2010/01/08 亀井金融大臣会見

記事公開日:2010.1.8
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1月8日金曜日、2010年最初の亀井大臣オープン記者会見。さすがに、年末年始には床屋に行かれたのか、今日はトレードマークの寝癖がなく、血色のいい表情で、大臣が入室してきた。

亀井「どうもー」

亀井「本年もよろしく。俺もアメリカに行って帰ってきら浦島太郎のようになってる。財務大臣が変わっておられたんでね。
 今日は別に私の方から皆様方に閣議の関係で申し上げることはありませんが、いよいよ鳩山政権も今年は勝負に入るわけですから、私も国民新党の代表としてもね、全力をあげてこれを支えていきたいと新年早々思っております。
 一つは郵政見直しのこれはまあ、大塚君が中心になって、今、検討してくれておりますが、月末くらいまでだな。田村くん? 夜寝ずにやれよ!」

田村「(あわてて)はい、わかりました」

亀井「飲んだくれてばかりおったらダメだよ。(笑)なあ。
 月末まで一部の方向性を出すように一つやってください。
 純ちゃん(小泉純一郎元首相)がめちゃくちゃにしてしまう前に戻すなんていうのは、わりと簡単だけどね、そんなつもりありませんのでね。何度も言っておるように地域社会、日本の為、世界の為にね、簡保入れたら(資金は)250、60兆か? もっとあるか?(と大塚副大臣に聞く)」

大塚「もっとあります」

亀井「もっとあるんだな。この金をどう使っていくか、あるいは北海道から沖縄までのね、山の上から島まで張り巡らせたネットワークね、これは国民的財産ですね。これをどう地域の為、国民全体の為に役立たせていくかというね。
 まあ、一度ガタガタにしたのをね元に戻すのはなかなか実際容易でない。本当に大変なことをやられちゃったね。モラルハザードも起きてないわけでもないしね、色んな意味でね。だからもう一度やる気を持って、職員の方にやってもらうというね、新しい事業展開をしていくにしても、人がやることだからね、我々の霞ヶ関や永田町で考えているような、うまくいくとは限らないわけだから、公聴会、いろいろやってるでしょ。いろんなこともやってますしね、いろんな国民の方々の意見も聞いて、特に地域の方々の意見を聞いて、それで新しい事業展開をしていく。そのための組織はどうしたらいいかとかいうね。
 組織が先にありきじゃないの。こういう事業展開をしていくには、じゃあどういう組織形態があるかと、逆になっちゃったら大変な話になっちゃうね。あとわずかな期間だけども、二人(大塚副大臣と田村政務官)や長谷川君(=長谷川憲正参議院議員、総務大臣政務官)が寝ずに頑張ってくれるようだし、日本郵政も斉藤社長を始め、皆様方がね、まなじりを決して今、取り組んでくれてますから、私はよい方向で通常国会にはね、基本法が出していけるだろうと、このように思っています。
 それとあと一つは、明日からデリバディブ商品や金融工学に基づく、いろんな商品、あれなんでも作れるんだね。簡単に言うとな。
 簡単に言うとさ、大塚副大臣とさ、田村政務官のね、酒の量が増えたか減ったかとかまで予測できるんだな、作ろうと思えば。そういう意味では実体経済とか関係ない形でお互い取引をして儲けたり、損をしたりする仕組みは作れるんだよね。それは日本だけじゃなく、世界中作れちゃうんだよ、どこでも。日本ではそんなとこまで手を出しちゃいかんと思っても、アメリカでやっちゃったりね、ヨーロッパとかでやっちゃったら防げないんだな。
 だからそういう面で、この商品で一般投資家が予期せぬ被害を受けたり、あるいはそれが破裂した場合の経済的な波及を防ぐという手立てというのは非常に難しい。そうは言っておってもね。だけど、ほっとくわけにはいかないから。
 これも二人が中心になって、長官をはじめ皆さん方で、今、鋭意がんばってくれておるんだけどね。
 聞いてみたら金融庁の職員もね、あんな商品、買ったことがないんだな。あんたも買ったことないだろ?」

大塚「いや、ないです」

亀井「もちろん俺もないからね。わからねえんだよな。未知の世界でしょ? 未知の世界で行われていることを金融庁がそういう意味での今言ったのに似てるんだけどね、それを制御できるような仕組みとか色んな形っていうのをね、一つは決済をね、一箇所でやってそうした破綻が起きた場合にばーっと被害がでかく波及しないような一箇所で決済してしまうようなやり方を作れないかどうかとかいうことをね、今、東証とも検討してるんでしょ?」

