【橋下徹氏からの不当な提訴に対し、表現・言論の自由を守るため、応訴して闘い抜くことを決意いたしました 岩上安身】


 おはようございます、ジャーナリストでIWJ代表の岩上安身です。

 怒涛の2017年も暮れかかり、インタビュー続きだった過密スケジュールからつかの間解放され、かろうじてほっと一息ついていた矢先の昨年末、私のもとに大阪簡易裁判所から一通の「訴状」が届きました。

 事件名は「損害賠償請求事件」――。原告は、あの、橋下徹・元大阪府知事です。

 驚くべきことに、橋下氏は、ツイッター上での私のたったひとつのリツイートが名誉毀損にあたるとして、約100万円の損害賠償をいきなり私に求めてきました。さらにこの提訴は、弁護士費用、交通費用などの訴訟遂行費用も私に課すものです。

 問題は、たったワンリツイート、しかも、提訴時点ではリツイートは取り消されているというのに、その一度のリツイート行為に対し100万円の損害賠償を求める橋下氏のこの不当な主張が、万が一判決で認められた場合、表現の自由を脅かし、SNS上での市民の自由な言論活動そのものを萎縮させ、崩壊させかねない危険があるという事実です。誰の身にも今後、これは起こり得ることであり、我が身ひとつの問題ではなく、言論の公共性に関わる重大な問題であると考えます。

 そもそも、リツイートとは、ツイッター上で誰かが発信した内容を紹介する行為であって、リツイートが即、ツイートそれ自体への「完全な同意」を意味するわけではありません。

 自分とは異なる意見を含めた多様な意見を紹介し、同時に気がかりなツイートをリツイートしておいて、「備忘録」とする場合もあります。そもそも、リツイートすること自体が、多様な言論の自由の保障を受けるべき言論活動であるはずです。そこに誤りが含まれていると思う人は、訂正を求めればいいでしょうし、リツイートをした人自身が気づけば、取り消すなり、訂正をすればいいでしょう。批判や反論があれば、まずは言論で応じるべきでしょう。それが、ツイッターをはじめとするSNSという「公共の言論の空間」での応答のあり方のはずです。

 まして、橋下氏は現に政治の世界に影響力をもつ元政治家であり、かつ、圧倒的な発信力をもつ言論人です。にもかかわらず、言論人が言論で反論などの応答をせず、私への直接のメールや手紙などによる抗議や連絡もなく、さらには提訴の前に通常は送るはずの抗議の内容証明もなく、いきなり訴状をつきつけてきたのです。これは、常軌を逸しています。「藪から棒」とはまさにこのことです。これが言論人のすることでしょうか?

 私がリツイートした内容をここで具体的に書くと、裁判上問題があるので、具体的には書きませんが、橋下氏が大阪府知事時代に起きた事象をとりあげて意見表明したツイートでした。元のツイートが言及し意見表明した事象自体、議会でも取り上げられ、広く報道されてきたことであり、それをリツイートしたことが名誉毀損の不法行為にあたるとは到底言えません。

 しかも、私のそのリツイートはコメントつきの引用リツイートなどではなく、純然たるリツイートでした。ここが、この提訴の異様さのポイントです。ワンリツイートにつき100万円要求する、こんな不当な要求がまかり通っていいはずがありません。

 橋下氏は、元のツイートの内容が名誉毀損にあたると主張しながら、元のツイートの投稿者ではなく、リツイートしたにすぎない私を訴えてきました。これは、私を狙い撃ちにすることで、私の言論活動を萎縮させることを狙ったスラップ訴訟に他なりません。

 橋下氏は訴状の中で、私の言論の「影響力」について言及していますが、弁護士としてだけでなく、文筆家、テレビタレントとしても名を馳せ、大阪府知事や大阪市長を歴任し、現在の日本維新の会の生みの親でもある元政治家でもあり、その橋下氏の発言力・影響力の大きさは、私の比ではありません。

 橋下氏のような人物が、正々堂々と言論の場で言葉をもって戦うことをせず、いきなりのスラップ訴訟によって私を「屈服」させようとすることは、その影響は私やIWJだけにとどまらず、広くインターネット空間における言論活動全般に対する萎縮効果を、もたらしうるものと考えます。

 私および私が率いるIWJは、権力にも大資本にもおもねらない「独立」メディアとして、日本の言論の自由を守るために微力ながら踏ん張ってきました。ここで、橋下氏からのこのような不当な要求に屈し、SNSという、現代においては「公共財」というべき大切な言論活動のツールの「破壊」を受け入れるわけにはいきません。

 表現・言論の自由を守るため、私は応訴して闘い抜くことを決意いたしました。

 応訴についての会見を、1月22日に司法記者クラブと自由報道協会の2箇所で行いました。ぜひこちらもあわせて御覧いただければと存じます。

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※「ツイートとリツイートは同一視できるのか」~橋下徹氏に訴えられた岩上安身が梓澤和幸弁護士らとともに会見――「リツイート行為に対する名誉毀損損害賠償請求事件」についての記者会見 2018.1.22
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/410143

※「これは訴権の乱用だ」〜橋下徹・元大阪府知事がたった1本の「リツイート」でIWJ代表・岩上安身を提訴!「言論の自由に対する挑戦であることは間違いない」自由報道協会主催記者会見 2018.1.23
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/410145
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 正直な本音を申し上げますと、日頃より、IWJの経営者、ジャーナリスト、編集長と1人で3役を兼任している私は、慢性的な不眠症に加え、狭心症の発作にも過去に見舞われており、すでに満身創痍の状態です。ここに、裁判の、決して軽くはない負担が加わってくることを考えると、気の遠くなるような思いがします。心は折れていません。全然、大丈夫です。ただ、身体がボロボロで、財布がスカスカなんです。こっちは全然、大丈夫ではない。

 日頃より、みなさまにお伝えしている通り、IWJの財政状況は常に火の車であり、仮のこの裁判に負けた場合、損害賠償の約100万円はもちろんのこと、訴訟遂行費用も重くのしかかってきます。大阪で起こされたため、私も弁護士も公判のたびに大阪へ赴かねばならず、交通費だけでも非常に大きな負担となります。現在、裁判所を東京へ移送する申し立てをしています。

 弁護士さんへは着手金の支払いをすませたばかりですが、裁判というものは大きな負担がかかるものだということを痛感しています。

 しかし、ぼやいてばかりはいられません。微力ながら、言論の自由を守り抜くために応訴するという私の決意にご賛同くださる方は、どうか、ご寄付・カンパで私とIWJをお支えください。みなさまに、伏してお願い申し上げます。

※ご寄付・カンパのご支援はこちらからよろしくお願い致します。
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