですが」

記者3「資料のところ…」

岩上「わからない。特定できていないのです」

記者3「ということは、29日中に消したということも…」

岩上「すいません。何かわかる方法ありますか?」

記者3「どうでしょう? ツイッター社に問い合わせるとか…」

岩上「私は、こういうことが言えます。私はこのツイートのリツイートについては10月の時点で、強い意識を持っておこなったことではないので、失念していました。そしてその後、年末に訴状をもらったことで、こういうリツイートをしたことがあったと、そしてそこに『取り消されていますが』と書かれていて、『取り消されていた』ということが明示されたわけで、取り消すことができるのは私しかいないでしょうから、私が取り消したんだけれど、でしたらいつ取り消したのだというのはあちら側がお調べになったらいかがですかっていうことです。私はこれについて何度も言うように、どういう気持ちで、どういう風な、どういう意思を持ってやったかということに関してはノーコメントですし、橋下氏が今後どのような言論を展開して、私に対してこのリツイートという行為一つを膨らませて名誉棄損であると言って来るかに注目しておりますので、消したことも全部含めてノーコメントを貫いた上で、橋下氏の対応次第で私もどうするかということを考えてみたいと思います。私の名誉もかかっておりますので」

記者3「確認ですけれども、リツイートされたという事実はあるけれども、消したということは覚えてらっしゃらない?」

岩上「いいえ、覚えているかどうかに関してもノーコメントにします」

記者3「12月15日に訴状が届き、先方から取り消しているがというふうに…」

岩上「そのことも、訴状に書いてあったという事実を今申し上げただけで、私がどの程度覚えているかに関しては、ノーコメントにさせて下さい。

 ただし一つだけ言えるのは、私が強い意志を持って、この問題を非常に強く取り上げようと思ってリツイートしたということはありません。私は、他の言論活動もしていますね。例えば一つの問題、一つのテーマを追う場合でも、それはツイッター上でも言論活動になりますから、橋下さんがそうであるように、当然何弾も何弾も重ねて書いたりします。そうしたことがあるかどうか見ていただければわかると思いますが、私はこの問題──この問題がどの問題かわからないということもありますが──ほとんど全く書いていません。つまり、これは私が取材活動に入ったとか、橋下さんは『取材活動をするならば』『報道であれば』と言っていますが、そんな段階にあるようなものではありませんし、私が彼のこの問題について、執拗に攻撃するといこともおこなったとは言えないと思います。

 そして、今何が問題なのかっていうことを明示できないまま言うのは大変心苦しいのですが、該当するキーワード入れてググれば、山ほど検索結果が出てきます。事実を報道したもの、論評したもの、橋下氏の言動、議会での話、彼の発言、当事者の発言、様々なものが出てきます。膨大な報道や論評がなされ、ご本人の発言もあるにもかかわらず、それらは一切スルーして、私の一つのリツイートについて、しかもそれが恣意性がある、故意性があるかどうかということも確認せず、私がノーコメントでいるものに対して、100万円を要求するというのは、バランスを著しく欠いた不当な濫訴じゃないかなというふうに思います。何か別の目的があるのではないですかと」

記者1「その他、各社さん、いかがでしょうか?」

阿部「IWJの阿部と申します。梓澤先生に聞きたいのですけれども、先ほど元のツイートした伝聞の真偽が争点になるっていうようなことをおっしゃっていたんですけれども、ツイートとリツイートの、リツイートが本人の意思表明なのかっていうのは、争点にはならないのでしょうか?」

梓澤「リツイートが、リツイートした人の意見表明になるかならないかということも、被告側としては使用したいというのが岩上さんの強い意向ですので、その点は争点になると思います」

記者1「よろしいでしょうか? それでは質問ないようですので、これで会見を終了とさせていただきます。本日はお世話になりまして、ありがとうございます」

岩上「ありがとうございました」

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  1. 池田 努 より:

    橋下が告訴してきたと知り、瞬間的に会員登録してしまいました。購読料と言うより、カンパです。
    あのペテン師集団を許してはなりません。

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