「本件はまさに、見込み起訴である」―PC遠隔操作事件 第一回公判前整理手続へ ~PC遠隔操作事件 公判前整理手続後記者会見 2013.5.22

記事公開日:2013.5.22取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 2013月5月22日、東京都千代田区にある司法記者クラブで、威力業務妨害の罪状で起訴された片山祐輔被告の弁護団が記者会見を行った。会見の終盤では佐藤博史弁護士が、捜査側が出す情報を受け売りするメディアの姿勢を激しく批判。前に座る記者たちを「何のためにペンを握っているのか」と喝破した。

■ハイライト

 この日、通称「パソコン遠隔操作事件」で起訴されている片山被告の第1回目の公判前整理手続が、東京地裁で行われた。

 公判前整理手続とは、公判の前に証拠や争点を絞り込む作業で、捜査側は当該する証拠などを弁護側に提示することになる。会見の席上で佐藤弁護士は、「検察が提出した、証明予定事実記載書には、肝心なことが書かれていなかった」と述べた。「被告人の身上と、3月2日付の起訴状に記載された3つの事件の経過などは記されてあったが、犯行と被告人との結びつきを示す犯人性に関する記述は皆無だった」。

 検察は「犯人性については、捜査が終了するまで明らかにできない。犯人性に関する証拠の開示も、証拠隠滅の恐れがあり開示できない」と述べたという。これに対し、裁判所が捜査終了時期を問いただすと、検察からは「5月29日が満期だが、その後も捜査は続く。終了は6月末で、ずれ込めば7月中旬以降になる」との回答であった。

 この事態を「前代未聞」と断じた佐藤弁護士は、検察への批判を次のよう展開した。「これでは『見込み逮捕』ならぬ『見込み起訴』だ。見切り発車と言ってもいい。今日の手続きで会った検察官は、『本件に関しては、現在も捜査を継続中だ』と明言している。すでに起訴している2件で、片山被告が犯人であるという確証を持っているのなら、少なくとも、その証拠を出す必要があり、7月中旬過ぎまで出せないという言い分は、理屈が通らない。裁判所はすぐに、(無意味な)公判前整理手続を打ち切り、第1回目の公判期日を決めるべきだ」。

 さらに佐藤弁護士は、検察官から「公判前整理手続の内容を知らせる記者会見は、行わないでほしい」という趣旨の要望があったと報告した。「検察は、今日の手続きで大事なことはまったく開示していないのに、なぜ、マスコミへの発表を阻止しようとするのか。手続終了後には記者会見が開かれ、重要事項は公表されるのが通例だ」と怒りをあらわにした。

 この日、佐藤弁護士は、メディアの姿勢にも批判の矛先を向けた。警察のリークで「雲取山山頂で記憶媒体が発見された」と各社が報道したことに対して、「最悪の記事は、『捜査側は片山被告が埋め込んだものとみて、調べている』というものだ」と、メディアの印象操作を指摘した。

 この一件は、今年1月に真犯人を名乗る者から「雲取山山頂に証拠を埋めた」とメールがあったものの、警察が発見できず、それが、今月中旬に再度探すと、今度は発見した、というものである。佐藤弁護士は「記者として、そういう状況に直面したら『片山被告が逮捕されたあと、別の人間が埋めたのではないか』と疑ってみるのが筋ではないか。捜査側のでっち上げだって十分に考えられる。この事案で、私は検察をさんざん批判しているが、『捜査側は自信を見せている』などと書いた社もあり、マスコミの報道もおかしい。警察の御用聞きはやめてもらいたい」と憤りを隠さなかった。

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「「本件はまさに、見込み起訴である」―PC遠隔操作事件 第一回公判前整理手続へ ~PC遠隔操作事件 公判前整理手続後記者会見」への2件のフィードバック

  1. 黄金千貫 より:

     佐藤弁護士がこれだけ厳しく検察・裁判所を糾弾しているにもかかわらず、そのことをマスメディアは伝えない。「警察の御用聞きを止めなさい」とまで佐藤さんに言われて、報道機関は恥ずかしくないのか?プライドもないのでしょうか?
     捜査機関がこれほどまでに腐っているとなると、市民として不安で仕方がない。

  2. 横浜の活火山 より:

    コンピューターを使って仕事をしている人だったら冤罪だろうと推定する方が自然だ。 また、村木厚子さんのときも検察のストーリーをそのまま載せていたのが有名紙だった。 マスコミを利用して、FBIがとか、何かが見つかったとか嘘をリークして世論を操作しようとする卑屈な手法だ。 各紙とも、無罪となったら、村木さんを擁護していたかのような紙面を構成していた。 佐藤弁護士が恥を知れと吠えるのが理解できる。 インターネットでこのような情報を得られるのだから、新聞の売れ行きが細るのは当たり前だ。 週刊現代とか一部のマスコミがおかしいと訴えているのが救いかな。 

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