「ドローン(無人攻撃機)で子どもたちを狙うイスラエル」 ~緊急報告会「ガザ侵攻の真実」志葉玲氏 2014.8.31

記事公開日:2014.9.5取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ)

特集 中東

 「イスラエルは、ガザへ無差別攻撃をしている。救急車ですら爆撃される。戦争にもルールがあるはず。ハマスをテロリスト呼ばわりするなら、イスラエルがやっていることもテロだ」――。

 2014年8月31日、大阪市日本橋にある討論Barシチズンで、「緊急報告会 戦場ジャーナリスト・志葉玲が見た、ガザ侵攻の真実」が開かれた。7月下旬から8月上旬にかけて、イスラエルの攻撃が続くパレスチナ自治区ガザで取材を行ったジャーナリストの志葉玲氏が、被害者が増え続けるガザの生々しい状況を語った。

 志葉氏は、現地の子どもたちが描いた絵を示して、「彼らの心の傷も、かなり深い」と案じた。また、怪我をして泣き叫ぶ子ども、爆撃を受けた遺体、イスラエル兵がパレスチナ人をこん棒でめった打ちにして虐殺した、恐怖の部屋と呼ばれる現場の写真や動画を見せ、「これが戦争。とても残酷だ」と訴えた。

■ハイライト

救急車ですら攻撃するイスラエル

 コーディネーターを務める西岡正士氏(シチズンのマスター)が、「7月8日、イスラエル軍によるガザ攻撃が本格化し、7月17日、地上軍の侵攻が始まった。8月27日に停戦合意に至ったが、このわずかな期間にパレスチナ人の戦死者は、公式発表で2139人。街は廃墟となった」と語った。

 イスラエルが地上侵攻を開始すると、外務省の退避勧告を受けて日本のメディアは引き上げ、日本人ジャーナリストは志葉氏を含めてフリーランスの3人だけになったという。そのような危険な状況で撮影された現地映像の中には、かなり悲惨なものが含まれていることが、あらかじめ予告された上で報告は始まった。

 志葉氏は冒頭、ガザの地理や歴史的な経緯など、基礎的な情報を説明した。「イスラエルは1948年に建国されたが、(イスラエルを国家と認めないアラブ諸国などでは)オキュパイド・パレスチナ、占領されたパレスチナ、とも呼ぶ。ガザでは170万人が、東京23区の半分の広さに住む。イスラエルは2006年から封鎖を強化し、ガザは『天井のない巨大な牢獄』にたとえられる。攻撃が始まっても、南北48キロの土地に避難できる場所はない」。

 そして、「人口が、埼玉県の人口と同じくらい(約700万人)しかいないイスラエルでは、兵士が死ぬことを極端に嫌う。そのため、乗員の生存性重視で開発されたメルカバ戦車(イスラエル国防軍主力戦車)がある」と動画を映し出した。

 さらに、ジャバリア地区(ガザ東側)で被災した少女、倒壊したモスクの写真などを見せ、「イスラエルは、ハマスの拠点を叩いていると言うが、無差別攻撃としか思えない。救急車ですら狙って爆撃するのだ。戦争にもルールがある。ハマスをテロリスト呼ばわりするなら、イスラエルがやっていることもテロだ」と語気を強めた。

あからさまに子どもを狙うイスラエル

 「7月29日の空爆は特に激しく、爆風で滞在したホテルの部屋の窓ガラスが割れた。自分も3回、威嚇射撃された」と語る志葉氏。「ガザの死者の3分の1が子どもたちだ」と言い、ジャバリヤやラファの難民キャンプで、国連学校が攻撃された時の様子を見せた。頭蓋骨の破片、飛び散った歯、血に染まったクッションなどが散乱し、血の匂いが充満していたという。

 7月28日はラマダン明けで、現地の正月にあたり一時停戦になった。「しかしイスラエルは、その日、はしゃぐ子どもたちをドローン(無人攻撃機)で狙った。ドローンは地上の細部まで見えている。子どもたちを狙って攻撃しているとしか思えない」と志葉氏は憤る。

 志葉氏は、避難所になっていたベイトラヒアの国連学校の子どもたちが描いた絵を示して、彼らの心の傷を案じた。また、怪我をして泣き叫ぶ子ども、爆撃を受けた遺体、イスラエル兵がパレスチナ人をこん棒でめった打ちにして虐殺した、血糊の残る現場の写真や動画を見せて、「これが、戦争だ」と訴え、次のように続けた。

 「イスラエルは、あからさまに子どもを攻撃する。それは現場で目にしたから、断言できる」。

ガザは、言い尽くせないほど悲惨

 志葉氏は、現場で事実確認をすることの重要性を強調し、「インターネットが普及して、いろんな情報が増えるほど、事実確認は必要になる。間違った情報も飛び交っているので、プロのジャーナリストが、現地で事実確認をするべきだ」とし、現地から情報を送ってもらえば済む話ではなく、日本人に伝えるには、日本での伝わり方を理解していることが大事だと語った。

 続けて、ガザで唯一の発電所の炎上映像を見せた志葉氏は、ガザの電力、燃料不足を危惧し、その上で国境封鎖の状況を説明した。「昨年4月まで、エジプトのムルシー大統領はハマス寄りだったので、封鎖も緩かった。しかし、軍事クーデターで反ハマスのシーシー大統領になり、封鎖がとても強化された。燃料、物資が入らなくなり、経済も止まる。また、ガザ地区の工場や、漁港のガザ港なども破壊された。生活基盤や、住民の仕事を奪うのだ。ガザは、もう言い尽くせないほど悲惨な状況だ」と言葉を詰ませた。

難民帰還権を認めていないオスロ合意

 後半は、志葉氏と西岡氏の対談となった。「日本のメディアは中立を装いつつ、間違ったことを伝える」とした西岡氏。「ガザの人々は、経済的にも政治的にも、完全に自由を奪われている。京都大学の岡真理教授は、この事態すべてを『ジェノサイド』だと言っている」。

 志葉氏は、1948年の建国以降、イスラエル入植者たちがパレスチナの領地を奪っていく発端にもなった、1948年4月のデイル・ヤシーン事件(イスラエルの民兵がデイル・ヤシーン村のパレスチナ人を虐殺)にも触れた。

 以後、4回の中東戦争で、パレスチナへの進攻は拡大する。「国連決議ではパレスチナ難民の帰還権を認めている。だが、イスラエルはそれを守る意志はない」と志葉氏は語り、こう続けた。

 「PLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長とイスラエルのラビン首相は、1993年にオスロ合意で和平締結をしており、このオスロ合意を認めないハマスを、マスコミは『テロリスト』として、ガザ攻撃の理由に挙げている。しかし、オスロ合意で(イスラエルが)難民帰還権を認めていないことは言わない」。

 さらに、第1次世界大戦まではオスマン帝国であった領土を、パレスチナ人には「戦争に協力すれば領地を与える」、イスラエル人には「金を払えば領土を与える」と約束した、当時のイギリスの無責任ぶりも、志葉氏は指摘した。

「ファタハとハマスの統一」に苛立つイスラエル

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