「環境省は説明会を単なるセレモニーとしか思っていない!」住民の不満続出 〜飯舘村小宮行政区除染作業実施のための住民説明会 2013.6.25

記事公開日:2013.6.25取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 2013年6月25日(火)18時30分より、福島県飯野町にある飯舘村役場飯野出張所で「飯舘村小宮行政区除染作業実施のための住民説明会」が行われた。環境省の担当官が、除染方法や除染箇所などについて説明した。また、飯舘クリアセンターに新設する小型焼却炉の概要を伝えた。質疑応答になると、住民から環境省に対し、放射線量の基準や除染方法などについて、不満の声が次々と噴出。最後まで騒然とした空気に包まれたまま、閉会した。

■全編動画 1/2

■全編動画 2/2

  • 日時 2013年6月25日(火)18:30~
  • 場所 飯舘村役場飯野出張所(福島県飯野町)
  • 主催 飯舘村

 はじめに、飯舘村の菅野典雄村長が「現地調査を行なって半年がたったが、やっと除染計画の具体案が出た」と挨拶をした。

 環境省の福島復興再生事務所の担当官が、配布資料に基づき、除染の基本的流れを説明した。「作業は、現場で適宜、調整する場合もある」などと、留意点を話した。次に、除染作業の同意と本人立ち会いについて、終了後の線量計測、立ち会いができない場合の対処方法、作業上の注意点についての概要を伝えた。さらに、屋根、壁、塀、生け垣、雨どい、庭、舗装面、芝、土壌、農地、水田、畑、牧草地、森林などについて、具体的な除染方法を話し、除染作業で出た廃棄物の仮置き場、仮の仮置き場などについても説明した。

 次に別の担当官が、飯舘村小宮沼平地区のごみ焼却施設、飯舘クリアセンターにおける、小型仮設焼却炉の新設計画について話した。担当者は「除染廃棄物は焼却しない」と明言。1日8時間稼働と焼却処理の流れ、バグフィルターによるセシウムの捕集とそのメカニズム、安全性、焼却灰の保管方法、安全・環境対策、来年4月稼働を目指した実施スケジュールなどを解説した。

 続いて、質疑応答に移った。住民が「除染の目的が不明確。何回実施して、どこまで線量を下げるのか。これらをはっきり示してほしい」と発言した。環境省担当官は「空間線量をできるだけ低くすることが目的。年間1ミリシーベルトまで下げるのが最終目標だが、難しい。はっきりした回答ができないのは申し訳ない。長い取り組みになると思うが、地道にやっていきたい」などと答えた。

 それに対し、「福島市は、2年間で1ミリシーベルトにすることを目標にしている。そのためには、いったい何回、除染すればいいのか。放射線物質を取り除いて安心安全な環境を作るというからには、もっと考えて対処するべきだ。われわれを馬鹿にしないでほしい」との声が上がった。また、質問者が「計測方法も、空間線量だけではなく、土壌表面なども直接測らなくてはいけない。小宮区で一番線量の高い所は300マイクロシーベルト、500万ベクレル/平方メートルもある。あなた方の子どもは、そこで生活できますか」と憤慨する場面もあった。

 担当官は「われわれとしては、できるだけ除染をするしかない。何回行なうかは、作業を進めながら検討する。線量の高い所は、空間線量以外もチェックしていく」などと答えるにとどまった。しかし、住民は「5月22日には、広葉樹は除染対象にしないと言ったはず。でも、今は『やってみないとわからない』と言う。竹についても『わからない』としながら『生活線量には影響しない』と言う」と、厳しく詰め寄った。

 担当官は「放射線量の影響がどこまであるのかわからないので、規定ができない状態だ。国の方針では1ミリシーベルト以下の目標は変えていない。ただ、現状としては、段階的に下げていく、としか言えない」と、歯切れの悪い回答を繰り返した。

 ほかの住民も「環境省の資料には、除染の目標線量が明記されていない。『やってみないとわからない』という答えには納得がいかない。除染業者に目標値を与えるべきだ」と指摘した。その上で、「われわれは年間20ミリシーベルトで住まないといけないのか。それとも、飯舘村村長がいう5ミリシーベルトなのか。それが、村民にとって一番気がかりな点だ」と訴えた。

 ここで、菅野村長が発言。「国は、年間20ミリシーベルト、1時間あたり3.8マイクロシーベルトを目安にしているが、村としては年間1ミリシーベルト、時間あたり0.23マイクロシーベルトにしたい。しかし現状、これは無理だ。そこで、年間5ミリシーベルトを目標に除染作業をしてもらっている。作業終了後は、ガンマカメラでのチェックも要請している。他の地域では、5.6~6.2ミリシーベルトあった空間線量が、除染後に1.54に下がった例もある。とにかく、除染をしない限りは、線量が下がらない。やってもらうしかない」と語った。

 その後も、「福島第一原発の事故が解決していないのに、除染をして帰還させ、住まわせるということが理解できない」「自分の敷地には沢と池が2つあるが、除染対象になるのか。また、除染の方法はどうやるのか」「若い者は、将来どうやって生活していけばいいのか」「質問に答えられない人(環境省担当官)が除染を考えて、それに同意してください、と言いに来ている。もし、その場で同意しなかったら、今後は自分で除染をしなくてはいけないのか」「環境省の担当官は、説明会などのたびに来る人が変わる。われわれが、毎回、要望を訴えても馬耳東風で、引き継いでじっくり取り組んでくれない。説明会を、単なるセレモニーとしか思っていない」など、最後まで不満を訴える住民が相次いだ。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です