超重要!!【国会ハイライト】ついに国会で緊急事態条項の危険性が取り上げられる! 緊急事態条項は「ナチスドイツの国家授権法と全く一緒だ」福島議員が追及! なんと安倍総理は中身について答弁せず逃走! 2016.1.19

記事公開日:2016.1.20取材地: テキスト
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(青木浩文)

 「内閣限りで法律と同じ効力を持つことができるのであれば、これはナチスドイツの『国家授権法』と全く一緒だ」――。

 2016年1月19日の参院予算委員会で、社民党の福島みずほ・副党首が、自民党の憲法改正草案の中に明記されている「緊急事態条項」の危険性について、安倍総理の認識を問いただした。安倍政権は、来年の夏の参議院選挙で憲法改正の発議に必要な3分の2の議席(あと11議席)を改憲勢力で占めることを公言している。その場合、発議されるのは9条の改正ではなく、「緊急事態条項」の新設であることも明らかにしている。

▲緊急事態条項は「ナチスドイツの国家授権法と全く一緒だ」と安倍総理に詰め寄る福島みずほ議員

 自民党改憲草案の「緊急事態条項」は、トランプでいうところの、万能のカード「ジョーカー」に等しく、その一枚を手にするだけで、憲法を「停止」することができる。有事の際に総理が国会の同意がなくても、「緊急事態」を宣言することができるとされている。発令されると、内閣の権限は大幅に強化され、国民の人権は大きく制限される。立法権も予算権も内閣が掌握し、強大化したこの行政権に対して、国民は「服従しなければならない」とまで定めている。

 しかも、他国の国家緊急権の場合、期限が区切られていたり、制約が設けられている。ところが、自民党改憲草案では、期限も区切られず、国会の延長も可能なため、内閣を国民が選び直しする機会も無制限に延長が可能で、事実上、無期限、無制限な万能の権力をふるえるのである。

 ナチスの「授権法」と同一視された安倍総理は、「限度を超えた批判だ」などと不快感を示したが、どこがどうナチスの授権法と違うのか説明も反論もせず、「自民党の憲法改正の草案について、個々にお答えすることは差し控えたい」などと述べ、最後まで回答を逃げ続けた。

 なお、この福島議員のきわめて重要な質疑をNHKはリアルタイムで最後まで中継することはなく、途中で打ち切った。しかし、深夜に録画放送。放送時間の範囲内で収まりきらなかった場合のNHKの慣例である。

 以下に、その質疑の全文を掲載する。

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自民党憲法改正草案の「緊急事態条項」「公益及び公の秩序」に切り込んだ、社民党・福島みずほ副党首の質疑 全文

福島みずほ議員(以下、福島議員)「社民党の福島みずほです。憲法改正についてお聞きします。

 総理は憲法改正の発議ができるように参議院選挙で改憲勢力の3分の2以上の獲得を目指すとおっしゃっています。自民党は既に日本国改正草案を発表しています。どれも極めて問題ですが、この中のひとつ、『緊急事態宣言条項』についてお聞きをします。

 まず緊急事態宣言からやるのではないかと私は思っておりますが、この新しく自民党が設けている第9章『緊急事態』。これはまさに効果のところが、とりわけ問題です。

 これは内閣で99条1項、『内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる』『内閣総理大臣は財政上必要な支出、その他の処分を行ない、地方自治体の長に対して、必要な指示をすることができる』となっています。

 総理。国会は唯一の立法機関です。しかし、内閣が法律と同じ効力を持つことができる政令を出すのであれば、立法権を国会から奪うことになる。国会の『死』ではないでしょうか?」

安倍総理「この草案につきましては、我々野党時代、谷垣総裁の下で作られた草案でございます。えー、大規模な災害が発生したようなこれ緊急時の事を言っているのでございまして、平時にですね、えー、行政府がこれは、えー、権限を持ってやるということではないわけであります。

