子宮頸がんワクチン副反応被害の救済と再発防止を求め、10~20代女性らが国と製薬企業2社を提訴へ!「この理不尽な被害を、決して放置してはならない」 2016.3.30

記事公開日:2016.5.1 テキスト動画
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(太田美智子)

特集 子宮頸がんワクチン
※4月30日テキストを追加しました!

 子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)を接種した後、全身の痛みや知覚障害、運動障害、記憶障害など、副反応とみられるさまざまな症状に苦しんできた10代から20代の女性12人が、国と製薬企業2社に対し、損害賠償請求することを決めた。すでに全国150人の弁護士が「HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団」を結成しており、6月以降の提訴を目指し、さらに原告を募っていく。

 2016年3月30日に東京都内で行われた提訴方針に関する記者会見では、原告になることを決意した4人の女性が身体の痛みをこらえ、記憶障害と闘いながら、詰めかけた報道陣に向かって、懸命に思いを語った。

■ハイライト

  • 日時 2016年3月30日(水) 15:00~
  • 場所 航空会館(東京都港区)
  • 主催 全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会

接種したクリニックから製薬会社を通じて「回復した」と報告され、訂正を求めてもうけいれられず、原告になることを決めた酒井七海さん(21歳)「国や製薬企業と私たちが向き合って、この問題の背景を明らかにしたい」

 酒井七海さん(21歳)は、高校1年生だった2011年2月と3月、グラクソ・スミスクライン社のHPVワクチン「サーバリックス」接種を2回受けた。

 子どものころから予防接種を受ける以外に、病院とは無縁だったが、2回目のサーバリックス接種の翌日、突然失神し、40度近い熱が出た。以来、痛み、しびれ、手足の震え、失神、脱力、歩行困難、記憶障害、学習障害、運動障害、知覚障害など、さまざまな症状に見舞われ、救急搬送や入退院を繰り返してきた。生理不順もあり、現在も2年以上ないという。

 これまでにクリニックや大学病院など20ヵ所以上をまわり、現在5ヵ所の病院に通っている。記憶障害の一部は改善し、断念していた大学進学も進路を変更して、昨年、果たした。しかし、歩行障害は進行し、車イスなしでは外出できなくなった。入院のため、大学も昨年後期は3週間しか通えなかった。

 これほど深刻な状態が続いているが、接種したクリニックから製薬企業を通じて、酒井さんは「回復」したと国に報告されていた。修正を求めても受け入れられず、別の病院から改めて国に報告してもらったが、一時は酒井さんが3人も存在することになっているなど、国が副反応の実態を正確に把握できていないことを痛感した。

「なぜ自分がこのような被害を受けたのか、なぜすぐに適切な医療を受けられなかったのか、なぜ自分の情報が正しく(国に)届かないのか、知りたいです。国や製薬企業と私たちが向き合い、この問題の背景を明らかにすることで、今後、同じようなことを繰り返さないでほしい、そのような思いから裁判することを決めました」

全身をバットで殴られるような痛みに襲われる平原沙奈(さな)さん(18歳)「ワクチンを作った製薬会社が許せません。なぜ副作用のことを教えてくれなかったのですか」

 中学2年から3年にかけて、サーバリックス接種を3回受けた平原沙奈(さな)さん(18歳)は、会見が始まってまもなく、体調不良のため会見場を退席した。沙奈さんが裁判への決意をつづった文書は、双子の姉の侑奈(ゆきな)さんが代読した。

 平原沙奈さんは生まれたとき、分娩時低酸素状態で脳性まひとなり、身体障害者手帳1級を交付された。また、小学校5年のときに給食で一時的に窒息状態となってから、年に1回ほど、軽いてんかん発作を起こすようになった。

 しかし、3回目のサーバリックスを接種した21日後、それまで経験したことのないような激しい発作が起き、救急搬送された。手足、頭、目玉、耳、お腹など全身に「大きな力でねじって引きちぎられるような」激痛が起きるようになった。自力で排便ができない状態が1年以上続き、不随意運動、かゆみ、記憶障害、生理不順、パンも持てないような異常なだるさなども、次々に起こった。

「私はもとから障害がありましたが、それを乗り越えて学校に通い、行きたいところに行き、大学進学の夢もあったのです。それなのに、今は痛みで泣き叫び、今までできていたことでも、自分の身体なのに、思うとおりに動きません。このワクチンを作った製薬会社が許せません」

 なぜ厚労省は承認したのか、なぜ保健センターからのチラシには副作用について書いていなかったのか、なぜ病院では接種時に副作用について教えなかったのか――。妹の思いを読み上げる、侑奈さんの声が涙で詰まった。

「これからはワクチンの良いことばかりの話だけでなく、マイナスの話もしてもらい、本当に接種した方が良いのかの考えを皆が持てるようにしてほしいと思います。それが、私が裁判で訴えたいことです」

記憶障害のため「思い出」とは何かわからなくなった谷口結衣さん(17歳)「ワクチンを打ってから今まで、本当に本当に、毎日がつらかった!助けてほしかった!普通の高校生活を送りたい!」

 中学1年生のとき、サーバリックスを3回接種した。1回目の接種後から腹痛や腰痛、手のしびれなどが出たが、当時は副作用とは気づかなかった。3年生の冬には朝起きられなくなり、卒業式も欠席した。高校入学後、発熱、立ちくらみ、頭痛、手足のしびれ、吐き気、腰の激痛、関節痛、抜け毛、耳鳴り、けいれん、激しい痛みを伴う硬直などが起き、2ヵ月で通えなくなった。自宅の住所を何度教えられても、言えなくなった。

