【IWJブログ・特別寄稿】国会で審議入りした共謀罪、自民党内部からも異論噴出!? 元検事で自民党・若狭勝議員は「テロ対策の効果乏しい」と断言!——他方、盟友の小池百合子知事は安倍政権に迎合か!?(ジャーナリスト・横田一) 2017.4.25

記事公開日:2017.4.25 テキスト
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(取材・文・写真:横田一)

 4月6日(木)の衆議院本会議で審議入りし、いよいよ本格的な国会論戦がスタートした「共謀罪(テロ等準備罪)」創設法案。しかし、当初は法案内に「テロ」の文言が存在していなかったことから、野党からは「テロ対策が目的ではないのではないか」と疑問視する声があがっている。

 安倍総理がこの「共謀罪」創設の大義名分として繰り返し訴えるのが、「2020年東京オリンピック・パラリンピックでのテロ対策」という点だ。その意味で共謀罪は、国政のみならずオリンピックを開催する東京都の問題でもある。そのため今年7月に行われる都議選でも、この共謀罪が大きな争点となることが考えられる。

 地域政党「都民ファーストの会」を率いる東京都の小池百合子知事は、都議選を通じ「都民ファーストの会」での過半数獲得を明言している。はたして小池知事は、共謀罪に賛成なのか、反対なのか——。小池都政を精力的に取材しているジャーナリストの横田一氏に寄稿してもらった。(IWJ編集部)

森友問題の嘘八百で辞任しない安倍総理が、共謀罪でも詐欺的答弁!?~「テロ対策の専門家」を自負する若狭勝衆議院議員が、共謀罪法案はテロ未然防止効果が乏しいと警鐘を鳴らす!!

 森友問題で昭恵夫人の関与を示す決定的証拠(安倍昭恵夫人付の谷査恵子氏のファックス)が出てきても嘘八百で辞任しない安倍晋三首相が、共謀罪(テロ等準備罪)でも国民騙しの詐欺的答弁を繰り返している。

 法案が審議入りした4月6日の衆院本会議で安倍総理は「3年後に東京五輪・パラリンピックを控え、テロ対策に万全を期すことが開催国の責務だ」と必要性を訴えた。テロの未然防止ためには国際組織犯罪防止条約の締結が不可欠で、そのための法案だと強調したのだが、野党は「テロ」の文言を付焼き刃のように加えたことなどから防止効果を疑問視、「五輪を口実にするやり方は姑息」などと反論している。

 自民党からも異論が出ている。都知事選で小池百合子都知事を除名覚悟で応援した「盟友」の若狭勝衆院議員(東京10区)は、「専門家としてこのままでは政府の考えに断固反対!!」と銘打った1月7日のブログで、刑事法の専門家・捜査の専門家・テロ対策の専門家・衆議院議員の立場から、反対論を述べたのだ。

 「名称にいくら『テロ』の言葉を盛り込んでも、専門家の私から見て、この法案では、国民の多くの命をテロから守るためには効果が乏しいです」「いかにもテロ防止に資するような名称を付け、これでテロ対策の法律としてまずはひと安心という誤った意識を国民と政治家に抱かせる(ミスリーディングする)こと自体極めて危険です。これらの事態は、国民の命を守り抜くという政治信念を強く抱く私には到底容認できません」

▲若狭勝衆議院議員の公式ブログより

 元東京地検特捜部副部長の若狭氏は東京10区補選(2016年10月23日投開票)でも、原発テロ対策が不十分であること(航空機テロへの対策がなされないままの原発再稼働を疑問視)をホームページに掲載、囲み取材でも同じ主張を繰返した。若狭氏への直撃については、拙著『新潟県知事選では、どうして大逆転がおこったのか』で紹介している。

 安倍総理にほとんど異論を唱えない「子羊集団」と化した自民党の中にあって、テロ対策の専門家としての持論を主張する若狭氏は稀有な存在といえるが、共謀罪のテロ防止効果の乏しさについても明確に指摘していたのだ。

 若狭氏は、「国際組織犯罪防止条約締結がテロ対策に必要不可欠」という安倍総理の説明に対しても、こう一刀両断にしていた。

 「この条約(国際組織犯罪防止条約)のターゲットは、そもそも、不正な『金銭的利益』等に絡む国際組織犯罪の防止です。ですから、それをテロに絡ませるというのは、法律の作り方としては姑息です。今、本当に必要な優先課題としては、2020東京大会大前ないし大会中の大規模テロの阻止に向けて、これまで我が国に一切なかった(一部テロ資金の封じ込めに係る法律を除き)『テロ未然防止法律』の整備です。その法律は、時限立法の方が国会を通過しやすいというのであれば、少なくとも2020東京大会の時までの効力という時限立法でも良いと思っております」

▲政府は「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)」のために共謀罪が必要と主張するが・・・(図版作成:IWJ)

 若狭氏のブログと安倍総理の国会答弁を並べると、テロ関連の基礎的知識が欠如した無知な最高権力者が、国民の命と安全を脅かす存在と化していることが浮き彫りになる。効果の乏しいテロ等準備罪の成立を優先することで、実効性のあるテロ未然防止対策が後回しになってしまうからだ。

 北朝鮮情勢の緊迫化でテロのリスクが高まる今、ピント外れの危機管理能力しか有しない安倍首相は、日本国に不利益をもたらす国賊紛いの「亡国の首相」と言っても過言ではない。

自民党法務部会でも異論噴出〜法案とりまとめ責任者の法務部会長・古川俊治参議院議員に若狭議員の主張をぶつける!

