banner_ukraine

【特集】泥沼の内戦から欧露の分断、第三次世界大戦勃発の可能性も!? 対立を煽る米国の真の思惑とは!? IWJが追う ウクライナ危機

 ドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのポロシェンコ大統領の4者によって結ばれた「ミンスク合意」。この合意によって、激しい戦闘が続いていたウクライナ東部での戦いは、一応の停戦を迎えた。

 しかし、現地からの報道によれば、いまだ親ロシア派とウクライナ政府軍の戦いは継続中であるという。2014年2月に発生したユーロマイダンの騒乱と、ヤヌコビッチ政権の崩壊、ロシアによるクリミア編入とウクライナ東部の戦闘へと経過を辿ってきた一連のウクライナ危機は、いまだ終息の気配を見せていない。

 IWJは、ユーロマイダンで騒乱が発生した当初から、海外メディアの報道を追い、有識者へのインタビューを積み重ねるなどして、このウクライナ危機に関する取材を続けてきた。その中で見えてきたのは、プーチン大統領を過剰なまでに「悪魔化」し、ウクライナを戦場にするべく暗躍する、米国のネオコンの存在だった。

 訪米を終えた安倍総理の次の訪問先は、ウクライナであると伝えられている。日米ガイドラインを18年ぶりに改定し、米軍との一体化がより一層進んだ日本の自衛隊は、集団的自衛権の行使により、ウクライナに派遣される可能性がある。

 今、ウクライナで何が起こっているのか。そして日本は今後、このウクライナ問題に、どのようなかたちで関与していくことになるのか。岩上安身によるインタビューを中心に、IWJが取材した記事を一挙ラインナップする。

目次

  1. 岩上安身インタビュー
  2. 注目記事ピックアップ

岩上安身インタビュー

 「ウクライナという国家は、すでにメルトダウンしかかっている」――。『プーチンはアジアをめざす~激変する国際政治』、『アジア冷戦史』などの著者で、ロシアとウクライナの政治情勢に詳しい法政大学教授の下斗米伸夫氏は、いまだ東部で混乱が続くウクライナの現状について、このように語った。

 昨年2014年2月に首都キエフのユーロマイダンで騒乱が発生し、ロシアに近かったヤヌコビッチ政権が崩壊して以降、ウクライナは、先の見えない暗闇の中にいる。

 今年2月12日、ドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領がリーダーシップを取り、プーチン大統領、ポロシェンコ大統領を交えた協議で停戦の合意(ミンスクⅡ)がなされた。しかし、その後も、ウクライナ東部においてウクライナ軍と親ロシア派の対立状態は継続したままだ。4月20日からは、米軍とウクライナ軍による合同演習も開始され、これにロシアが「ミンスク合意に違反する」と強く反発するなど、1年以上にわたる混乱が収拾する気配はない。

 クリミアを訪問したことにより、日本国内でバッシングの対象となっている、鳩山由紀夫元総理。その鳩山氏とともに、クリミア訪問に同行したのが、「新右翼」の民族派団体・一水会代表の木村三浩氏である。

 イラク戦争が始まる直前から、「イラクに大量破壊兵器はない」と主張して、当時のブッシュ政権を強く批判していた木村氏。日本のほとんどの保守派論客が「親米」の構えを見せるなかで、その主張は、当時から現在に至るまで、「対米自立」で一貫している。

 木村氏が、鳩山氏とともにクリミアを訪問した目的とは何か。そして実際に、クリミアで何を見てきたのか。さらに、「親米」路線を重視する安倍政権の外交・安全保障政策、エネルギー政策について、どのように考えているのか。

 2015年3月10日から14日にかけて、クリミアを訪問した鳩山由紀夫元総理。日本政府や大手メディアは今回の訪問をこぞって批判しているが、鳩山氏の訪問の背景には、ユーロマイダンでの騒乱以降、ウクライナの混乱を煽り、ロシアのプーチン大統領を一方的に「悪魔化」してきた米国と、それに盲目的に追従する日本政府に対する不信感が存在した。

