【IWJブログ・特別寄稿】「安倍政権倒す倒す詐欺」で共謀する小池・前原両代表を絶賛する嘉田由紀子前滋賀県知事への疑問と期待――自民圧勝につながるリベラル派排除をなぜ容認するのか!?(ジャーナリスト・横田一) 2017.10.5

記事公開日:2017.10.6 テキスト
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(取材・文・写真 横田一)

 改憲をめざす勢力が2/3を占めるか、改憲阻止勢力が1/3以上を占められるか。戦後史上、もっとも重要な選挙が10月10日に公示される。

 希望の党が自民党の補完勢力であることがはっきりした。

 原発ゼロ、消費税凍結、ワイズ・スペンディングなど、口当たりのいい公約を示しながら、その実、極右的な本質をオブラートに包み、劇場型の選挙戦を進めることで有権者を引き付けている小池新党こと希望の党のそうした公約が怪しいことは、民進党のリベラル派を排除するばかりか、その選挙区へ刺客を送るという攻撃的な行動でも明らかになっている。

 野党を偽装しつつ、実際には日本から実質的に野党を消滅させ、選挙後は希望・維新・自公の改憲翼賛体制の構築をめざしているのは間違いないと推察される。

 ジャーナリストの横田一氏がインタビューした嘉田由紀子前滋賀県知事は、環境社会学者出身で環境問題に詳しい反原発リベラル派の政治家として知られている。また、2012年には脱原発(卒原発)を掲げる「日本未来の党」の代表に就任して総選挙を戦った経歴も持つ。

 その嘉田前知事が、「10月1日に希望の党から立候補表明」と報道され、その後、「無所属からの出馬を決意」と変化した。しかしそれは、「希望の党」の正体を知って幻滅したわけでも、来るべきリベラル勢力の結集のため、無党派から出馬を決めた、というわけでもなかった。

 このインタビューでは、嘉田由紀子という反原発の政治家が、今、起きているファシズム独裁政権樹立前夜(改憲・緊急事態条項加憲)の本質を見破ることができず、ただ、安倍政権を退陣させるための選挙戦略という表面的な問題しか見ていないことをよく示している。

 そして、これは、多くの民進党の議員たちが、自らの議席を失うのが怖い、という失業回避欲求から雪崩を打って小池・前原の用意した危険な船に乗り込もうとしている現実とリンクしている。

 嘉田由紀子前滋賀県知事に果敢に取材したジャーナリストの横田一氏がお伝えする。(IWJ編集部)

記事目次

非自民勢力が結集、安倍政権打倒の可能性が一気に高まった。これで5年前の未来の党のリベンジができる? え?

 民進解党(希望合流)の「安倍政権倒す倒す詐欺」で共謀をした小池百合子・希望代表(都知事)と前原誠司代表を絶賛する嘉田由紀子・前滋賀県知事は、非自民勢力乱立で自民圧勝(2012年総選挙)の再来を招くリベラル派排除・刺客擁立の方針変更をなぜ訴えないのか――こんな疑問が沸いてきたのは、10月2日。滋賀県大津市での嘉田氏の立候補会見を取材している時のことだ。

 第二次安倍政権が誕生した5年前の2012年12月、嘉田知事(当時)は「脱原発(卒原発)」を掲げる「日本未来の党」代表に就任して総選挙を戦ったが、民主や維新など非自民勢力が乱立し、同党も惨敗、自民党圧勝を許した。そんな過去を持つ嘉田氏が、同じ女性知事の小池百合子都知事が9月25日に小池氏が「希望の党」代表となり、27日に前原誠司代表が両院議員総会で民進解党(希望への合流)を提案・了承された時、「これで非自民勢力が結集、安倍政権打倒の可能性が一気に高まった。5年前の未来の党のリベンジができる」などと手放しで喜んでいた。

小池代表のリベラル派排除宣言のあとも、「一にも二にも三にも安倍政治を終わらせる」!「『名を捨てても実を取る』前原代表の決意に感動!」前原代表の決意に感動!って、はぁ?

