下請け作業者の累積被曝線量管理、元請け任せ~東電定例会見 2014.9.16

記事公開日:2014.9.16取材地: テキスト動画
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 2014年9月16日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。1号機建屋カバー撤去、2号機トレンチ凍結止水は進展せず。プライバシーを理由に、緊急搬送された作業者の容態や作業被曝履歴を一切公表しない東電の姿勢に、記者から異議が続出した。

■全編動画

  • 日時 2014年9月16日(月)
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

主なプラント状況

 主なプラントの状況は次の通りであった。

 地下水バイパスは、一時貯留タンクGr-2から放水した。一方、揚水井No.12の汲み上げは、トリチウム濃度が運用目標値(1500Bq/L)を超えたことから8月29日から中止している。その後、続けて行っているサンプリング分析では9月1日採水分以降、既に運用目標値を下回っているが、まだ汲み上げを再開していない。東電は慎重に判断するとしている。

 過去に運用目標値を超えた時には、例えば8月6日に1900Bq/Lとなった時には、8月11日のサンプリングで730Bq/Lに下がった事等から汲み上げを再開している。今回はこれまでになく時間をかけ、慎重に状況を検討しているのが気になるところ。9月8日の会見で、揚水井No.12のトリチウム濃度の上下について記者が質問した際、東電の白井功氏は「(トリチウム濃度が上下しているのは)把握している」と答えていることから、時間をかけて状況分析を行っている可能性もある。

 1号建屋カバーの撤去作業はまだ開始できない。東電自身は、カバーの穴開け、カバー撤去、がれき撤去は「別々の工程」だと考えている。それに対し、地元や関係者は「一貫した作業」という考えで、認識の違いがみられる。東電は、より丁寧に納得できるまで説明したい方針を表明。

 2号機海水配管トレンチの凍結止水は、間詰めのモックアップ試験が続いている。肝心の凍結は先週と変わらず92%の凍結と評価している。温度低下を促進するための氷、ドライアイスの追加投入はまだ続いている。

増設ALPS、ホット試験始まる

 増設多核種除去設備(ALPS)について、A系の設置が完了し、使用前検査が終了したことから、翌17日の午前10時からホット試験を開始する予定。その後、10月から汚染水の処理を始め、全系統の本格運転は12月を目標にしている。

 現行ALPSではホット試験で多くのトラブルが発生し、不具合をつぶしてきた。そこから得られたものは改善点として活かされ、対策されており、トラブルのノウハウは持っていると、東電は豪語。

 ただし、増設ALPSでは初めてのホット試験ということで、パトロール頻度を上げる、監視カメラや検出器を設置するなどの対策を施すということだ。

護岸エリア観測孔No.1-17で高い、全β濃度

 護岸エリアの地下水観測孔No.1-17で全β濃度が高いことについて記者が質問。東電・小林照明氏は、「今後高くなる可能性もある」とも説明。

地下水バイパスのバイパス効果の評価はまだ

 地下水バイパスの本格運用が5月21日ごろから始まってから4ヵ月近くが経過する。その間、累積約34500トンの地下水を海洋放出した。地下水バイパスにより、肝心の建屋周辺の地下水位は低下したのか、その有効性、効果について記者が質問。

 東電・小林照明氏は「正に評価中」だと説明。地下水バイパスの効果を見るための地下水位観測孔の水位は低下しているが、サブドレンの水位はまだデータが少なく、「明確にどれくらいの効果があったとは、まだ言えない、もうちょっと待って欲しい」と答えている。

作業者の累積線量は把握せず

 9月6日の午後にドクターヘリで緊急搬送された作業者について、その病状や被曝線量などを、プライバシーを理由に一切を公表しない姿勢を示した東電に対し、9月8日の記者会見では、公表するよう複数の記者が要望し、関連する質問を投げていた。このことに関して今回も、多くの記者から質問が続いた。

 質問の中で、協力企業作業者の累積線量や作業履歴の詳細を東電は把握していないことがわかった。元請け企業が把握するもので、東電は元請けからの報告を受けるに留まっている。元請けから報告が無いものを、積極的に要求する考えはないことが明らかとなった。

政府事故調記録、無音声のTV会議記録映像について

 「政府事故調査委員会による聴取記録」が公開されたことに関して、事故当時の状況について質問が続いた。

 東日本大震災による福島第一原発事故直後の、東電社内のTV会議記録映像が報道公開されている。しかし、菅直人首相(当時)が東電本社を訪れた3月15日の記録部分は、音声が無く映像だけが残っている。この時に発電所作業者の待機あるいは撤退についての言及があったとみられ、争点の一つとなっている。

 なぜ音声がないのか、他にICレコーダー等で記録していないのか、記者から質問が続いた。回答は確認後、追って示されることになっている。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年9月16日

2014年9月15日

2014年9月14日

2014年9月13日

2014年9月12日

プレスリリース

2014年9月16日

2014年9月12日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2014年9月13日

2014年9月13日

福島第一原子力発電所 データ集

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