「護憲円卓会議」討論集会 ~「革新ネットワーク」の発展をめざし~ 2013.6.30

記事公開日:2013.6.30取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 2013年6月30日(日)13時30分より、神戸市兵庫区にある兵庫勤労市民センターにおいて「『護憲円卓会議』討論集会 ~『革新ネットワーク』の発展をめざし~」が行われた。

 安倍政権が突き進める壊憲に反対し、護憲を訴えるグループとして、どう共闘していくかについて、広原盛明氏は「『食えない民主主義より、食える独裁者を選ぶ』ような、現在の国民の無関心さを、どう変えていくか」と述べた。各登壇者は、それぞれの見解、アイデア、現状分析を語り、質疑応答では参加者からも活発な意見が寄せられた。

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  • 内容 ラウンドテーブルから「私はこう思う」
  • 登壇者
    佐藤三郎氏(とめよう壊憲!集会実行委員会 代表)、恩田怜氏(NPO法人ヒューマンビジョンの会 理事長)、角橋徹也氏(都市プランナー)、北上哲仁氏(川西市議、社民党)、北場逸人氏(大学3回生)、木村修氏(マブイシネコープ 代表)、寺沢京子氏(神戸YWCA平和活動部 代表)、原和美氏(9+25改憲阻止市民の会 世話人代表)、松本誠氏(市民まちづくり研究所 代表、元神戸新聞 記者)、四津谷薫氏(西宮市議、緑の党)、広原盛明氏(元京都府立大学 学長、都市計画まちづくり研究者)

 はじめに佐藤三郎氏がスピーチをした。「国会の中の護憲政党はどんどん減った。革新勢力が、護憲派を巻き込むという意図も尻つぼみだ。また、1万ほどあると思われる市民運動や任意団体の中でも、護憲共闘を考える団体は、10あまりしかない。今後、彼らとも連携する方法を探っていきたい」と語った。

 恩田怜氏が「阪神淡路大震災の時、NPO団体の支援で助かった。それをきっかけに当会を立ち上げた」と、ヒューマンビジョンの会設立の経緯と、会の趣旨を述べた。また、「自分は緑の党員。自民党から共産党まで、政治家は経済成長ばかり言うが、それだけが幸福をつくる方法ではない。経済成長はここまでで、あとは循環型社会を目指す。非暴力と非戦である」と、緑の党の骨子と持論を述べた。

 角橋徹也氏は「護憲、貧困、社会保障費削減、消費増税反対、脱原発、TPP反対など、共通した要求をもとに、護憲の統一戦線を作るために模索している。それを軸として、革新の諸政党、次に市民活動、最後に周りを個人が支える構造を考えた。それをギャラクシー計画と名付けた」と述べて、その構想を解説した。

 続けて北上哲仁氏がスピーチした。「弱体化しているのは、平和と護憲にこだわっているからではなく、わが社民党の、護憲や平和への活動が足りなかったからだと思っている」と反省した。そして、自民党改憲案への懸念と、イラク戦争の時、川西市の小学生が叫んだ「戦争で幸せになる子どもはいない」というスローガンを例に挙げ、活動指針を説明した。

 大学生の北場逸人氏は「学生の会話に、政治の話題はまったく出てこない。それは、70年代の学生運動の失敗からズルズル来ているので、60代の人たちの責任じゃないか」と話して、会場を湧かせた。また、大学教育者たちの守勢な行動を皮肉り、宝塚市長選での経験を語った。そして、「政治家たちを見ていると、大人はだらしないと思う」と述べた。

 次に、木村修氏が話に立った。「昨今の会合では、護憲勢力が結集できない理由の議論が抜けている。第1次安倍内閣は、ブッシュ政権下だった。しかし、オバマ政権下で、今の安倍政権を見極めると、外交の弱さが目立つ。われわれは、そこを突破口にできる。自分は団塊の世代で、戦争責任を追求してきたが、戦後責任も負っている」などと語った。

 寺沢京子氏は、YWCAの概要と指針の紹介、憲法問題への取り組みを話した。「人口の半分は女性。だから、女性の視点から憲法を考えたい。憲法9条と23条、24条。国民主権や家族のことは、憲法に関心のない女性でも、興味を持つ」などと、活動を通して得た印象を語った。

 次に、原和美氏がマイクを握り、「9+25改憲阻止市民の会は、『憲法9条と25条を考える』をキーワードに、2003年に発足した」と、会の趣旨と設立経緯を話した。さらに、現在まで何回も無所属で選挙に立候補して戦ってきた経験談を語り、選挙制度の不平等、不備を指摘した。「立候補するたび、周囲から『現実を見なさい』と言われてきたが、3.11が起こり、自分の主張も見直された」などと話した。

 続いて、松本誠氏が「護憲の力を再生するのは、お任せ民主主義を払拭し、大事なことは皆で決めるシステム作りだ。ポイントの1つ目は、選挙は相対評価で、よりマシなところを巡って票が左右すること。ゆえに、護憲の評価には直接、つながらない。2つ目は、時代の変化により、保守と革新の対立構造は時代遅れ感がある。そこを、もっと考慮すべき。3つ目は、護憲活動の源泉は、大衆運動に起因する。そのためには、地方分権で、住民自治の強化だ」とスピーチした。

 四津谷薫氏の発言に移った。四津谷氏は「西宮市は、昔から右傾化していた」とし、護憲活動に至った理由を語った。そして、「既成政党への不信感もあって、自分は無所属で戦ってきたが、先般、緑の党へ所属した。個人を尊重すればするほど、結集は難しくなる。まずは、個人個人が声をあげていくことから始めたらいい」と述べた。

 広原盛明氏は「前回の結果や、総選挙の総括を見ても、革新政党には失望した。だったら市民が奮起するしかない」と前置きし、世論調査について意見を述べた。「昔から、社民党や共産党など、護憲政党の支持率は恐ろしく低い。しかし、憲法の世論調査では、多くの人が9条、96条の改憲には反対で、世論はねじれている。なぜなら、国民の政党の判断基準は、経済と年金だけだ。憲法と原発への興味は数%。それで国民は、食えない民主主義より、食える独裁者を選ぶ」と世相を分析をした。

 後半は、会場から希望者が1人5分で意見や質問を述べた。「96条改正を阻止しなければならない」「9条の会も加えてほしい」「こうやって内輪で議論するのもいいが、外にでて、街を行く人々に訴えることも必要」「マクロ的に改憲をとらえ、護憲活動の進め方には、より検討が必要だ」「憲法は、右翼、左翼の問題ではなく、国家と市民社会の問題」「反知性主義というのか、新自由主義になって、改憲などをまじめに考えることをバカにする風潮がある」などの、活発な意見が寄せられた。最後に佐藤氏が、「盛んに意見が交わされてよかった」と謝辞を述べ、会の方針を語って終了した。

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