森友学園問題については国会で質問禁止!? 「データを自動消去」は虚偽答弁!? 3月23日以降、4月12日までの証人喚問以後の流れを一挙に振り返る~「極右学校法人の闇」第67弾! 2017.4.13

記事公開日:2017.4.13 テキスト
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(文:林俊成)

 国有地格安払い下げの経緯と政治家の関与の有無、小学校設置認可についての政治家の関与の有無、幼稚園での虐待、軍国主義教育、安倍晋三総理や昭恵夫人、稲田朋美防衛大臣と籠池夫妻との関係――

 様々な疑惑や問題が浮上している森友学園問題。

 しかし、肝心の国有地値引き経緯の解明は遅々として進まない。財務省、そして政府与党が疑惑の解明に徹底して非協力的であり、後ろ向きなためだ。

 野党各党がいくら要求しても、財務省と森友学園側との交渉記録が出てこない。

 財務省の佐川宣寿・理財局長は、2017年2月24日の衆議院予算委員会において、森友学園側との交渉データについて、「事案終了で廃棄している」と答弁した。

 4月3日には、佐川理財局長から、「パソコン上のデータも、短期間で自動的に消去され、復元できないようなシステムになっている」という、驚くべき答弁も出た。

 4月10日、自由党の森ゆうこ参議院議員が財務省の「データ自動消去システム」について尋ねると、財務省の岡本薫明・大臣官房長は「電子データについても紙と同様に公文書管理法等に基づいた処理をしている。そのため、一定の期間が来たものは、電子データも消去している」と回答。

 森議員は「最初の(佐川理財局長の)説明と変わっている。都合が悪くなると訂正している」と批判。同日、朝日新聞が財務省のシステムに自動的にデータを消去する機能はなく、さらに仮にデータが消去されていたとしても復元できる可能性を報道した。佐川理財局長の答弁は、虚偽の可能性が高い。

昭恵夫人・迫田前理財局長の説明を求めれば「再三答弁している」と拒否! 財務省データの復元を求めれば今度は「森友問題の質問は禁止」!! なりふり構わぬ「森友潰し」!

 4月12日、民進党の柚木道義衆議院議員は、衆議院厚生労働委員会に出席した安倍総理に対し、昭恵氏と迫田英典・国税庁長官(前理財局長)に「公の場で説明するように」と指示するよう求めたが、安倍総理は「(この問題については)再三再四に渡り答弁している」と述べ、昭恵氏らに指示することを拒否した。

 さらに柚木議員は「財務省のデータは復元できる可能性が示された。総理が一言、『復元して公表するように』とご指示いただければ、簡単だと思いますので、ご答弁いただけませんか」と安倍総理の答弁を求めたが、丹羽秀樹・厚生労働委員長は「質疑は議題の範囲内でお願いします」と述べ、安倍総理を指名せず、森友学園問題についての質問を禁止した。

 その後、質疑は約1時間半に渡り、唐突に中断。

 再開後、質疑に立った民進党の中島克仁衆議院議員は「与党から唐突に採決の提案があった。その理由は『総理出席の重要後半質疑の内容について』というもの」と述べ、与党が森友学園について質疑されたことを理由として、強行採決を行う意向を明らかにした。強行採決のための言いがかりであり、同時に「森友潰し」でもある。

 結局、自民党は同日、介護サービス利用者の自己負担率の引き上げを含む介護関連法案を強行採決。自民党、公明党、日本維新の会の賛成多数で可決された。野党は「森友隠しじゃないか」と強く反発した。

 自民党は、なりふり構わぬ強行姿勢で森友学園問題の幕引きを図っているが、疑惑の真相は全く解明されていない。

 ここで改めて、3月23日に行われた籠池泰典氏の証人喚問以降、4月12日の強行採決までを一つの区切りとして、これまでの経緯をまとめて振り返ることとする。

証人喚問では「籠池爆弾」が炸裂! 昭恵氏付きからのFAXが公開され、籠池氏が依頼した国会議員の名前も明らかに!

