【IWJブログ・特別寄稿】森友学園問題は“日本会議トモダチ作戦”なのか―安倍総理再登板の原動力となった維新との蜜月関係と日本会議シンパの八木秀次氏(ジャーナリスト・横田一)~「極右学校法人の闇」第55弾! 2017.3.29

記事公開日:2017.3.29 テキスト
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(取材・文・写真:横田一)

 日本中の注目を集めた森友学園理事長・籠池泰典氏の証人喚問。

 虚偽の発言をすれば、偽証罪に問われる可能性がある中で、籠池氏は改めて「安倍総理から100万円の寄付をもらった」ことを主張した。

 さらに籠池氏は証人喚問の場で、松井一郎・大阪府知事に「はしごを外された」という認識を示した。

 安倍総理と松井知事――この2人をつなぐものは一体何か。以下、森友学園問題について取材を続けている横田一氏の寄稿レポートを掲載する。(IWJ編集部)

「すべては国会で話す」――「安倍総理から100万円の寄付をもらった」と主張する籠池氏

 大阪府と近畿財務局からのヒアリングに続いて「瑞穂の國記念小學院」建設地を訪れた参院予算委員会のメンバーは2017年3月16日14時すぎ、案内役の籠池泰典(かごいけ・やすのり)・森友学園理事長から驚くべき説明を受けた。

 「我々がこの学園を作り上げようとしたのは皆さん方の意思があってこそ。しかもそのご意思の中には、安倍内閣総理大臣の寄付金が入っていることを伝達します」

▲「瑞穂の國記念小學院」建設地を案内する籠池氏と参議院予算委員会のメンバー

 籠池氏によると、安倍総理からの寄付は100万円で、後述する「疑惑の三日間」の最終日の2015年9月5日、安倍昭恵夫人が「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に就任し、塚本幼稚園で講演した際に、昭恵夫人を介して渡されたという。

 同日15時すぎからは、大阪視察を終えた参院予算委メンバーと入れ替わるように豊中市入りした民進党の今井雅人衆議院議員、共産党の小池晃書記局長、社民党の福島みずほ副党首、自由党の森ゆうこ参議院議員が籠池氏の自宅を訪ね、1時間以上にわたって話を聞いた。

▲野党議員らとの面会を終え、車に乗り込む籠池泰典氏

 面会終了後、野党議員と並ぶ形で囲み取材に応じた籠池氏は「すべては国会で話す」と多くを語らずに車に乗り込んでいった。

 一方、ヒアリングをした今井議員は、面会をこう振り返った。

 「ヒアリングに対して籠池さんは記憶を思い出しながら、しっかりと答えられていました。(話しぶりについての問いに)、当惑されているというか、どうしてこんなに親しい人たちに梯子を外されるのかという感じに見受けられました。籠池氏から交友関係の話も聞きました」

▲籠池氏との面会終了後、取材に応じる民進党の今井雅人衆議院議員

 そして「疑惑はますます深まったのか」という問いに、今井議員はこう答えた。

 「国が話していることと籠池理事長が話していることで食い違っていることは沢山あります。両方の言い分が違っていれば、籠池氏に国会で話をしてもらうのが一番です」

森友学園問題は古い教育思想で意気投合した安倍総理と松井知事による“日本会議トモダチ作戦”の可能性

 自由党の山本太郎参議院議員がロッキード事件になぞらえて「アッキ―ド事件」と呼んだ森友学園問題は、「国有地格安払下げ」と「大阪府の異例の認可」が二大疑惑だが、なぜこのようなことが起こったのか。安倍総理による“日本会議トモダチ作戦”(教育思想で意気投合した仲間への利益供与)ととらえると、役所の不可解な対応の謎が解けてくる。

「安倍総理がんばれ!安倍総理がんばれ!安保法制、国会通過よかったです」

 森友学園が現在経営している塚本幼稚園の運動会での選手宣誓の様子だ。この異様な選手宣誓の映像が放送され、一躍有名になった塚本幼稚園は、菅野完著『日本会議の研究』の第五章「一群の人々」の中で「幼稚園児たちが『教育勅語』を唱和」「(軍歌の)『日の丸行進曲』や『愛国行進曲』などを歌唱」と紹介されている。

 籠池氏は、自身が経営する塚本幼稚園を舞台に、日本会議の教育思想を広める“実践部隊”といえる。なお、日本会議は、籠池氏は2011年に「本人の申し出により」退会したと発表している。

▲大阪市淀川区にある塚本幼稚園(撮影はIWJ記者)

 安倍総理は昭恵夫人と共に、「愛国教育」を実践する籠池氏の森友学園を称賛(疑惑発覚後は評価を一変)、役所に国有地払下げについて働きかけをしたのではないかと疑われている。特に怪しいのが「疑惑の3日間」と呼ばれる2015年9月3日から5日までの動きだ。