 えー、まあ大規模な災害が発生したような緊急時において、えー、国民の安全をまも、守るため、国家、そして国民自らがどのような役割を果たしていくべきかを、まあ憲法にどのように位置づけるかについてはですね、まあ極めて重く大切な課題と考えております。

 (咳払い)えー、そして、また他方ですね、えー、自民党の、えー、憲法改正草案の個々の内容について、政府としてはお答えをすることは差し控えたいと思います。まあ、いずれにせよ、まぁ憲法改正には国民の理解が必要不可欠であり、まあ具体的な改正の内容についても、国会や国民的議論を、と、理解の、理解の深まりの中で、自ずと定まってくるのではないかと、こう思っておりまして、引き続き、新しい時代にふさわしい、いー、憲法のあり方について、えー、国民的な議論と理解が深まるよう、努めてまいりたいと考えております

※上記にように、草案の内容を説明することもせずに、「憲法改正は国民の理解が必要である」などとまったく矛盾したことを、ひとつのセンテンスの中で並べて話している。「国会や国民的議論の深まりにつとめていく」とも述べている。なのに、自らが「3分の2の議席を獲得する」「改正の発議をする」「対象とするのは、自民党改憲草案の98条、99条の『緊急事態条項』である」などと言いながら、その改正案の条項の中身については答えない。これでは、国会での議論も国民的議論の深まりも期待できない。

福島議員「総理が改憲勢力の3分の2以上の獲得を目指すと、すでに言っていて、しかも日本国憲法改正草案が出ていますので、聞いております。

 この中の自民党の草案の中でですね、事後に国会が不承認をする、国会の承認を求めるとなっておりますが、国会が承認しなかった場合、その政令の処分によって、行われたことはどうなるんでしょうか。政令の効力はどうなるんでしょうか」

安倍総理「まっ、今申し上げましたようにですね、えー、私が今ここに座っているのは、内閣総理大臣として座っているわけで、えー、ございまして、えー、憲法の、おー、改正案の中身についてはですね、まさにこれから、あー、まあ憲法審査会においてですね、えー、ご議論をいただきたいと、えっ、このように思うわけでございまして、こうした議論が深まっていく中において、この、おのずとどの項目からですね、え、改正をしていこうかということが定まっていくわけで、えー、ありまして、それ以上、ここの条文について、私がここで述べることは差し控えさせていただきたいと思います」

福島議員きわめて問題ですよ。なぜならば、総理は今度の参議院選挙で、憲法の改正の発議ができるように、3分の2以上の獲得を目指すと言い、既に自民党は発表しているわけで、自民党総裁として、どういうふうになるのか、議論をすべきではないですか

 参議院選挙のひとつの争点は、戦争法廃止法案、これに賛成か反対か。そして、憲法改正について、どう考えるか、もちろん新自由主義か、社会民主主義か、1%のための政治か、99%のための政治家か、ありますが、憲法改正は極めて重要なテーマです

 先ほど申し上げましたが、これ(自民党の改憲草案には)、国会が不承認にした場合、承認が得られなかった場合の効力について規定がありません。これはきわめて問題です。憲法審査会でも学者はこのことを規定しています

 で、この緊急事態宣言条項ですが、総理、5年前の東日本震災、原発・震災は、憲法に緊急事態がなかったために、問題があった、というふうにお考えですか?」

安倍総理「まあ、今、まあ、例えば、あー、この、まあ緊急事態についてですね、自民党の中で議論があったのはですね、えー、まあ、あの時も、えー、地方選挙においては、これは延期をするという措置がなされたのでございますが、まあ国会議員についてはですね、えー、そういう対応ができない中において、まあ、どうしていくかと、いうことも議論になったと、こういうふうに承知をしております。

 まあ、いずれにせよですね、えー、この憲法につきましては、えー、3分の2以上の、えー、賛成が衆参それぞれあり、そして発議ができるわけでありますが、その上において、えー、国民投票を行ないですね、まさに国民が決めるわけでございます。

