原発広告を全国紙に先駆けて始めたのは朝日新聞だった! 東奥日報はいまだに原発礼賛で年数億円の収入を得ている!?  岩上安身が『原発プロパガンダ』著者・本間龍氏にインタビュー第三弾! 2016.12.19

記事公開日:2017.1.7取材地: テキスト 動画 独自
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(取材:岩上安身 文:城石エマ)

※1月15日、テキストを追加しました。

 原発の廃炉・賠償費用が、当初の想定を倍も上回る20兆円にも及ぶ見通しとなった。あろうことか政府はその費用を、事故当事者である東京電力の負担ではなく、「過去に安価な電気を利用した国民」の公平な負担にすべきだとしている。

 国が勝手に進めた原子力政策で失敗し、そのツケを国民に回す――こんな理不尽を国民に強いながら、一方で世耕弘成経済産業相は、いまだに「原発コストは安い」などと平然と主張している。

 なぜこのような政府による嘘、横暴が許されているのか。

 岩上安身が2016年12月19日にインタビュー第三弾を敢行した、元博報堂社員で、『原発プロパガンダ』(岩波新書)、『電通と原発報道』(亜紀書房)著者の本間龍氏は、政府と電力会社、そして電通などの大手広告代理店が一緒になって展開してきた「原発プロパガンダ」の歴史を紐解きつつ、3.11後の今も多くの人を思考停止に陥らせる「安心神話」の存在を指摘した。

 本間氏へのインタビュー第一弾、第二弾の中では、メディアが広告代理店の顔色をうかがわざるをえない利益構造や、広告代理店の過酷な労働環境について暴いてきた。ぜひ、以下もあわせてご視聴いただきたい。

 また、「原発プロパガンダ」の源流である戦時の「プロパガンダ」については、『「日本スゴイ」のディストピア』著者の早川タダノリ氏や、『たのしいプロパガンダ』著者の辻田真佐憲氏にも、岩上安身がインタビューをしている。こちらもぜひ、ご視聴いただきたい。

記事目次

■イントロ

  • 日時 2016年12月19日(月) 18:30~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

過労自殺で非難の的となり小手先の改革を重ねる電通 「自浄能力ない」と答えた社員を戒告処分!

岩上安身(以下、岩上)「今日はブラック企業認定された電通と、原発プロパガンダの歴史のお話をうかがいたいと思います。電通がブラック企業大賞の第2位にノミネートされたそうですね」

本間龍氏(以下、本間氏)「まだ決まったわけではないみたいですがね」

岩上「そうなんですね。電通が1位*でいいのでは?」

本間氏「他に比べて社会的影響力は電通が一番ですからね。

▲本間龍氏
▲本間龍氏

 NHKの取材に『自浄能力がない』と答えた社員が、戒告処分になった一件がありました*」

本間氏「処分前にどこかの記者が広報に問い合わせたら、『そんなことはありません』と言っていた。ところがこれです。経営と広報の足並みが揃っていない。社長を含めた経営陣が突っ走ったと。本当なら広報と経営が一体になってリカバリーしなければならない時期なのに」

岩上「NHKは該当記事をまるまる削除しました*。それもおかしな話です」

本間氏「密やかに噂になっているのが、もう1件過労死事件が起きているらしいと。ただそれは遺族にお金が払われて表沙汰になっていない状況らしい」

岩上「表沙汰になったら大変ですね。責任のとり方というのは、やはり経営陣の退陣、ご遺族への謝罪ですよね」

本間氏「いまだに一言も謝罪していない、HPにも載せていない。どうなっているのか? と聞くと、『ご遺族とは誠心誠意やりとりしています』と答えるだけ。

 これはどういうことかというと、遺族が刑事告訴しようとしているのを電通が食い止めようとして、交渉が妥結していないということです」

岩上「結局カネですか」

本間氏「刑事告訴するのも大変な話じゃないですか。法廷で泥仕合しなければならないわけですから」

岩上「電通が出した改革策の中に、多忙部署に人員を多く配置するというのがあるそうです」

本間氏「忙しいクリエイティブ部署は、人数を増やされても、デザインをできなければ意味がない。逆に古参の人たちに負荷がかかると目に見えていますよ」

強行採決された「カジノ法案」 イメージアップのために電通が「カッシーノ」の名称を提案!?

岩上「電通がカジノを『カッシーノ』でイメージ改革。なんですかこれ!?」

 

▲カジノから抵抗感をなくすためのイメージ戦略案あれこれ
▲カジノから抵抗感をなくすためのイメージ戦略案あれこれ

本間氏「暗さや暴力などのイメージを『カッシーノ』で『軽快・リゾート・ファッション』のイメージにしようと。笑っちゃったよ」

岩上「薄っぺらいですね」

本間氏「『カジノIRジャパン』には、電通や博報堂も入っています」

岩上「『カッシーノ』と呼ばれるようになったら、電通にカネが入ったということですね」

本間氏「国民をバカにしていますよ」

岩上「国民もバカにされていていいのか」

「専門家の言うことは信じるしかない」――原発事故後も「思考停止」のままの多くの人たち

岩上「一方で、企業の内部留保が膨らんでいる。プロパガンダは、政治の不正を隠すためのものですね」

 内部留保についてはIWJが中央大学名誉教授・富岡幸雄氏へインタビューを行い、お話をうかがっている。こちらもあわせてご覧いただきたい。

▲内部留保は膨らみ、企業の金は政治献金へ投入される。
▲内部留保は膨らみ、企業の金は政治献金へ投入される。

▲(奥)岩上安身、(手前)本間龍氏

本間氏「メディアが平気で嘘つくときもあるということを、中学・高校くらいから教えないとわからないと思います。

 福井で原発問題のシンポジウムがあったときに、福井大学の学生が『専門家の言うことは信じるしかない』と発言しました。あの3.11があったあとですよ。原発推進フォーラムだったとはいえ、思考停止してるのかなと思いました。

