枝野幸男経済産業大臣定例会見 2012.10.30

記事公開日:2012.10.30取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJ・安斎)

 2012年10月30日(火)、東京都千代田区の経済産業省で、枝野幸男経済産業大臣の定例会見が行われた。枝野大臣は、11月1日施行の改正石油備蓄法、アジア拠点化推進法について報告した。その後、電気料金の値上げや復興予算の問題などについて、質疑応答が行われた。

■全編動画

  • 日時 2012年10月30日(火)
  • 場所 経済産業省(東京都千代田区)

 冒頭、枝野大臣から、11月1日施行の改正石油備蓄法、アジア拠点化推進法について報告があった。改正石油備蓄法については、「東日本大震災の経験を踏まえ、災害時の石油とLPガスの安定供給体制を強化するものであり、今回の改正によって、災害時に国内の特定地域へ、供給不足の時にも、備蓄石油が放出できるようになる」と述べた。また、「全国10地域ごとに、石油会社が共同で災害時の対応に係る計画を作成し、災害時の石油の安定供給に備えるなどの対策を講じる。LPガスについても、石油と同様とし、全国に中核となるSS、サービスステーションを整備する」とした。

 アジア拠点化推進法については、「グローバル企業の研究開発拠点や、アジア本社の日本への呼び込みを推進するため、法人税負担の軽減などの支援措置を講ずる。施行にあたり、さらなる支援措置として、この法律により、認定された事業に関連する特許出願の審査期間を、大幅に短縮できる仕組みを設けた」と報告。「今後、アジア拠点化に向けた取組みを一層推進していきたい」と意気込みを述べた。

 質疑応答では、9月の鉱工業生産指数が前月比4.1%の大幅減となったことへの認識と対処法について質問があった。枝野大臣は「欧州債務危機、あるいは、それに影響されたと思われる中国経済の減速をはじめとして、対外的な経済環境が大変厳しい状況にある。また、この状況は当面続いていくと見込まれ、影響は大きい」とし、「政府全体としても、こうした状況を予測、見通している。経済対策についての取りまとめの指示は、すでに総理から出ており、まず、予備費でできることについては決定し、機動的に対処していきたい」と述べた。

 関西電力が電気料金値上げの検討を表明したことを受け、改めて電気料金の審査についての方針を問われると、「値上げの認可申請が行われれば、能率的な経営の下における、適正な原価に適正な利潤を加えたものであるかどうか、新しい基準に基づいて厳格に審査を行いたい」と回答した。

 「今回の電力各社の値上げの背景には、原発が止まったことが原因にあるのではないか」との質問には、「原発が止まっていることが、経営状況を圧迫している要因であることは確かだ。いわゆる行政指導で、定期検査後の再稼働を認めなかった。福島の原発事故の反省と教訓を踏まえ、安全性について、より一段高いチェックを行わなければ稼働させるべきではない、という判断自体は、国民から理解され、むしろ求められている」と力強く語った。

 「前日、明治大学のガスハイドレート研究所主導の調査で、日本海、オホーツク海でメタンハイドレートを発見、との発表があった。これにより、今後は、日本海に対しても予算対応をするのか」と尋ねられると、「メタンハイドレートは、将来のエネルギー資源として有望な国産資源のひとつ。今回の、新たな調査結果は大変喜ばしいものである」と述べた。その上で、「資源量をどのように把握するのかが、大きな課題だ。同研究所の松本教授らとも連携しながら、国としても調査を行う予定である」とした。

 また、従来から経産省、産総研を通じて、表層型メタンハイドレートの生成過程を解明するための研究などを松本教授に委託、協力関係を構築していることから、「太平洋側だけを先行させるよりも、あらゆる可能性を排除せず、今後も調査を進めていきたい」との方針が示された。「先行して太平洋側に可能性が見い出されたが、今回、日本海とオホーツク海にも可能性があると判明したため、それぞれの地域で同時並行して調査を進め、早期商業化の実現性が高そうなところを見つけていく」との考えを明らかにした。

しんぶん赤旗が報じた復興予算の問題で、「人手不足で野村総研に丸投げした。国内立地推進事業補助金、2950億円を計上したうち、岩手、宮城、福島3県には、わずか31.6%の配分。全体でも中小企業は2割で、8割はトヨタ、キヤノン、東芝、日立などの大企業に配分された」という指摘については、「復興予算を隠れ蓑にして、復興地域以外のところにお金を出したという性格のものではない。サプライチェーンなどの観点から、日本全体の経済の下支えをし、それによって復興に資するということで、国会の理解を得て予算を執行している」と回答した。

 続けて、「復興地域、被災地域については、別枠のグループ補助金や、福島復興のための立地補助金という仕組みを用意している。それらを合わせれば、補助金の相当部分は復興地域に配分されている。その前提のため、全国を対象にした復興予算の仕組みから、被災地域に対する比率が低くなるのは、制度として当然だ」との見解を示した。一方、「一部で報道されている、復興財源を使った経産省の予算の中に、結果的に復興に資するものでも、復興予算を使うことが事前の説明を含めて適切かどうか、必ずしも十分にチェックし切れなかった部分がある。率直に反省をしたい」とも述べた。

北海道の冬の節電目標について、一部報道で「一昨年比7%以上という案で、需給委員会が調整に入った」との報道があったことを受け、現在の検討状況を問われた枝野大臣は、「北海道電力管内では、5.8%の予備率が確保できる見込みだ。一方、昨年度の最大規模の発電所トラブルが発生した場合には、電力需給が逼迫する可能性があることなどが、需給検証委員会において指摘されている」とし、「11月上旬には、需給検討会合とエネルギー・環境会議の合同会合を開催して、今年の節電等について、どうお願いするかを決めたい」と述べた。さらに、「本州からの電力融通に制約があるため、火力発電所が故障した場合の影響は大きい。寒冷地ということで、命や健康に関わる可能性や、冬の観光への影響も考えると、できれば計画停電はしたくない。しかし、電力が突然落ちるということは避けたい。昨年の夏以来、いろいろな経験を積み重ね、経済や暮らし、ましてや命に影響を及ぼすことのないように、内部的に検討している」と続けた。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です