 総理現職時、対米自立路線を模索し、普天間飛行場の沖縄県外への移設を掲げながら、官僚の裏切りによって頓挫した経緯を持つ鳩山氏。3月23日に岩上安身のインタビューでは、ウクライナ問題を皮切りに、辺野古での新基地建設問題や、TPP、北方領土問題など、安倍政権の従米路線を批判した。

 ウクライナにおけるネオナチ勢力のクーデター、サウジアラビアの原油増産によるルーブル通貨の下落、マレーシア航空機撃墜事件——。今、ロシアをめぐる緊張が高まり続けている。

 米国や日本の権力構造を鋭く分析し、昨年末に『日本に巣喰う4つの“怪物”』
を上梓した ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、「すべては意図的に、ロシアやロシア経済を弱体化させようとする米国のキャンペーンに関わっている」と喝破する。

 イラクとシリア北部で勢力を拡大しているイスラム武装集団「イスラム国」。9月下旬には、米国を主導とする有志連合がシリア領内での「イスラム国」に対する空爆を開始し、CNNやBBCなど欧米のメディアは、シリアとトルコの国境に位置するアインアルアラブ(クルド名コバニ)での攻防戦を連日のように報じている。

 なぜ、「イスラム国」はこれほどまでに台頭したのか。その背景を知るには、アサド政権と自由シリア軍をはじめとする反体制派による内戦が続き、昨年8月には首都ダマスカス郊外でサリン事件が発生したシリア情勢を理解する必要がある。

 「ロシア=プーチン、プーチン=悪魔」

 日本や米国、ヨーロッパ、いわゆる「西側」の報道だけを見ていれば、自然とこうした見方になってしまっている人も多いのではないだろうか。しかし、実際はどうか。ドイツ取材中のIWJ代表・岩上安身が9月16日、ライプチヒ大学を訪れ、「東側」の事情に詳しい、リヒター・シュテフィ東アジア研究所日本学科主任教授にインタビューした。

 9月5日の停戦合意後も火種がくすぶりつづけるウクライナ危機。東部ドネツクでは11月9日、激しい砲撃の応酬があった。11日には欧州安保協力機構(OSCE)が、「さらなるエスカレーションのリスクがある」と警告を発した。OSCEの監視団は8日と9日、所属不明の軍用車両が親露派の支配領域から前線へ移動するのを確認していた。

 今月はじめに北京で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)において、米国のオバマ大統領とロシアのプーチン大統領が複数回接触。両国間で応酬が続く経済制裁の原因となっているウクライナ情勢について、協議を重ねている。

 現在も続いている「ウクライナ危機」と呼ばれる出来事が表面化したのは、昨年2013年11月、当時のヤヌコヴィッチ大統領がEUとの連合協定締結を見送り、それに反発した「市民」が大規模なデモを行ったときだった。その後、ヤヌコヴィッチ大統領の解任と暫定政権の成立があり、新大統領が選出される一方で、内戦状態は続いていた。大勢の人々が死傷し、一部の地域では食糧や電気の供給が限定的になり、多くの人々が国内外へと避難している。

 ここ一年ほどのあいだに突然噴出したかのように見えるこの問題のルーツは、ソ連崩壊の時期にさかのぼると考えることができると、F・ウィリアム・イングドール氏は指摘する。これは、ウクライナという国に限定される問題でも、ロシアやヨーロッパといったユーラシア大陸で展開する問題でもなく、アメリカの策略に関わる問題として見ることができる。

 昨年、映画監督のオリバー・ストーン氏とともに来日したアメリカン大学教授のピーター・カズニック氏が今年も来日し、各地で講演会を行った。8月8日、岩上安身は長崎入りし、カズニック氏とカナダの平和教育団体「ピース・フィロソフィー・センター」の乗松聡子氏に、3時間に及ぶロングインタビューを行った。

