小平で住民投票!〈どんぐりと民主主義〉入門編 2013.5.11

記事公開日:2013.5.11取材地: 動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2013年5月11日(土)19時、東京都小平市のルネこだいら(小平市民文化会館)において、「小平で住民投票!〈どんぐりと民主主義〉入門編」と題するシンポジウムが開かれた。小平市では、東京都が50年前に計画し、建設認可取得を目指している都道328号線(正式名称・小平都市計画道路3・2・8号府中所沢線、幅36メートル、区間1.4km)をめぐって、住民による反対運動が起きている。

 建設予定地となっている小平中央公園は、市内に残された数少ない緑地として市民の憩いの場となっているほか、建設によって伐採されてしまう公園緑地の雑木林には、絶滅危惧種の「キツネノカミソリ」(ヒガンバナ科)や、準絶滅危惧種の「ヒグラシ」(セミ科)、渡り鳥の希少種「キビタキ」(スズメ目)など、数々の希少な動植物が生息することが明らかになっている。また、建設される道路が、自然豊かな玉川上水沿いの遊歩道を分断することや、建設区間の住民(約220世帯)に立ち退きが必要となることなども問題視されている。

 住民らは、小平市や東京都に対し、建設見直しを再三申し入れてきたが、建設方針が覆らなかったことから、都条例に基づく住民投票の実施を求めることを決めた。昨年12月から1ヶ月間で、住民投票条例制定に必要となる市内有権者数の50分の1の署名(約3000筆)の2倍以上となる7593筆の署名を集め、3月26日の市議会で条例案が可決された。都内初となる住民投票は、「道路建設に賛成か、反対か」ではなく、「住民の意見を採り入れてもらうことに賛成か、反対か」と問う形で、5月26日の実施が決まった。しかし、4月23日になって小林正則市長が、「投票率50%以上でないと住民投票は無効」とする改正案を市議会に提出し可決された。このような背景から、シンポジウムは、市民に対し、道路計画のさまざまな問題点と、計画への市民参加の必要性を訴えるために開かれた。

 冒頭、「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」の共同代表を務める水口和恵氏から道路計画の概要説明が行われた後、いとうせいこう氏(俳優・小説家・タレント)、中沢新一氏(明治大学野生の科学研究所所長)、國分功一郎氏(高崎経済大学准教授)による鼎談(ていだん)が行われた。

 鼎談では、國分氏が、「私は、かつて建設予定地のそばに住んでいた。建設が決まったら、ブルドーザーで家を強制的に壊しても構わないほどの強大な権限が行政に与えられるにもかかわらず、東京都による住民説明会での質疑応答は、職員の説明に対する住民からの再質問が禁止されるなど、住民と対話する気がまったくないことにショックを受けた」と述べた。

 中沢氏は、「50年前に計画された道路計画が長らく凍結されていたが、今回の政権交代後に計画が一気に再燃した。そのトップランナーが小平市。これを放置しておくと、いろいろな形で公共事業が復活してしまう」と述べた。また、「投票率50%以上というハードルを市民に課すなど、住民側のハードルを高くしようとするのに、96条改憲の問題など、権力側のハードルは下げようとしている」と述べた。これに関連し、國分氏は「投票率50%のハードルを設けたのは卑劣なやり方だが、その壁を乗り越えたら確実に何かが変わる」と述べた。いとう氏も「先日の市長選挙の投票率は33%だった。50%というハードルを市長自身には適用しないのだろうか」と述べた。

 また、いとう氏は、「公共事業の行われ方は、江戸時代のままだ」と述べたのに対し、中沢氏は「江戸時代から変わっていない」と同調し、「お上が決めたことに従順なのが日本人のメンタリティ。水俣病や原発問題とも共通している」と問題点を指摘した。

 環境問題や市民運動に関連し、いとう氏は「廃棄物や国債の問題を先送りにしている。『我々が次の世代に残すべきは何なのか』という選択肢を持たなければならない。しかし、選択肢は主(あるじ)のいないまま進んでいる。小平市の事例は、市民という形で主を入れようとしている」と語った。また、「私はこのところ『アクティビスト』(活動家)と名乗っている。世界では、アクティビストと名乗るのは普通のこと」と述べた。

 このほかにも、動植物の生態、哲学、ファシリテーター論、さらには「なにわのオバチャン論」にいたるまで、多岐にわたるテーマで鼎談が展開され、3人の軽妙なトークによって会場内からたびたび笑いが起きるなど、終始和やかなムードでシンポジウムは進行した。

■ハイライト

  • 19:00~ イベント開始
  • 19:02~ 概要説明 水口和恵氏(小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会 共同代表)
  • 19:21~ 鼎談 いとうせいこう氏(俳優、小説家、タレント)/中沢新一氏(明治大学野生の科学研究所所長)/國分功一郎氏(高崎経済大学経済学部准教授)
  • 20:36~ 質疑応答

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