スクープ!「上司に報告が上がっていたら報道していたのか」!? 「麻生氏の『はめられた』発言に社として抗議はしないのか」!? 記者クラブに閉ざされたテレ朝社長会見の取材メモをIWJが独自入手! 会員限定で会見の内容を公開!! 2018.4.24

記事公開日:2018.4.30取材地: テキスト
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 2018年4月19日未明、テレビ朝日は福田淳一財務次官(当時)のセクハラ疑惑に関して緊急会見を行い、篠塚浩報道局長が「セクハラを受けたとされる記者の中に当社の女性社員がいることが判明致しました」と発表した。

 福田前次官のセクハラ疑惑をめぐっては、4月22日に自民党の下村博文元文科相が都内の改憲集会で、被害者であるテレビ朝日の女性社員が会話を録音し、週刊新潮に告発したことについて「ある意味で犯罪」だと、二次加害とも言える暴言を吐き、後に撤回、謝罪している。

 また4月24日、麻生太郎財務相は閣議後の記者会見で、福田次官の辞任承認を公表した際、セクハラ疑惑について「はめられて訴えられているんじゃないかとか、世の中にご意見ある」と言い放った。被害者をまるで犯罪者扱い、これもれっきとした被害者に対する二次加害である。麻生財務省は、真摯な謝罪もなく、いつまでこんな傲慢な態度を取り続け、被害者を傷つけ続けるのだろうか。

 このため、4月24日に行われたテレビ朝日の社長定例会見は、当然世間の耳目を集めることとなった。しかし、この記者会見にIWJなどインターネットメディアやセクハラ疑惑を報じた当の週刊新潮をはじめとした雑誌メディアなどは参加できなかった。IWJはテレビ朝日に電話で問い合わせ、社長定例記者会見に参加できるよう、粘り強く交渉した。しかし、テレビ朝日からの回答は、「メディアはNHK記者クラブのみ。絶対ダメです」という、冷ややかな拒絶だった。

 セクハラという「犯罪」は、記者クラブにおける「密室」で起きた事件である。この「密室」がセクハラの「温床」となっている。その記者クラブが外部の記者をシャットアウトする。これで闇に光が当てられるのか。自浄作用が発揮できるのか。そもそも、セクハラ被害を自社内だけでなく、この記者クラブ加盟者のどこも被害者へ「公益通報」を聞き入れて第一報を発信することができなかったではないか。

▲テレビ朝日(Wikimedia Commonsより)

 この「密室」に少しでも風穴を開けるべく、被害者の声を聞き届けて報じたのは、記者クラブ外の週刊誌『週刊新潮』だった。後日、IWJはこの記者会見のメモを入手した。この会見でテレビ朝日側は組織的な対応を取れなかったことについて「反省している」と語ったものの、「隠蔽する考えはなかった」とした。

 しかし、その後会見に参加した記者たちからは、「上司に報告が上がっていたら報道していたのか」、「麻生氏の『はめられた』発言に社として抗議はしないのか」、「セクハラ被害は黙認されていたのか」など、厳しい質問が繰り返された様子が読み取れる。

 以下、この取材メモを会員限定で公開する。

■角南源五(すなみ・げんご)・テレビ朝日社長定例会見より(2018年4月24日)

角南源五・テレビ朝日社長(以下、角南と略す)「財務省次官のセクハラについては、先日の記者会見で報道局長があらましを説明したが、その後の当社の新たな調査によってわかったことあるので現時点での話をさせて頂きます。

 先日の記者会見の通り、当社の女性社員が財務省の福田事務次官のセクハラ被害を受けていたことが判明しました。この社員は、1年半ほど前から1年ほど前にかけて数回、1対1の夜の会食をしました。会食のたびにセクハラ発言があったため、この社員は身を守るため、会話を録音したこともありました。そしてセクハラ被害にあわないよう、上司と相談の上、1年ほど前からは福田次官との1対1の夜の会合は避けていました。

 しかし今月4日、NHKが夜の7時のニュースで森友問題での財務省の口裏合わせについて独自のニュースを報じ、この社員が、デスクからの指示もありその裏付け取材することになりました。

 その時に、福田次官から電話があったため、裏付け取材をしようと考え、夜9時ごろから夜10時前まで1年ぶりに夜の食事を伴う1対1の取材にのぞみました。しかし、この時もセクハラ発言が多数あったため、この社員は自らの身を守るため途中から録音しました。

