「私たちは人質事件をどう考えるか」――「人の温かさは回っていく。戦争に打ち勝つためには、そういう連鎖をしていくしかない」人権団体・ジャーナリストらが提言 2015.2.4

記事公開日:2015.2.13取材地: テキスト動画
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(取材・記事:IWJ・松井信篤、記事構成:IWJ・安斎さや香)

特集 中東

※2月13日テキスト追加しました!

 「緊急集会『私たちは人質事件をどう考えるか』」が2月4日(水)、福島みずほ事務所の主催で東京都千代田区の参議院議員会館にて行われ、戦場ジャーナリストの志葉玲氏、弁護士の杉浦ひとみ氏、日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)事務局長の佐藤真紀氏、フォトジャーナリストの豊田直巳氏、新聞労連委員長の新崎盛吾氏、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長で弁護士の伊藤和子氏らが発言した。 

記事目次

■ハイライト

  • 発言 豊田直巳氏(フォトジャーナリスト)、杉浦ひとみ氏(弁護士)、志葉玲氏(戦場ジャーナリスト)、福島みずほ議員(社民党副党首)、その他関係者・国会議員など
  • 日時 2015年2月4日(水) 12:00~
  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)
  • 主催 福島みずほ事務所

やるべきことをやらなかった政府

 先日、岩上安身のインタビューにも応じた志葉氏は、冒頭、「後藤健二さん、助けることができなくて本当にごめんなさい」と語りかけた。そして、イスラム国(ISIS)による邦人殺害事件での政府の対応を批判するのは、イスラム国に利するという風潮はおかしいという。

 志葉氏は政府の救助に対して、「全力を尽くしているフリをしていた」と語り、中田考氏や常岡浩介氏が日本外国特派員協会の会見でイスラム国とのパイプを明らかにしていたことに言及。加えて、後藤氏の家族に届いたイスラム国からのメールなどから、直接、イスラム国とのコンタクトを取る方法はあったにも関わらず、それをしなかったと指摘した。

 政府は2月1日の菅官房長官の会見で、イスラム国との直接の接触はなかったと説明している。これについて志葉氏は、「要するにただの視聴者だった。やるべきことをやらなかった。それを批判するのは当たり前」と述べた。

イラク戦争が生んだイスラム国

 「イスラム国とは何か」という点についても志葉氏は解説。イスラム国のルーツは、イラク戦争であるという。イスラム国のバグダディ指導者は、イラク南部にある米軍が管理していたブーカ刑務所に拘束されていた。当時、アルカイダに所属していたバグダディは、このブーカ刑務所で、過激思想を培っていったという。刑務所内は暴行や虐待が横行しており、拘束されていたイラク人が刑務所内でリクルートされていったと経緯を説明した。

 志葉氏は、公然の事実として、シリアのアサド政権に反対する勢力をアメリカや湾岸諸国が武器や資金を配って応援していたと解説。その中にイスラム国も含まれており、力をつけていったのだという。一方、イラク政府の民兵、治安部隊は2005年から首をはねたり、生きたまま焼き殺すなどをしており、こうした残虐行為はイスラム国の専売特許ではなく、イラク政府が繰り返してきたことだと主張した。

日本のODAの行き先とイラク戦争検証の必要性

 市民レベルでは仲良く暮らしていたスンニ派とシーア派は、米軍がシーア派に味方することで、スンニ派のサダム・フセイン派と関係を二分してしまった。志葉氏は、「日本も宗派間対立を煽るようなことをやってきてしまっている」と語る。日本からのODA(政府開発援助)には、イラク内務省への援助が含まれていた。これは、シーア派の警察への支援となり、スンニ派への虐待に力を貸してしまっているという。

 さらに、サマワでの平和構築も日本はODAで行なっているが、志葉氏が調べたところ、その中でイギリス民間軍事企業を使っての戦闘訓練が行なわれていた。今回、安倍首相から発表された2億ドルも、純粋に難民支援に使われるのかということについて、疑問を呈した。

 志葉氏は、国連や赤新月社に支援をするべきだと提案する。現地の住民の間でも、イスラム国は「ろくでもない」と言われているが、それ以上に、イラク政府が脅威だという。紛争地で苦しむ人々のことを伝えたかった後藤氏の意志を大事にしていくためにも、「テロに屈しない」などの感情論に流されず、過ちを繰り返さないよう、改めてイラク戦争の検証をしていく必要性を訴えた。

後藤氏は子どもに平和を与えたかった

 弁護士の杉浦氏は、後藤氏と3年前から親交があったという。難病を患った子どもが学校の担任から体罰を受けていた事件で、子どもと母親を支えるために、後藤氏は裁判傍聴や弁護団会議にも参加して支援をしていたという。

 シリアでも子どもが苦しい生活を強いられており、後藤氏は取材を通して、「子どものことを守りたい。子どもに平和を与えたい」と伝えたかったことを、杉浦氏は強く感じたという。

 「テロがテロを生み、巻き添えが拡大するような行動をしないでほしい」

 杉浦氏は、後藤氏の意志とは反する言動を繰り返している安倍政権の姿勢に懸念を示し、「テロに屈しないのは重要だが、平和な日本を全うできるように、日本が率先して知恵を絞っていくべきではないか」と語った。

「人の温かさは回っていく。戦争に打ち勝つためには、そういう連鎖をしていくしかない」

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