「資源エネルギー庁は無責任に原発輸出を進めようとしている」 ~情報共有セミナー&政府交渉「原発輸出への不透明な税金投入を問う」 2013.8.28

記事公開日:2013.8.28取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 「ベトナムのニントゥアン第二原発の受注に向けて、日本原子力発電が、税金25億円を使った事業化調査を実施。しかし、調査報告書などの内容がまったく公表されない」──。

 2013年8月28日(水)13時より、東京都千代田区の参議院議員会館にて「情報共有セミナー&政府交渉『原発輸出への不透明な税金投入を問う』」が行なわれた。出席した福島みずほ参議院議員らは、原発輸出に関する多くの疑問を、資源エネルギー庁の担当官にぶつけた。

■ハイライト

  • 「原発輸出の状況/トルコにおける原発立地調査の問題点」 田辺有輝氏(JACSES)
  • 「原発輸出の審査はどうなる?/不透明なベトナム原発の調査」 満田夏花氏(FoE Japan)
  • 政府との質疑・応答(※相手側:資源エネルギー庁 原子力政策対策課)
  • 主催 国際環境NGO FoE Japan(詳細)、環境持続性社会研究センター(JACSES)、メコン・ウォッチ

 冒頭、満田夏花氏(FoE Japan)が「3.11大震災での、福島第一原発事故の原因判明も、復旧もままならないうちに、政府は原発を輸出しようとしている。ベトナム中南部ニントゥアン省の第二原発の正式受注を目指し、税金25億円(5億円は復興予算)の調査費が計上され、それを日本原子力発電(日本原電)が受注した。しかし、調査報告書などは、まったく公表されない。多くの疑問がある」と述べ、セミナーを開始した。

 田辺有輝氏(JACSES)が「原発輸出の状況/トルコにおける原発立地調査の問題点」について、まず、安倍政権の原発輸出の実状から話した。「安倍首相は、昨年12月の政権発足直後にベトナムを訪問。今年4~5月にはトルコ、UAE、中東諸国を巡り、かつてない勢いで原発のトップセールスを行なっている」。

 次に外交上の手続きに関して、「二国間原子力協定を結び(平和利用を約束)、国会承認を得る。そして、事前調査(税金投入)などののち、受注決定。融資・貿易保険の確保(JBIC=国際協力銀行、NEXI=日本貿易保険)の手順を経て、建設を始める」と述べ、二国間原子力協定の具体的な内容、現在までの日本の締結状況、公的金融機関(JBIC・NEXI)や、相手国の状況をチェックする安全等確認制度の仕組みや問題点を解説した。

 田辺氏は「経産省は、相手国の安全確認を、原子力規制委員会が実施することを要望したが、規制委員会は「原発輸出には関与しない」として拒否した。そこで、経産省自ら安全確認をする方向を検討中だというが、独立性や専門的人材不足など、不安な点が多い。また、審査方法も密室での文書審査のみ。現地視察や、影響を受ける住民との対話もない」と指摘した。

 次に、満田氏がベトナムのニントゥアン第二原発について、「2002年から事前調査が始まり、2010年、正式に日本をパートナーに事業化が決まった。原発2基を建設する大規模工事だ。日本原電が25億円で調査事業を請け負った。しかし、調査内容が公表されずグレーで、予算規模にも納得がいかない。さらに、そのうち追加分5億円は、復興予算が流用されていた」と話した。

 政府との質疑応答では、経産省の資源エネルギー庁原子力政策対策課より担当官4名が出席した。まず、事前提出していた質問項目(5億円の追加調査が随意契約になった理由。放射線廃棄物の処理計画。核燃料の供給計画。本事業における住民移転数ついて。平成21年度低炭素発電事業産業国際展開調査事業についての積算根拠と収支報告の開示)について、回答を求めた。

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