 話題は、ウクライナ情勢とイスラエルによるガザ侵攻を中心に、米国の「ネオコン」の真の狙いなど、幅広いテーマに及んだ。

 「ロシアから日本にパイプラインを引く」――。この驚きの提言を唱えているのが、世界平和研究所主任研究員で、『シェール革命の正体~ロシアの天然ガスが日本を救う』(PHP研究所)、『日露エネルギー同盟』(エネルギーフォーラム新書)などの著書がある、藤和彦氏である。

 エネルギー政策の専門家である藤氏は、現役の経済産業省の官僚であるとともに、内閣官房に出向した経験も持つ。エネルギー政策に加え、地政学や安全保障といった観点からも、日本および世界のエネルギー問題を分析する、幅広い視野の持ち主である。
 
 藤氏によれば、エネルギー源の多様性という観点からすると、日本は極めて危うい状況に置かれており、「先進国の中で最も石油を消費し、そのうち9割が中東に依存している」状況だという。

 赤尾光春氏へのインタビュー第3夜。赤尾氏は東部の緊張が一段と高まるウクライナ情勢の主役たちを詳細に分析した。

 赤尾光春氏へのインタビュー第2夜では、19世紀から20世紀にかけてのユダヤ人の歴史が語られ、ユダヤ人に対する歪んだイメージが氾濫することになった背景が明らかにされた。

 岩上安身は3月23日(日)、ユダヤ学が専門で大阪大学助教の赤尾光春氏にインタビューした。紀元前までさかのぼる「ディアスポラ(離散民)」というユダヤ人のアイデンティティ形成から、ウクライナ地域に離散していったユダヤ人の歴史の18世紀までを、第1夜としてお届けする。

 2013年末のデモから政変へと発展したウクライナの情勢について、ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所の服部倫卓氏に3月20日、岩上安身がインタビューを行った。

 ウクライナ情勢が緊迫している中、2014年3月13日、岩上安身による元外務省国際情報局長の孫崎享氏へのインタビューが行われた。孫崎邸での和やかな雰囲気の中、話題は緊迫するウクライナ政変を中心に、クリミアを巡るロシアと欧州および米国の対立、さらには安倍総理の取り巻きの分析など、多岐に及んだ。

注目記事ピックアップ

 ウクライナ東部で再びウクライナ政府軍と反政府派の親ロシア派武装勢力による衝突が激化している。

 昨年9月に結ばれた停戦合意も形骸化し、キエフ政権の公式見解では、すでに1200名の兵士と5400名の市民、合わせて合計6600名もの死者が出ているという。ドイツのフランクフルター・アルゲマイネ紙は、「実際の死者数は約5万人だとドイツの情報機関は推定している」と報じている。

 「停戦」とは程遠い状況だ。

 ウクライナの停戦は、9月5日から始まった。この停戦が、恒久的な和平への第一歩となるのか、あるいは、「停戦」後にいつもそうされてきたように、一方、あるいは双方によって破られるのか、まだわからない。

 ウクライナ東部での戦闘は、今年4月から、約5ヶ月間に渡って続いた。国連の発表によると、戦闘での死者は3000人を超えた。そこにはもちろん多数の非戦闘員、女性や子供、老人が含まれている。ウクライナ軍による空爆は、無差別的に住宅地や学校に対しても行われたからだ。自国の政府が、自国民に対して無差別爆撃を加えてきたというこの「異常」を、まず直視することから始めなくては、この問題についての議論はスタートを切れない。

