【佐賀県知事選】前武雄市長・樋渡啓祐候補「基地がある沖縄が幸せではないというわけではない」「原発は、県民投票でなく議会が決めるべき」 2014.12.28

記事公開日:2015.1.2取材地: テキスト動画
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(IWJ中継市民・こうの みなと)

※ 1月2日テキスト追加しました!

 12月25日に告示された佐賀県知事選挙で、自民党・公明党の推薦を受けて立候補した前武雄市長・樋渡啓祐(ひわたし・けいすけ)候補の個人演説会が、佐賀市内の結婚式場「マリトピア」で行われた。

 佐賀県知事選挙は2015年1月11日に投開票され、他に農業の飯盛良隆(いさがい・よしたか)氏、元総務省過疎対策室室長の山口祥義(やまぐち・よしのり)氏、九州大学大学院教授の島谷幸宏(しまたに・ゆきひろ)氏が立候補している。

 演説会の冒頭には、自民党佐賀県連会長の福岡資麿参議院議員、岩田和親衆議院議員、田中幹夫富山県南砺市長の3人が応援挨拶を行った。

 また、演説会には同席しなかったが、同日の午後には、菅義偉官房長官が樋渡氏の街頭応援演説を行っている。

■全編動画

  • 日時 2014年12月28日(日)20:00~
  • 場所 結婚式場「マリトピア」(佐賀市)

聴衆を引き付ける天才的な演説術と情報発信

 樋渡氏は開口一番、「私は、選挙になると燃えに燃えて、選挙戦2日間でiPhoneを2個落とした。今3個目です。さすがにある方が、落としても大丈夫な富山県産のカバーをくれた。そしたら、落としても壊れなくなった」と話し、「私だって欠点だらけであるが、自分にできないことは、他人に補ってもらう。ここなんですよ!」と軽快な口調で語り始めた。

 続けて、「昔、武雄と言ったらカンボジアと勘違いされ、佐賀と言ったら、大きな湖(琵琶湖)のある滋賀県と勘違いされた。前任の古川知事のおかげでだいぶ有名になったが、佐賀県をもっと知ってもらう必要がある」とし、自身が市長を務めていた武雄市の情報発信の事例を紹介した。

 「強制はしていないが、400人の市職員全員にFacebookのアカウントを持ってもらい自由に情報発信をしてもらった。職員がおいしいと送ってきたラーメン屋を私がシェアしたところ、そのラーメン屋は満杯になった。みなさんこれを『明るいネズミ講』と言うんです」と話し、聴衆の笑いを誘った。

公共サービスの民営化を促進

 樋渡氏は、武雄市長時代の実績として、「公立図書館のTSUTAYA(CCC)への業務委託」「私立病院の民営化」「民間塾・花まる学習会と提携した公教育の導入」「タブレット端末を使った反転授業」などを強調。

 公立図書館の運営をTSUTAYA(CCC)に業務委託した理由について、「図書館の休館日を減らしたかったが、直営にしていたら無理が生じると思ったので民間に委託した」と述べ、「民と組むのが一番いい。そこで足りないものを行政が補いたい」と話した。

 続けて、「知事になれば、まず県立図書館を365日24時間営業したい」と話し、様々な分野で民営化もしくは民間委託していく方針を明確にした。

選挙戦、組織力では負けている

 樋渡氏は、現在の選挙戦の状況について、「他の候補者と横一線で並んでいる」とし、「組織的には言ったら、完璧に負けている」と、自民党陣営の中で対立している山口氏を意識した発言を行った。

 「義理や人情、人の悪口とかではないです」「みなさんの子供たちの将来がかかっていることなので、ぜひお願いしたい」などと樋渡氏は訴えたが、自身の口から、選挙の争点となっている、「原発再稼働」と「オスプレイ」についての言及は一切なかった。

原発再稼働の是非、県民投票でなく県議会が決めるべき

 質疑応答の時間に、IWJは、「原発再稼働の是非について、県民投票を実施する考えはあるのか」と質問。

 樋渡氏は、「この手の問題で県民投票というのは反対。県には議会というものがある」として、県議会の判断に重点を置くことを強調した。

 また、「東日本大震災の直後には、福島第一原発の近くまで防護服を着ていき、恐怖を感じた経験もある。その時は、正直言って原発はない方がいいと思った。しかし、自然再生エネルギーが不確かな現状では、それを補完するという意味で、原発というのはギリギリ考えて止むを得ないとの立場に立っている」と説明。

 さらに、「九州では、電気料金が20%以上あがっている」「原発に隣接する唐津市・伊万里市さんなどの意向も踏まえて判断しなければならない」とコメントした。

 現在、佐賀県内では原発再稼働の是非について、世論が完全に二分されている。

 地元、佐賀新聞社が昨年2014年9月に行った世論調査では、原発再稼働「反対」が上回り、逆に、今年2015年1月の最新の世論調査では、「賛成」する人が僅かながら半数を上回っている。

 しかし、38議席の内、自民・公明会派29議席・民主党系4議席という、原発再稼働に賛成している会派が圧倒的大多数を占めている現在の佐賀県議会では、原発についての民意を直接的に反映するのは非常に困難な状況にある。

 また、原油価格が急落した中、火力発電のコストがこれ以上、上昇していくとは想定されにくい現状があることも、考慮しておかなければならない。

「オスプレイ=基地」のある沖縄が、幸せでないわけではない?

 IWJは続けて、オスプレイ問題について質問した。

 「樋渡氏は、『佐賀県を日本一住みやすい県に』という公約を掲げているが、オスプレイを受け入れた場合でも、日本一住みやすい県と言えるのか」との質問に対し、「では、米軍基地の75%が集中している沖縄県の人々は幸せでないと思います?」と逆質問した上で、「私は、そうではないと思う」と回答。

 「それを是とすることは、逆に沖縄県の人々の気持ちを否定するような気がする」と持論を展開した。

 続けて、「なぜそう思うのかと言うと、私は、沖縄県で基地移設の担当者として勤務していた経験があるから。沖縄県の人々の心の痛みはわかっているつもりでいる」などと話した。

 その上で、「オスプレイの話は、3つに分ける必要がある」とし、「1つは、陸上自衛隊目達原(めたばる)駐屯地への配備。2つは、自衛隊機の佐賀空港配備。3つは、米軍機の佐賀空港配備」と説明。「(佐賀空港の)基地化は絶対にいけない。しかし、訓練については、沖縄など特定の箇所に集中するのではなく、全国で広く浅く負担するという意味で考えないといけない」とした。

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