大塚「はい」

亀井「それで、いま、やっておるとこ。おお、そういえばさ、東証さ、来週ぐらいちょっと俺、現場見てないんで。一緒に行こうよ」

大塚「はい、わかりました」

亀井「今、あれらしいな、手を挙げてこんなことやるわけじゃないらしいな」

大塚「はい。もう立会いはありませんので」
(※手サインによる立会いは、東京証券取引所では1999年4月末に廃止された。手サインについては「@nifty:デイリーポータルZ:証券取引所の手サインよ永遠に」http://portal.nifty.com/special04/04/05/index.htmを参照)

亀井「ないんだ。しないんだな。あんまり面白くねいな。コンピュータとか分からないからな。行ってみようと思うんでね。雰囲気だけでも勉強しないといかんと思うので。ま、当面のあれはそうですが、何か、あまり時間ないみたいで」

大塚「みなさん、今日は本当に日程が立て込んでて、40分にはピシッと終わりますんで。質問も手短かに要領よくお願いします」

永富「通信文化新報の永冨といいます。よろしくお願いします。
 今お話があった郵政改革のことについてお聞きしたいのですが、公聴会とかで色々ヒアリングでですね、声が出ておりますが、サービスの低下したのは分社化といいますか、縦割りでですね、その辺の影響が大きいという意見が出ておりますが、その辺の見直しについて……」

亀井「それはね、総ざらいやりますね。総ざらい。あんなガタガタしてしまったものをね、こだわるものでもなにもありません」

中山「銀行研修社の中山と申します。今の郵政の話と関係があるのですが、地域の民間の金融機関が地域の会社にお金を出すということに重視されてると思うんですけれども、去年の円滑化法以上の取り組みを、また今年もされるおつもりがあるのか?」

亀井「これはね、地域で集めた金をね、地域関係なしにね、国債買ったりね、8割くらいね、そういう形にはすべきじゃないと思う。だけどね、これが難しいのはね、運用ノウハウを持ってないと、大変なことになっちゃうんですよね。
 アメリカあたりもあれでしょ? 年金基金なんかが餌食にされちゃったでしょ? 餌食にされたというよりかね、年金基金の連中がね、スケベ根性をもって、どんどんそういうところに金をだして、バーンとなっちゃったという経過があるでしょ。だから、貴重な郵便貯金なりね、簡保の金みたいなのをどう適正に運用するか、運用の能力をさ、どうつけるかという問題なんだね。
 だから既存のそういう、金融機関なり保険会社とかのノウハウを使う仕組みを作っていくのか、あるいは内部で作って養成していくようなことを考えていくのか含めてね、こういうような話はね、しかも既存の金融機関との競争関係も出てくるわけだからね。
 一つは1000万の限度額の問題についてともね、日本郵政の方が限度額を外してくれとかね、別に財務省に預けてるわけじゃないからね。限度つけるとはおかしいと言うけども、一方じゃ金融機関もあんなものを外されちゃ大変だというのもあるでしょ? そういう大きな枠も含めて、地方の地銀とか信用銀行、信用組合とね、どううまく調和しながらやっていくかというね、これは大変な話なんだこりゃあ。だけどやらないかんな。はい」

田口「日本証券新聞社、田口拓一と申します。
 菅副総理が財務相に就任いたしましたhttp://www.47news.jp/CN/201001/CN2010010601000705.htmlが、これまで内閣内で閣僚として仕事ぶりをどのように見ておられていたのか、それと財政金融面などで考え方のご印象についてお教えいただければと思います」

亀井「まああれじゃないの、藤井さんがね、ああいう形で退かれた後は、一番の適任者じゃないの? 管さんが、いろんな意味で。と私は思いますよ」

田口「仕事振りに関しては?」

亀井「なかなか出来ますよ、彼はね。非常に切れ味もいいしね」

 予算編成の際、基本政策閣僚委員会の場で、菅副総理と亀井大臣が、20分間にもわたって激しくやりあった、というのは、約1カ月前の12月8日のことだった。どちらも血の気が多く(笑)、しかも両者とも、ポスト鳩山首相候補と目される。今回の菅氏の財務相兼任で、もともと本命の菅氏が一歩も二歩もリードした感があるが、亀井大臣、感情をあらわにはせず、平静を装って、さらっと受け流して回答していた。

大塚「はい。それではどうぞ」

記者「郵政担当大臣としておうかがいしたいのですが、今年の年賀状をたくさんもらったと思うんですが、そのご感想なんかあったら」

亀井「読んでないんだよ。俺、まだ読んでないんだよ。アメリカ行っていたから。昨日帰ってきたんだよ」

記者「すいません」

大塚「残念でした(笑)。じゃあ。一番奥の方」

大塚(AERA)「アエラ編集部の大塚と申しますが、今、JALの法的整理が話題になっておりますけれど、かつてその運輸大臣として運輸行政を所管されて、今はこの金融担当で銀行界を所管されておられてですね。整理を果たしておられますが大臣としては法的整理に対してどうお考えでしょうか。所論伺いたいんですが」

