【第91-92号】岩上安身のIWJ特報 !「1人1票」を実現するために本当に必要な選挙制度とは何か?~自民党憲法改正草案についての鼎談・第5弾(1)(2) 2013.6.2

記事公開日:2013.6.2 テキスト独自
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(岩上安身)

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 第5弾では、第23条の「学問の自由」や、第24条の「家族、婚姻等に関する基本原則」、第26条の「教育を受ける権利」などを取り上げている。

 5月28日、政府の教育再生実効会議は、「大学教育等のあり方」に関する提言をまとめた。

 提言では、今後10年で世界の大学トップ100に日本から10校以上を目指し、「国際化」を進める大学を重点的に支援することや、小学校の正式教科として英語を取り入れることなどを求めている。「愛国心」を強調しながら、日本語教育よりも英語教育に力を入れるちぐはぐさ。こうした教育の問題は、当然、憲法23条とつながっている。

 24条に関して言えば、5月29日、東京地裁において、婚姻時に夫婦が一方の姓を選ぶことを規定した民法750条は違憲であるとして国を訴えた裁判の判決が下され、原告側の請求が棄却された。夫婦別姓を求める声が近年高まっているが、自民党改憲案が実現すれば、こうした別姓論議はかなり後退するだろう。

 日々、目にするニュースが、いずれも憲法につながっていることが改めてよく分かる。

 鼎談・第5弾で最初に議題として上げたのは、選挙制度の問題である。

 昨年12月に行われた衆院選について、1票の格差が是正されていないことを理由に選挙結果の無効を求めて争われた裁判の判決が、3月に連続して出された。この問題に関わるのが、憲法47条の「選挙に関する事項」である。

 「1人1票」の問題について改めて問い直す鼎談・第5弾、お読みいただきたい。

記事目次

  • 裁判官は自分の出世を考えた上で判決を出す
  • 「0増5減」では一人一票にならない
  • 「一人別枠方式」の廃止は地方の切り捨てというジレンマ
  • 学問の自由で保障される「大学の自治」
  • 地方公務員の争議権は認められない
  • 教育行政の「不当な支配」がまかり通る現実
  • 自民党は「家制度」を復活させようとしている

裁判官は自分の出世を考えた上で判決を出す

岩上安身「3月25日、26日と連続して、各地の高裁で『昨年12月の衆院選は憲法違反である』、そして『一部は無効である』という判決が出ました(※1)。これは、日本国憲法14条の『法の下の平等』と15条の『公務員の選定及び罷免に関する権利等』に関わる話だと思います」

(※1)「一票の格差」が是正されないまま行われた2012年12月の衆院選は「憲法違反」として、2つの弁護士グループが選挙無効を求めて全国14の高裁・支部に、計16の訴訟を起こしていた。

 3月25日、広島高裁は、広島1区と2区で行われた選挙に対して、「違憲」かつ「選挙無効」の判決を言い渡した。「選挙無効」の判決は戦後初。

 翌26日、広島高裁岡山支部でも「違憲、選挙無効」の判決が下り、最終的には16の訴訟において、2件が「違憲、選挙無効」、12件が「違憲」、残る2件は「違憲状態」という判決が出た。

澤藤統一郎弁護士「47条にも関わってきます」

岩上「47条――『選挙に関する事項』ですね。現行憲法には、選挙に関する事項は法律で定めるものだと書いてあります。これに対して、自民党案は少し変更を加えており、このまま読むと、人口比例選挙を認めているかのようにも見えます。

 昨日、一昨日の一連の判決は憲法に関わる話でもあり、非常に重要な判決だったと思います。本日は、この話から進めていきたいと思います。先生方は、昨日の判決をどのようにお聞きになりましたか?」

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「【第91-92号】岩上安身のIWJ特報 !「1人1票」を実現するために本当に必要な選挙制度とは何か?~自民党憲法改正草案についての鼎談・第5弾(1)(2)」への1件のフィードバック

  1. 岩上休め より:

    IWJは大手メディアの情報操作に騙されています。なので、抗議を申し上げます。

    岩上先生が知らされていない事は、「一人一票」が経済同友会と経団連の要求政策であるということです。経済同友会に「一票の格差是正ウェブサイト」(http://www.doyukai.or.jp/kakusa/index.html)という怪しい記事があります。この記事で「一票の格差」是正を求める経済同友会の代表幹事が、武田薬品工業社長の長谷川閑史(やすちか)で、政府の諮問機関「産業競争力会議」の一員でもあります。彼の役員報酬は3億100万円だそうです‥。

    2011年4月に長谷川閑史は経済同友会代表幹事の就任挨拶で、「『一票の格差』問題が、他の多くの国家的課題と根本の部分で繋がっているとすら考えており、その是正は待ったなし」と、興味深い発言をしています。「国家的課題」の筆頭はTPPでしょう。一人一票とTPP推進は繋がっているのです。私は「一人一票」の実態は「TPP推進派によるゲリマンダー」であり、地方切捨てに結び付いていると考えます。

    そして「一票の格差」という用語は、どれだけ地方を大切にしているかを示す「地方重視指数」と言換えることができると考えます。例えば、米国の上院は70倍(70ポイント)、スイスの上院は40倍(40ポイント)、(アサンジが立候補する)オーストラリアの上院は15倍(15ポイント)のように。「一票の格差」が15倍のオーストラリア上院でアサンジが当選しても、IWJは憲法違反の主張をなさるのでしょうか?

    IWJは経済同友会と、空洞化した司法と、自民党の壊憲47条に同調しています。既存メディアと論調が同じになっています、IWJの皆さま。会費を差し上げて議席を差し出す程、地方の人々は愚かでは御座いません。

    (このレビューをメルマガ等で紹介されて下さいませ。私はIWJサポーターなので、住所氏名をお調べになり晒して頂いて構いません。よろしくお願い申し上げます。)

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