 これまでの経緯をふり返ってみよう。

 昨年の終わりから始まったウクライナ政変をウォッチし続けてきた私は、その区切りごとに「第何幕」とカウントしてきた。

 昨年11月24日、当時のヤヌコビッチ政権がEUとの「連合協定」署名を見送り、これに抗議する集会がキエフで開かれた。これが「ユーロマイダン」の始まりとなった。連日集会が約3ヶ月続いたあげく、デモ隊の一部にウクライナの極右民族主義者たちが混じり、治安部隊と衝突し、流血沙汰に。2月22日、ヤヌコビッチは首都キエフから脱出し、政権は崩壊した。ここまでが第1幕である。

 「侵入」と「破壊」に先立つ8月12日、ロシアはウクライナ東部に向けて、人道支援物資を積んだトラックの隊列を出発させていた。トラックは280台で、食品、医薬品、発電機、衣料品など、約2千トンの物資が積まれているという。

 なぜロシアはここへきて、「人道支援」に動きだしたのか。

 あの騒ぎはいったい何だったのだろうか――

 内戦の続くウクライナ東部では、死者は2千人を超え、ガザと同じ一般市民が多数巻き添えになっている。避難民の数はすでに70万人を超えた。一大惨事である。

 7月17日、内戦の続く東ウクライナ上空でのマレーシア航空機墜落事故から一月以上が経った。通常の事故であれば、調査が進み、事故原因が明らかになっているはずである。だが、「戦闘地帯」で起きたこの事故については、いまだに不明な点が多く、情報が錯綜しており、対立する主張がなされている。

 当初から不可解なことは多かった。事故の直後、まだ事故の事実経過や全体像も明らかでないうちから、早々に東ウクライナ内戦の一方の当事者、親露派と、その支援をしているとされるロシアに、地対空ミサイルで撃墜したとの嫌疑がかけられ、「テロリスト」との大合唱が始まったのだ。

 親露派とロシアが一緒くたにされ、テロと誤射の可能性もごちゃごちゃになり、その他の事故原因や、他の「容疑者の可能性」についての追及は、ウクライナと西側ではまともに行われようとしなかった。

 ガザで無期限の停戦が決まった。失われた命は戻らないし、破壊し尽くされた街やインフラの復旧はこれからだし、封鎖も解かれていない。支援物資が届くようにゲートが開いたこと、沿岸での漁ができるようになったことくらい。

 これまで起きていたことがあまりにひどかったので、これだけのことでも喜んでしまう。もちろん、ミサイルが飛んでくる恐怖から一時的にであれ解放されたことは、喜ばしいに決まっている。でも絶対に忘れてはならないことは、イスラエルは、大規模な作戦以外でも攻撃を行ってきた事実。

 7月17日、乗員・乗客298人を乗せたマレーシア航空機が、内戦が続くウクライナ東部で墜落するという大惨事が発生した。事故ではなく、何者かによって撃墜されたと見られている。

 この一報を受けてウクライナ政府は、ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力が、ロシアの支援を受けて地対空ミサイルによって撃墜したとする声明を発表した。

 ウクライナで起きていることは、日本から遠く離れた、あまり我々に影響をおよぼさないはるかな異国の出来事、としか感じられない人は少なくないだろう。だが、これからはそうはいかない。海外で、外国による戦争に日本が巻き込まれてゆく集団的自衛権行使容認に向け、安倍政権は大きく一歩踏み出した。

 5月16日、東京市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で2014年第5回国際地政学研究所ワークショップが行われた。

 キーノートスピーチは「クリミア編入にみるロシアの影響圏的発想」と題され、兵頭慎治氏(防衛省防衛研究所 地域研究部米欧ロシア研究室長)が発表を行った。

 7月17日、ウクライナ東部でマレーシア航空機17便が撃墜された事件をめぐり、ウクライナとロシアの非難合戦が続いている。

 ウクライナ政府は当初から、ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力が、ロシアの支援を受けて地対空ミサイルによって撃墜したと断定。墜落から数時間後には、親ロシア派武装勢力とロシア軍将校の電話での会話の録音を、「ロシア関与」の証拠だとして全世界に公開した。