 若狭氏の主張は一貫していた。千代田区長選(2月5日投開票)の応援に駆けつけた2月4日、演説後の囲み取材でブログのことを聞くと、「いわゆる共謀罪のテロ対策の効果は乏しい。テロに特化した法律を作るべき」という持論をこの時も訴えた。

 法案事前審査(党内論議)が行われた自民党の法務部会(3月7日と8日)でも若狭氏は、同じ主旨の発言を繰り返していた。法務部会は冒頭のみ公開であったが、法案への異論が噴出した質疑応答の激論を部屋の外で聞くことができたのだ。

▲自民党・法務部会の様子(冒頭頭撮り)

 7日の部会終了後、出て来た若狭氏に「最初からテロ防止に特化した法案を作ればいいのでは」と聞くと、「そうです」と答えた。そこで部会終了後の記者ブリーフィングで、自民党法務部会長で、同党内の法案とりまとめの責任者である古川俊治参院議員に、若狭氏の主張をぶつけてみた。

――若狭勝さんは「テロ防止に効果が乏しい」と発言をしてブログでも書かれていますが、その点はいかがですか。

古川法務部会長(以下、古川)「この法律で(テロが)すべて防げるわけではないので他の対策も必要という認識はみんな持っています」

――先ほど(若狭氏に)出口で聞いたら「だったら最初からテロ防止に特化した法案を作ればいいのではないか」と言っていましたが。

古川「そこは若狭先生のお考えだと思いますが、私も弁護士出身なので」

――国民は「テロ対策に役立つ」と思って、世論調査でもだいぶ賛成の声が多かったのが。

古川「(今回の法案は)テロ対策にも役立ちます」

――若狭氏は「効果が乏しい。これで終わったら大変なことになる」と(指摘している)。

古川「それは彼の考えです」

――だったら、最初からテロ(未然防止)に特化した法案を作った方が分かりやすいのではないか。

古川「何回も申し上げているように、(テロ対策が)進むのは事実ですから。(国際組織犯罪防止条約締結で)捜査協力ができますし、情報交換もできます」

 翌3月8日の法務部会でも前日と同様、若狭氏らから異論が出たが、部会長一任で法案了承がされた。しかし、この日の部会終了後の記者ブリーフィングでは、サイバーテロ対策が抜け落ちるなど大穴が開いた「欠陥法案」であることが明らかになった。

「これで全部テロが防げるのかというと、そうではない」古川議員(法務部会長)も認めた抜け穴だらけの欠陥法案・共謀罪成立を最優先課題にした、本末転倒のアベノリスク!!

――今日、テロリズムに二種類あって、リアリズムのテロとサイバーテロと。(若狭勝衆院議員から)「サイバーテロの部分について不十分だ」という意見が出たと思うのですが、「テロを防ぐことができるのか」という点が世論の関心事だと思うが。

古川「何度も申し上げているように、テロ(防止)のマイナスには絶対にならない。(国際条約批准で)捜査協力もできるようになる。ただ、これで全部テロが防げるのかというと、それはそうではないと思いますけれども、少なくともテロの防止についてプラスの方向になることは間違いない。

――「まだ十分とは言えないけれども(ということか)」

古川「テロリズムというと、急に精神病者だってテロを起こすことがあるわけです。現実的な問題として想定されるものについては、ある程度の抑止力は持つだろうと。この法案だけで防止対策ができるということは絶対にありえませんから、いろいろな対策を進めていくということです。今日の議論でも、(テロ防止に)プラスになることはみんな分かっている」

――若狭勝さんは「サイバーテロ対策が抜け落ちている」とか、「ほとんど役に
立たない」と言って条件付きで一任をなさったと。

古川「『それはやって欲しい』という彼の意見です。今後の対策として、テロ対策は続ける必要があるというお話です」

――「根幹部分のテロ対策は抜け落ちている」という認識で一任されたとの理解でよろしいのでしょうか。部会全体の認識としては?

古川「部会として『テロ対策は進む』という認識です。

――「多少は進むが、かなりの部分は抜け落ちている」ということか。

古川「部会としては『これによって実質的に進む部分は多いだろう』という判断。少なくとも、全くマイナスにはなりませんから。

――「『(今回の法案が)五輪開催に必要だ』という説明も控えるべきだ」と若狭さんは言っていましたが。

古川「それは若狭さんに聞いて下さい」

▲自民党・古川俊治参議院議員の公式ホームページより

 「テロ防止に不可欠」と強調する安倍総理と、「プラスの方向でマイナスにはならない」「(共謀罪以外に)いろいろな(テロ防止)対策を進めていく」と「抜け穴」があることを認めた古川法務部長には、大きなギャップがある。「国民の命と安全を守る」という責務を担った最高責任者であれば、テロ未然防止に特化した法案成立を最優先、抜け落ちている「穴」をふさぐのに全力を注ぐだろう。

 ところが視野狭窄症気味の安倍総理は、マイナスにならない程度の抜け穴だらけの共謀罪成立を最優先課題にしている。「本末転倒」「木を見て森を見ず」「唯我独尊」という批判が当てはまる安倍首相は、日本国民の最大のリスク(アベノリスク)と化しているといえる。

東京都議選と共謀罪——小池知事は維新と同様、安倍政権の補完勢力に過ぎない!?~会見で小池知事に直接質問!「共謀罪は国政の課題」という認識ですまされるのか!?

 ここで注目されるのが、東京五輪開催地の小池百合子都知事の対応だ。2月4日の政治塾「希望の塾」での囲み取材では「共謀罪は国政の課題」と都政と切り分ける考えを示したが、3月10日の定例会見で改めて聞いてみた。

(…会員ページにつづく)

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