 何ヵ所も病院をまわり、ようやく入院したが、数ヵ月間の入院中も状態は悪化し、一時は人工呼吸をつけた。退院時には片方の目がほとんど見えなくなった。退院後も失神、けいれんを毎日のように繰り返し、家族のことも分からなくなっていた。

 現在は少し回復し、学校に通える日も出てきたが、入退院を繰り返し、「バットでたたかれるような痛みや、クギで打たれるような痛み」に耐える毎日も続いている。言葉を理解するのが難しく、友人や先生の話がよく分からない。記憶障害のため、「思い出」というものが何かも、よく分からなくなった。いろんな症状が次々に出てくる。

「毎日のようにくる色々な症状におびえる恐怖、分かりますか?ワクチンを打ってから今まで、いいことはなかった。本当に本当に、毎日がつらかった!本当に苦しかった!助けてほしかった!ふつうの日々を過ごしたい、普通の高校生活を送りたい!これが今、私たちが何よりも望んでいることです」

少年野球チームのキャプテンで、児童会長だった望月瑠奈さん(17歳)「精神的なものなんかでは絶対ない。たった一本のワクチンで人生を奪われて、本当に悔しい。国や製薬会社の人、このワクチンを勧めた人たちに責任を取ってほしい」

 望月瑠奈さん(17歳)は小学校6年生のとき、自治体から無料の接種券3枚をもらい、サーバリックスを3回接種した。ほかのワクチンと同じく、「打たなければならないもの」だと思っていた。

 当時は男女合同の少年野球チームでキャプテンを務め、学校の児童会長もしていたが、中学1年生の9月頃から膝に痛みが出るようになった。2年生になって身体のあちこちの痛み、頭痛、光過敏、指先を針で刺されるような痛み、匂いが分からないなどの症状が次々に現れた。「原因がわからないし、あまり言うと変に思われそう」と考えて、担任教諭には体調がよくないことだけしか言えず、我慢していた。

 痛みをこらえて受験勉強し、高校に合格したが、高校1年生のときに足に力が入らず、歩けなくなった。やはり何ヵ所も病院をまわった。「精神的なものだ」とも言われたが、「精神的なものなんかでは絶対ないので、まったく納得できませんでした」。

 その後、リハビリ病院で足の筋力トレーニングを重ね、立ち上がって歩けるようになったが、今も膝ががくっと抜けることがあり、立っていると震えてくる。胸が締め付けられるような痛みや、腕や頭の痛みもある。リハビリでお世話になった作業療法士や理学療法士になりたいと思うようになったが、体力がなく、進路が決まらない。

「学生生活でやりたいことがたくさんあったのに、それを諦めなければならないことが一番つらいです。たった一本のワクチンに人生を奪われて、本当に悔しいです。国や製薬会社の人をはじめこのワクチンを勧めた人たちには責任をとってほしい。ちゃんと私たち被害者と向き合って、自分たちのしてきたことの最低さを痛感してほしいと思い、裁判に参加することにしました」

「この理不尽な被害を決して放置してはならない。彼女たちの叫びを日本国中が支える日が来るまでがんばりたい」――HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団の水口真寿美共同代表

「青春を謳歌するはずだった、夢を追うはずだった若い方たちがこうむった、この理不尽な被害を決して放置してはならない。そして、裁判に立ち上がったこの方たちを、私たち弁護団は全力で支えたい」

 原告となる決意を固めた4人が、懸命に思いを語った後、「HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団」共同代表の水口真寿美弁護士は、こう話し始めた。訴訟の目的は、真の救済と再発防止だ。

 被告は、国と、HPVワクチンを製造販売しているグラクソ・スミスクライン社(製品名:サーバリックス)とMSD社(同:ガーダシル)の2社。

 国に対しては、「ワクチンとして承認し、積極的に公費助成し、法律まで変えて定期接種化した。その積極的な行為全般について問題がある」として、国家賠償請求を行う。メーカー2社に対しては、不法行為責任・製造物責任に基づく損害賠償請求を行う。

「製薬企業2社は、いまだに被害を認めようとせず、接種の積極的勧奨再開への働きかけさえ行っています。被害者の願いは、将来にわたって、医療や生活全般にわたって安心して生きていけるようにすること、また、真相を明らかにして被害を繰り返さないようにすることです。訴訟により、国と企業の法的責任を明確にし、それを基盤に真の救済と再発防止を実現していきたいと考えています」

 同弁護団は東京、名古屋、大阪、福岡の4ヵ所に地域弁護団を結成し、各地の裁判所で一斉提訴する予定。

 水口弁護士は、「被害者たちは大変な思いをして、この現状を変えたいと決意しています。弁護団は、彼女たちの叫びを日本中で支える日が来るまでがんばりたいと思っています」と締めくくった。

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「子宮頸がんワクチン副反応被害の救済と再発防止を求め、10~20代女性らが国と製薬企業2社を提訴へ!「この理不尽な被害を、決して放置してはならない」」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    2016/03/30 HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)副反応被害問題 提訴方針に関する記者会見(動画) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/293996 … @iwakamiyasumi
    被害者の声を伝えることが、加害者の責任を明らかにする。どうか拡散お願いします。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/715281981039255552?lang=ja

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