【ウクライナが公開した録音はこちら(英語字幕)】

 空前の大惨事が起った――。

 7月17日、ウクライナ東部ドネツク州のグロボボでマレーシア航空のボーイング777型機が墜落した。乗客乗員298人全員の死亡が確実視されている。事故ではなく、何者かに撃墜された、とみられる。同機が飛んでいた空域は、ウクライナ政府軍と分離独立派が内戦を繰り広げる「戦場」の上空だった。

 ウクライナ政府は、ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力が、ロシアの支援を受けて地対空ミサイルによって撃墜したと、ただちに非難した。ウクライナのポロシェンコ大統領は、「ここ数日間でウクライナの軍用機が2機撃墜されていて、マレーシア機が撃墜された可能性は否定できない」と述べた。

 これに対し、親ロシア派の「ドネツク共和国」の指導者は、関与を否定して、「ウクライナ軍の戦闘機が撃墜した」と主張し、双方の意見は真っ向から対立している。

 数十人もの人間がビルに閉じ込められ、火をかけられて、焼き殺される。21世紀の出来事とは思えない、信じ難い惨劇が起きた。場所はウクライナの南部、黒海に面した港町オデッサ。時は2014年5月2日、金曜日のことだ。

 ウクライナ東部で親ロシア派勢力の動きが活発になっている。3月16日にクリミア自治共和国でロシアへの編入を問う住民投票が行われ、96.77%がロシア編入に賛成を示した。これを受けてロシアとクリミア自治共和国は編入条約を締結することとなった。そして今、ウクライナ東部の都市では、クリミアのロシア編入に続こうとする動きが起こっている。

 今朝出演した「モーニングバード!」では、連休の行楽模様を点描し、その中でガソリン代が高値であることを伝えていた。僕は、ベースにはアベノミクスによる円安誘導があること、直近ではウクライナ情勢への不安から原油価格が上昇していることの2点を指摘した。

【岩上安身のツイ録】ゴールデンウィークの高速道路事情、ガソリン高の背景に緊迫するウクライナ情勢 「モーニングバード!」で岩上安身がコメント

 時間の関係上、話はそこまでしかできなかったが、原油価格の高騰という問題は、ガソリン代の高騰だけではすまない。輸送費の高騰は、すべての物価の高騰につながりうる。電力などエネルギー価格も高まる。企業が価格転嫁できなければ、収益が悪化して倒産も続出する。不況は深刻化する。

 世界は急速に展開しているのに、主要メディアを通じて得られる情報は極端にバイアスがかかっている。ウクライナ危機の第四幕の開幕は目前に。今月25日に行われる大統領選、そして今月末に迫るロシアへの天然ガスの滞納代金の支払い。支払いが行われない場合、ロシアは供給を止めるという。

 明日、台北で呉叡人さんという政治思想史の先生にインタビューを行う。この方の書いた評論が刺激的である。タイトルは「賎民宣言ー或いは、台湾悲劇の道徳的な意味」。その冒頭には、ヘーゲルの「世界史においては、国家を形成した民族しか問題にならない」という言葉が掲げられている。

 刺激的で挑発的な論文のタイトルは、ヘーゲルの「歴史哲学講義」から引用したこの差別的なテーゼへの全身での応答に他ならない。植民地にされてきた民族の、自虐のようでも、開き直りのようでもある、激しい異議申し立てである。

 春は誰でも心躍る。花の季節である。

 しかし、雪が解け、寒気がゆるむ春は、実は戦争の季節の到来でもある。特に冬季に厳寒に見舞われる東欧からロシアにかけての一帯においては。

 冬は進軍が困難になる。そのため冬営するのが近代以前の軍のあり方で、冬は戦争が休止する期間だった。

 この春、2つの「ひまわり」が咲いて、揺れた。台湾、そしてウクライナ──。

 中国とのサービス貿易協定を強引に押し進める馬英九政権に抗議するため、台湾の国会に相当する首都・台北の立法院を、学生たちが占拠したのは、3月18日。彼らは、「太陽花學連」すなわち「ひまわり学生運動」と自らを称した。

