5.18にTPP11いよいよ強行採決か!? 種苗の自家増殖「原則禁止」へ種苗法が転換!! 東京高裁判決「種子法廃止の背景にはTPP協定」次は水道法改定!?~「TPP11協定批准反対」院内集会 2018.5.15

記事公開日:2018.5.18取材地: テキスト動画
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(文:花山格章)

特集 TPP問題|特集 種子法廃止の衝撃「食料主権」を売り渡す安倍政権
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 「モリカケもそうだが、ある一部の人たちが利益を得るために、条約や法律をほしいままにして国民を騙している。嘘とごまかしと隠蔽にまみれた政治の象徴が、TPPだ」

 立憲民主党の川内博史衆議院議員は、そう言ってTPP11発効手続きを強引に進めようとする政府・与党を糾弾した。

▲立憲民主党・川内博史 衆議院議員

 2018年5月15日、東京都千代田区の衆議院第二議員会館にて、TPPプラスを許さない! 全国共同行動の呼びかけにより、「5.15 TPP11協定批准反対」院内集会が行われた。

 なお、TPP11承認案は5月18日、野党の猛反発にもかかわらず衆議院本会議で採決され、賛成多数で可決された。さらに、5月24日にはTPP11関連法案が衆議院を通過。政府は今国会の会期中(6月20日まで)に参議院でも可決、成立させて、TPP11発効への国内手続きを急ぐ意向だ。

 なおTPP11に関しては、本日(2018年6月11日)午後2時半より、「『食料は武器、標的は日本』TPP11、日米FTA、日欧EPAで日本農業は壊滅!安倍政権に貿易政策は任せられない!」というタイトルで、岩上安身による東京大学大学院農学生命科学研究科教授・鈴木宣弘氏インタビューの中継配信を行う予定である。

 グローバル企業による資源や市場の凄まじい私物化と、そうした企業のために日本の主権を安々と放棄する安倍政権の通商政策について、さらには大手メディアがまともに取り上げない「自由貿易の闇」など、TPP11が内包する多くの問題を、ぜひ皆様の眼でご確認いただきたい。

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【IWJ_Youtube Live】6月11日(月)14:30~
「食料は武器、標的は日本」TPP11、日米FTA、日欧EPAで日本農業は壊滅!安倍政権に貿易政策は任せられない!岩上安身による東京大学大学院農学生命科学研究科教授・鈴木宣弘氏インタビュー」
YouTube視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867
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■ハイライト

■全編動画

  • 全国共同行動からの問題提起と国会議員への要請
  • 国会議員からの情勢報告と連帯あいさつ

TPPは農業分野だけでなく、国のあり方に関わる重要な問題。それを短時間で片付けようとする姿勢がいけない!

 日本共産党の紙智子参議院議員は、「TPP11は5月18日に質疑、採決まで行くかどうか。非常に緊迫している。また、4月の日米首脳会談で新たな枠組みが出てきた。今までは経済界の枠組み、今度は茂木敏充経済再生担当相とUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)のライトハイザー通商代表との場。FTAとなれば大きな批判が出るため、あえてFTAを伏せたまま、アメリカの要求を聞き入れる枠組み作りをしているのではないか。日本が危機的な状況になると言わざるを得ない。これについても厳しく問い質し、国民に対して情報を知らせるように求めていく」と力を込めた。

▲日本共産党・紙智子 参議院議員

 同じく日本共産党の穀田恵二衆議院議員は、「相手(与党)は短時間でやろうとしてるが、TPPは国のあり方に関わる重要な問題」と述べ、農業分野だけでなく経済や調達など、ありとあらゆる分野に影響があることを指摘し、こう続けた。

 「そういうものを短時間で議論するという心根がダメだということを、確認する必要がある。確かに、強行採決はあるでしょう。しかし、それが問題というより、そういうものを軽く扱う政治のあり方に憤らなければいけない。皆さんが、TPP11の問題についてさまざまな議論を深めることが裾野を広げる。共産党を含めた野党5党1会派は『TPP11採決は論外』ということで、協力して戦う。

▲日本共産党・穀田恵二 衆議院議員

 今、モリカケや日報で隠蔽だ改竄だと問題だらけ。TPP11も、そういう問題のひとつととらえている。衆議院が仮に終わったとしても、参議院がある。野党全体が戦う意志表示を確認したことは極めて大きい」

種子法廃止で自家採種が原則禁止へ!? 水道民営化の背景にもTPP。しかし自民党議員は議場でスマホ、おしゃべり、緊張感なし!

 佐藤公治衆議院議員(無所属)は、「私は参議院議員の時から山田正彦先生の指導を受けて、TPP反対を訴え続けている。今はいったん立ち止まり、この国の本質、そして世界の本質、これからの行く末をきちんと見極めることが大事だ。何よりも議論の前提がめちゃくちゃ。これで本当にこの国は統治できるのか。行く末が心配でならない」と現状を憂慮した。

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 続いて元農林水産大臣の山田正彦氏が、「今回、種子法が廃止された。TPP違憲訴訟で東京高裁は、種子法廃止はTPP協定が背景にあることは否定できない、とした。また、水道法の改定も予測される。政府は種子法廃止の時、種苗法があるから大丈夫だと説明した。しかし、今日(2018年5月15日)の日本農業新聞には『自家採種が原則禁止へ転換』という記事。これもまさに、TPP協定の第17章の中身そのものだ。大変な状況だから、私たちはどんなことがあっても声を上げて、最後の最後まで反対していかなければいけない」と語った。

