「野田首相の肩車型社会論は脅迫的な増税正当化」醍醐聰東京大学名誉教授 ~第11回消費税研究会 2012.7.25

記事公開日:2012.7.25取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 「消費税に変わる財源を探すのはいいが、税金の源を少しずつ養っていき(涵養)、財源(国富)を導くという理念が必要ではないか。そのためには正規雇用と高齢者雇用を促進すべき」――。

 2012年7月25日、東京都千代田区の衆議院第二議員会館で「第11回 消費税研究会」が開かれた。民主党内有志23人で発足した消費税研究会は、定期的に有識者を招いてレクチャーを受けている。今回は、東京大学名誉教授で経済学者の醍醐聰氏が「民富みてこそ国も富む~今あるべき雇用政策と社会保障政策とは」と題した講義を行なった。

記事目次

■ハイライト

  • 日時 2012年7月25日(水)
  • 場所 衆議院第二議員会館(東京都千代田区)

必要なのは民富を涵養し国富を導くこと

 醍醐聰氏は、障がいのある子どもを持つ竹中ナミ氏が主宰する社会福祉法人、プロップ・ステーションの活動を例に挙げて、レクチャーを始めた。「この団体は、『チャレンジドを納税者にできる日本』という目標を掲げている。そのモデルは、2万人の雇用者のうち1万9000人が障がい者の、スウェーデンの国営企業サムハルだ。障がい者も自立し、健常者と同等の税金を納められることを目指している」。

 続けて、「この例にみるように、税金の源を少しづつ養っていき(涵養)、財源(国富)を導くという理念が必要ではないか」と述べ、「あなたの国家像は、と問われて『将来に夢の持てる国にする』という野田首相の国会答弁は、まるで中学生の弁論大会だ」と、理念なき首相の言葉を批判した。

肩車型社会論は、脅迫的な増税正当化

 醍醐氏は、社会保障について野田首相が頻繁に使う『肩車型社会論』を分析した。「半世紀前は、胴上げ型社会。つまり9人が1人を扶養する社会。現在は、3人が1人を乗せる騎馬戦型。そして、2050年には1.2人が1人の高齢者を支える肩車型の社会になる、というのが政府の意見だ。それを理由に、野田首相は、先送りせず国の財政を立て直すことを盛んに訴えるが、肩車型社会論の根拠になる厚労省の統計には、まやかしがある。老年人口を生産年齢人口で割って1対1.2と算出しているが、分母、分子ともに算定基準が不適正であいまいだ」と指摘した。

(…会員ページにつづく)

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