トランプ新大統領誕生で「米国の国益追求」はさらに深化!? 唯々諾々と従う安倍政権を後押しするのは「米知日派」~猿田佐世氏『新しい日米外交を切り拓く』出版記念で白井聡氏らが語る 2016.11.26

記事公開日:2016.12.9取材地: テキスト 動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材・文:城石エマ)

 トランプ新大統領の誕生から2週間以上が経った。多くの日本のメディアが、差別発言で注目を集めてきたトランプ氏の言動に注視し続けているが、報道内容を見れば、「トランプ氏がTPP離脱を表明した」「トランプ氏のもと米軍撤退論が強まる」など、どこまでも「他人事」のような姿勢が目立つ。

 「『我々日本はどうなりたいか』という議論を一切しないままに、米大統領選挙を報じる日本の報道。何も考えないで米国についていく、というのが前提なのだろう」

 そう鋭く分析するのは、京都精華大学専任講師で『永続敗戦論』著者の白井聡氏だ。

 2016年11月26日、東京・星陵会館ホールで、新外交イニシアティブ(ND)主催の講演会が行われた。登壇したのは白井氏と、『新しい日米外交を切り拓く 沖縄・安保・原発・TPP、多様な声をワシントンへ』 (集英社)を出版したばかりのND事務局長・猿田佐世氏、そして、小説家の中島京子氏だ。

 講演会では、それぞれの視点から、トランプ新大統領の誕生によって日米関係の今後がどう変わっていくのかが語られた。

 なお、IWJ代表の岩上安身は、トランプ新大統領当選後の世界情勢について、国際情勢解説者の田中宇氏や、元外務省国際情報局長の孫崎享氏、イスラム法学者の中田考氏に連続してインタビューを行っている。こちらもあわせてご視聴いただきたい。

 上記記事については、IWJの会員にご登録いただいた方のみ、全編をご視聴いただけます。この機会にぜひ、IWJの会員にご登録ください。

 ※IWJ定額会員へのご登録はこちらから

■ハイライト

  • 基調講演 白井聡氏(京都精華大学人文学部専任講師)
  • 対談 中島京子氏(小説家)×猿田佐世氏(新外交イニシアティブ事務局長、弁護士)
  • タイトル 猿田佐世ND事務局長『新しい日米外交を切り拓く』出版記念企画 ~過去・現在・そしてアメリカ大統領選を経て~ 白井聡氏、中島京子氏、猿田佐世氏
  • 日時 2016年11月26日(土)18:30〜20:30
  • 場所 星陵会館(東京都千代田区
  • 主催 新外交イニシアティブ (ND)詳細

トランプ新大統領誕生で「米国の国益追求」がさらに深化! 無理難題にも安倍政権は「唯々諾々と従っていくだろう」(白井聡氏)

 「トランプの誕生が『対米自立』のチャンスだ、という声もある。認識としては正しいが、すぐに実行できるかというと、私は大変悲観的です。なぜなら、意思、覚悟、熟慮に基づく決意、そのすべてが(日本には)欠けているからであります」

 トランプ新大統領の誕生に浮かれる声もある中で、白井氏の目は厳しい。その理由は、冒頭で掲げた白井氏の発言にある通り、日本の報道の多くに、「我々日本はどうなりたいか」という主体的な視点が決定的に欠けているからだという。

▲白井聡氏
▲白井聡氏

 「TPPの撤回確実ということも、まったく楽観視できないと思っています。米国は常に国益を追求してきましたが、そのホンネを隠さずにいくんだ、ということが(トランプ氏の)『米国ファースト』の内実なのではないか。日本からどうやってカネを吸い上げるか、を考えたときに、TPPなんか手ぬるいと」

 「あるいは安保体制。一番ありうる帰結というのは、駐留経費負担をもっと増額せよ、ということでしょう。今は70%くらいのようですが、それを100%、あるいは150%負担しろと。出さないというなら、引き揚げるぞ、このヤローと」

 米国がそのような態度で日本に迫ってきたとき、日本政府はどのように応じるのだろうか?

 「本来であったら『辞めてください』『無理難題を押しつけるなら結構です』という態度を取るべきですが、安倍さんにそのような態度が取れるでしょうか? 取れるとは思えません。結局、唯々諾々と従っていくのが、短期的には一番ありうることなのではないのか」

 もはや日本の国益など度外視した無限の対米追従。白井氏は日本の姿勢を「自己目的化した対米従属」と糾弾した。

米国の知日派と日本が一生懸命トランプ氏を振り向かせようとしている! 日本の対米従属姿勢を作り出す「日米共同体」(猿田佐世氏)

 トランプ氏のTPP脱退姿勢や日本からの駐留軍撤退示唆は、米国内の「知日派」と呼ばれる一部の層にとっては、脅威だ。ワシントンに在住し様々な関係者に会ってきた猿田氏は、次のように語った。

 「今までは、日本で何かをやるときに米国の声というものをものすごく利用してきました。TPPも『米国がやりたいって言っているから』と言うと、日本では実現が簡単なんです。米国の声を借りて実現する、わたしはこれを『ワシントンの拡声器効果』と呼んでいます。それをずっと日本は利用してきました。

 それが今度は、トランプさんが米国内の知日派の言うことを聞かないから、米国の知日派が日本の声を借りて『トランプさんやってください』と、『逆の拡声器』を使おうとしているんじゃないかな。『日米共同体』がトランプ氏を振り向かせようと一生懸命になっています」

 ▲猿田佐世氏
▲猿田佐世氏

 日本はこれまでの日米関係のあり方を見直すべきときに来ているのだ。猿田氏は、今、日本が米国にできる「提案」を示した。

 「二割五分の基地を撤退すること。ちゃんと分析をして、二割五分減らしても良い基地というのはこことここでということを、新外交イニシアティブは日本で一番海兵隊に詳しい人たちを集めて調べていますので、提案をできたらいいのかな」

 本来、その提案は日本政府のやるべき仕事のはずである。しかし、対米従属姿勢の継続に固執する安倍政権が、そのような活路を見出すとは考えにくい。

 「日本政府がそれをできないのなら、私たち新外交イニシアティブがやり続けます」

 猿田氏は力強く語った。

 IWJは以下の記事でも、猿田氏の日米関係の今後に関する発言をまとめている。ぜひ、ご参照いただきたい。

関連記事


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です