「虐待していなくとも…」親の同意なしで一時保護、親子の面会禁止のまま長期間隔離、子どもへの危険な薬物投薬 ~医師・弁護士らが児童相談所被害の実態を報告 2014.10.15

記事公開日:2014.11.6取材地: テキスト 動画
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(佐々木隼也)

※会見内容の詳細を加筆しました。(11月6日)

  「まさに国内最大の拉致事件といっても過言ではない」——。

 児童相談所の「一時保護」が甚大な被害と人権侵害をもたらしているとして、10月15日、医師や弁護士らが厚労省に実態報告と改善の要望書を提出。その後厚労省記者会と、フルオープンの会場で2度にわたり記者会見を行った。

 要望書では、児童福祉法33条「一時保護」の規定が、通報が児童相談所に来るか、児童相談所が恣意的に「虐待」とみなすと、裁判所の令状や親の同意がなくとも、子どもを親元から強制的に引き離し、保護する権限があることを問題視。見直しを求めている。

 この問題に多く携わっている南出喜久治弁護士は、児童相談所が「一時保護」制度を濫用し、実際には虐待が行われていないケースでも、子どもを親の同意なく突然保護し、その後数ヶ月から最長数年間、一切の面会・通信(手紙・電話など)を禁止し、完全な隔離状態に置いている、とその実態を報告。さらに施設内では、殴る蹴るなど職員による虐待や、依存性の高い向精神薬の投薬などが行われているという。

 会見を主催したNPO法人「薬害研究センター」理事長で医師の内海聡氏によると、「母乳育児」をしていたり、「身体が小さい」といった理由だけで児童相談所に保護されたケースもあるという。

 会見では、実際に「虐待親」の判断をされ、生後2カ月の子どもを児童相談所に保護された矢野美奈さんも登壇。矢野さんは、虐待が行われていない、という事実が病院側の証言で判明したにも関わらず、子どもを返してもらえていないという。現在矢野さんは「一時保護」処分取り消しを横浜地裁に訴え、神奈川中央児童相談所と争っている。

■ハイライト

  • 日時 2014年10月15日(水) 13:00~
  • 場所 NATULUCK特別会場(東京都中央区)

※以下、会見の実況ツイートをリライトして掲載します。

時代にそぐわない「一時保護」というシステム ~「施設内の虐待を隠すため」? 子どもの「長期完全隔離」の問題

 会見ではまず、児童相談所の問題に長く携わってきた南出喜久治弁護士が、要望書の概要を説明した。 南出弁護士「児童相談所の『一時保護』制度は占領下の昭和22年にできた。戦災孤児や浮浪児などほっとけば命に関わる場合が多く、親と離ればなれになっている事が多かったため、一時措置として親の同意なしで保護可能とした。しかし現在では保護の緊急性の高い浮浪児などはほとんどいなくなり、この制度の必然性が薄れてきた。にも関わらず制度の見直しの動きはなく、運用されたまま。

 『一時保護』とは児童相談所の所長が必要と認めれば(つまり主観のみで)裁判所や親など、第三者の一切の干渉、事前事後のチェックなしに子どもを2カ月保護できてしまう。さらに児童相談所の一存で、保護期間は何度でも更新できる。

 『一時保護』が制定された翌年、昭和23年にできた警察官職務執行法では、泥酔など緊急保護が必要な場合、5日間保護できるとなっている。つまり日本の現行法は『保護』に関して2つの制度があり、ダブルスタンダードな状況。

 一時保護の問題点のひとつに、親子の面会・通信(手紙・電話など)を無制限に禁止できることがある。まさに『長期完全隔離』であり、刑務所収容者の家族以下の処遇。8年間も完全隔離されているケースも。国内最大の拉致事件と言っても過言ではない。

 なぜ児童相談所は完全隔離したがるのか。親子が面会してしまうと、施設内の虐待が明るみになってしまうから。施設内虐待とは殴る蹴る、性的虐待などがあり、有罪判決が確定した事案も多い。しかしさらに悪質な虐待が、依存性の高い向精神薬の投与」

子どもへの危険な薬物投与

南出弁護士「子どもに薬を『飲め』と言っても飲まないから、食事に混入させている。子どもへの治療は『親権』によって立つ。しかし児相は勝手に薬物投与をし、親権侵害を行っている。親子の面会禁止の理由もここにある。親子を面会させると、薬物投与による子どもの激変、『目がトロッとしている』などの変化が分かってしまう。こうした悪事を隠蔽するために子どもを完全隔離をしている。

 なぜ薬物投与をするか。児童相談所は多くの収容者を少ない人数で管理している。その際に『大人しく言う事をきく』ことが一番管理がしやすい。だから薬物で大人しくさせる」

「一時保護」1人につき30~40万円が国から支給される

南出弁護士「なぜ一時保護が増え続けるか。実は『保護単価』といって、保護1人につき30〜40万円、国から補助金が出る。予算請求した分を使い切らないと翌年から予算削減されてしまう。だから恣意的な一時保護や保護の延長が行われたりする。