 籠池氏の証人喚問は、3月23日に衆参両院で開かれたが、そもそも、証人喚問に至る経緯が普通ではなかった。

 当初、自民党は関係者の参考人招致や証人喚問を頑なに拒み続けていたが、3月16日、籠池氏が「瑞穂の國記念小學院」の建設現場を視察に訪れた参議院予算委員会の議員らに対し、「(小学校には)安倍総理の寄付金が入っている」と発言。この発言を「首相に対する侮辱」だとして、偽証罪での告発を視野に入れ、野党各党に対し証人喚問を提案した。

 虚偽の発言をすれば偽証罪に問われる可能性もある中、籠池氏は安倍総理からの寄付を受け取ったことを重ねて証言。その寄付は、昭恵氏が「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に就任した2015年9月5日、森友学園の塚本幼稚園での講演会後に、昭恵氏を介して受け取ったことを証言した。また、昭恵氏に対し講演料として10万円を渡したと述べた。

 さらに、「政治的関与があったのか、なかったのか」という山本一太参議院予算委員長の質問に対し、籠池氏は「国有地取得について、政治的関与があったんだろうと認識している。そのつどそのつどの場所であったんだろうと思っている」と述べた。

 籠池氏は国会で、昭恵氏付きの政府職員・谷査恵子氏から送られてきたFAXを公開した。そこには、籠池氏の希望に沿うことはできないが、「引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、何かございましたらご教示ください」「なお、本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」と書かれており、2枚目には財務省からの回答が記載され、籠池氏が要望していた工事費の立替払いについて、「一般には工事終了時に清算払いが基本である」が、この件については「平成27年度の予算での措置ができなかったため、平成28年度での予算措置を行う方向で調整中」と書かれており、籠池氏がFAXを読み上げると議場からはどよめきが上がった。

▲谷氏から届いたFAXを読み上げる籠池氏。

 さらに籠池氏は、問題発覚後、昭恵氏から籠池氏の妻に対して「口止めともとれるメールが届いた」こと、日本維新の会の東徹参議院議員、自民党の鴻池祥肇参議院議員、柳本卓治参議院議員、北川イッセイ元参議院議員、畠成章元大阪府議会議員らに、大阪府の学校設置認可基準の緩和や国有地売買について頼んだことを証言した。

 また、国有地値引きの根拠などについては「近畿財務局、当時の迫田理財局長、酒井弁護士にお聞きいただきたい」と述べた。一方、校舎の補助金申請のために国交省に提出した契約書と、学校設置認可申請のために私学審議会に提出した契約書の間で、別々の金額が記されていたことについては、「刑事訴追の可能性があるので答弁を控えたい」と答弁拒否した。

 証人喚問終了後、籠池氏は外国人特派員協会で会見を開き、「このこと(FAX)で物事が大きく進み始めたんだろうと思う。その意味で重要なFAXだと思う」「財務省の官僚が安倍総理へ忖度した結果」だと述べた。

 同日夜、昭恵氏はFacebook上で、「100万円の寄付金を渡したことも、講演料をもらったこともない」「秘書からの回答に関して、内容に関与していない」という内容の反論を投稿したが、この文章については、昭恵氏本人ではなく、官僚が書いたのではないかという疑惑が持たれている。以下が、そのFacebook場での昭恵氏の反論である。

▲掲載されたコメント(昭恵氏のFacebookより)

 自民党の高村正彦副総裁は、証人喚問の翌日の24日、「明らかになったのは、籠池さんという方が、かなりの嘘つきということだけだ」と籠池氏を批判した。

「籠池爆弾」により昭恵氏付きの関与が明らかに! 政府は「(谷氏の)個人的な行為」と籠池氏に続き、谷氏まで切り捨て!?

