「ヤオヨロズの合議・TPP 原発 増税 の是非を問う!」 ~市民の、市民による、市民のための「『政治』(まつりごと)」 はなるか!?~ 2013.5.3

記事公開日:2013.5.3取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

特集 TPP問題

 2013年5月3日(金)18時30分、東京都中央区の日本橋社会教育会館において、ワールドフォーラム主催による講演会「ヤオヨロズの合議・TPP原発 増税 の是非を問う!」が開かれた。「自然と共生する日本古来の『ヤオヨロズの政治(まつりごと)』を市民が手にし、安心して暮らすことができる国を未来に残すためにはどうすればよいのか」という主旨で、講師として俳優の山本太郎氏、緑の党共同代表の長谷川羽衣子(ういこ)氏、プロジェクト99%代表の安部芳裕氏を招いた。講演会は二部構成で開かれ、第一部は各講師による個別の講演、第二部はパネルディスカッションが行われた。

■ハイライト

  • <第一部>
  • 講演1:山本太郎氏(俳優)
  • 講演2:長谷川羽衣子氏(緑の党・共同代表)
  • 講演3:安部芳裕氏 (プロジェクト99%代表)/スペシャルゲストX
  • <第二部>
  • パネルディスカッション + 「2分・オープンマイク型」質疑応答
  • テーマ:「市民のための政治を実現するために、 私たちに出来ることは?」
    • 進行&パネリスト:安部芳裕氏
    • パネリスト: 山本太郎氏 × 長谷川羽衣子氏 ×  スペシャルゲスト
    • パネリスト + 会場参加者・オープンマイク(2分 )方式の質疑応答

 講演のトップバッターを務めた山本氏は、昨年12月に行われた衆議院選挙に「新党 今はひとり代表・山本太郎」として立候補したことを振り返った。落選はしたものの、脱原発を全面に打ち出した選挙戦で7万票を超える得票を集めたことについて、「熱意は伝わるんだなと思った」と述べた。その一方で、原発推進を打ち出している自民党が圧勝したことについて、「絶望的な気持ちになった」と心中を吐露した。そして、「参議院選で(劣勢を)ひっくり返すことができるのか。メディアは『アベノミクス』を連日持ち上げ、『自民党万歳』『安倍総理万歳』みたいに流している。ひっくり返すのはなかなか難しい」と語った。その上で、「何がしたいのか、という原点に立ち返ることが必要だ。僕は、原発をなくしたい。そのために、ちょっとタブーではないかと思うことでも、本当のこと(原発が危険であるということ)を身近な人に言っていってほしい」と述べた。また、「脱原発を呪文のように唱えるだけではだめだ。脱被曝も言わなければならない」と述べたほか、「原発もTPPもつながっている。大資本に食い物にされようとしている。闘っていかなければいけない。僕らはライフスタイルを変えていって、大資本にうまみを落とさないようにしなければならない」と説いた。

 続いて登壇した長谷川氏は、ドイツがたどった脱原発の道のりを紹介し、日本において「市民による政治」をどのように実現していくべきか、持論を述べた。この中で、昨年6月30日から7月1日にかけて、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の正門前で繰り広げられた「大飯原発封鎖行動」に参加し、抗議の座り込みをしていたところを機動隊に「ごぼう抜き」(強制排除)された経験を、映像とともに振り返った。また、首相官邸前をはじめ、全国で大規模な抗議行動が行われたにもかかわらず、その声を政府や関西電力が無視して再稼働を強行したことや、安倍晋三首相が昨年の野党時代に「脱原発は無責任だ」と発言したことを紹介した。その上で、原発推進派だったドイツのメルケル首相が、「私は科学者として原発の安全性を信じてきた。しかし、日本のようなハイテク国ですら原発事故を防ぐことができなかった事実は、私の意見を決定的に変えた。私は国民の安全に責任を負う首相として脱原発を決断する」と述べて脱原発に大きく舵を切ったことを引き合いに出し、「『脱原発は無責任だ』と言った安倍首相、責任を負う立場として脱原発を主張したメルケル首相、この違いはすごく大きい」と語った。

 そして、ドイツの脱原発が一朝一夕に実現したものではなく、これまでも大規模な反対運動が長年にわたり行われてきたことを、写真を交えながら紹介した。特に、「カルカー高速増殖炉」での抗議行動にはドイツ軍の戦車が投入され、このデモに参加していた知人のドイツ人男性が、現地の様子を「あれは戦場だった。撃たれて死ぬかと思った」と語ったことを紹介した。その上で、「ドイツはやすやすと原発を受け入れていたわけではない。市民は激しい抵抗を繰り返していた」と述べた。また、脱原発を具現化するために、市民が立ち上げた「シェーナウ電力」の事例を紹介したほか、「カルカー増殖炉」は抗議行動によって核燃料搬入を阻止することに成功し、現在はオランダ人投資家によって「核と光のワンダーランド」という遊園地に生まれ変わっていることを紹介した。

 長谷川氏は、市民運動によって原発の推進を食い止め、遅らせてきたドイツの事例を紹介しつつ、「国内の全ての原発を止めると決めたのは、やはり政治の力」とし、市民運動から派生したドイツ緑の党の取り組みを詳しく紹介した。その上で、日本では、立候補者に高額の供託金が課せられるなど、様々なハードルが存在する「制限選挙である」ことを挙げ、「日本に本当の民主主義は実現していない。一般市民が選挙にチャレンジできないような仕組みが築かれている」と問題を提起した。その上で、社会を変えるべく、「自ら立ち上がろう。いま必要なのは、誰かに任せることではない。必要なのは英雄ではない。未来はあなたの一歩から」と訴えた。

 第一部の最後に登壇した安部氏は、冒頭、「いまの政治は、市民のための政治ではない」と語り、「世界の潮流として、「大資本と政府が一体となって国を運営していく『コーポラティズム』と、主権者である国民が国を運営していく『国民国家』を主張する勢力の闘いが問題となっている。言い換えると、1%対99%の問題である」と述べた。

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