東芝が監査法人の承認を得ないまま決算発表!! ついに上場廃止か!?(「日刊IWJガイド」2017年4月12日号より)

記事公開日:2017.4.12 テキスト
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(文・城石裕幸)

※本記事は、2017年4月12日発行の「日刊IWJガイド」No.1620号を加筆修正したものです。

 深刻な経営難に陥っている東芝は、2度にわたって延期していた2016年4~12月期決算発表について、4月11日に監査法人から承認を得ていない「意見不表明」という、上場企業としては極めて異例の形で行いました。

 自己資本は昨年末時点で2256億円のマイナスとなり、債務超過。16年4~12月期の売上高は前年同期比4%減の3兆8468億円、本業のもうけを示す営業損益は5762億円の赤字(前年同期は2319億円の赤字)でした。前回1兆円超の最終赤字としていた17年3月期通期の業績予想については「未定」としました。最終損益は5325億円の赤字(前年同期は4794億円の赤字)となりました。

 東芝は米原子力子会社だったウエスチングハウス・エレクトリック(WH)が2015年末に買収した米原発建設会社をめぐり、2016年10~12月期の損失を少なくみせるようにと、WHの前会長らが従業員に過度な圧力をかけた不正を2月に公表していました。このため、監査を請け負っている「PwCあらた監査法人」は2015年度にさかのぼって決算を精査する必要があるとの認識を示して協議をしていましたが、適切に処理してきたので2016年4~12月期のみで十分だとする東芝側との意見の対立は解決しませんでした。

 東芝は2015年に発覚した不正会計問題で、すでに東京証券取引所から「特別注意市場銘柄」として、上場廃止か維持かの審査を受けている最中です。

 監査法人の出す「監査意見」は4段階あり、東証や投資家が企業の健全性を判断する指標となりますが、「不表明」は「重要な監査手続が行えず、決算が適正か不適正かの意見表明さえできない」という意味。東証は今後、意見不表明に至った経緯などを調べ、上場廃止かどうかを判断する見通しです。

▲記者会見での綱川智社長(2017年4月11日)

 東芝は当初、2月14日に決算を発表する予定でしたが、WHで内部管理をめぐり不正があったとして、監査法人が調査に入る必要が出てきたため、1ヶ月遅らせました。

 しかし、次に予定した3月14日も、WHの追加調査が必要であるとして、再延期に追い込まれていました。

 そして、3月29日には、WHが、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用をニューヨーク州の破産裁判所に申請したことを発表しました。

 2017年4月11日、東芝は本社で「2016年度第3四半期決算およびウェスチングハウス社における調査の状況・結果について」の記者会見を行ない、IWJも中継。

 会見の冒頭、綱川社長は「これ以上、関係者に迷惑をかけられない」と、釈明しました。決算発表の延期は、金融庁関東財務局が認めれば何度でも可能ですが、「2015年度にさかのぼって決算を精査する必要がある」とする監査法人との判断を覆せなかったという意味でしょう。

 綱川社長は「巨額の損失となった海外原子力を除き、順調に推移してる。メモリー事業も譲渡先の選定を進めている。事業価値も考慮すれば、十分な財務基盤を有している」と経営状況を説明しましたが、メモリー事業の売却交渉に手を上げているのは海外企業ばかりであり、期待通りの条件で売却できるかどうかは不透明のようです。

 IWJは、国策に従い原子力事業にのめり込んで「会社崩壊」へと至った東芝の悲劇を、徹底的に注視していきます。

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