規制委がテロ対策施設を期限内に完成できない原発事業者に原発停止を命じる方針を決定!更田豊志委員長「差し迫ってきて訴えれば何とかなると思われたなら大間違い」!! ~4.24原子力規制委員会 定例会見 2019.4.24

記事公開日:2019.4.24取材地: テキスト動画
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(取材:渡会裕 文:花山格章)

※19/5/16リード追加しました。

 2019年4月24日の第5回原子力規制委員会では、原発の特定重大事故等対処施設(以下、特重施設等)の設置にかかる期間を延長しない方針が明確に示され、期限内にテロ対策用設備が完成していない原発は運転停止になる見通しが出てきた。

 同日14時30分より、東京都港区の原子力規制委員会で定例会見を行った原子力規制委員会の更田豊志(ふけたとよし)委員長は、この件について、「事業者の個別の詳細な事情を聞くことを、はねつけることはない」としながらも「個別の事情によって、今日の方針が適用されないことはない」とも述べた。

 更田委員長は「可能性はゼロとは言わないが、第8回主要原子力施設設置者の原子力部門の責任者との意見交換会(以下、CNO会議)で聞いた限りでは、いずれの事業所についても、今日の方針の適用を免れるケースがあるとは思っていない」と、その理由を語った。

 原発の稼働中に設置期限を迎えた場合の対処について、更田委員長は、「期限が来て基準不適合になった状態でも、運転中であれば、サイクル末期までの運転が考えられる。しかし、不適合状態になって、なお運転が続く状態を、原子力規制委員会では『維持できる状態ではない』としたのが今日の判断だ」と話し、改めて「期限が来ても不適合状態の原発は即時停止する」との規制委員会の態度を明確にした。

 記者から、原発停止の社会的影響の大きさを問われると、更田委員長は「原子力規制委員会は、何ものにもとらわれず、科学的、技術的な知見を持って、施設の安全を考える組織として法律にもとづき作られている。だから、特重施設等の完成を求めることにおいて、『社会的事情を考慮して』と言うのは、そもそも原子力規制委員会の設置の趣旨にかなったものではない」と応じ、その質問を一蹴した。

 さらに更田委員長は、電力会社側の見通しの甘さにも言及し、次のように語った。

 「特重施設等の審査段階で、地盤がどういうものであるか、彼ら自身が立証している。いざ工事が始まったら、『調べたとおり(地盤が)硬かった』。そんな説明は通るものでもない。

 CNO会議で出席者の1人が『見通しが甘かった』と言ったが、それは工事の見通しだけでなく、規制当局の出方に対しても甘かったのではないか。差し迫って訴えればなんとかなる、と思われたのなら、それは大間違い。事業者は問題を把握したなら、速やかに規制当局に伝えるべき。差し迫ってからテーブルに出すのは、コミュニケーションを取ろうとしなかった側にも大きな責任がある」

 また、更田委員長は、東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、福島原発事故)からの教訓として、次のような見解を示した。

 「福島原発事故以前の規制では、いったん認められたものは十分に安全だというスタンスで、その後の改善、規制の強化はなされなかった。

 原子力規制委員会は、新しい知見があれば、それを検討して規制を強化していく。さらに言えば、規制が強化される以前に、事業者自ら安全性向上の努力を続けること。これなくして原子力の利用はおぼつかない。バックフィット(既存の設備にも新しい規制基準を適用する)をかけていくことが教訓である。その中の大きなものが特重施設等だ」

 そして、福島原発事故の廃炉工程での外国人作業員の活用については、「東京電力から具体的な話を聞いているわけではない。原子力に関わる規制を行う機関として、外国人の雇用に関して直接的な規制権限はない。一方で、困難な場で働く人に対する教育や、状況の理解を求めることは重要。あれだけ困難な廃炉作業に取り組むわけだから、一概に外国の方が廃炉作業で働くことは否定はしないが、十分な配慮、準備は必要。今後、具体的な提案があれば考えていきたい」と述べた。

 特重施設等の設置遅れによるテロ対策への影響を問われると、更田委員長は、「わが国の原子力発電所のテロ対策は、設備的には高い水準にある。テロ対策を考える時は、各国の事情に応じたものを考えなければならない。少なくともハードウェアに関して、ないしは設備の核物質防護に対する意識において、高い水準にある。特重施設等がないことで、一概にテロ対策に穴が開いているとは考えていない」と回答した。

■全編動画

  • 日時 2019年4月24日(水)14:30~
  • 場所 原子力規制委員会(東京都港区)

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