 9月3日 安倍総理と迫田英典理財局長(当時。現在の国税庁長官)が面談
 9月4日 国有地払下げについて森友学園関係者と近畿財務局が会談
 9月5日 名誉校長に就任した昭恵氏が講演、100万円寄付疑惑も浮上

 共産党の宮本岳志衆議院議員は2017年2月24日の予算委員会で、2015年9月4日の森友学園関係者と近畿財務局との会談について質問し、財務省の佐川宣寿理財局長から「会談記録を破棄した」という答弁を引き出したが、「近畿財務局の上部機関に当たる財務省理財局長に安倍総理が国有地の格安払下げを依頼、その翌日に東京からの指示を受けて近畿財務局が森友学園側と具体的内容と詰めた」と考えると、一連の経過が自然に理解できるのだ。

▲日本共産党の宮本岳志衆議院議員(撮影はIWJ記者)

 民進党の辻元清美衆議院議員と福島伸享衆議院議員は、この疑惑の3日間に注目。福島議員は「取引に関わる経緯は10年間の保存義務がかかっているので、今回の一連の取引(国有地払下げ)をまとめた文書は十年間の保存義務がある」と指摘し、以下のように続けた。

 「一年で5回も会った理財局長は迫田理財局長だけで、他は1回か2回。しかも予算関連だから理財局長と主計局長とコンビで入るのが通例なのに、迫田理財局長は官房長と事務次官と入っている」

▲森友学園問題を追及する民進党の調査チーム。右から、福島伸享衆議院議員、今井雅人衆議院議員、辻元清美衆議院議員

 辻元議員も、突出した面談回数の迫田理財局長(当時)を国会に呼んで答弁させるべきだと訴え、次のように述べた。

 「(首相面談は)平成27年(2015年)は7月31日に事務次官と迫田理財局長、8月7日に麻生財務大臣と事務次官と迫田理財局長、そして問題の9月3日に官房長と迫田理財局長。10月14日に事務次官と迫田理財局長。12月15日に麻生財務大臣と事務次官と迫田理財局長。籠池氏だけではなく、山口県の下関高校出身迫田理財局長を参考人として呼ぼうとしています」

日本会議シンパの八木秀次氏が企画し、安倍総理と松井知事が参加した“平成版2.26事件”シンポジウム

 安倍総理が森友学園を支援したくなる“動機”(思想的背景)も、第二次安倍政権誕生のルーツに目を向けることで、浮き彫りになってくる。第一次安倍政権で首相の座を投げ出した「日本政治史上最弱の総理経験者」が再登板する発端を作ったのが、日本会議シンパの八木秀次氏(麗沢大教授)や日本維新の会代表の松井一郎・大阪府知事ら維新関係者であるためだ。辻元議員はこう話す。

 「2012年1月の森友学園の要望を受けて大阪府は2012年4月に大阪府が規制緩和をしたのですが、その間の2月26日、八木秀次氏が企画し、安倍総理と松井知事が参加したシンポジウムが大阪で開かれました。教育がテーマでしたが、その日の夜、安倍総理(当時は野党)と維新で盛上っているのです」

 この“平成版2.26事件”と呼ぶのがぴったりのシンポジウムで安倍総理と維新は意気投合、首相再登板のきっかけとなった。その様子は、朝日新聞が「維新と蜜月、源流は『2・26』」(2015年10月3日)と「維新と『新党』、側近の覚悟」(同6日)と銘打った記事で紹介している。

 シンポジウムの主催は、前述の麗沢大教授・八木秀次氏が理事長を務める日本教育再生機構。八木氏は安倍総理のブレーンで、日本会議でしばしば講演をすることで知られている。

 もう一人の主催者は同機構大阪会長の遠藤敬氏(現・日本維新の会衆議院議員)。<この2人がおもに企画、立案して安倍サイドに呼びかけたもので、ゲストに保守系議員集団「創生日本」会長の安倍と、維新で大阪府知事の松井を招いた><水面下で調整に動いた八木はこう語る。「(安倍と松井の)2人を会わせると面白いかな、と思っていた。これが安倍さんを復活させるきっかけになった」>(10月3日の朝日新聞)

▲日本教育再生機構のホームページに掲載されている八木秀次氏の写真

 2011年11月の大阪ダブル選挙二連勝で勢いに乗った橋下徹・大阪市長(当時)は、大飯原発再稼働に邁進する野田政権を打倒すると宣言。開講した維新政治塾で候補者を発掘し、次期総選挙で全国各地から候補者を擁立すると発表、政権奪取の可能性すら取り沙汰されるほどの勢いだった。そんな維新との関係を踏み台に、再登板に成功したのが安倍首相だった――。

 2012年9月に自民党総裁になる前の安倍総理は、お腹が痛くなって政権を投げ出した「日本政治史上最弱の総理経験者」と酷評されていた。そんな中、教育問題がテーマの“平成版2.26事件(シンポジウム)”で、飛ぶ鳥を落とす勢いだった維新の会メンバーと意気投合。「維新の代表になって欲しい」と打診されるほどの蜜月関係になったことが注目され、安倍総理は影響力を増していったのだ。

