第13回 国会エネルギー調査会(準備会)「全原発の直下活断層再点検と国民的議論の取りまとめを検証」 2012.8.23

記事公開日:2012.8.23取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元/奥松)

 2012年8月23日(木)、東京都千代田区の衆議院第一議員会館において、「第13回 国会エネルギー調査会(準備会)『全原発の直下活断層再点検と国民的議論の取りまとめを検証』」が開催された。この会合は、資源エネルギー庁が設置した、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会のメンバーらが運営する自主的分科会と、超党派の国会議員らで構成する原発ゼロの会が共同で開催しているものである。福島第一原発事故を契機に、さまざまな問題が顕在化した我が国のエネルギー政策を見直すべく議論を重ね、エネルギー調査会を国会に設置することを求めている。13回目となる今回の会合では、原発の直下に存在する可能性が指摘されている活断層の再点検状況と、将来における原発比率の国民的議論の取りまとめ状況について検証した。

■ハイライト

  • 日時 2012年8月23日(木)
  • 場所 衆議院第一議員会館(東京都千代田区)

 会の冒頭、原発の直下における活断層の有無を再点検することについて、原子力安全・保安院耐震安全審査室長の小林勝氏が「泊、東通、柏崎・刈羽、志賀、敦賀、大飯、美浜、もんじゅについては、断層調査を実施する。浜岡原発については駿河地震の際に発生した地殻変動の解析を行うが、他の原発については(再調査未実施でも)問題ないと考えている」と報告した。

 これに対し、変動地形学を専門とする東洋大学教授の渡辺満久氏は、「原発の直下や近辺に活断層がないと考えられるのは玄海原発だけだ」と指摘。さらに「活断層がもたらす地盤のズレによる被害は、原子炉の耐震性とは別の問題であることを、原子力安全・保安院は考慮していない」と批判した。その上で、新たな知見に基づく安全基準が策定された際に、旧基準に基づき建設した原発を対象に、安全性を調査し直すバックチェックの実施に加え、地震による揺れを考慮する耐震性審査だけにとどまらず、地盤そのもののズレを考慮する変動地形学への理解を深めるよう求めた。

 また、原発反対刈羽村を守る会の武本和幸氏は「電力事業者は、土地や海(漁業権)を購入してから、自分たちの費用でコンサルタント会社を雇って地盤調査を始める。『この土地は建設に適さない』というような都合の悪い結果を出すはずがない」と批判。「すべての原発で活断層の再審査が必要ではないか」と指摘した。

 これらの指摘や批判に対し、小林氏は「これまで事業者任せとなっていた点を反省し、調査には必要に応じて専門家を入れることにする」と回答した。

 続いて行われた、将来における原発比率の国民的議論の取りまとめに関する検証では、国家戦略室企画調整官の井原智人氏が、今後のエネルギー戦略の策定について説明した。井原氏は、国民に向けて6月29日に発表した「エネルギー・環境に関する選択肢」の意見収集について、「原発依存軽減の実現に向けた議論を深めるために情報提供を行うとともに、国民各層の意向を把握するために実施した」と説明した。意見収集の結果、30年後の原発比率として用意した3つのシナリオについて、全国11ヶ所で開催した意見聴取会での支持率は「0%」が約70%、「15%」が約10%、「20~25%」が約15%となったことや、国家戦略室に対し9万件ものパブリックコメントが寄せられ、そのうち9割が0%シナリオを支持していたことなどを報告した。また、経済団体から行った意見聴取では、20~25%シナリオを支持する意見(日本商工会議所など)が主流であったことなどを説明した。

 これに対し、総合資源エネルギー調査会の委員を務める京都大学教授の植田和弘氏は、「選択肢が限定されているのが問題。国民の意見を本当に吸い上げられたのだろうか。『2030年ゼロ』という数字だけがあっても、そこに行くまでの具体的な過程がわからないし、それ以後の方向性もわからない。原発の再稼動をどうするのかという問題もある」と疑問を呈した。また、原子力資料情報室共同代表の伴英幸氏は「核燃料サイクルについては、ほとんど意見が出ていないが、今後についてどのように考えているのか」と質問した。

 井原氏は「選択肢(の設定)には限界があるが、論点は明確に出ているし、どれだけの人々が原子力に懸念をもっているのかは、聴取結果に出てくる」と述べた。再稼働の是非については、「この調査では想定外。中長期的な原子力政策について考えるための調査だ」と回答した。さらに、核燃料サイクルについては、「将来の世代に負担を残すのではいけない、というのが、ひとつの回答と考える」と述べ、明確な返答は避けた。

 また、新会派みどりの風の参議院議員、谷岡郁子氏は「原子力産業に関わっている人を、無条件に『国民』としてカウントしていいのか。統計の読み方によって結果をいくらでも作り込めるのが、官僚統計の最大の問題点だ」と指摘した。

 最後に、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏が「選択肢がきちんと成立していない。霞が関の論理で動いている現状を、国民の期待に応えられるようにするのが、政治の役割ではないか」と総括し、会合は終わった。

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