「表現の自由」が奪われる!? 海老名市・新人議員に路上パフォーマンス「禁止命令」〜「違反者には5万円以下の過料」で市民を恫喝か!?~命令取り消し求め市議と市民が提訴―「海老名駅前自由通路訴訟」 2016.6.16

記事公開日:2016.6.16取材地: テキスト動画
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(取材・記事 青木浩文)

※6月19日テキストを追加しました!

 「この条例は憲法違反! 私たちの表現の自由を脅かしている。『罰金取るぞ』などといって恫喝して、私たちの行動を締め付けている」――

 原告の一人で、海老名駅前で路上パフォーマンスを主催した市民団体「#マネキンフラッシュモブ@かながわ」の共同代表である朝倉優子氏はこう訴えた。

 2016年2月28日、海老名駅前の自由通路で市民グループが「マネキンフラッシュモブ」と呼ばれるパフォーマンスを行ったところ、「海老名市駅前自由通路設置条例」に違反するとして、内野優・海老名市長は参加者の一人であった海老名市・市議会議員である吉田美菜子に対して、禁止「命令」を下した。

 これに対し、この禁止「命令」は、表現の自由を過剰に規制し、憲法に違反するとして、同市議と市民10名が、命令の取り消しなどをも求める訴えを、6月16日に横浜地裁に起こした。

 「マネキンフラッシュモブ」とは、ドレスコードを設定し服装の色調などをあわせた参加者10名程がプラカードを持ち、公共スペースなどで数分間マネキンのように停止するパフォーマンスである。

 2月28日の参加者が掲げたプラカードには「安倍政治を許さない」、「ABE IS OVER」、そして「自由なうちに声を上げよう」などと書かれていた。

■ハイライト

  • 内容 マネキンフラッシュモブの実演、および記者会見
  • 日時 2016年6月16日(木) 13:45〜
  • 場所 横浜地方裁判所前、神奈川県弁護士会館(神奈川県横浜市)
  • 詳細 マネキンフラッシュモブ かながわ(Facebook)
  • 主催 マネキンフラッシュモブ@かながわ

道交法で認められていても、海老名市の条例は許可しない――「一般交通に著しい影響を及ぼすかとういうことに関係なく」事前届出、許可しない理由が広範で抽象的、集会・デモは絶対的禁止

▲2月28日、海老名駅前の自由通路で行なわれたマネキンフラッシュモブ

▲2月28日、海老名駅前の自由通路で行なわれたマネキンフラッシュモブ

 訴訟代理人の大川隆司弁護士は、2015年3月12日改定された「海老名市海老名駅自由通路設置条例」は、道路交通法に比較して3つの点において非常に特異であるとし、問題点を指摘した。

 「まず、道交法は『一般交通に著しい影響を及ぼす』行為でなければ届け出は不要。他方、海老名市の条例は『一般交通に著しい影響を及ぼす』かどうかに関係なく、募金、署名、広報活動等、予め承認を求めなくてはいけないとしている」

 つまり、国法上、「原則自由」であるものを、条令レベルで「原則不自由」にしてしまっているのである。

 「2つ目は、道交法も都条例もそうであるが、交通の妨害の恐れがないとき、許可が義務付けられている。海老名市の場合は逆で、原則許可が義務付けられておらず、許可しない理由が広範。(「公益上または管理上支障を及ぼすおそれのある行為」などと)抽象的な文言で、許可をしない要件を広げている」

 「3つ目は、集会・デモは全面禁止であること」

 裁判所が許容する「一般交通に著しい影響を及ぼす」という規制要件を超えて、街頭宣伝を規制することを目的とする海老名市のこの条例は、表現の自由を過剰に規制するものとして憲法21条違反の評価をうけるべきものであると主張した。

少数会派・新人議員へ「禁止命令」の背景――内野市長に対する「海老名市営住宅のアスベスト問題」、「TUTAYA図書館問題」の追及が関係か?

▲左から大川隆司弁護士、吉田美奈子氏、浅倉優子氏

▲左から大川隆司弁護士、吉田美菜子氏、朝倉優子氏

 提訴後に行なわれた記者会見で吉田氏は、「私は11月に市議になったばかり。この間、海老名市の市営住宅のアスベスト問題、海老名のいわゆる『TUTAYA図書館』の問題など、会派の中でも内野市長を追及するような立場に立っていた。もしかしたら、このことも(禁止命令が下された)背景にあると思う」と語った。

 海老名市議会は22人の市議会議員で構成されている。吉田氏は第二会派で女性議員4名によって構成される「いちごの会」に属している。

 市長派の最大会派は「志桜会」で7名の議員が所属、第三会派は創新海クラブ(3名)、公明党(3名)。右派で反市長派の太平会(2名)。日本共産党(2名)、無会派は1名。市長派が多数派となっている。

「議会で条例に反対討論をしたのは共産党だけ」「海老名市議会にも大いに責任がある」

▲提訴後、横浜地裁前で「マネキンフラッシュ」が行なわれた

▲提訴後、横浜地裁前で「マネキンフラッシュ」が行なわれた

 朝倉氏は、「(この条例は)平成21年に作られた条約だが、去年3月にデモ・集会の禁止など大幅に書き加えられている。誰がどのような背景で言い出したものか、メディアはぜひ調査してほしい。議会では、共産党ははっきりと『これは表現の自由を脅かすものである』と、反対の討論をしているが、あとは全員賛成している。これは海老名市議会にも大いに責任がある」と、強調した。

 「海老名市駅前自由通路設置条例」が改定された翌月の2015年4月、安倍政権は日米ガイドラインの見直しが行なわれた。同月30日には安倍首相がアメリカ議会で演説を行い「安保関連法案を、夏までに必ず成立させる」と演説をし、国民からは国民・国会軽視だと大きな批判を浴びた。そして、史上最長の95日間国会を延長し、9月16日には強硬的な形安保法制で採決をしてしまった。

 現政権に反対の声をあげるデモ、集会などの行動を、海老名駅前では禁止できる条例が、2015年の3月の時点で既にできあがっていたことになる。国政の動きに先立って、地方自治体である海老名市が、条例によって市民運動の締め付けを強化したのでは、という見方には、一定の妥当性がある。放置し、見過ごしてゆけば、他の自治体へ広がっていきかねない。

「表現の自由」、現行憲法を守る市民の戦いは、海老名市では既に始まっている。

▲訴訟代理人の大川弁護士(左)も「マネキンフラッシュモブ」に参加、「訴状」と書かれたプラカードを掲げた

▲訴訟代理人の大川弁護士(左)も「マネキンフラッシュモブ」に参加、「訴状」と書かれたプラカードを掲げた

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  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    道交法で認められていても、海老名市の条例は許可しない。地方自治体の条例という形で、この国の憲法は既に傷つけられている。現行憲法が保証した「表現の自由」を守る市民の戦いは、海老名市ではもう始まっている。
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/309467 … @iwakamiyasumi
    https://twitter.com/55kurosuke/status/831440715242565637

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