【国会ハイライト】「緊急事態条項がなぜ必要なのか」民主・岡田代表の質問に安倍総理がまた逃走!IWJ岩上安身「質問を受け付けない安倍総理は詐欺師!」 2016.4.16

記事公開日:2016.4.16取材地: テキスト
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(岩上安身)

 昨年2015年12月25日、民主党・岡田克也代表に単独直撃インタビューした際、私は、 安倍政権が憲法改正で創設を狙う緊急事態条項の危険性について問いただした。当時、岡田代表の認識はお世辞にも厳しいものとは言えず、「色々と解釈はあるが、議論はこれからだ」などという煮え切らない態度を見せていた。

 自民党の改憲草案は、今から4年前、2012年4月に公開されたものであり、この間、研究の余地はいくらでもあったはずである。その草案の中に書き込まれている緊急事態条項を前提に明文改憲を目指すと、安倍総理自ら明言しているのに、である。「自民党案を前提にする必要はない」と言ったって、与党側は、それを前提に、3分の2を占めたら発議する、と言っているのだ。

 何とのんきな話だろう、とインタビュー時には思ったが、しかし、その後、岡田代表の姿勢が一変した。会見などで同条項について発言する機会が多くなり、「法律がなくても首相が政令で国民の権利を制限できるのは恐ろしい話」と、ナチス・ドイツを引き合いに出すまでになった。

 私のインタビューから1ヶ月後の、1月26日に行なわれた国会での代表質問で、岡田代表は緊急事態条項に対する総理の認識を確認するため、「現行憲法で、具体的に、何が足らないのか」と説明を求めた。

 岡田代表のこの変化は、歓迎すべき事態である。翻って、安倍総理の姿勢は、不可解で見苦しいものだった。

 安倍総理は「明文改憲を掲げて参院選を戦い、3分の2の議席を改憲勢力で占める。手をつけるのは緊急事態条項の創設である」と、意気軒昂に宣言していたのに、いざ質問されると途端に逃げ腰の態度を見せたのである。「憲法改正草案の個々の内容について、政府として答えることは差し控える」と、なぜか条文に則しての回答を避けた。

 このわずか4日前、安倍総理は、代表質問に先立って行なわれた1月22日の施政方針演説で、憲法改正をめぐる議論では「正々堂々とし、逃げない」と演説したばかりだったというのに、である。

 「私たち国会議員は、正々堂々と議論し、逃げることなく答えを出していく。その責任を果たしていこうではありませんか」

 にもかかわらず、前記のように、具体的な議論からは、ひたすら逃げ回る。どこが、堂々としているのか。

 具体的な回答を避けた理由として、安倍総理は、「国会や国民的な議論と理解の深まりの中で定まってくるものだ」などと述べたが、これは矛盾もいいところだろう。今、目の前の国会の代表質問の場で、野党代表から受けている質問に総理自ら答えることが、国会での議論の深まりのために、必要なことなのではないか。今、答弁しないで、いつするのか? 今でしょ!? と思わず誰でも突っ込みたくなるであろう。

 1月19日の参院予算委員会でも、同様の光景が見られた。社民党・福島みずほ副党首から、緊急事態条項の危険性についてどう考えるかと問われた安倍総理は、「自民党の憲法改正の草案について、個々にお答えすることは差し控えたい」という言葉で、この時も答弁を逃げたのだ。

 施政方針演説で「議論から逃げない」と発言しておきながら、中身の議論からはすたこら逃げ出す安倍総理の「虚言」を、岡田代表は22日の定例会見で「何を今さら」と厳しく批判している。

 私はこれまでも、緊急事態条項の恐ろしさについて集中的に情報を発信し続けてきたが、1月27日、質問を一切受けつけない安倍総理を「詐欺師」のセールスマンにたとえ、次のようにツイートした。

 こんなセールストークのセールスマンが目の前にあらわれたら、目の前の書類にサインするだろうか? 夏の参院選で自民党に票を投じるということは、緊急事態条項に賛成、という契約にサインをするのに等しい。

 野党支持者はもちろんだが、無党派、ノンポリの方々は、自民党支持者や公明党支持者も、よくよく考え直したほうがいいと思う。

 以下に、緊急事態条項と憲法改正にまつわる民主・岡田代表による質疑と安倍総理の答弁を掲載する。

(…会員ページにつづく)

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  1. 明智 小五郎 より:

    埼玉県上尾市にある聖学院大学政治経済学部の石川裕一郎教授は、安倍首相が創設を目指す「緊急事態条項」について
    ●フランスの事例を挙げて、これまで6回の非常事態宣言の発令では自然災害での適用が1回もないのです。・・・と言っています。

    そうでしょうか? 考えてみてください。
     非常事態のうち、(テロ等)によるものは(人間社会)で引き起こされたものです。
           しかし、(自然災害)はその名のとおり(自然発生)の現象なのです。
     非常事態宣言を発令した6回の間に、自然災害が無くて幸いであっただけのことである。
     ですから、(テロ等)の回数と比較する意味が全くないのです。

    ●また 石川裕一郎教授は、憲法54条の(参議院の緊急集会)を根拠に、緊急事態条項の必要性を否定しています。

     参議院議員の半数だけで、緊急事態を乗り切れるのでしょうか? 自然災害のみ発生したのであれば、それでも乗り切れるでしょう。 しかし実際には、あらゆる場合を想定した緊急時の対応が必要となります。
    仮に自然災害が発生したとして、それに乗じて(テロや他国による侵略)が引き起こされた場合は憲法54条の(参議院の緊急集会)で乗り切ることは現実的に無理があり、安全保障への対応ができず、国家の危機に陥ります。
    GHQ草案に基づく現行憲法は、そこまで想定して作られていません。 ですから、国の存立危機事態に備えるために 「緊急事態条項」 の創設が求められるのです。 日本国の尊厳を大切にする自民党の 「日本国憲法改正草案」 は しっかりと、「緊急事態条項」の創設を提案しています。

    安保法制に反対する(自称:憲法学者)に特徴的なことですが、護憲にばかり拘(こだわ)っているために、(現行憲法の不備・問題点)が分かっていないのです。 丸暗記した憲法条文を、念仏のように唱えるだけで憲法の学者と言えるのでしょうか? 丸暗記なら、全ての小学生にも出来ることです。

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