 しかし政権交代への期待は、小池代表の「リベラル派排除」発言で急速に萎んでいった。小池代表は安保法制容認と憲法改正が希望の党公認の踏み絵になるとも明言。「非自民結集の受け皿」と説明されて解党と合流を了承した途端、「小池新党は実は『第二小池自民党』でした」と舌を出して宣言されたようなものである。人を小馬鹿にしたやり方であり、「裏切られた!」と気づいたリベラル派が新党結成に踏み切ったのは当然のなりゆきである。その結果、民主と未来と維新などが乱立した2012年の再現となるのが確実な事態となったのだ。

 そんな中、「10月1日に希望の党からの立候補表明」と報道された嘉田氏が会見を翌日の2日に延期、一転して「無所属からの出馬を決意」と聞いた時、5年前の悪夢回避をするべく非自民勢力結集を呼びかけるに違いないと、筆者は期待したのだが、実際に嘉田氏の口から飛び出したのは、小池代表と前原代表を高く評価する肯定的発言ばかりだった。

 引退する元文科大臣川端達夫・前衆院議員(滋賀1区)の挨拶の後、嘉田氏はこう強調したのだ。

 「何よりも一にも二にも三にも安倍政治を終わらせる。議会制民主主義を破壊して、こんなに政治を私物化しているところを終わらせる。そこで前原代表は大変なご決意をなさいました。党を割るという解党、そして(希望に)合流する。『名を捨てても実を取るのだ』と。その前原代表の決意にも私は感動しました」

 「前原代表が『無所属で京都で自分も出る。一緒に滋賀一区で、そして京都と滋賀で協力をしながら希望の党とも寄り添いながら何よりも一人でも多くの議員を国会に送って安倍政治を終わらせる』という前原代表の決意に感動をしまして今回の出馬を決意しました」。

▲10月2日の衆議院選挙出馬会見の嘉田由紀子前滋賀県知事

2012年の非自民乱立・自民圧勝を体験した嘉田氏こそ小池知事と前原代表に軌道修正を迫る適任の人物のはず。脱原発派のリベラル派と希望が連携して『原発ゼロ実現』のための安倍政権打倒を訴えるべきだ!

 正直、期待外れだった。「排除されたリベラル派や無所属候補の『つなぎ役』として『排除の論理』を批判、幅広い非自民勢力結集を提案する」という言葉を期待していたが、予測はものの見事に外れた。

 そこで質疑応答で、「2012年の悪夢を実体験した嘉田氏こそ小池知事と前原代表に軌道修正を迫るのに適任」「脱原発派のリベラル派と希望が連携して『原発ゼロ実現』のための安倍政権打倒を訴えるべきだ」との考えから、次のように切り出して再質問を繰り返した。

2012年の失敗を避けるという判断が前原さんの英断!? 前原・小池が乱立を避けようとして今回の動きになっている!? その大きな動きは前回の教訓を活かしている!?

――リベラル派が公認を外れるのは「原発ゼロ」を掲げる希望の党の政策と矛盾するのではないか。阿部知子前議員(神奈川12区)や菅(直人)元総理(東京18区)や近藤昭一前議員(愛知3区)のような脱原発派がリベラル派排除リストに入っていることをどう思うのか。安倍政権打倒であれば、滋賀一区のようにリベラル新党や無所属から出る民進前議員に対しても候補者調整をして「(与野党)1対1の構図に持ち込むことを全国でやるべきだ」「2012年の非自民勢力乱立のようなことは避けるべきではないか」と考えていないのか。

嘉田氏「(代表と知事を兼任した)『日本未来の党』の時には(非自民勢力が)乱立した」

――2012年の時は非自民勢力が乱立して批判し合って安倍自民党が大勝したと。「イデオロギーの違いを超えて幅広い非自民勢力が結集するのが安倍政権打倒に必要だ」と思うのですが、小池知事(希望代表)がやっている左派リベラル派の選別・排除は、脱原発を実現する上でも矛盾するのではないか。希望の党が選別をするのであれば、せめて無所属やリベラル新党から出る人と候補者調整をしてダブらないようにする(1対1の構図に持ち込む)ことが大切ではないかと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。

嘉田氏「まず未来の党の時に(候補者が出た)121の小選挙区で、小沢(一郎)さんと亀井(静香)さんの2人しか当選せず、全滅でした。それで、比例区で7つで9議席だったのですが、今回は『それ(2012年の失敗を)をある意味で避ける』という判断が前原さんの英断だったと思いますので、前原・小池が乱立を避けようとして今回の動きになっていると思いますので、その大きな動きは前回の教訓を活かしているのではないかと思います」

▲希望の党の公認を得るために必要な「政策協定書」(「踏み絵」の誓約書)

非自民で乱立しないように候補者調整をしないと、安倍政権打倒の目的を達成できません。それは、前原さんや小池さんに直接聞いていただいたら。

――(小池代表の「排除の論理」によって)結果としてリベラル新党ができるわけですから、希望の党とリベラル新党が候補者調整をしないと、結局、(2012年の同様に非自民勢力の)乱立になってしまうじゃないですか。そこの話までちゃんとできているのでしょうか。滋賀一区のようなケース(安倍政権打倒で一致する候補が出る選挙区に希望の党の候補者は出ない)が全国で実現するのかどうかをお聞きしたい。

