日本外国特派員協会主催 石橋克彦神戸大学教授、渡辺満久東洋大学教授記者会見「大飯原発再稼働:地震で本当に大丈夫?」 2012.6.26

記事公開日:2012.6.26取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ)

※公共性に鑑み全公開します。

 2012年6月26日(火)15時より東京・千代田区有楽町にある日本外国特派員協会で、日本外国特派員協会主催記者会見「大飯原発再稼働:地震で本当に大丈夫?」が行われた。渡辺教授は、大飯原発敷地内にある活断層の実態と評価についてなど。そして、石橋教授は、大陸型地震の特徴、大飯原発のある若狭湾などに関係する地震の可能性と、政府や関電の対策の不備などについて話し、質疑応答に答えた。

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■ハイライト

■全編動画

  • 講演者 石橋克彦神戸大学教授/渡辺満久東洋大学教授
  • 日時 2012年6月26日(火)
  • 場所 日本外国特派員協会(東京都千代田区)

 まず、渡辺氏よりスピーチが行われた。「地震には、2つの被害を起こす原因がある。揺れと活断層によるズレだ。ズレについては、今まであまり注目されていなかった。台湾での活断層が起こしたズレによる高層建築物の被害の写真を見せた。今回、大飯原発3・4号機の再稼働が16日に決定した。ここには、海洋活断層と、敷地内の活断層の存在が指摘されている。玄海原発以外は、活断層の危険性が、日本中の原発に言われている。敦賀、もんじゅ、美浜原発にも、活断層の危険はある。熊川活断層と海洋中のFO AとFO Bは別ものとして考えられているが、続いている同じ活断層と疑われる。

 次に、活断層の断面図を見せ、構造を説明。また、問題となる敷地内のF-6断層は、大飯原発の第2、第3号機の間に走っている。また、小さな断層も周辺に存在することは、トレンチ調査によって確認されている。などを報告し、基本的な政府の活断層調査の、不備と対応を指摘した。

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 続いて、地震テクトニクスの専門家の石橋教授は、日本全体の地盤の動き、プレートテクトニクスを説明した。また、渡辺氏が指摘した、熊川活断層と海洋中のFO AとFO Bが3つの活断層が、連動した場合、公表されている各断層の700ガルの地震評価は、過小評価になる可能性が高い。関西電力は、それぞれの活断層は独立している、と考えて被害シュミレーションを行っている。たとえば、2007年、中越地震のとき、柏崎刈羽原発では、1,699ガルを記録している。大飯原発のストレステストや安全基準は、こういったことを踏まえて、再調査と評価をすべきだ、と話した。

 5年前にも、石橋教授は、外国特派員協会で、原発と地震について話してもらっていた。などとファシリテイターが補足し、質疑応答に移った。最初の質問は、地震は予測できないのか、と聞かれた。石橋氏は「地震は予測できない。しかし、東海や南海地震などに関しては、場所や規模、だいたいの時期について、傾向くらいは言える。1995年、阪神淡路大震災から調査し、大きな地震が起こりやすくなったと発表した。しかし、学会、専門家の間では、マグネチュード7クラスの大地震は、西日本では起こらないと言っていた。しかし、2000年には鳥取県西部、2005年、福島県西方、2007年能登半島、中越地震などがおこっている。などから、若狭湾も、大地震の可能性は指摘できる」と回答した。

 次に、政府や関係者、アカデミックな人々からアドバイスなどを求められることはないのか?また忠告などをするのか、と質問が寄せられた。渡辺氏は「政府関係の委員でも役職もないので、まったくコンタクトはない」。石橋氏も「そういったところからの接触はまったくない。それで反論などを寄稿したり、講演したりすが、マスコミにはほとんど取り上げられない」と答えた。次の質問は「福島原発4号機は、どれくらいの地震に耐えられるのか」との問いに、石橋氏は「建築物の構造がわからないので、答えられない。ただ、これからも、大きな地震が起こる可能性はある」。

 それと「石橋氏は、5年前にすでに原発震災という言葉で、記者会見をしていた。それで、311以降、政府や専門家から、意見を聞かれたりはしなかったのか」と訊くと、石橋氏は「声はまったくかからなかった。意見も訊かれない。理由はわからない」などと答えた。地震動、津波の危険など、数々の質問が寄せられた。石橋氏は「原発などは、いったん事故はおこると、収集のつかない甚大な被害になるので、予防や防護基準のハードルは、とても高くしておかないといけない」と訴えた。

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