 こうした実態を無視してマスコミは『児童相談所頑張れ』という報道のオンパレード。全国の児童養護施設にランドセルを配ったタイガーマスク騒動の後、すぐさま報道で出てきたのが児童養護施設にもっと予算を、という動きだった。

 報道される悪質な虐待、あれは暴行や障害、殺人などいわゆる『刑事事件』であり、本来は警察が捜査すべきもの。しかし警察は予算がないので何の捜査能力もない児童相談所に丸投げをする。警察が、子どもへの刑事事件の捜査を放棄しているといえる。

 後は家庭裁判所や弁護士の問題もある。児童相談所の予算の一部は、一時保護の後、施設入所措置を家裁に申し立てる弁護士、虐待認定をしたり、親の同意なく子どもに向精神薬を処方する児童精神科医にも報酬として支払われる。

 また、児童相談所が一時保護の更新を繰り返した後、児童養護施設への入所を請求する。この請求の承認率は98〜99%。児童養護施設送りになると『無条件で2年間』、子どもは隔離される。子どもにとって2年間がどういうものか。

 児童相談所の専門性の問題も。職員にはキャリアを積んだ人がいない。簡単な研修でカウンセラーになれる。つまり専門性がない。土木課にいた人間や役所の窓口だった人間が、ある日人事異動で職員となる。しかし専門性を高めるような予算は組まれない」

「母乳育児」「朝ごはんを食べないで登校」しただけで一時保護

 続いて、会見を主催した医師の内海聡氏が補足説明。

内海氏「実例をいくつか紹介したい。例えば『母乳育児』をしていただけで病院から『ありえない』と言われて一時保護されたケースがある。また、子どもが怪我をして整骨院へ連れて行ったら通報されて一時保護されたケース。また6人兄弟の4人目だけ『身体が小さい』という理由で、下校中に突然車に押し込められて一時保護されたケースも。他の兄弟たちは虐待などないと証言しているにも関わらず」

南出弁護士「子どもに痣があると教師は、児童相談所と連携しているのもあり、まず親の虐待を疑う。教師は『親に虐待されたんだろ』と子どもに厳しく詰問する。子どもは詰問が終わって欲しい気持ちで、つい認めてしまう。朝ご飯を食べずに青白い顔をして登校すると、教師から『親が食べさせなかったんだろ』と厳しく詰問する。朝ご飯を食べなかった事実はあるため、子どもがついつい認めてしまうと、ネグレクト認定で一時保護となってしまったケースもある。

 そんな子どもたちが児童相談所で虐待を受ける。『言う事を聞かなかった』と往復ビンタで怪我を負わされ、職員が立件され有罪確定したケースでも、その子どもは親元へは返されない。『親の虐待』の方には何の証拠もないにも関わらず。

 児童相談所の被害にあっている多くの親御さんは、子どもを児童相談所に人質に取られているため、怖くて告発ができない。また過去に被害にあった親御さんも、『反省していないから一時保護』という報復が怖くて表に出てこれない」

「虐待じゃない証拠があるのに裁判で勝てない」保護取り消しを求め闘っている矢野美奈さんが実名で実態報告

 続いて、実際に児童相談所に子どもを一時保護され、現在は保護取り消しを求め裁判を闘っている矢野美奈さんが、被害の実態を報告した。

矢野さん「昨年7月に次女が一時保護された。生後2カ月で脳出血がある、という理由で。一時保護中の次女は途中入院したが、入院すると面会できるにも関わらず、退院して児童相談所に戻ると『虐待する親だから』という理由で面会禁止となった。

 一時保護中に面会した次女には痣があり、脳内出血が確認された。当然虐待以外の原因を疑うべき。しかし痣は後に医師によって『なかったこと』にされた。私は痣の写真を持っているし、後日開示されたカルテにも痣の記載があった。

 また、この時の脳内出血は医師の診断で『2~3日前か1週間以内』、つまり『入院中』に起きたことが判明した。しかし児童相談所は『僕たちは病院を捜査する権限はない。通報があったから家族を調査するんです』と言って、子どもを返さない。

 捜査する権限がないのだったら警察を動かしてください、と言っても、『警察に通報するものじゃないから』と取り合ってくれない。出血が入院中であったことについて病院に一緒に行き、私たちの主張が正しいとなったのに、子どもを返そうとしない。

 家裁で児童相談所側は『親と一緒にいる時に出血が起きた』と主張してきた。その主張を裏付ける意見書を書いたのは、『2~3日前か1週間以内』と診断した医師。つまり同じ医師による、全く異なる意見書が2つ存在する。

 これはこの医師がおかしい、という話にはとどまらない。数年前に小人症という難病指定をされた子どもが、ネグレクトだ、と児童相談所に一時保護された。そして、小人症と診断した同じ医師が、今後は児童相談所側にまわって意見書を出している。

 皆さんは、虐待をしていないという証明はできますか? 私たちはボイスレコーダーなど様々な物的証拠を持って闘っているが、それでも勝てない。病院が児童相談所に有利なように意見を変え、それを家裁が鵜呑みにするため」

販売元も子どもへの効果を認めていない「パキシル」が施設内で投与されている

 続いて質疑へ。

フリー記者「保護単価」という制度はいつ頃できたのか?

