原発事故子ども・被災者支援法 郡山フォーラム「いま届けたい、ママたちの想い~子ども・被災者支援法を活かすために必要なこと~」 2013.5.17

記事公開日:2013.5.17取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2013年5月17日(金)13時30分から、福島県郡山市のミューカルがくと館で、「原発事故子ども・被災者支援法 郡山フォーラム『いま届けたい、ママたちの想い~子ども・被災者支援法を活かすために必要なこと~』」が行われた。支援法の現状と課題が語られる中、福島県民健康管理調査の問題点なども併せて解説された。

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  • 内容 子ども・被災者支援法の現状と課題、健康管理問題の現状と課題、当事者からの声、会場発言
  • 日時 2013年5月17日(金)13:30~
  • 場所 ミューカルがくと館(福島県郡山市)
  • 主催 原発事故子ども・被災者支援法市民会議

 はじめに、FoE Japanの理事を務める満田夏花氏は、支援法が制定されて1年経とうとしている現在も、復興庁による基本方針が未だに作成されていない点を説明し、「この法律は、避難する人、被災地に留まる人、帰還する人、それぞれのニーズに対して、国が責任をもって実施していくことが大きなポイントである。法律は実施されないと意味がない」と指摘した。また、低線量被曝の影響を示唆する疫学調査が数多く存在すること、ウクライナでは、放射線による影響で、筋骨系、内分泌系、消化器系疾患などの症状が増加していることを解説した。その上で、県民健康管理調査の目的が、住民の不安解消に焦点が当てられ、甲状腺がん以外の病気は放射線の影響としない見解を前提とするものである点を問題視。「今後、検査内容の強化、健康診断の地理的範囲の拡大、情報公開の強化を求めていく」とした。

 福島の子どもたちを守る法律家ネットワークの大城聡氏は、支援法の現状と課題を説明する中で、「被災された方は、それぞれに命がけの選択をしている。どの選択が正解、不正解という判断はできない。それぞれの選択を尊重するために、この法律がある。1年経っても、一向に基本方針の作成が進まない理由のひとつには、対象地域に指定されると、原発事故による被害の拡大が明確に見えてしまい、また、その事実を隠したい人がいるからである。国に対しては、これからも具体的な要望を出し、声を上げていきたい」と述べた。

 続いて登場した、郡山在住の3人の子を持つ母親は、低線量被曝の問題、ホットスポットがあちこちに点在する中、除染されていない公園でイベントが開催されている現状、子どもたちの運動能力の低下などを問題視し、「私は専門家ではないから、難しいことはわかからない。あれだけの事故が起き、何が安全かもわからず、不安を抱えながら毎日を過ごしている。何も解決していない状況の中、何事もなかったかのような現状の中に、私たちは置かれている。細かいことを挙げればきりがないが、大人たちで、子どもたちがのびのびと過ごせる環境を整備し、新しい常識を作らないといけないと、強く思う。この法律が、子どもたちを守るものであってほしい」と訴えた。

 郡山市から静岡県に自主避難している男性は、事故後、避難するまでの経緯、自身の想いを語り、「被災地に留まる人がいる中、避難したことで、本来、感じるべきではないプレッシャーを、感じている人がいると思う。まず、最初に取り戻さないといけないものは、私たちの名誉である」と述べた。

 復興庁政策調査官の安倍英樹氏は、基本方針作成が遅れている理由について、「全国各地の団体から、いろいろな意見が寄せられている中、科学的見地、専門的見地から、しっかり作成しないといけないということで、遅れてしまっている。皆さんの声は、しっかり反映していきたい」と述べた。質疑応答の中では、「市民の集まりに積極的に参加し、市民の声を聴くべきである」「県民の意見を聴く会を主催するべきである」など、復興庁に対する憤りの声が多く上がった。

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