「東電は欲ボケ」「原発輸出と原発再稼働は一体不可分」 ~吉井英勝氏講演「福島原発事故の検証と教訓から~再生可能エネルギー普及と地域再生へ~」 2013.8.25

記事公開日:2013.8.25取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2013年8月25日(日)14時、こうべまちづくり会館(神戸市中央区)において、「吉井英勝氏講演『福島原発事故の検証と教訓から~再生可能エネルギー普及と地域再生へ~』」が開かれた。吉井氏は、日本共産党所属の国会議員として、長年にわたり国政で活躍(参院1期・衆院7期)してきたが、古希(70歳)を迎えるのを機に、昨年12月の衆院選に出馬せず引退した。

■Ustream録画(14:10~ 2時間42分)

0分~ 主催者あいさつ/6分~ 吉井氏講演/1時間45分~ 質疑応答
  • 講演
    吉井英勝氏(日本共産党中央委員、原発・エネルギー問題委員長、前衆議院議員)

 吉井氏は、京都大学工学部原子核工学科を卒業した、「原子力の専門家でもある国会議員」として、特に、巨大地震と津波による全電源喪失の可能性について、2006年に国会で第一次安倍内閣を追及(※注1)するなど、原発の抱える様々な問題点を国会で指摘してきたことで知られている。吉井氏は、原発に用いられる機器が巨大地震に耐えられるのかを実証実験するために造られた、世界屈指の大型振動発生装置(香川県多度津町)が、小泉政権の「行革」の名のもとで廃止が検討され(※注2)、2005年にタダ同然で処分されてしまった問題など、国会で追及した事例を複数挙げたほか、政官財の癒着による「原発利益共同体」を厳しく批判した。

 深刻の度を増している福島第一原発の「汚染水問題」については、「やむをえず仮設タンクを用いるのならば、溶接による常設タンクを並行して造るべきことを、東京電力は分かっていたはず」とし、さらに、福島第一原発の建設当時、標高が40メートルあった地盤を10メートルにまで削り取ったことなど、数々の問題点を列挙し、安全性よりも利益を優先する東京電力の体質を「欲ボケ」と断じた。

 日本による海外への原発輸出について、「自転車の輸出ならば、買った人はペダルをこげば動く。しかし、原発を動かすには数百人規模でのトレーニングが必要。トレーニングには、日本の『稼働中の原発』が必要となる。つまり、原発輸出と原発再稼働は一体不可分である」と述べた。

 このほかにも、吉井氏は、元国会議員という「弁士」としての明瞭な語り口、また、原子力の専門家としての豊富な知識を活かし、とかく難解な説明になりがちな原発問題やエネルギー問題について、聴講者に分かりやすく語りかけた。

※注1 巨大地震と津波による全電源喪失の可能性
吉井氏による質問主意書
安倍首相(当時)の答弁書

※注2 大型振動発生装置の処分
吉井氏による質問主意書
小泉首相(当時)の答弁書

※会場配布資料(約3MB)

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