 その意味におきましては、まぁ国民的な議論の広がりがなければ、えー、この憲法改正は成しえない。まぁ自民党は、まあ立党以来ですね、えー、まぁ党是として憲法改正も取り組んでいく、ということでございまして、当然、私も自民党総裁でございますから、その観点からですね、われわれが、今ご紹介いただいたように、自民党の憲法改正草案を、お示しをしながら、憲法改正に取り組んでいきたいと、こう考えておりますが、しかし、まぁこれは逐条的に投票をしていくわけでありますから、えー、どっからということについては、そして、どういうふうに改正するかということにつきましてはですね、いわば3分の2を、の、達成、達成を形成するにおいても、国会、憲法審査会において、え、議論を進めていくなかにおいてですね、だんだん収斂されていくだろうと、このように考えているところでございます

福島議員逐条的に、ですから議論をして、これはどうなのかを聞いているんです。総理は『今日の天気は曇りでしょうか』と聞くと、『一昨日晴だったような気がする』みたいな答弁じゃないですか。卑怯ですよ。

 憲法改正について、3分の2取るんだと言いながら、どうなのかって言ったら、答えない。卑怯じゃないですか。ひとつひとつの、ひとつひとつ、憲法重要ですよ

 で、これは憲法審査会において、この緊急事態宣言状況、必要だ、必要ないという、両方の学者を呼んで、憲法審査会で参議院やりました

 入れることが必要だという、西先生もですね、今の憲法がなかったからといって対応できなかったということには直接ならない、と言っています。その通りだと思います

 まさに内閣限りで、法律と同じ効力を持つことができるのであればですね、これはナチスドイツの『国家授権法』と全く一緒です。これは、許すわけにはいきません

 で、もう一つ自民党は基本的人権についても問題であり、常に公益及び、公の秩序に国民は反してはならない、としています。公益ってなんでしょうか? 公の秩序ってなんでしょうか? 総理、お聞きします。今、宜野市長選が行われていますが、辺野古の新基地建設は公益ですか?

安倍総理「まっ先ほどですね、ナチスの授権法のですね、えー、いささか、これは限度を超えた批判がございました。我々が出しているですね、緊急事態に関する、えー、憲法改正の、おー、これ草案につきましては、諸外国のですね、多くの例があるわけでございまして、まさに、国際的に、えー、えー、多数の国がですね、えー、採用している憲法の、おー、えー、これ条文であろうと、こう考えているところでありますから、ぜひ、そうした批判は、慎んでいただきたいと、このように思うわけでございます

 えー、そして、もう時間がまいりましたから、簡潔に申し上げますが、えー、憲法改正の草案について、個々に、えー、お答えすることは差し控えたいと思います。

 えー、その上でですね、えー、誤解を与えないように申し上げますが、えー、個人が人権を主張する場合には、他人に迷惑をかけてはいけてはいけないという、当然の、えー、ことを、明確にしたものでございます

福島議員「はい、時間ですので、終わります。『国家授権法』と一緒じゃないですか。終わります

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  1. 小磯 清 より:

    阪神淡路大震災や、東日本大震災で私達は緊急事態時の、自衛隊、消防、警察に不満を持ったことはありません。一生懸命頑張って下さいました。被害の甚大さは、それらとは無関係のことです。 こんな事を理由に政府に強力な権限を持たせるべきだと結論するのは。火事場泥棒そのものです。  絶対に許せない。

  2. 西遠寺 透 より:

    福島議員への安倍総理答弁は本当気味悪いですね。
    かつて「有事法制」審議のとき国家総動員体制の恐れが指摘されたときよりも、もっとひどい。ナチスの国家授権法との類似を指摘され、「限度を超えた批判」すなわち我慢ならない批判と沸騰してしまうのは総理如何なものでしょうか。今後きっと政府寄りの野党の質問で「あんな質問ひどいですよね」と、ねちねち言ってもらうのでしょう。
    政府与党の言う「緊急事態条項」とは、トランプで言う「ワイルドカード(ジョーカー)」と思います。安倍総理には、国際紛争解決手段として戦争が当たり前の国と、日本を同列に考えないでいただきたい。

