【IWJレポート】「それでも行動し続けることでしか、周りを動かすことはできない」――8・30全国100万人抗議行動に向け、東北から沖縄まで50人の学生が記者会見! 2015.8.29

記事公開日:2015.8.30取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(城石愛麻)

特集 安保法制
※「8・30全国100万人抗議行動」は全国300カ所以上で行われる。→【全国抗議行動スケジュール】

 「これは歴史的瞬間。日本の民主主義の成長スピードが半端じゃなく加速している」――。

 「8・30全国100万人抗議行動」を翌日に控え、若者たちが2015年8月29日(土)、東京・神保町の学士会館で「安保法制に反対する全国若者記者会見」を開いた。

 会見したのはSEALDs、SEALDs TOHOKU、SEALDs KANSAI、SEALDs RYUKYU、T-ns SOWL 、SADL 、PEDAL 、「しーこぷ。」 、WIND 、N-DOVE 、WDW 、FYM 、DemosKratiaの13団体。東北から沖縄まで、日本中の「行動する」若者が、安保法案を廃案にすべく駆けつけた。集まった学生の数は50名にも及んだ。

記事目次

■ハイライト

  • 日時 2015年8月29日(土)18:30〜19:30
  • 場所 学士会館(東京都千代田区神田錦町)

「これは歴史的瞬間。日本の民主主義の成長スピードが加速している」

 記者会見を始めるにあたり、SEALDsのメンバー・奥田愛基さんは、「ここに集まったほとんどの人たちが、今日初めて会う人たち」と言い、「こういう連鎖が今、日本中で起こっている」と語った。

 続いて奥田さんは、「憲法がねじ曲げられていることに危機感を持っている」と切り出した。そして、昨年7月に安倍政権が閣議決定した「武力行使の新三要件」に関して、第一要件の『存立危機事態』が盛んに議論されているのに対し、注目の少ない第二、第三要件についても、「明確な基準が存在しない」ことに注目。「具体的な内容を定めたという事態対処法には、具体的な記載なんかされていない」と政府の欺瞞を暴いた。「安保法案はそもそも『欠陥法案』。法案としてのレベルが低い」と吐き捨てた。

 SEALDsのメンバーである男子学生は、「半端じゃないことが起こっている。ここにいる一人ひとり、誰にも指示されず自分の頭で考え、ここにきているというのはすごい」と、興奮をあらわにした。そして、「ここに来ているメディアは少ないが、これは歴史的瞬間。日本の民主主義の成長スピードが半端じゃなく加速している」と、手応えを語った。

長崎の「被爆地・長崎の学生だからこそ安保法案を阻止したい」

 「ついこの前まで、SEALDsの姿をテレビで観て、『かっこいいなあ』、『自分たちも何かできないかなあ』と思っていた。ここに今日、こうして自分が立っていることがすごく嬉しい」——。

 長崎県の若者たちによって結成された「N-dove(エヌダブ)」のメンバーの森爽(もり そう)さんは、被爆地で育った自分が何もしないでいるわけにはいかないと、今年6月下旬に「N-dove」を結成した。20代を中心に、サポートの大人を含めて20名で活動をしており、7月25日にはリレートーク、デモを実施、400名を参加めた。

 森さんは、行動し始めたきっかけについて、「長崎の大人の人たちは、原爆の話、平和の話をよくしているし、勉強会なども盛んに行う。でも今、安倍政権が成立させようとしている安保法案によって、一番影響を受けるのは自分たち若者世代。何もしないでいるわけにはいかない」と語った。

 「被爆地・長崎の学生だからこそ、平和を壊すような安保法案を阻止したい。政治家には、武力を強くするのではなく、他国の人たちと話し合いをして平和を守る努力をして欲しいと思っている」。

 森さんたちは、活動を始めて以来、長崎で平和を伝えようとする大人たちに支えられ続けてきたと言い、「これからも、大人には一緒に行動し続けて欲しい」と訴えた。また、「そうやって自分たちが行動することが、僕たちのさらに次の世代の子たちのために、行動を起こすハードルを下げることに繋がる」と、世代を超えた動きの必要性を語った。

沖縄の学生「『ぬちどぅたから』の理念を大事にして活動をしていきたい」

 米軍基地問題に揺れる沖縄からは、「SEALDs RYUKYU」が参加した。メンバーの元山仁士郎さんは、団体名が「SEALDs/自由で民主的な社会を守るための緊急行動」であることに言及し、「そもそも沖縄に守るべき『自由と民主主義』はあるのか。あるとは言い難い」と、怒りをあらわにした。

 2015年8月12日に沖縄の沖合で、米陸軍のヘリコプターが墜落した。事故機には研修と称して陸上自衛隊の隊員2人が同乗していた。元山さんは、「米軍と自衛隊が安保法案成立前に合同訓練をしていた。そうやって既成事実を積み重ねていくやり方に、本当に怒りを感じる」と語った。