亀井「これはね。まあとにかく、世界の翼と言われた日航がね。どうしたら健全な姿で再生できるかというね。大変難しい課題だけどやらにゃいかんのだな。政府も放っておくわけにもいかないからね。民間会社なんだからと、勝手に放っとけ、というわけにはいかない。しかしその場合に、みんなが納得するね、今まで金を出している金融機関を含めてね、今からまた出さにゃいかんところを含めてのね。また国民の目から見ての納得できる方法は何かということになってくるとね。これは多次元方程式を解くみたいなところがあると思うけどけれど。結果として解かなきゃいかんね、これ。そして、JALが再生せにゃいかんと思うな。
 昔ね。俺もそのね。黙って座って俺がって出るような。そんなノウハウはないですね。今から関係者、一生懸命考えてるんじゃないの。私には相談ないから」

大塚(AERA)「法的整理は理解はされるんですか」

亀井「だから、中身だろうね。どういう中身やっていくかという話もある。法的整理は色々なケースがあるからね」

大塚「はい、次の方。じゃあ一番奥の女性の方、どうぞ」

安積「フリーランスの安積と申します。よろしくお願い致します。
 先ほどの会見で政治家の政策が変わるということを仰いましたけれど。山崎拓さんは普天間移設について日米合意の厳守を主張されていますが……」

亀井「なになに?」

記者「山崎拓さんは、普天間移設についてですね、日米合意を厳守すべきだというふうに主張されておりますが、もし山崎拓さんが国民新党の方から出馬するということになると、県外移設、国外移設を主張される代表の意見をお変えになるということになりますか」

 私もこの日、一番聞きたかった、「山崎拓氏、国民新党から出馬か?」という情報についての質問が、出た。亀井大臣、まだこの話題には触れられたくなかったようで、笑ってお茶を濁す。

亀井「まだ拓さん、国民新党に入りたいってことは言ってないもん。そんな聞いてないよ(笑)」

記者「もしその場合は、変えられますか」

亀井「もし、もし言うたってさ。もしももしもって言ったら小泉純ちゃんが国民新党に入りたいっていうような話になっちゃうよな」

(笑い声)

亀井「こりゃちょっと無茶な質問だよ。今の時点ではなぁ」

大塚「ということで次の方。では岩上さん」

岩上「フリーのジャーナリストの岩上です。よろしくお願いします。あのー、すいません……」

大塚「短くね」

岩上「無茶な質問続きで申し訳ないんですが、ちょっと正確に申し上げます。社会福祉法人で、全国精神障害者社会復帰施設協会という団体があります。全精社協……」

亀井「新聞出ていたやつだな」

岩上「こちら去年、業務上横領事件を起こしまして。補助金の不正流用事件。で、幹部が逮捕されましてですね。自民党の政治家に、闇献金といいますか、違法献金をしたということを自白している。その中にですね。自民党の元幹事長がいるということが新聞の報道で出ています」

亀井「誰なの?」

岩上「それが山崎拓さんであると」

亀井「ホントー(驚)」

岩上「という風に目されておりますが。これはどうなるか分かりませんけれど、捜査続行中です。もしですね、国民新党から山崎さんが出られることになって、こういう問題が浮上してくるようなことがあったら、大変国民新党にとっては大きな、まぁ、リスクを背負うことになるかもしれないですが。そのへんについてご見解を」

亀井「それはね。こんなこと言って俺、拓さんがうちに入りたいと聞いたわけじゃないけれど、拓さんがそこからもらっていることも初耳だな。聞いてる?」

大塚「いえいえ」

岩上「確実にそれは起訴されるまでは、それが現実になるかどうかは確かに申し上げられないですが」

亀井「今、捕まった人が言っているの?」

岩上「団体側の職員ですね」

亀井「起訴されていないの」

岩上「贈賄側の方が、贈賄とはいいませんね。まあ要するにお金を出した側、あげたほうが、違法献金した側の自白ですね」

亀井「ようわからんなぁ。俺に意見といっても、無理だよ、俺に聞いたって」

 亀井大臣は、本当にこの事件について、詳細を知らなかったようである。大阪が舞台の事件で、手がけているのは大阪地検。新聞も全国版ではなく、関西や西日本版でないと詳細な記事は出ていないが、捜査は進んでおり、「自民党幹事長」に違法献金がわたった疑いがあることがすでに新聞記事となって出てきている。この件は、改めて詳しくお伝えしたい。

