政治資金問題から見える「維新の正体」その64(「文書通信交通滞在費」についての詐欺師のような手口)~ブログ「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」より 2019.7.19

記事公開日:2019.7.19 テキスト
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特集 「ゆ」党再編の要!? 維新の「正体」
※2019年7月18日22:10 投稿の本ブログは、上脇博之氏の許可をいただき掲載しています。

はじめに

(1)「日本維新の会」の「文書通信交通滞在費」については、以下の4つのブログ投稿で紹介した。

・政治資金問題から見える「維新の正体」その45(丸山穂高議員の「文書通信交通滞在費」の27カ月間約2017万円「ちょろまかし疑惑」)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51915930.html

・政治資金問題から見える「維新の正体」その46(丸山穂高議員の「文書通信交通滞在費」支出における3つの問題点)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51915952.html

・政治資金問題から見える「維新の正体」その47(丸山穂高議員の「文書通信交通滞在費」の資金管理団体への寄附額は約4230万円)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51916012.html

・政治資金問題から見える「維新の正体」その63(これでは「文書通信交通滞在費」の使途報告とは言えない)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51923407.html

(2)「日本維新の会」は全く反省していないようなので、
「文書通信交通滞在費」のそもそも論から
「日本維新の会」の違法使途問題と透明性問題を指摘する。

以下では、前者の問題に限定して指摘する
(後者の問題は次の投稿で指摘する)。

1 「日本維新の会」の「文書通信交通滞在費」の使途公開についての認識問題

(1)「日本維新の会」は、所属の衆参国会議員の「文書通信交通滞在費」の使途を
下記でインターネット公表している。

https://o-ishin.jp/news/bunsho/

それ自体は、公表しない自民党に比べても評価しているが、
最大の問題は、「文書通信交通滞在費」についての理解である。

「日本維新の会」は上記において「文書通信交通滞在費」について次のように説明している。
文書通信交通滞在費とは
国会議員一人当たり月々100万円、年1,200万円もの税金が、その使途も公開されないまま使われています。これが「文書通信交通滞在費」です。 政治資金の流れを透明化し、国民の皆様への説明責任を果たすためにも、日本維新の会はこの「文通費」を公開致します。
我々は文通費公開に限らず、これからも身を切る改革を実行していきます。

(2)この説明の最後に、
「我々は文通費公開に限らず、これからも身を切る改革を実行していきます。」
と書いているが、
なぜ「文書通信交通滞在費」の使途を公開すると「身を切る改革」の実行なのか?
全く不可解である。

例えば、政治資金規正法では、
政治団体に対し、収入と支出を収支報告書に記載させているし、
政党助成法では、
政党に対し、交付を受けた政党交付金の使途を報告書に記載させており、
政治資金収支報告書も政党交付金使途報告書も情報公開の対象になっており、
総務省等はインターネットでも公表されているが、
このことは、「日本維新の会」によると、
政治団体や政党が「身を切る改革」を実行したものになってしまう。

そのような説明は明らかに間違いだ。

(3)そもそも政治資金の収支や政党交付金の使途を公開することは、
国民の知る権利を保障するためであり、
国民が関して議会制民主主義を健全なものにするためである。
「文書通信交通滞在費」の使途公開もそれと同じだ。
「日本維新の会」は、そのことを全く理解していない。

また、それゆえに、
「文書通信交通滞在費」の使途公開は、「身を切る改革」ではない。
そもそも「身を切る改革」でもないものを、そうだと言い張られても、
国民は納得しない。

2 「日本維新の会」の「文書通信交通滞在費」の法的性格についての認識問題

(1)それ以上に問題なのは、
上記紹介説明によると、「日本維新の会」は、
「文書通信交通滞在費」について「政治資金」だと理解し、そう説明していることだ。

そもそも「文書通信交通滞在費」は、「政治資金」ではないどころか、
「政治資金」にしてはならない公金だ。

国会法第38条:
「議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、別に定めるところにより手当を受ける。」

国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律第9条第1項:
「各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として月額百万円を受ける。」

