相次ぐマイナンバー配達ミス! 高市大臣「不安を惹起させかねない」と憤るも対応は現場任せ!? 気になる企業との癒着は「総務省にはございません」 高市早苗総務大臣定例会見で 2015.11.6

記事公開日:2015.11.27取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材・記事 城石愛麻)

※11月27日テキストを更新しました!

 「今後やはり、マイナンバーカード、利用も拡大していくと思います。まあ徐々に、今のところは、法定された事務にのみ使いますけれども、今後ですね、やはり、より便利なカードになるように、ということで、さらに検討が進んでいくと思います」――。

 マイナンバー法が施行されて、はや1カ月、通知カードの通知が始まり2週間が経った2015年11月6日、総務省の高市早苗大臣が定例記者会見を行った。高市大臣は、11月4日時点で、43都道府県、515市町村で、約1116万通の通知カードが郵便局に差し出されたと発表し、「概ね、予定通り順調に進捗している」と述べた。

 この間、マイナンバーに対する国民の不信感を掻き立てるニュースが続いた。日本郵便によると、11月6日現在、全国で8件の誤配達が発生した。配達ミスの続発を受けた総務省は、11月2日、日本郵便の高橋亨社長を呼び出し、ミスの再発防止を要請。しかし、その後もミスは絶えず、11月5日には石川県珠洲(すず)郵便局と三重県伊勢郵便局で、配達に関するミスが発生した。

 「とにかくこれは、マイナンバー制度そのものに対してですね、不安を惹起させかねないものです」

 配達ミスについて質問された高市大臣は、それまでの笑顔から打って変わり、語気を強めてこのように答え、ミスの続く日本郵便に対する「いらだち」を見せた。

 しかし、相次ぐ配達ミスに対し、総務省独自の対策はあるのかと問われると、「(日本郵便に)しっかりとした注意ポイントを再徹底していただくということを求めたい」と述べるにとどまった。具体的な対策は、高市大臣からは何も示されなかった。

 10月20日の記者会見では、「万が一問題が起きた場合には、やはり総務大臣が責任を負うべきものだと思っております」と明言しといた高市大臣だが、急速にトーンダウン。実際に問題が起きれば、なすすべもなく無為無策。結局、「現場を叱責」で責任転嫁しておしまい、ということらしい。

 問題への対処や責任の所在をあいまいにしたまま、しかし、利用拡大には前のめりな姿勢を崩さない。「今後やはり、マイナンバーカード、利用も拡大していくと思います」とした冒頭の高市大臣の言葉は、それを如実に表している。

 この日の記者会見では、各社からマイナンバーに関する質問が相次いだ。IWJ記者は「通知カードの誤配達対策」に加え、「マイナンバーの利用拡大にともなう政府・企業の癒着」について質問した。

 マイナンバーをめぐる政府と企業の癒着については、10月に厚労省職員が、マイナンバーのシステム構築を担う企業から100万円の贈収賄を受けていたことが発覚した。

 総務省は今後、マイナンバーの利用を民間企業にも拡大していくにあたり、「利用申請をした企業に対し、高市大臣が承認を与える」としているが、これは、政府と企業の癒着を再発させかねないのではないか。

 故意の情報漏洩であれ、過失の情報漏洩であれ、官庁は不祥事が起こらぬよう、業者を監督する責任がある。しかし、その官庁と業者が癒着をしていれば、行政の監督は甘くなり、当然、取り扱われる国民の個人情報は危機にさらされる。

 癒着の可能性について高市大臣は、「政府の人間と、特にその業務を委託した、もしくは発注した業者との癒着、これはもう、許されないことだと思っております」と高らかに表明はした。しかし、総務省について尋ねられると、「総務省の中にも同様の案件がないか、ということでしたけれども、それは幸いにして、確認されないということでございました」と他人事のように述べ、今後の利用拡大に向けては、「公務員は襟を正して、国民からいかなる疑念も持たれないように、対応していくべきだと考えております」と、一般論でかわし、国民の身にふりかかるリスクについては、言及しなかった。

 マイナンバーの利用を拡大していきたい一方で、通知カードの配達ミスの続発や、厚労省の汚職事件により、国民の間に不信感が広がる現状を受け、マイナンバー推進の旗振り役・総務省の高市大臣からは、「焦り」が感じられた。