▲山田正彦 元農林水産大臣

 5月11日に衆議院外務委員会のTPPに関する審議を傍聴してきた農民運動全国連合会(農民連)の町田常高氏は、自民党の議員が圧倒的に多いためか、議場に緊張感がなかったと語る。

 「彼らはスマホをいじっていたり、隣の議員と話をしたり。国の将来をかけた議論になってない。私たちは国会の外から『もっと真面目に議論しろ』と働きかけていかなければいけない。きちんと有権者が見ていることを示すためにも、国会に傍聴に行くことは大切だ」と強調した。

ISDS条項導入にこだわる国は少数派。EUは完全否定、アメリカからもISDS条項不要論。しかし、日本だけが「重要だ」と主張!?

 4月23日のTPPプラス交渉をただす院内集会に出席し、政府担当者と意見交換をした農民連の吉川利明氏は、以下のように振り返る。

 「私が主に聞いたのは農業分野。TPP11に入った時に、低関税輸入枠とセーフガードの数量について見直しをしなかった。アメリカの参加を前提としたセーフガードは有効に機能するのだろうか。

 牛肉は初年度59万トンでセーフガードが発動する。2016年の牛肉輸入量は52万トンで、そのうちアメリカは20万トン。(アメリカが不参加のTPP11で)この20万トンを除いた形で39万トンなどに見直すならわかるが、それをしていないのだ。オーストラリアやカナダからの輸入が増え、それと別枠でアメリカが今まで通り輸出すれば、59万トンを超えてもセーフガードは発動しないということが、この23日の交渉ではっきりしたと思う」

 農民連の近藤氏はISDS条項(*投資家対国家の紛争解決)について、「TPP11では11ヵ国中の7ヵ国、そのうち5ヵ国はお互いにISDSは適用しないという交換文書を出している。残りの2ヵ国も、5ヵ国に含まれる1ヵ国との間で共同宣言を出し、ISDSについては慎重に取り扱うとしている。このように、ISDSはTPP11でも少数派。日本とEUのEPAでも、EUはISDSを認めず、投資分野は先送りにされた。世界の流れはISDSではないのだ。こうした中、日本政府は『コストがかからない』とか『日本企業にとって重要』などとこだわっている」と強く批判した。

投資家対国家の紛争解決

投資家対国家の紛争解決とは、投資受入国の協定違反によって投資家が受けた損害を、金銭等により賠償する手続を定めた条項。英語では Investor-State Dispute Settlement, ISDS と言われ、国際的な投資関連協定でこれを規定する条項は「ISDS条項」または「ISD条項」と呼ばれる。国内法を援用した締結済条約の不履行は慣習国際法および条約法に関するウィーン条約27条で認められておらず、適用法規は国際法であることが多いため、国内法に基づいた司法的判断と異なる結果となる場合がある。(wikipediaより)

 これに関連して山田氏も、「今、アメリカも、ISDS条項はもういらないのではと言っている。なぜかというと、アメリカはパイプラインの件でカナダから4兆円規模の訴えを起こされているからだ。EUもISDS条項を完全に否定している。しかし、日本政府は『日本にとっては利益である』と。何の利益かといえば、企業の利益。ISDS条項があれば、発展途上国に進出していく日本企業の利益が守られるという、それだけなのだ」と説明した。

 司会の市村忠文氏(平和フォーラム)は食の安全について、「4月23日の院内集会でのやり取りで、政府はTPP11によって、食の安全に関わるものは何も変わらないと言っている。しかし、実はさまざまな部分で影響が出る。特に遺伝子組み換え食品については、消費者庁が新しい表示に変えようとしている。これはTPP11、あるいはアメリカなどからの遺伝子組み換え食品の輸入を前提にしている」と懸念を口にした。

きなこ餅が消え、口の周りがきなこだらけの人物が「調査中!」と言い張る。そんな嘘とごまかし、隠蔽にまみれた政治の象徴がTPP!

 川内議員は、「モリカケもそうだが、ある一部の人たちが利益を得るために、条約や法律をほしいままにして、国民を騙している。企業帝国にとって国家とその国民は単なる収奪の対象。黙って言うことを聞いて金を払え、と。TPPは嘘とごまかしと隠蔽にまみれた政治の象徴だ」と喝破し、こんなたとえ話をした。

 「部屋の中にきなこ餅がひとつあり、A君がいた。ふと見ると、きなこ餅がなくなっていた。A君に『きなこ餅を食べたんですか』と聞くと『絶対、食べてません』と否定する。しかし、彼の口の周りにはきなこがいっぱい付いている。『口の周りのきなこは何だ』と聞くと『このきなこについては調査中です』と答える。これが、今の政治行政のおかしさだ。国民はみんなわかっている」

 しかし、自民党議員で(TPP11採決に)造反する人はいないだろうと川内議員は言う。

 「なぜなら、彼らは今の枠組みで偉くなりたいし、大臣になりたいから。人間はそれぞれに我欲がある。この我欲を乗り越えて、次世代の子どもたちのために、嘘をつかない、みんなで助け合う、話し合いで何でも解決していこう、という世の中を作れるかどうかだ」と訴えた。

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  1. 土井礼子 より:

    お米の種子法廃止に反対です。もっと野党は自民党追求してください。野党がだらしない。

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