以上の法律によると、
「文書通信交通滞在費」は、主権者国民の代表者である議員らの公的活動に
必要な経費の一部を公金で負担しているのである。

したがって、
「文書通信交通滞在費」は、私的な活動である政治活動・後援会活動・選挙活動には
使えないのである。

もちろん、
公的な活動で使ったと評しうるものを、政治活動などで活用することは自由であるが、
公的活動といえないのに、初めから政治活動などのために使うことは
禁止されているのである。

(2)このことは、
「地方議会における政務活動費」(以前は政務調査費)の場合と同じように
考えればわかりやすいかもしれない。

地方議会の会派・議員に対し交付されている「政務活動費」は、
会派または議員が議会活動という公的な活動のために要する経費の一部を
負担している公金であるから
政治活動・後援会活動・選挙活動に使ることが禁止されている。

この論理は、基本的には「文書通信交通滞在費」にも妥当する。
両者の違いは、
「文書通信交通滞在費」は、議員の公的な活動のうちの
文書費、通信費、交通費、滞在費に限定され、
「政務活動費」は、それに限定はされないことだ。

(3)以上の説明で理解してもらえるように
「文書通信交通滞在費」は、「政務活動費」と同じように、
政治活動などには支出してはならな公金なのである。、

このことが「日本維新の会」の説明では明らかに間違っているのだ。
(実は、私は、もっと疑っている。
 本当は、正しく理解しているにもかかわらず、あえて嘘の説明をしているのではないか、と。)

3 「日本維新の会」の「文書通信交通滞在費」の使途報告書の書式問題

(1)以上指摘したように「日本維新の会」は「文書通信交通滞在費」を
「政治資金」であると嘘の説明をしているがゆえに、
そのことが「日本維新の会」の作成した、「文書通信交通滞在費」の使途報告書の書式
にも反映しているのだ。

(2)以下は、ある議員のある月の使途報告書である。

https://o-ishin.jp/news/bunsho/2019/images/f01ec41379fa3577d2e39886cb16ad9833c64035.pdf

ここでは、とりあえず書式だけにに注目してみていただきたい。

それを見ると、「経常経費」と「政治活動費」というように
政治資金収支報告書と同じ構成になっている。
だからこそ、
「政党支部繰入(寄付)」も「資金管理団体繰入(寄付)」も
まるで当然であるかのように項目として挙げられている。

つまり、
「文書通信交通滞在費」の使途報告書の書式は、本来、
「文書費」「通信費」「交通費」「滞在費」等と区分・構成されなければいけないのだが、
「日本維新の会」の作成したそれは、
「経常経費」「政治活動費」「政党支部繰入(寄付)」「資金管理団体繰入(寄付)」
と区分・構成されているのである。

これは、
「日本維新の会」が「文書通信交通滞在費」を「政治資金」と同じとみなしている
からである。

(3)これは、明らかに違法支出をしますという「自白」であるが、
「文書通信交通滞在費」の法的性格について十分な理解のない者にとっては、
堂々と違法を「自白」するとは思わないだろうから、
使途報告の書式として当然なのだろうと思い込んでしまうのではなかろうか。

3 まるで詐欺師のようだ

(1)以上指摘したように
「文書通信交通滞在費」は政治資金ではないにもかかわらず、
「日本維新の会」は
「文書通信交通滞在費」を政治資金だと嘘の説明をして、
違法支出して公金を私物化し「身を太らし」ておきながら、
それを自主公表したら「身を切る改革」と出鱈目なアピールをするのは、
まるで詐欺師のような手口としか言いようがない。

(2)「日本維新の会」の所属議員の各「文書通信交通滞在費」使途報告書を見ると
「文書通信交通滞在費」に相当する支出もあるが、
明らかに「文書通信交通滞在費」の目的外の支出があるので、
その違法支出分については、全額、国庫に返還すべきだ!

(3)なお、
「日本維新の会」における「文書通信交通滞在費」の透明性問題
については、次の投稿で指摘する。

(つづく)

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