東京都全公立学校に配布の『オリンピック・パラリンピック学習読本』中身は終始 一貫して「日本最高!」 カネと利権と国威発揚~東京五輪の病理 スポーツジャー ナリスト谷口源太郎氏講演会 2016.12.4

記事公開日:2017.1.10地域: テキスト 動画
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(取材・文:福田玲子、記事構成:岩上安身)

 今、東京都の教育現場では、オリンピックムードの演出にかこつけて国威発揚と国家主義がひたひたと推し進められ、子どもたちを煽っているという。

 2016年12月4日、君が代不起立の根津公子東京都元教諭らを支援する「君が代解雇させない会」が、『日の丸とオリンピック』などの著書を持つ、スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏を招き、そもそもオリンピックとは何なのか?に始まり、東京招致までのプロセス、商業主義と利権の巨大な祭典と化したオリンピックの病理について解説した。

 講演の前には、根津公子氏らが、学校現場で進められているオリンピック教育の実情を報告した。

▲スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏
▲スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏

記事目次

■ハイライト

  • 講演 谷口源太郎氏(スポーツジャーナリスト)

東京都の全公立学校では、年間35時間のオリンピック教育科目が必修。『オリンピック・パラリンピック学習読本』の内容は、終始一貫、「日本最高!」ばかり

 最初に、主催の根津公子元東京都教諭が、学校現場でのオリンピック教育の実情を報告した。

 根津氏は、東京都教育委員会定例会を毎回傍聴している。根津氏によれば、「この学習内容は、今年の2月の定例会で決まり、3月に読本が作成され、4月からもう現場で行なえという、杜撰なものだった」という。

 根津氏は、教育プログラムの内容について、次のように解説する。

▲根津公子氏
▲根津公子氏

 「現在、東京都の全公立学校では、今年度から年間35時間のオリンピック・パラリンピック教育の実施が義務づけられ、小学校4年以上の全生徒に『オリンピック・パラリンピック学習読本(小学生用・中学生用・高校生用)』を配布して学習させる。

 またアスリートを招いて講演をするなどの他、オリンピック学習に使えるよう、各学校に30万、重点校にはさらに20万円を上乗せして支給している」

 年間35時間ということは、週に1時間ということだ。ある「重点校」では、始業式が終わったばかり、授業もまだ始まらない4月8日、9日からオリンピック教育が始められたという。

 「9月からは『オリンピック・パラリンピック学習ノート』を配布して、2020年までにこのノートを継続して使い、学習・体験したことや調べたことを書き込むオリジナルノートを作らせることになっている。

 また、高校生には、オリンピックのボランティアが必修になっていて、外国人の道案内でもいいし、ゴミ拾いなどなんでもいいからともかく何かボランティアをしなくてはならない。これが単位取得に関係する」

 「半強制」の参加は、ボランティアとは呼ばないはずだ。これは「国家的行事」への「強制的な奉仕」ということなのだろうか。

 このオリンピック・パラリンピック学習読本は、具体的には、どのような内容なのだろうか。根津氏によれば、読本は終始一貫、「日本最高!」といった文脈で貫かれているという。

 たとえば、 「はじめに」ではこうなっている。

 「2020年、世界中の注目が東京に集まり……人種・国籍・言語・宗教の違いを超えて交流の輪が広がって……街では大勢のボランティアが活躍し、その温かいおもてなしは、東京の素晴らしさを世界に広めるきっかけになるでしょう。……高校生の皆さんにとって貴重な体験になるとともに、生涯に渡るかけがえのない財産になるでしょう……」

 日本で開催された過去のオリンピックについては、「夢と希望と元気をもたらした」「そのときのレガシーが交通網(新幹線など)や競技場である」などと言われ、「良かった良かった」が続く。反対運動があったこと、深刻な環境破壊があったこと、施設の二次利用ができていないことなど、負の側面には触れられていない。かろうじて、札幌大会で森林を伐採しその後植林するも、回復しなかったことが数文字記されているだけである。

 また、学習読本では、オリンピックは福島の震災の復興のためでもあると記されているが、「原発のことは一切書いていない」という。

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