 籠池氏の証人喚問での証言を受け、翌24日の参議院予算委員会では、土地の売却交渉時の財務省理財局長・迫田英典国税庁長官と、当時の近畿財務局長・武内良樹国際局長が参考人として招致された。しかし、籠池氏が証人喚問されたのに対して迫田氏と武内氏が参考人招致というのは釣り合いが取れないと批判が出ている。両氏は土地取引に関して「政治的配慮はしていない」と忖度を否定。安倍総理は、共産党の小池晃参議院議員の質問に対し「FAXはゼロ回答であり、忖度がないことは明らか」と答弁した。

 菅官房長官はFAXについて、「谷氏が個人的に作成し、保管していたものだ」と発言。小池議員は「責任転嫁だ」と批判した。さらに小池議員が「(FAXに書かれた)『当方』というのは、谷さん個人ですか?」と問うと、菅官房長官は「それは当然、谷さんだと思います」と回答。野党議員から驚きとどよめきが上がった。民進党の福山哲郎参議院議員をはじめとする野党議員らは、「職務上、谷氏が個人的に(FAXの内容を)書くことはできない」と繰り返し指摘している。

▲日本共産党・小池晃議員。

 上記質疑を含め、最近の森友学園問題に関する国会審議では、「安倍総理夫人である昭恵氏は公人か、私人か」「昭恵氏の行動の位置づけ」「谷氏の行動は公務か、私的行為か」という点が議論されている。

 これは、安倍総理が「私も妻も関与していない、もし関係していれば総理大臣も国会議員も辞める」と言い切ったためだ。それゆえ、昭恵氏自身、そして昭恵氏付き公務員の行動が、「安倍総理あるいは昭恵氏の関与」にあたるのかどうかという点が問われている。

 政府与党は、安倍総理の辞任を避けるために、「昭恵氏は私人で、籠池氏に対する行動は私的行為だ」「谷氏の個人的な行動であり公務ではない」と強弁。首相夫人(昭恵氏)は「私人であると認識している」という答弁書を閣議決定した。その一方で、昭恵氏に対し、外務公務員等が国の用務により渡航する場合に発給される「外交旅券」を発行するなど、矛盾が噴出している。

自民党が籠池氏を偽証罪で告発!? それに対し籠池氏側は「法的根拠を欠く」と反論!

 その後、自民党が籠池氏の告発を検討していることが明らかになった。3月28日に会見を開いた自民党の西村康稔衆議院議員・総裁特別補佐は、籠池氏の証言のうち、「『安倍晋三記念小学校』の名前で寄付金を集めていた期間の食い違い」「昭恵氏から渡されたとされる寄付を郵便局に振り込みに行った人物は、職員ではなく籠池氏の妻ではないのか」という点について「偽証の疑いが濃厚」とした。

 それに対し、籠池氏の代理人弁護士は、「『虚偽の陳述』とは、『証人の記憶に反する陳述』を意味し、自己の記憶にしたがった陳述をすれば、それが客観的事実に反していたとしても偽証罪は成立しないと解する見解が判例・通説であり、法学者、弁護士、検察官、裁判官や犯罪捜査に携わる者にとっては常識とも言える」「一部国会議員による『偽証である疑いは濃厚』『告発を検討』等の発言は、法的な根拠を欠くものであり、同氏に対する名誉毀損であり、その人格と尊厳を著しく傷つけるものである」とする抗議書を西村衆議院議員らに宛てて送付した。

 一方で、塚本幼稚園では園児に対する虐待がおこなわれているのではないかという疑惑が浮上。IWJは塚本幼稚園に園児を通わせていた保護者に直接取材し、虐待があったという証言を得ている。

共産党の大門議員により、籠池氏から谷氏へ送られた手紙の内容が公表! 「満額回答では?」さらに谷氏が籠池氏に送った手紙の封筒も公開され…

(…会員ページにつづく)

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