 後日、この社員はこの事実を報じるべきではないかと上司に相談しました。上司にはセクハラの事実を隠蔽しようという意図はなく、いくつかの理由で報道は難しいと判断しました。この社員はこのセクハラ被害が黙認される恐れがあるとして、週刊新潮に連絡し、取材を受けました。

 社員からセクハラ情報があったにもかかわらず、社内で適切な対応ができなかったことについては深く反省している。当社としては、この社員がこうした事情から福田次官との会話を録音したことは、身を守るためのものであって不適切だとは考えていない。女性社員は公益目的からセクハラ被害を訴えたものであり、当社としてもその考え、心情といいますか、それは、こちらで理解できるものと認識しております。

 一方で、当社の取材活動で得た情報と録音が第三者にわたされる結果となったことについては遺憾に感じます。当社は今月19日付けで、財務省に対し抗議文を提出しました。これに対し、今月20日付けで財務省側から、抗議はしっかり受け止め、当社の納得いくような形で話をうかがいたい旨の文書を頂きました。また同日、財務省から委託を受けたという弁護士事務所から調査への協力依頼がきました。

 しかし、本件では福田次官がセクハラの事実を認めておらず、厳正かつ中立公正な調査が必要であると考えております。弁護士事務所からの調査依頼は、財務省と弁護士事務所との関係性を踏まえ、内容が判然としない点がありましたので、当社は本日午前質問状を弁護士事務所に送りました。また、質問状を送ったことを財務省に先ほど伝えました。

 篠塚浩報道局長(以下、篠塚と略す)「2点ほど、追加します。先日当社が開いた会見内容について、週刊現代の記事で事前に官邸とすりあわせたかのような記事がありましたが、全く事実無根であり、週刊現代の編集長に書面で強く抗議しました。抗議文の内容は、当社のホームページに掲載しました。

 また、一部報道のなかで当該社員の上司がセクハラを隠蔽したとか、もみ消したとかという記述がありますが、これは社長が申し上げた通り、事実ではありません。

 (被害女性記者の)上司によれば、『今のメディアの状況の中で自分の経験からしても現実的に放送は難しい。声を上げることでダメージを被りかねない、放送できたとしても二次被害がある』と、当該社員に説明したそうです。もみ消しとか隠蔽の意図は全くありませんでした。

 当社として適切な対応ができなかったと申し上げているのは、報道局として情報を共有できず、組織としての判断ができなかったことを指していて、当該上司も上にあげなかったことは深く反省しています。情報共有がスムーズにできなくなっている一番の体制(の責任)は、組織の長である私にあり、速やかに改善をはかりたいと思います」

 冒頭のブリーフィングの後に、記者の質問を受けての質疑応答。

(…会員ページにつづく)

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  1. 梅谷 より:

    以下の部分を改めていただけませんでしょうか?
    ・「先日当初が開いた会見内容について」
     →「先日当社が開いた会見内容について」
    ・「組織としての判断できなかったこと」
     →「組織としての判断ができなかったこと」
     →「組織として判断できなかったこと」

    日刊ガイド4.30日号(https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/36028)についても、
    ・「希望の党の泉健太郎国会対策委員長」
     →「希望の党の泉健太国会対策委員長」

  2. 朝日太郎 より:

    安倍政権の犯罪をごまかすためのTOKIOの山口メンバーの報道と IWJも同じ
    結局テレ朝にも非があるという報道は、財務省によるセクハラ犯罪を認めない
    勢力に加担し犯罪の追求を混乱させて
    セクハラ犯罪者を擁護することにしかならない
    慰安婦問題の誤報騒動で慰安婦被害そのものを否定している連中が勢いづいたのと同じだ
    本当の悪とは何か、に目を向けるべきだし戦略目標を見誤ってはならない

  3. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    「上司に報告が上がっていたら報道していたのか」!? 「麻生氏の『はめられた』発言に社として抗議はしないのか」!? 記者クラブに閉ざされたテレ朝社長会見の取材メモをIWJが独自入手! 会員限定で会見の内容を公開!! https://iwj.co.jp/wj/open/archives/419602 … @iwakamiyasumi
    記者クラブ制度が産んだ犯罪と隠蔽。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/991078390525394944

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