前川喜平・前文科事務次官が「9月1日問題」で大胆発言「学校に行かないキャンペーンをしたい」〜南三陸町で男子高校生に助言「命をかけてまで学校に行くべきではない」 2017.9.8

記事公開日:2017.9.8取材地: テキスト
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(取材・文:横田一)

 いわゆる「9月1日問題」とよばれる、18未満の子供たちに見られる自殺の統計がある。進路の悩みや家庭の問題、友人関係などを動機に自らの命を絶つ若者が夏休み明けの新学期を境に多いことが、2015年に内閣府が発表した「自殺対策白書」によって明らかになった。

 内閣府は1972年から2013年までの18歳以下の自殺者数を日別に分析。累計の自殺者数が一日あたりの平均で約50人に対し、9月1日はその数字が131人に跳ね上がり、前日の8月31日は92人、9月2日は94人と集中する。

 今年も8月30日から9月4日時点で報告されている中高生の死亡について各紙が速報的に報じている。それによると、東京や千葉、埼玉などの首都圏だけでも、計7人が首をつったり、マンションから転落、電車にはねられるなどして6人が命を失っているが、警視庁や千葉・埼玉県警はそれぞれ自殺の可能性が高いと見ている。

 「『学校に行って死にたくなる』という思いをするのなら、絶対に学校に行くべきではない。自分の命が絶対に大事なのであって、『学校に行くことを優先する』という考え方は全く馬鹿げた考え方です」

 こう話すのは前川喜平・前文科省事務次官だ。8月20日、前川氏は宮城県南三陸町で行った講演で、男子高校生から寄せられた相談に、文科省OBとしては型破りの答えを返した。以下、当日の前川氏を取材したジャーナリスト・横田一氏からの特別寄稿を掲載する。(IWJ編集部)

記事目次

義務教育の「義務」は親の義務〜「学校に行って死にたくなるなら絶対に学校に行くべきではない」

 加計問題の告発で安倍政権一強状態を揺るがすきっかけを作った前川喜平・前文科省事務次官は8月20日、東日本大震災の被災地・宮城県南三陸町で講演、文科省OBとは思えない大胆な発言をした。

▲東北6県の高校生約50名が参加したイベントで講演する前川氏

 「『学校はどうしても行かないといけない所』という強迫観念が、未だに日本中を覆っている。これをいかになくすのかが大事です。『学校に行かないキャンペーン』をしたいぐらいです。これから2学期が始まる時が本当に危ないのです。

 日本中の学校に行きたくない子供に言いたい。『死にたくなるぐらいの気持ちがあるのなら絶対に学校に行くな! そんな危険なところに行くな!』 『(NPO法人)キッズドアに行きなさい!』」。

 茨城県知事選(8月27日投開票)のラストサンデーでもあったこの日、東北6県の高校生約50名が参加していたイベント「U-18東北次世代リーダーカンファレンス」(NPO法人「キッズドア」主催)で前川氏は合流、文科省時代を振り返る講演をした後、質疑応答で高校生の質問にこう答えていたのだ。

――(男子高校生)お話の中で「無登校」(年間10日以下しか学校に通わない不登校)という話がありました。憲法で義務教育というものがありますが、僕の学校に「学校に行かないといけない義務」という先生がいて、それで学校を休めなかったりして心を痛めている人が友達にいるのですが、どういうふうにお考えですか。

 前川氏「『死にたいぐらい学校に行くのが嫌だ』とか、『またいじめられてしまう』とか、ものすごく辛い思いをしながら学校に行っている子供は多いわけですよね。いじめによる自殺は後を絶たない。『学校に行って死にたくなる』という思いをするのなら、絶対に学校に行くべきではない。自分の命が絶対に大事なのであって、『学校に行くことを優先する』という考え方は全く馬鹿げた考え方です。

 義務教育の『義務』というのは親の義務なのです。憲法第26条第二項、『すべての国民は法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う』とあります。つまり、『保護する子女に受けさせる』というのは、親が子に対して教育を受けさせるということで、義務教育の義務が課されているのは親、保護者なのです。

 (それに対して)子供は権利者なのです。『(憲法第26条にある)すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する』とあります。子供は権利者なので、これを『学習権』と呼んでいるわけです。

 その学習権が『学校ではないと満たされないのか』というと、学校以外に方法がある。だからフリースクールが存在しているし、フリースクールで学んで立派な社会人になった人も沢山いるし、学校が全てではない。むしろ、学校に行って死にたくなるぐらいなら絶対に行ってはいけない。そんな危険なところはないでしょう。命をかけてまで学校に行くべきではない。だから、学校外に学ぶ場を正面から認める法律(教育機会確保法)ができたのです」

▲「学校を休めずに心を痛めている友達がいる」男子高校生から質問を受ける前川氏

(…会員ページにつづく)

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