自民党圧勝という「新しい現実」。自民党憲法改正草案に要注目!(「IWJ通信」12月21日号 巻頭言より) 2012.12.21

記事公開日:2012.12.21 テキスト
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(岩上安身)

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 16日(日)は、衆議院選挙と東京都知事選挙の投開票日でした。日本の未来を決めるこの重要な日に、IWJでは、「2012.12.16 IWJ選挙報道プロジェクト 投票日スペシャル」と銘打ち、報道特別番組を放送しました。各党の開票センターや注目選挙区の事務所と中継をつなぐとともに、FoEJAPANの満田夏花さん、フクロウの会の阪上武さん、脱原発弁護団全国連絡会の河合弘之弁護士、首都圏反原発連合のメンバー、築地市場の仲卸で東京中央市場労働組合書記長の中澤誠さん、オペレーション・コドモタチの横川圭希さん、ミュージシャンの三宅洋平さんなど多彩なゲストをお迎えし、開票速報を分析しながらトークしました。

 11月12日の陸山会裁判における小沢一郎氏無罪判決から、14日の党首討論、16日の衆議院解散、そして第三極をめぐる政党の合従連衡と、この一カ月は疾風怒濤の日々でした。私とIWJスタッフは、めまぐるしい動きを追いながら現場に駆けつけ、取材を積み重ねました。その成果は、メルマガ「岩上安身のIWJ特報!」第59・60号「11.12から12.16へ 疾風怒濤の35日間」前後編にまとめました。是非、ご購読ください。

 15、16日は、選挙の他にも重要なイベントがありました。日比谷と郡山で開催された「Nuclear Free Now!」です。今年1月にパシフィコ横浜で行われた「脱原発世界会議」の第2弾となるこのイベントを、IWJは完全生中継。15日には、私も「ロックの会」のメンバーとともに、日比谷野外音楽堂のステージでトークしました。

 選挙は、294議席を獲得した自民党の圧勝に終わりました。自公合わせると325議席となり、参議院で否決された法案を衆議院で再び可決して成立させることができる全議席の3分の2を上回る議席を獲得したことになります。ここに来て注目を集めているのが、憲法改正です。自民党は4月27日、自民党憲法改正草案を発表していました。その中には、いくつか重要な問題点が含まれています。

 第一に、現行憲法9条2項の削除です。自民党案ではこれに変わり、集団的自衛権行使の可能性が盛り込まれています。第二に、基本的人権の制約です。基本的人権を規定した現行憲法第97条が、自民党案では全文削除されています。第三に、表現の自由の制約です。自民党案では、「公益及び公の秩序」を害するような集会や言論活動は禁止されます。これが適用されると、自由な言論活動、例えば、ネット上のブログやSNSでの発言、さらに街頭での表現、例えば、脱原発デモや抗議行動なども禁止される可能性があります。第四は、緊急事態宣言の発動です。自民党案では、外部からの武力攻撃や内乱、大規模な自然災害などが起こった場合、内閣に大権が与えられることになっています。これはいわば、戒厳令の復活です。2011年3月11日の東日本大震災とそれに続く福島第一原子力発電所の事故では、政府と東京電力による情報隠しが問題となりました。また今度、同じような災害や事故が起こった際、緊急事態宣言が発令されると、あらゆる情報が政府により統制されるということになりかねません。

 今回の選挙結果と、自民党の憲法改正草案がはらむ問題点については、私がレギュラーでコメンテーターを務める、文化放送「夕やけ寺ちゃん活動中」とMXテレビ「ニッポン・ダンディ」で取り上げました。また、メルマガ「岩上安身のIWJ特報!」第61号「自民党『圧勝』という『新しい現実』(前編)」で論じました。第62号「後編」も追ってお届けします。

 自民党の安倍晋三総裁は、選挙期間中から、憲法改正の必要性を繰り返し訴えてきました。自民党は、改憲を政権公約に掲げて54議席を獲得した日本維新の会と連携する動きを見せています。憲法改正には、衆参両院での3分の2の賛成と、国民投票での2分の1の賛成が必要です。現時点で自民と維新をあわせて348議席で、改憲発議に必要な320議席を超えています。次の参議院選挙は、来年の7月に行われます。そこで、改憲を主張する勢力が3分の2を獲得するかどうかが焦点となります。

 民主党から自民党に政権が移ることで、IWJがこれまで通りの報道を続けられるのかは未知数です。総理会見に入ることはできるのか、大臣会見に入ることはできるのか、自民党本部での会見に入ることはできるのか。2009年の鳩山由紀夫元総理による政権交代で、不十分な点はあるものの、日本のメディア環境は大きく前進しました。それが、自民党の政権復帰により、揺り戻しがないとも限りません。IWJは引き続き、記者会見の完全なオープン化を求め、取材交渉を続けます。

 来る12月23日(日)、IWJは、年末恒例のイベント「饗宴Ⅲ 2012 symposion~日本を蝕む5つの危機への”明るいレジスタンス”」を開催します。第1部では、今年は昨年よりもさらに時間を拡大し、「原発」「検察」「経済」「TPP」「改憲問題」の5つのテーマについて、豪華ゲストをお招きし、真剣勝負のディスカッションを行います。12月16日の選挙結果を受け、今後の日本の行く末について、一定の見取り図を示すことができれば、と思っています。

 第2部のパーティーでは、『戦後史の正体』で今年の言論界の話題を独占した、元外務省国際情報局長の孫崎享さんによるミニ講演の他、音楽家の坂本龍一さんによるビデオメッセージ、その他、飯田哲也さん、三宅雪子さん、山本太郎さん、藤波心さんも参加される予定です。お席にはまだ余裕があります。是非、ご参加ください。

 IWJはこれからも、市民に直接支えられるメディアとして、市民が必要とする情報をお伝えしていきたいと思います。今後ともご支援をお願いいたします。

岩上安身 拝

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