 戦後『疑うことは悪いこと』と、『教科書にあることは正しい』として覚えるような、そういうことをやってきて染み付いてきてしまってます*ね、国民性に」

*IWJが2016年12月に取材した下記のシンポジウムで、憲法学者の石川健治氏は、「立憲政治というのは、基本的には権力者に対して疑いをもつというところからはじまる」と述べている。ぜひこちらもご視聴いただきたい。

改憲が国民投票にかけられたら、電通の力でテレビが自民党の改憲CMだらけに!?

岩上「戦後だけでなく、戦前からずっとそうでした。うぶすぎる国民に国民投票が行われたら改憲プロパガンダの嵐になるでしょうね」

本間氏「国会で発議されてから投票までに、各政党が広告を打つことができますが、ルールがまったくありません*。カネをいくらでも使える。改憲派の旗印は自民党、自民党の広告は電通です。

 テレビのゴールデンタイムのスポット枠は電通が3割握っている。テレビをつけたら改憲CMがバカスカ。キャップをはめなければ、とんでもないことになりますよ。AKBやExileが『改憲YES!』と言わされるかもしれない。電通が入ったら、それができてしまいます。

 CM全部やめてしまうのもありですが、表現の自由との兼ね合いも難しい」

岩上「カネが儲かればなんでもいい、という状態ですね」

「原発コストは安い」世耕弘成経産相の発言に本間氏、「なら廃炉費用も賠償費用も国民負担にしなければいい」

岩上「さて脱力するような話ですが、反原発を掲げて当選したはずの三反園訓(みたぞのさとし)鹿児島県知事が、川内原発再稼働を容認してしまいました*」

本間氏「急に腰が抜けてしまったのは、何か握られてしまったのかな?」

岩上「新潟の泉田さんは反対を貫きましたが。それから先日は、NPT非加盟、核兵器保有国のインドに対して日印原子力協定も結ばれてしまった。」

本間氏「米国からの横槍は入らなかったのかな?不思議に思いました」

岩上「彼らにもカネがいくのでしょう。英国の原発建設に1兆円の投融資*の話も。子育て支援の3000億円が出せないと言いながらです。受注する日立・東芝にカネが落ちるのでしょう」

本間氏「すごいねえ、東芝なんて原発に手を出して大赤字*になったばかりなのに、懲りないな」

岩上「原発の廃炉・賠償費用が従来の倍*になることが明らかになりました。今後まだまだ増えるのではないか」

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▲膨らみ続ける廃炉・賠償費用

本間氏「増えるでしょうね。20兆円の根拠も不明です。こんな数値を発表していて、誰も責任と取らされないのか?と」

岩上「しかもそのコストは『過去分』として『安価な電気代を享受してきた国民に負担させる』と」

本間氏「日本の電気代が安価だったことなんて一度もなかったですよ」

岩上「これこそ『原発プロパガンダ』ですね。世耕弘成経産相は『原発コストは安い』と、この期に及んでまだ言っています」

本間氏「安いというなら、廃炉費用も賠償費用も国民負担になんてしなければいいじゃないか、と思うのですが」

岩上「立命館大学の大島堅一さんはきちんと計算した上で原発コストが一番高いと言い切っています」

高放射能下ではロボットも壊れる!廃炉作業用ロボコン開催の愚

岩上「原発廃炉作業のための学生向けロボコンが行われました」

▲ロボコンの記事と本間氏のツィッター
▲ロボコンの記事と本間氏のツィッター

本間氏「有線ロボットでさえ作業から帰ってこない。放射線が強すぎて電子制御部分が壊れてしまう。その条件を無視してロボコンなどやっても、無意味でしょう。『原発プロパガンダ』(岩波新書)を書くときに知ったのが、原発開発の当時、東大の先生までもが『廃炉の問題は将来解決されるでしょう』とツケ回しをしていたということです」

岩上「プロパガンダは、やってる側自身もプロパガンダに騙されてきてしまうのが怖いところです」

原発広告を始めたのは読売新聞…ではなく朝日新聞だった!? 「原発プロパガンダ」の歴史における朝日新聞の大罪

岩上「『原発プロパガンダ』の歴史に入っていきましょう」

本間氏「最初の原子力広告は『万博に原子力を送る』これが合言葉でした。でかでかとやり始めたのが1968年くらいです」

岩上「最初は福井新聞でした」

▲原発利用と進歩を結びつけて謳った広告
▲原発利用と進歩を結びつけて謳った広告

本間氏「原発礼賛記事が、福島民報や福島民友に大量投下されます。普通なら、新聞が同じ地域に2つあれば黒と白に分かれると思いますが、そうならなかった。しかもいまだにその色が消えないんです。自主避難に関する県の対応をまったく批判しない。

 原発プロパガンダの黎明期に一番大きな役割を果たしたのが、実は朝日新聞でした。朝日新聞の10段広告なら3000万円くらいかな、当時。原発導入は読売新聞の正力松太郎*でしたが、原発広告を始めたのは朝日だったんです」

▲朝日新聞の原発広告
▲朝日新聞の原発広告

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