嘉田氏「それは私の権限を越えますが」

――前原代表とどういう話をしているのですか。前原代表はそういう心積もりなのですか。

嘉田氏「それは前原代表に直接聞いていただけますか。『(非自民で)乱立しないように候補者調整をしないと、(安倍政権打倒の)目的を達成できません』。そこは大変大事なポイントだと思います。それは、前原さんや小池さんに直接聞いていただいたら」

――前原代表は「安倍政権打倒をするために全員公認、排除されることはない」と言ったのに、(小池代表は)それをひっくり返して(民進前議員は)騙された形になっているのですが、この事態についてはどうお考えでしょうか。

嘉田氏「それは……」

――「前原代表はおかしいじゃないか」と(批判しないのか)。「リベラル派と棲み分け(候補者一本化)をする」という約束をして(希望がリベラル派を)排除するのなら分かるのですが、このままだと2012年の二の舞になってしまうのではないか。

嘉田氏「それは前原代表に聞いて下さい」

――そこまで話をしないと、安倍政権打倒につながらないのではないか。

司会者「今日は、嘉田由紀子さんの出馬表明ですから。そこはまた別のところで話をしていただければ」

嘉田氏「私がコメントをする権限があるわけではない」

司会者「それ(候補者調整)は今のところ視野に入れて話をしていません」

――民進党としても対応を決めないといけないのではないですか。民進党として前原代表に騙されたのか、騙されていないのか。

司会者 「また考えます」

小池さん、今、期待をしていて、女性政治家として成果を出していただきたいと期待をしております。

 この後、小池代表(都知事)について別の記者から聞かれた嘉田氏は、前原代表と同様、高く評価する発言をした。

嘉田氏「小池さんへの印象ですが、たまたまではなくて、私は最初からグリーンなので、グリーン革命はよくご存知ですよね。グリーン革命を滋賀から始める。小池さんはやっぱり女性政治家として、本当に私も『二束のわらじ』と言われて2012年12月は大変でした。知事と『未来の党』代表をして。

 そういう経験をした人間は少ないと思うのですが、小池さん、今、期待をしていて、女性政治家として成果を出していただきたいと期待をしております」

 嘉田氏への疑問がますます膨らんだ。「2012年の未来の党代表時代を今の小池知事と重ね合わせるのなら、なぜ非自民勢力乱立の現状を指摘して『小池代表は方針変更をすべき』と問題提起をしないのか」と思ったのだ。そこで質疑応答に予定されていた写真撮影後に再び嘉田氏を直撃した。

▲10月2日の衆議院選挙出馬会見で発言する嘉田由紀子前滋賀県知事

私に「おかしい」と言って欲しいのですか。私に評論家の意見を聞きたいのですか。私は原発問題をあそこまで言ったのはすごいと思います。

――リベラル派排除はおかしいじゃないですか。枝野(幸男)さんとか、阿部知子さんとか。

嘉田氏「それは、私に『おかしい』と言って欲しいのですか。言う立場ではありません」

――(非自民乱立で未来の党惨敗の)2012年の再来になってしまうじゃないですか。

嘉田氏「2012年の再来は避けて欲しい。それ以上、私が言う立場ではありません」

――希望の党は安保法制容認で安倍自民党とその点は変わらなくなってしまうのですが、それでも支援した方がいいのですか。

嘉田氏「私に評論家の意見を聞きたいのですか」

――(嘉田氏が希望の党を評価・滋賀2区から4区の公認候補を支援する)結果として「小池代表(都知事)と同じ考えの人が増える」ということは、安倍自民党のような「第二(小池)自民党」を増やすことにならないのですか。

嘉田氏「それは民進のそれぞれ(希望の党に)行った人たちの話でしょう」

――民進の希望の党公認申請者は安保法制容認と改憲の「踏み絵」を踏まされるわけでしょう。「第二(小池)自民党」を作ることになりませんか。そういう政党と連携するのはどうなのですか。

嘉田氏「私は原発問題をあそこまで言ったのはすごいと思います」

――それなら、なぜ(脱原発に熱心なリベラル派の)阿部知子さん、近藤昭一さんを排除しているのですか。矛盾しているじゃないですか。「原発ゼロ」は看板だけではないですか。

 ここで主催者が「個別取材は受けていません」と間に入って質疑応答は中止となり、嘉田氏は無言のまま会見会場から立ち去った。

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