大塚「ちょっと時間がもったいないんで次行きましょう。女性の方いないですか? 今日」

(笑い声)

亀井「女性優先、女性優先」

大塚「じゃあ、一番手前の方どうぞ」

秦「金融ファクシミリ新聞社の秦と申します。
 今日、デリバティブ、金融資本市場整備の話で法改正もあるかもしれないというご発言でしたけれども、大体、今検討中のものを結論をえる時期というのはどのへんになりそうだとお考えでしょうか」

亀井「まあ、通常国会に出すとすれば、通常国会。ということで今、二人が一生懸命やってくれているんでね。まあ二人の天才的な頭脳を持った政府は早くやるよ」

大塚「じゃあ、次の方。じゃあ、奥の方どうぞ」

佐々木「フリージャーナリストの佐々木実といいます。よろしくお願いします。
 あの総務省の原口大臣が、鈴木次官を交代させるという報道があって、その中で鈴木さんがその郵政改革推進室の方にあてられるという……」

亀井「聞いてない」

佐々木「報道もあるのですが……」

亀井「全然聞いてない。全然。あなた聞いている? そんな話」

大塚「いえ、聞いてないです」

亀井「全然聞いてない。これマスコミ辞令だろ(笑)」

佐々木「わかりました」

大塚「あとお一人かお二人なんで。それじゃ目が合ったんでどうぞ」

水沢「フリーランスの水沢と申します。
 あの貸金業法の完全施行が間もなくになっているわけなんですが、そのことについておうかがいします。
 もう17年の懇談会で17回懇談会というか、内容もかなり濃く議論がされているわけなんですけれども、その時に貸金業で借りて被害を受けたという人、これは何人も何人も呼ばれて次々に意見を供述されているわけなんですが、一方で、貸金業を健全に利用している人、いわゆるその正常利用者というものは一人も呼ばれなかったし……」

亀井「どこに呼ばれなかったの」

水沢「懇談会です。貸金業改善についての。これに17回開催したのに一人も呼ばれない。あのう、貸金業とはいけないものなのだというふうななんか、コンセンサスみたいなまま、あの法律は出来ていんじゃないか、という感じもあるんですが、このあたりのご見解をお願いします」

亀井「俺もねえ、サラ金に俺自身、世話になったこともないし。あの世界のことね、良く知らないんだけども。私の場合は一般的な常識みたいな話になっちゃうんだけどもね。そりゃやっぱしあれなんじゃないの。あれだけの需要があるということはね、それなりの一つの社会的責任の一端を果たしているということは事実なんでしょうね。だから裏返して言うとさ。政府系金融機関とかね、一般の金融機関がね。そういう分野についてね。責任を果たしていないということだ。その裏返しにもなるわけなんだね。
 だから6月施行を目指して、今まだこれも、二人とも大変なんだけどね。この運用面についてそのまま実施しても問題がないかどうかということを検討しているんだけどね。これもなかなか難しい面があると思うよな。やっぱし、これで助かっている人が今度は困るから、どうにかしろという議論もあるんだけども、じゃあそれを、今の法律をもう一度手直しすることによって助かるのか、というとさ、これもエンドレスみたいに出てくるわけだしな。一番難しいね。
 それはやっぱし、普通の金融機関、政府系金融機関等がもうちょっとね、色々なメニューの中でさ、まあ今度も郵政がね。そういうことをやれないかということも一つの検討材料としてあるわけですよ。国民新党は50万円限度でね。出来ればいいなとちょっと笑い話みたいなのを出しているけど、なんか小口の緊急のね、そういうものに手軽に応ずることが出来ないかどうかということをね。やっぱ真剣に考えなくてはいかんのじゃないかなぁ」

大塚「はい。それじゃあ。みなさん誠に申し訳ないのですが、今日はもう時間がありませんので、また次回きっちりやりますので是非ご理解下さい。よろしくお願いします」

亀井「はいどうもすいませんね、みなさん」

「どうもありがとうございました」

亀井「ごくろうさま」

 今回は、参加した記者の人数が30名を超えた。大盛況、といってもいい。新しい顔ぶれも見えており、よい意味での緊張感が、保たれたそうである。
 私がずっとこのオープン記者会見に出続けているのは、記者の側が出席しなければ、記者会見など成り立たず、いくら大臣が貴重な機会を提供しても、自然消滅しかねないからである。「開かれた扉」を、再び閉ざさないように努めることも、ジャーナリズムの努力にかかっている。私は、誰に命じられたわけでも、頼まれたわけでもないが、今年も、可能な限り、出席し続けていこうと思っている。

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