岩上安身によるインタビュー 第226回 ゲスト 鳩山由紀夫元首相 岩上安身のインタビューで「対米従属」官僚の全貌を激白「官僚は自分たちのやりたいことをやってくれればどんな政権でもいい」 2012.7.18

記事公開日:2012.7.18取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ/奥松)

岩上安身による鳩山由紀夫元首相インタビュー第二弾決定! 3月23日18時より、Ch1で生配信! ➡➡➡ Ch1はこちら 安倍政権を右往左往させた、突然のクリミア訪問。その目的、クリミアの地で見たもの、得たものは何なのか? そして、今後の対ロシア外交において何が重要なのか。激動の国際情勢において、今回のクリミア訪問が持つ意味は―。大手メディアでは意図的に切り貼りされ、真意が伝わらない鳩山氏の主張。今回は2時間ばっちり、あますことなくお聞きします!

 「消費税増税の背後には財務省がいる。官僚には選挙がないので、自分たちのやりたいことをやってくれるなら、どんな政権でもいいのだ」──。

 2012年7月18日(水)11時より、衆議院第一議員会館で、岩上安身が鳩山由紀夫元首相にインタビューを行った。「メディアは都合良くストーリーを作るから、もう政局は語らない」としている鳩山氏だが、「IWJならば」と、自身の離党問題や小沢一郎氏のこと、変節してしまった民主党執行部、官僚のアメリカ追従、原発と代替エネルギー問題など、岩上安身の問いに丁寧に答えていった。

 「官僚のアメリカ属国根性から脱却しないと、大きな政策は実現できない。鳩山内閣の栄光と悲劇で、その力関係がはっきりした。この国を本当に支配しているのは、やはりアメリカのご意向と、それをうかがっている官僚たち」と岩上安身が述べたことに、鳩山氏は、「独立国が、他国の軍隊に守られていることに疑問もなく、『それが保守政治だ』というのは理解しにくい。保守政治であるとすれば、自分の国は自分で守れるようにしていく必要がある」と主張した。

■イントロ

  • 日時 2012年7月18日(水) 11:00~
  • 場所 衆議院第一議員会館

国民が厳しい国難を乗り越えようという時に、増税すべきではない

 まず岩上安身は、鳩山氏の離党問題に対するマスメディアの対応について訊いた。鳩山氏は、「メディアは言葉を切り取って、都合の良いようにストーリーを組み立てる。これには太刀打ちできないので、政局に関しては話さないことにした。でも、(生中継で一切加工のない)こういう対談であれば、私なりの思いを聞いてほしい」と答えて、インタビューは始まった。

 消費税増税に反対したことについて、鳩山氏は「2009年の総選挙、民主党のマニフェストには増税とは書いていなかった。それが国民との契約。反故にすれば信頼もなくなる。また、東日本大震災があり、国民が苦しんでいる時に、追い打ちをかけるようなことをすべきではない。300万円の年収の家庭で、25万円の増税になる。『社会保障と一体改革』と言いながら、どこが一体改革なのか」と、語気を強めて民主党執行部を批判した。

 岩上安身が、「ある民主党議員は『民主党は今、自民党の汚れ仕事(増税)を喜んでやっている。そのため、国民の不興を買い、次の選挙で民主党は大敗するだろう。自民党は政権を取り戻し、人気取りの政策ができる。民主党は、わざわざ自滅に向かっている』と発言していたが」と話すと、鳩山氏は「その背後には、財務省がいる。官僚には選挙はなく、自分たちのやりたいことをやってくれれば、どんな政権でもいいのだ。しかし(政治家は)マニフェストを破ったら、次は何も信じてもらえなくなる」と語った。

 続けて岩上が「今回、野田総理は『増税をマニフェストに明記して、反対したら公認しない』としている」と言うと、鳩山氏は「考え方の違う人たちにも、友愛精神をもって、いかに協力させていくかが政治の要。違う考え方を排除していたら、それは独裁者と同じ」と断じ、「一番マニフェストを守れなかった野田総理が、今度は守ります、みたいな話をして、誰が信じるだろうか」と疑問を呈した。

小沢氏を「煩わしい存在」と言った菅元首相

 続けて、小沢一郎議員の離党について尋ねられると、「とても申し訳ない。小沢氏のパワーで民主党は大勝利を収めたのに、政権交代をした途端、排除し始めた。もともと、現執行部は旧民主党と自由党の合併時に、政治的影響力の強い小沢氏を警戒していた人々だ。政策より、ただ体質が合わなかったと思う」と述べた。

 さらに鳩山氏は、「昨年(2011年)6月、当時の菅首相は小沢氏について、『役職につけるとすべてを管理したがり、役職につけないと足を引っ張る。どちらにしても煩わしい存在だ』と私に話した。裏を返せば、小沢氏にはパワーがあって、既得権に守られている政治を打破できる人だった。小沢氏は権力の座につきたいというのではなくて、権力を得て、本当にこの国を変えたいと考えていたと思う」とした。

 新党「国民の生活が第一」の記者会見で、小沢氏が「今後も鳩山氏と連携していく」と述べたことについては、鳩山氏は、啐啄同時(そったくどうじ:何かをするのに絶好の好機のこと)という言葉を使って、「鳥のひなが孵る時、卵の内と外から親鳥とひなが同時に殻を突き壊して生まれてくる、というようなこともある」と話した。

「鳩山=反面教師」にした結果、自民党と同じになった民主党

 岩上安身が「小沢氏と鳩山氏が引っ張ってきた民主党は180度変わり、自民党と同じような政党に豹変してしまった。なぜか」と疑問を述べたことに対し、鳩山氏は、こう振り返る。