■ハイライト

  • タイトル 高市早苗・総務大臣 記者会見
  • 日時 2015年11月6日(金)11:45頃〜
  • 場所 総務省(東京・霞が関)

相次ぐ配達ミスに国民の「不安を惹起させかねない」と憤るも、対策は現場任せ

 「通知カードの配達についてはですね、日本郵便において、大っ切な郵便物を取り扱っている、という責務を自覚していただきたいと思います」

 それまで記者の質問を笑顔で受けていた高市大臣は、「通知カードの誤配達」について聞かれると、急に顔を曇らせ、語気を強めてこう述べた。

 IWJではこれまで、特集や特別寄稿を公開し、マイナンバー制度による個人情報の流出に再三、警鐘を鳴らしてきたが、今回の通知カード誤送付も、個人情報流出につながりかねない問題だ。

 マイナンバーの通知カードの交付が始まった2015年10月20日以来、連日、マイナンバーの誤配達に関するニュースが報じられている。総務省はこのようなミスの連発を受け、11月2日に日本郵便の高橋亨社長を呼び出し、ミスの再発防止と、全国の郵便局に対する指導徹底を要請する行政指導をしたが、その後もミスを防ぐことはできなかった

 11月5日、石川県珠洲郵便局では、カード配達を担当していた郵便局の職員が、自ら配達証にサインをした。11月6日の毎日新聞によると、この職員は、届け先の留守宅21軒で、住人に直接手渡したように見せかけるため、受取人のサインを偽造して記したという。

 また、三重県伊勢市では、通知カードの不在通知を受け取った住民が、郵便局の窓口で別の人のマイナンバーを受け取り、開封してしまう、という事故も起こっている。

 このようなミスの続発に対し、高市大臣は、「とにかくこれは、マイナンバー制度そのものに対してですね、不安を惹起させかねないものです」として、焦りを見せた。

 通知カードの誤送付について、IWJ記者は記者会見で、「マイナンバーに責任をもつ総務省として何かこのようなミスを防ぐ対策を考えていたら、教えてください」と質問をした。

 しかし、高市大臣から返ってきた返答は、日本郵便に「責務を自覚していただきたい」とし、「職員の方々全員に対して、(日本郵便に)しっかりとした注意ポイントを再徹底していただくということを求めたいと思います」と、現場に責任を転嫁するだけ。「厳重」とは言うものの、何ら具体的な対策をともなうものでないことは明らかだ。

 11月9日には、総務省から日本郵便の高橋社長に対し厳重注意がなされた。

焦る高市大臣に安倍総理「大変ですね」と他人事?

 高市大臣は、一連の誤送付について、事案があったことを安倍総理に報告したと言う。そして、ミスの続く日本郵便に対しては、「その(11月2日の要請)後も、残念な状況が続いておりますので、さらに、行政指導という形になるかと思いますけれども、再び、注意を促していくということをしなければならないと思っております」と述べた。

 高市大臣の報告を受けた安倍総理の反応を聞かれると、大臣は、「まあ、あの、『大変ですね』ということで、『でもしっかりやってください』と言われました」と明かした。

 「大変ですね」という安倍総理の言葉を、自分へのねぎらいの言葉として、高市大臣は紹介したかったのかもしれない。しかし、言うまでもなく、マイナンバー制度などを始められ、個人情報抽出のリスクにさらされて「大変」なのは、国民である。安倍総理の言葉も他人事、それを屈託なく紹介する高市大臣は、ピントが外れている、と言わざるをえない。

「マイナンバーカード、利用も拡大していくと思います」と大臣断言 政府のロードマップでは、健康保険証との一体化も検討

 利用開始以前の通知の時点で、このようにミスや問題の絶えないマイナンバーだが、利用開始後にも問題が続かないとは限らない。特に懸念されるのが、マイナンバーの歯止めなき利用拡大だ。

 2016年1月から利用開始されるマイナンバーは、現在、「社会保障」「税」「災害対策」の3分野で利用するとされている。

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入よりご覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 300円 (会員以外)

関連記事


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です