  3. 小林文子 より:

    福島瑞穂さんを応援します。

  4. 西遠寺 透 より:

    「無関心の名の、心に着せた外套を脱ぎたまえ、手遅れにならぬうちに、決断を」(永井清彦訳、言葉の力 ヴァイツゼッガー演説集、岩波現代文庫)
    これはナチスドイツ政権下の「白バラ」の呼びかけです。死を賭してまで訴えた彼ら彼女らの言葉が今の日本でとっても大切です。「白バラ」につけたす言葉はありません、有権者は手遅れにならないうちに決断しましょう!

  5. kg より:

    文字おこしで、答弁に、えー、おー、というのを入れているのが、答弁の様子がよく伝わって良いです。
    文字おこしでは今後もそれを続けられると良いのではないかと思います。

  6. 川上純一 より:

    酷い答弁ですね。憲法を学ぶ気無し、守る気無し、論じる気無しの憲法三無主義。

  7. fumico birkett より:

    とっても不思議なのは今まで総理大臣はすぐに変わっていたのに安部総理はなぜ変わらないのかです。
    国民はもっと政治に関心を持つべきなのに物質主義に走って何も見えない。福島原発事故から怪しい安部政権が明るみに。チェルノブイリの原発事故からロシアは崩壊の道をたどったが日本も何か似ている気がしてならない。

  8. ナガシマ より:

    この記事に悪意がありすぎて、読む気が失せますが、東日本大震災の時の政府の対応で不満がないわけないですよね。
    もっと思い切って決断しておけば、原発の被害はもう少し減らせたかと思います。
    が、この法案があるからと言って、大胆な決断ができるかはわかりませんが。民主党に大胆な決断されても困りますが。

    自民党が与党であり続けるなら良いですが、他党に政権が奪われた場合この法案は少し怖いと思います。

  9. 明智 小五郎 より:

    埼玉県上尾市にある聖学院大学政治経済学部の石川裕一郎教授は、安倍首相が創設を目指す「緊急事態条項」について
    ●フランスの事例を挙げて、これまで6回の非常事態宣言の発令では自然災害での適用が1回もないのです。・・・と言っています。

    そうでしょうか? 考えてみてください。
     非常事態のうち、(テロ等)によるものは(人間社会)で引き起こされたものです。
           しかし、(自然災害)はその名のとおり(自然発生)の現象なのです。
     非常事態宣言を発令した6回の間に、自然災害が無くて幸いであっただけのことである。
     ですから、(テロ等)の回数と比較する意味が全くないのです。

    ●また 石川裕一郎教授は、憲法54条の(参議院の緊急集会)を根拠に、緊急事態条項の必要性を否定しています。

     参議院議員の半数だけで、緊急事態を乗り切れるのでしょうか? 自然災害のみ発生したのであれば、それでも乗り切れるでしょう。 しかし実際には、あらゆる場合を想定した緊急時の対応が必要となります。
    仮に自然災害が発生したとして、それに乗じて(テロや他国による侵略)が引き起こされた場合は憲法54条の(参議院の緊急集会)で乗り切ることは現実的に無理があり、安全保障への対応ができず、国家の危機に陥ります。
    GHQ草案に基づく現行憲法は、そこまで想定して作られていません。 ですから、国の存立危機事態に備えるために 「緊急事態条項」 の創設が求められるのです。 日本国の尊厳を大切にする自民党の 「日本国憲法改正草案」 は しっかりと、「緊急事態条項」の創設を提案しています。

    安保法制に反対する(自称:憲法学者)に特徴的なことですが、護憲にばかり拘(こだわ)っているために、(現行憲法の不備・問題点)が分かっていないのです。 丸暗記した憲法条文を念仏のように唱えるだけで憲法の学者と言えるのでしょうか? 丸暗記なら、全ての小学生にも出来ることです。

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