 3月16日、クリミア自治共和国およびセヴァストーポリ特別市で、ロシアへの編入を問う住民投票が行われ、96.77%がロシアへの編入への賛成を示した。投票率は80%を超えた。

 投票で問われたのは、ロシアに編入されるか、あるいは自治権を定めた1992年のクリミア独自の憲法に戻るかという二択だった。

 ウクライナ政変について、勃発から連続してブログでその実相を報じ続けている。

 前回は3月のはじめ頃まで、首都キエフの独立広場での民衆の抗議行動が銃撃戦へ、ついには政権打倒へと至った顛末を報じてきた。そしてこの「ユーロマイダン(欧州広場)劇場」が、無垢な民衆による非暴力の民主革命と言えるのかどうか、疑問なしとしないことも指摘してきた。

 ウクライナの首都キエフで2月18日から断続的に続いた、治安部隊と反政府デモ隊の衝突では、デモ隊を狙撃するスナイパーによって、70人以上が殺害されたと言われている。

 メディアの報道では、スナイパーは、「ヤヌコビッチ政権の後ろ盾だった、ロシアの特殊部隊の犯行だ」との疑いが強いとされ、動画サイトでは、治安部隊とみられる男がカラシニコフ銃を構える姿も報じられた。

 約3ヶ月のデモと戦闘を経て、ウクライナでは新内閣が発足した。しかし、南部のクリミアでは武装勢力が空港を掌握しており、ウクライナはまだ例外状態に置かれている。力を誇示するかのようにウクライナとの国境付近で軍事演習したりクリミアで装甲車を走らせたりするロシアに対して、アメリカが牽制するなど、ウクライナ外部での駆け引きも続いている。

 チェルノブイリ原発事故の後遺症に今も苦しむウクライナ。そのウクライナの首都キエフで、反政府デモが激化し、市民によってレーニン像が引き倒されるという事態に至っている。

 銅像として立てられていたレーニンとは、言うまでもなく1917年にロシア10月革命を指揮した、ソ連共産党の初代最高指導者ウラジーミル・イリイチ・レーニンである。したがって、レーニン像がソ連共産党のシンボルであることは間違いない。

 世界の注目の焦点は、ウクライナの首都キエフから、東方のモスクワ、そしてそのはるか南のクリミアに移った。

 16世紀以来、オスマントルコ帝国を、12度に渡る露土戦争(ロシアートルコ戦争)で叩きに叩いて、領土を拡張し、帝国を築いたロシア。そのロシアがさらに南下し、外洋に出るための出口としてボスポラス海峡まで支配しようとしたところ、イギリス、フランスの権益と対立、黒海に突き出したクリミア半島を巡って戦ったのがクリミア戦争である。19世紀、1853年から56年にかけての10回目の露土戦争のことをそう呼ぶ。

 冬季オリンピックが行われてたソチのすぐ隣で、たいへんな政変が起きている。ロシアの隣国ウクライナで約三ヶ月にわたって続いてきたデモは実弾の飛び交う「戦闘」へと展開していった。反政権派による現政権への抗議に端を発した闘いだが、これは単にウクライナ国内の政変というものではおさまらず、EU諸国やロシア、アメリカをも巻き込んだ対立となっている。

 IWJは昨年12月に「ウクライナで何が起こっているのか」と題してウクライナのデモについて取り上げ、その原因や、EUおよびロシアの関係を論じた。今回はその続編である。

 3月1日、ロシアのプーチン大統領は、クリミアのロシア系住民保護のためにウクライナにロシア軍を派兵するよう議会に求め、議会はこれを承認した。派兵期間は、「ウクライナの社会的・政治的状況が正常化するまで」としている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です