 「それは、自分の不徳の致すところ。既得権益と戦おうとして、結局、勝てなかった。アメリカに対してものを言い、官僚主導の政治を止めようと、事業仕分けなどの荒療治で反発を買った。現執行部は『それなら、鳩山を反面教師とすればいい』という発想で、結局、アメリカに委ね、財務省に使われる政治に戻ってしまった」

 また、民主党に残留し続ける理由を、「民主党創業者として、変節してしまった民主党でも愛情がある。原点を取り戻す可能性はあるのか判断している最中で、まだ、結論は出ていない」と語り、自分や小沢氏へのバッシングについて、こう訴えた。

 「既存の日米関係と既得権に守られているのが、大手メディアや財務省。その権力を奪おうとしたのが小沢氏と自分で、彼らにとって迷惑な存在だ。われわれを叩くことで、自分たちを守ろうとしている。国民には、大手メディアに歪められた鳩山ではなく、本当の姿を見て判断してもらいたい」

対米追従勢力と既得権益に勝てなかった鳩山政権

 次に、米軍の普天間基地の辺野古移転について、岩上安身が「なぜ、突っぱね続けることができなかったのか。どんな抵抗があったのか」と質問すると、鳩山氏は次のように応じた。

 「力不足だった。平野元官房長官が唯一、県外の移転先を探そうとしてくれたが、外堀を固められた。最初、徳之島から受け入れ意志が伝えられ、水面下で動いていたが、表に出たとたんに潰された。アメリカの反発というより、外務省と防衛省が、アメリカの意向を忖度して止めさせようとしたのが真相だ。沖縄県民に期待させておいて、大変申し訳なかった」  さらに、岩上安身が「日本の官僚は、ワシントンがボスだと刷り込まれていないだろうか」と言うと、鳩山氏は「方向性は合っている」と応じ、「孫崎享氏が言うように、日本の戦後政治は、対米追従路線と対米自立路線との争いだ。対米追従の政権は長期政権になる」と分析した。

 さらに、祖父の鳩山一郎元首相について、「祖父も、原爆はジェノサイドだという論文を朝日新聞に掲載したのが、公職追放になった本当の原因とも思える。朝日新聞はGHQにより発禁処分になり、この事件以降、マスメディアはアメリカの顔色をうかがう組織になってしまった。これで世論誘導されることは怖い」と指摘した。

原発再稼働、原発新設はありえない

 原発について、鳩山氏は「活断層の問題がある。福島第一原発事故は地震による損傷も原因、と言われている。原発の再稼働はありえない」と語った。

(…サポート会員ページにつづく)

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「岩上安身によるインタビュー 第226回 ゲスト 鳩山由紀夫元首相 岩上安身のインタビューで「対米従属」官僚の全貌を激白「官僚は自分たちのやりたいことをやってくれればどんな政権でもいい」」への3件のフィードバック

  1. あのねあのね より:

     既得権益問題とは既得権益政治献金問題でもあり、同時に既得権益がスポンサーである大手マスコミ問題でもある。それを象徴しているのが東電のスポンサードにより、大手マスコミが原子力発電が絶対に安全だと云う“神話”で“洗脳”していたという事実だ。原発廃止や再稼動反対デモには“神話”で“洗脳”されたような“狂信的な”集団が妨害しにやってくるのが気になる。
     議員に投票した有権者は全員月1,000円献金をして議員を支え、企業献金の排除をすべきだろう。しかし、献金して貰う側が裕福に見えると誰も献金なんかしないので、屋敷と高級車と高級レストランや料亭はやめてもらいたいというのが、心ある有権者の偽らざる気持ちではある。有権者が明日をも知れない身なのに、自分より裕福に見える議員への献金なんか誰もしないって。
     郵政民営化が戦後最大の疑獄事件に発展すると云われ、その入り口の事件だと言われた『かんぽの宿問題』の渦中に東京地検は突如として小沢氏の秘書を逮捕した。逮捕の2日前にテレビの生放送で、亀井静香氏が目の前に居る竹中平蔵氏に向かって東京地検への告発を宣言した。そのとき竹中平蔵氏の目が泳いだが、翌々日検察が動いたのだ。判りやすい奴等です。
     郵政民営化には売国の歯止めが無いとして多くの自民党議員が反対した。時の小泉首相は郵政民営化法案が参議院で成立しないのを理由に衆議院を解散した。このときの衆議院の郵政選挙と呼ばれる選挙で、政権は反対した議員に“刺客”を送ってマスコミも政権に“便乗”し、売国政策反対議員を落選させた。のちに、この時の政権やブレーンで大臣でもある竹中平蔵氏がハゲタカファンドと17回も協議していたという事実を突きつけられ、かんぽの宿売却が問題化したときに現役の大臣の首を麻生総理大臣が切った。今は、その麻生氏が政権中枢におり、竹中氏はブレーンとして政権と深く関ってる。
     ハゲタカが日本を取り戻した悪夢の安倍政権が続いているが、小泉氏の時と同じように大手マスコミは安倍氏を称えている。広告代理店が入っていることは明らかなので、小泉氏の時の様に金の為にオオテマスコミが進んで売国をしていることは間違いないだろう。演技やセリフも付けていることは見え見えだ。

  2. @megumegu1085さん(ツイッターのご意見より) より:

    東日本大震災があり国民が苦しんでいる時に消費税増税で追い打ちをかけるような事をすべきではない。300万円の年収の家庭で25万円の増税になるのだ

  3. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    鳩山由紀夫元首相が岩上安身のインタビューで「対米従属」官僚の全貌を激白「官僚は自分たちのやりたいことをやってくれればどんな政権でもいい」 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/23153 … @iwakamiyasumi
    そこには国益も国民の暮らしもない。ただただ対米従属あるのみ。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/699440291183349760

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