 ある永田町ウォッチャーは、次のような議員心理が「安倍総理を押し上げた」と振り返る。

 「2012年当時、自民党国会議員の間では『維新の候補が(自分の選挙区から)出たら落選だ』という恐怖感が広がっていたが、維新には全小選挙区に候補を立てるほどの人材はそろっていなかったため、『維新の候補者が(選挙区に)立たないように』と願ってもいた。その結果、『安倍さんを支持すれば、自分の選挙区には維新は候補者を立てないのではないか』という期待感が生まれて、広がっていった」

 こうして自民党総裁選で勝利した安倍総理は、2012年12月の総選挙で政権奪還、首相再登板に成功した。どん底から復活する原動力となった維新と、蜜月関係構築のきっかけを作ってくれた八木氏は、第二次安倍政権の“産みの親”といえる。

 安倍総理と菅官房長官が、今でも日本維新の会の松井知事と橋下氏(日本維新の会・法律政策顧問)と四者面談をするのは、当時の恩義のあらわれに違いないし、その発端を作ってくれた八木氏ら日本会議シンパに対しても、同じ感謝の気持ちを抱いていても全く不思議ではない。

 首相再登板のきっかけとなった“平成版2.26事件(シンポジウム)”は、現在の安倍総理の原点といえる。そして、日本会議の教育思想を共有するようにみえる安倍総理や松井知事、八木氏、籠池氏らは、“日本会議トモダチ”と呼ぶのがぴったりの仲間同志といえるに違いない。

疑惑発覚するまで安倍総理が昭恵夫人と共に称賛した森友学園に対して「神風が吹いた」(籠池氏)のは、なぜなのか。安倍夫妻の働きかけ(口利き)と役所の忖度が合体した“日本会議トモダチ作戦”の産物ではないのか。安倍首相が籠池氏を後押ししたくなる“動機”は、十分すぎるほどあるといえるのだ。

隠蔽ではないのか?議事録を提出しない大阪府と近畿財務局

 この“日本会議トモダチ”に違いない松井知事に関する疑惑も深まるばかりだ。松井知事は、「森友学園の異例の認可に関わったのではないか」と疑われているのだ。16日の参議院予算員会の大阪府ヒアリングでは、国有地払い下げが条件となる特殊な事例だったにもかかわらず、「議事録を作成していなかった」と担当者が回答。問い質した国会議員から疑問の声があがった。

 ヒアリング後、囲み取材の場で自民党の山本一太参院予算委員長に対し「議事録がないことをどう思うか。隠蔽ではないか」と聞いたが、山本委員長は「個別のことには答えられない」と答えただけだった。

▲囲み取材に応じる自民党の山本一太・参院予算委員長

 続く近畿財務局でのヒアリングでも、議事録などの重要書類が提出されることはなく、民進党の福山哲郎参議院議員と自由党の山本太郎参議院議員ら出席議員が「要求している資料が提出されないのはどういうことか」と抗議する場面もあった。

 まさに大阪府も近畿財務局も隠蔽体質といえるが、新たな疑惑も報じられた。「森友の審議経緯、府調査へ 借地に校舎ダメなのに『認可適当』」と銘打った3月19日付の朝日新聞ことだ。

 「学校法人『森友学園』(大阪市)が大阪府に申請していた小学校の設置認可をめぐり、府の審査基準に抵触していた可能性があるにもかかわらず、府私学審議会で審議されていたことがわかった(中略)」「私立小学校の認可に関する府の審査基準では、学校の土地は原則『自己所有』と定める。貸主が国や地方自治体などの場合は借地も例外的に認めるが、借地の上に校舎は建てられない。しかし、2015年1月の私学審では、府側が土地について『(学園と財務省近畿財務局が)10年間の定期借地契約を行ったうえで、その契約期間内に購入予約をする』と説明。借地の状態で校舎を建てる見通しにもかかわらず、私学審は審議の結果、『条件付き認可適当』と答申した。学園はその後、国と定期借地契約を結び、16年6月に購入して校舎を建てた」

 大阪朝日放送「キャスト」に毎週出演している古賀茂明氏は、番組やツイッターでこの問題を「財務状況如何に関わらず、借地上に校舎があるだけでだめ」などと指摘、これを朝日新聞が追いかけた形だ。「大阪府が議事録を作成していないはずはない。それを公開しないのは担当の私学課長が暴走したという話にして、松井知事に追及が及ばないようにトカゲの尻尾切りをしようとしているのだろう」(府政ウォッチャー)。

▲古賀茂明氏のツイッター

 アッキ―ド事件の真相解明には籠池理事長の証人喚問だけでは不十分であり、少なくとも「疑惑の3日間」のキーマンである昭恵夫人、そして“平成版2.26事件”で意気投合した松井知事を国会に呼ぶ必要があるのだ。

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