南出弁護士「平成12年の児童虐待防止法ができたときに、児童相談所の運営がごろっと変わった。全国的に、一律的に保護単価が広まったのはこの時期だが」

南出弁護士「(被害の件数は全国でどの程度か?という質問について)現在、児童虐待通告件数は激増しており、その大部分が警察による通告。上半期で3万7000件程度で、そのうち刑事事件となったのは1%。残り99%がグレーゾーンで、ここが児童相談所の保護単価獲得のエリア」

IWJ佐々木「施設ではパキシルなどの向精神薬が子どもに投与されているとのことだが、出所後に後遺症や、身体の変化などが確認されたケースはあるか?」

 この問題を追いかけているジャーナリストの釣部入裕氏「私の知っているケースでは、児童養護施設に送られた子どもがおねしょをしたら精神薬を飲まされた。断ると虐待されるので怖くて飲む。1年9カ月で帰ってきたが、明らかに目つき顔つきが変わっていた」

内海氏「パキシルに関しては公式の添付文書にも書かれているが、プラセボ効果と比べても効果がないと言われている代物(※)。それだけでなく様々な副反応・副作用後遺症があるということで、国連でも子どもには投薬を慎重に、と言われているもの。

(※)「パキシル」を開発、販売している「グラクソ・スミスクライン社」のHPに掲載されている薬の添付文書を見ると、「小児等に対する安全性は確立していない。また、長期投与による成長への影響については検討されていない」などと書かれている。また【警告】と題する項目では、7~18歳に有効性が確認できなかったこと、自殺に関するリスクが増加することなどが書かれている。その他、重大な副作用についても書かれている。
【パキシル公式添付文書】 (現在、該当ページ存在せず)
 世界中でこの薬の被害が報告されている。米国では臨床試験の「捏造」や、政府機関との癒着が次々と暴かれ、2012年、米司法省は、グラクソ社が「子供向けにパキシルを販売促進したことを含めた罪状」を認め、30億ドルの罰金を支払うことを公表した。
 ちなみに、グラクソ社は、世界中で副反応被害が報告されている「子宮頸がんワクチン」の製造元でもある。

 要望書に書いているケースでは、3種類複合で投薬されている。これは薬の相互作用を考えても非常に危険極まりない処方。カルテに書かれている処方理由も『元気がないから』などというもの。そのカルテも、不都合なところは黒塗りで裁判で出てくる」

南出弁護士「学会誌『福祉社会学研究』の10月号に『児童養護施設の職員が抱える向精神薬投与への揺らぎとジレンマ』と題する論文が掲載された。良心的な職員は投薬に疑問を感じているという研究報告。こうした発信をメディアは報道せず、問題提起もしない」

「虐待親の味方が」という批判を怖れ、与党も野党も問題追及ができない

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「虐待していなくとも…」親の同意なしで一時保護、親子の面会禁止のまま長期間隔離、子どもへの危険な薬物投薬 ~医師・弁護士らが児童相談所被害の実態を報告」への1件のフィードバック

  1. 育児にも多様性、親の裁量を認めるべきだ。
    権力が上から独裁的に画一的な統制をする社会主義は失敗したはずだ。
    育児を上から統制して人攫いをする児童相談所は行き過ぎている。
    何でも問題が起きると「政府、政府」と権力を志向する日本人の気質は極めて危険だ。
    そのような権力の暴走防止の仕組みが不十分なままで、
    危険性を認識せずに、盲目的に権力を支える日本人という存在は、しばしば鬼に豹変する。
    児童相談所の「一時保護」という名目の貧困者狩りを見るがいい。
    親権者が誤ることは絶対に許されないが、児童相談所の多少の勇み足は許される。
    法律が上に向かって権力を縛るのではなく、法律が下に向かって国民に牙を剥く。
    「権力は強化すれば、有効に機能する」といった単純なものではない。
    権力が肥大すれば、その暴走防止のための冗長性や透明性が必要だ。
    育児は出生数という数値目標だけで測れるものではない。
    心の成長という質は官僚的に測れないだろう。
    子供にとって、「親に丁寧に対応してもらえた、親の温もり」という経験が、
    人間への信頼を育てて、他人から学んで大きく育つことができる素質を作る。
    だから、育児は施設で効率的に処理するにはあまり向かない。
    育児を行政が担えば、数値で測りにくい子供の経験値への寄与を無視して、
    怪我や病気の危険性など数値に表れやすい目標に偏り過ぎた統制にも陥りやすい。
    もちろん、そういったことを望む者もいるだろう。
    しかし、そういった無難で保守的な育児投資では、大きな成果も得られにくい。
    権限を親権者に移して、もっと多様な育児を容認すべきだ。
    育児は仕事の残渣ではない。
    育児は次世代への投資の要だ。
    育児支援は、行政が親から育児依頼を集めて集約効率化する保育方式ではなく、
    親の多様な育児を行政が支援する形式であるべきだ。

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