 そして、「朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争でも、米軍は沖縄の基地から出ていった」とした上で、「もうこれ以上、戦争に加担したくない。沖縄戦争から得られた教訓、『ぬちどぅたから』、この非戦の理念を大事にして活動をしていきたい」と、切実な思いを語った。

「東北の学生らしい温かみのあるアクションをしていく」

 3.11で被災した東北からは、「SEALDs TOHOKU」が参加した。

 「SEALDs TOHOKU」は、宮城県内の学生らが6月中旬に立ちあげた団体で、デモをやるうちに山形、岩手などからもメンバーが集まるようになった。メンバーの久道瑛美さんは、「東北全体で連携できたらいい」と語った。

 「SEALDs TOHOKU」は8月9日に初めて学生主体のデモを行い、東北各地から600人以上の学生らを集めた。また、8月23日の「安保法案に反対する全国学生抗議行動」では、仙台弁護士会、ママの会、学者の会、宮城県内の国会議員、市議会議員などと連携し、多くの団体を巻き込むことに成功している。8月30日の100万人抗議行動には、「SEALDs TOHOKU」のメンバー10名が国会前に駆けつける予定だ。

 久道さんは、東北の学生について、「政治発言に抵抗がある(風潮がある)」と言い、「自分の頭で考え発言しようとする学生が協力し合える場として、東北の学生らしい温かみのあるアクションをしていく」と決意を表明した。

「関西には、国会のような象徴的なものはないが、声をあげないのはおかしい」

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入より御覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 330円 (会員以外)

関連記事

「【IWJレポート】「それでも行動し続けることでしか、周りを動かすことはできない」――8・30全国100万人抗議行動に向け、東北から沖縄まで50人の学生が記者会見!」への1件のフィードバック

  1. ANTIFA より:

    動画でもラッパーの人が言っていたけど、本当にこの会見は凄い。ここには、時代の先頭を走っている若者が一同に会しているのだと思う。
    何の後ろ盾もなく、「戦争反対」という当たり前のことを言うだけで周りから浮いてしまったり、時には非難までされるような風潮の中で一歩踏み出すには、どれほどの勇気がいっただろう。若者の特権である勉強や遊びを犠牲にしている人、バイト代のほとんどを抗議行動のために費やしている人、就職に不安やリスクを抱えつつも行動している人もいるだろう。心無い人々や、時には大手メディアからさえ誹謗中傷を受けている人達もいる。
    それでも彼らは自分のため、大切な人達のため、次の世代のため、人が幸せに生きられる社会のために、人々の先頭に立って声を上げている。そして今とうとう、時代が彼らの後からついてきた。
    私は今の世代を超えた大規模な抗議行動の潮流を生み出したのは、彼ら若者ではないかと思う。彼らの姿を見て、今まで社会運動に触れたこともないような多くの人々が、主権者としての責任を思い出し、自分で考えることの大切さを知り、声を上げる勇気を得た。
    今回の一連の反対運動はガンジーやキング牧師のようなリーダー的存在がいるわけではなく、シンボリックな有名アーティストや組織等に牽引されたものでもなく、参加している人の支持政党も主義思想も皆それぞれ違う。中には改憲派や創価学会の人達もいる。けれど立憲主義を護り戦争法案に反対する、そのただ一点で皆が共闘している。これはじつはもの凄いことだと思う。
    個人としての市民が自ら調べ、考え、発信し、行動し、繋がっていく。新しい時代の民主主義が今生まれようとしている。そして彼ら若者こそがその中心にいるのだと思う。
    活動を続けていく中で辛いこともたくさんあるだろう。努力に見合う結果が得られないこともあるだろう。最終的には負けてしまう可能性だってある。
    それでも、どうか心折れないで欲しい。負けることと屈することは違う。
    ”人権”などという言葉が存在しなかったはるか昔から、「俺達を人間扱いしろ」と声を上げ続けてきた人々がいる。権力者達から繰り返し繰り返し弾圧され、虐殺され、それでも民衆は声を上げることをやめなかった。そうやって勝ち取られたものを、今私達が手にしている。私達が何をしなくとも生まれた時から約束されている基本的人権は、そういう歴史の上にある。だからこそ、たとえ自分の代で結果を得られなかったとしても、次の世代のために闘い続けなければならない。
    小さくても声を上げること、弱くても行動することは決して無駄ではない。腐敗した権力や不正義に屈しないことそのものに大きな意義があるからだ。本当の民主主義というのはきっと、市民一人一人の勇気と行動の積み重ねの先にしか、存在し得ないのだと思う。
    「民主主義が終わったなら、また何度でも始めればいい」彼ら若者が教えてくれた言葉が、この国に絶望していた私の目を開かせてくれた。それを私もいつか自分自身の声にして、次の若者達に繋げていきたいと思う。

ANTIFA にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です