2016年11月15日、安倍政権は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊に、昨年9月に強行採決された安保関連法にもとづく新たな任務「駆けつけ警護」を付与することを盛り込んだ実施計画を閣議決定した。
この日、首相官邸前では「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が主催する緊急集会「自衛隊は南スーダンからただちに撤退を!戦争法の発動と『新任務付与』に反対!殺すな!殺されるな!官邸前緊急行動」が行われた。午前7時45分という早い時間帯にも関わらず、集会には総数350名以上の市民らが参加し、野党各党の国会議員も駆けつけた。
- 日時 2016年11月15日(火) 7:45~
- 場所 首相官邸前(東京都千代田区)
- 主催 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会(告知)

南スーダンでは、2013年12月に、キール大統領が、当時のマシャール副大統領にクーデターの疑いがあるとして対立し、現在まで激しい内戦状態が続いている。これまでの戦闘で数千人が犠牲になっており、今年7月にも首都ジュバで270人以上が死亡する戦闘が起こったばかりだ。そのとき、国連平和維持軍は襲われた民間人らの救助要請に応じなかったという。
これに関して、日本体育大学の清水雅彦教授は、「大統領派と副大統領派の、あきらかな内戦状態になっている。これはもうPKO参加5原則は満たしていない。11月に新しい部隊を出して、新任務を付与することは許されない」と訴えた。

▲日本体育大学・清水雅彦教授
また、フリージャーナリストの志葉玲氏は、安倍政権が南スーダンでの「駆けつけ警護」を強行する理由として、次のような見方を示した。 「自衛隊員の方が亡くなればどうなりますか。安倍首相は絶対こう言いますよ。『今の憲法が戦えない憲法だから自衛隊は死んだんだ』と。自分の責任を棚に上げて、絶対に政治利用してきますよ。右翼メディア、保守系メディアも必ずそれに乗ってくる」

▲フリージャーナリスト・志葉玲氏
このように述べ、安倍政権は自衛隊員の命を「捨て石にするつもりだ」と訴えた。 今回、「駆けつけ警護」の新任務を付与されたのは、「青森陸上自衛隊第9師団普通科第5連隊」。10月15日に青森で行われた第9師団の市中パレードや、「駆けつけ警護」新任務付与に対する現地での抗議集会の様子は、以下の現地からのレポートでまとめているので、ご一読いただきたい。
IWJの岩上安身は安保法制が強行採決された直後、埼玉大学名誉教授の三輪隆氏と陸上自衛隊レンジャー部隊に所属した経験を持つ井筒高雄氏にインタビューをし、駆けつけ警護が「戦闘行為」に加担することにほかならないという事実を暴いている。
また、NGO・国際連合職員として東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタンなど、世界各地の紛争地での紛争処理、武装解除などにあたり、紛争解決請負人とも呼ばれる伊勢崎賢治氏は、「集団的自衛権は、個別的自衛権の延長ではない。自衛隊員が集団的自衛権で海外で住民を殺した場合、今のままでは個人の責任になって、日本の刑法で殺人罪に問われてしまう」と警鐘を鳴らしている。
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